魏伝 ~曹洪の章~   作:碓氷

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第十話 旧き友、娘曹真

―洛陽―曹家屋敷

さて、一路洛陽へと赴いた夏焔、煉次、一刀、星の四人。連れて来た兵士は結局200ほど、当初の予定では500だったが太守の名代で余分な兵を連れて来ると色々と勘ぐられるためにこの数になった。

 

「・・・・疲れた」

 

本当に珍しい、夏焔が椅子に座ってグデーッとなった姿だ。

 

「大将が力尽きてるところなんて始めてみますね」

「本当に、いっつもこう・・・・ビシッとしている印象があるんだけど」

「ですなぁ」

「貴族連中の相手は苦手なんだ・・・・」

 

十常侍の連中に絡まれたり袁紹に勧誘されたり他、様々な権力者たちに絡まれるわけで・・・・

 

「あ・・・・そうだ、煉次」

「はい」

「城外で駐屯してる連中に酒を振舞ってやれ、一人三杯づつ回せるようにな」

「うっす」

 

酒の手配をするために先ずは煉次が屋敷を出る。

 

『すいませーん!!どなたかいらっしゃいますかぁー!!?』

 

うん、聞き覚えのある声だ。

 

「すまんが星、客のようだ・・・・案内してやってくれ」

「御意」

 

「お邪魔するわよー!」

 

雪蓮を先頭に蓮華、咲季、桃香、朱里、獏、美羽、七乃、劾がぞろぞろと入ってきた。

 

「揃って来たのか」

「なーんか疲れてそうに見えたからね」

「よく見ているな・・・・まぁ大したもてなしも出来ないがゆっくりしていってくれ」

 

美羽たち袁家組と曹家組以外は洛陽に泊まる場所がないため夏焔の提案で雪蓮たちと桃香たちが泊まる事に、それを聞いた美羽が一緒が良いと言い出したので美羽たちも泊まる事になったのだ。

 

「さて・・・・行くぞ一刀」

「?どこに?」

「お前の武器を作りに、だ」

「え?」

「今回の戦、お前はよく頑張った・・・・俺個人からの恩賞だ、受け取れ」

「えっと・・・・ありがとう」

 

フッ、と笑いながら一刀を伴い歩き出す・・・・と

 

「何でお前らまで付いてくる」

 

一緒に後ろを星、雪蓮、蓮華、桃香、美羽、七乃が付いて来ている。

 

「暇ですので」

「右に同じ」

「左に・・・・同じよ」

「私も暇なんです」

「妾もやる事が無いのじゃ」

「お嬢様が行くなら」

 

取り敢えず、ため息をつきながら。

 

「星と雪蓮は残れ」

『えー』

 

星の場合は自分も一刀も煉次も留守にするので、雪蓮の場合は連れて行くと面倒そうなので、が理由だ。

 

―洛陽―商店街

路地裏を歩く事僅かな距離にある鍛冶屋。

 

「久しいな、欽」

「おぅ、しばらく見ないと思ったが元気そうじゃないか」

「おかげさまでな、早速だが作って欲しい刀剣がある」

 

一刀を呼び寄せ形などを決める話し合いをし、他の四人が興味深そうにそれを見ている。

 

「珍しい形だな、片刃の刀剣とは・・・・」

「でもでも、なんかすっごい斬れそうですよ?」

「うぅむ・・・・なんかこう・・・・バサーっと」

「これって、一刀さんの国の刀剣なんですか?」

 

一刀が四人の質問に答えながら説明をしている。

 

「ちょっと明るくなったか?お前さん」

「?そうか?」

「ああ、あの頃のお前さんはちょいと荒んでたからなぁ・・・・」

 

鍛冶屋の欽と出会ったのは数年前だ、当時家族を失い荒んでいた夏焔は片っ端からゴロツキ連中を気の向くままに打ち倒していた、そんな時に当時洛陽で最も大きな勢力のゴロツキ集団を率いていた李に出会った。

結果としては相討ち、それからというものの仲が良くなり今では欽は洛陽の裏の顔、夏焔は一軍の将軍という訳だ。

 

「だがまぁお前さんが出世してくれるのぁ嬉しいねぇ」

「?」

「あの頃は一緒にバカばっかやってたからよぉ、そんな仲間がどんどん出世してくってのぁ嬉しいもんだ」

「・・・・」

「しばらくいるんだろ?」

「ああ、あと五日程は」

「ま、武器の仕上がりもそんなもんだ。皆お前さんに会いたがってるから顔見せてやってくれよ」

「出来る限りはする」

 

―四日後―

武器が仕上がった、と聞き欽の店へと赴いた夏焔と一刀。

 

「どうだい仕上がりは」

「すっご・・・・本当に注文通りだ」

「へへへ、腕に自信有り、って事よ」

「欽、代金は・・・・」

 

それなりに値は張っただろうが一刀の扱い易い武器だ、これで武の力量も伸び易くなるはずだ。

 

「まぁまぁ落ち着けよ洪」

 

ピッと夏焔が話をするのを止めるように掌を見せる。

 

「代金の代わりといっちゃなんだが頼みがあるんだ」

「ふむ、他ならないお前の頼みだ・・・・聞こう」

「ああ、実は子供を一人。引き取って欲しいんだ」

「子供、だと?」

 

想定外の頼みごとだ。

 

「ああ、先日他所から流れて来た娘なんだがな・・・・父母は無し、周囲にも中々馴染まなくてな」

「それで・・・・何故俺に」

「環境が変われば少しは違うんじゃねぇかと思ってな」

「・・・・先ずはその娘に会わせてくれ、当人が望まないのを連れて行く事はしたくない」

「分かってらぁ」

 

ちょいちょい、と手招きされるままに案内されたのはかつて皆で集まっていた集会所だ。今も尚変わらずにあることに僅かながら感動している。

 

「おぅ、入るぜ」

 

すだれを上げて中に入る欽に続いて中へと入る、とその奥で膝を抱える少女が一人。

 

「・・・・誰・・・・?」

 

チョコン、と小首を傾げて問いかけてきた少女の、真紅の瞳が印象的だ。

 

「・・・・今は・・・・」

 

ゆっくりと歩み寄って、少女の目の前で片膝を付き視線を合わせる。

 

「俺が誰か、はどうでも良い事だ」

 

ジッと、少女の眼を見れば、少女もジッと見つめ返してくる。

 

「俺と共に来ないか?いろいろなものを見て、学ばないか?」

「・・・・ん(コクリ)」

 

小さくだが、首を縦に振った少女。

 

「俺の名は曹洪、真名は夏焔だ・・・・君は?」

「・・・・真、真名は涼夏(すずか)

「姓は?」

「(ふるふる)・・・・分からない」

「そうか・・・・なら・・・・」

 

ゆっくりと少女の手を取り、立ち上がらせる。

 

「俺の養子にならないか?」

「・・・・貴方がお父さん?」

「まぁそうなるな、君が気に入れば・・・・だが」

「ん・・・・」

 

キュ、と夏焔に抱きつく涼夏。

 

「うん、お父さん」

 

突然に出来た娘の頭を、ゆっくりと自然に撫でるのだ。

 

―夜―曹家屋敷

屋敷に戻った夏焔と涼夏、そして一刀・・・・を出迎える一同。

 

「おや夏焔殿、その娘は?」

「あら、可愛いじゃない」

「わぁ♪お人形さんみたいですねぇ♪」

 

わらわらと皆に囲まれあたふたする涼夏。

 

「涼夏、自己紹介」

「ん(コクコク)」

 

取り敢えず雪蓮と桃香を引き剥がしてから自己紹介をさせる。

 

「曹洪が娘、曹真です・・・・えと、えと(わたわた)・・・・よ、宜しくお願い・・・・します」

 

ピョコん、と頭を下げてから夏焔の背後に隠れた涼夏。

 

『・・・・ぇ?』

 

全員があっけにとられた顔をする。

 

「そういうわけだ、宜しくしてやって欲しい」

『ぇええええええええええええええええ!!!!!!!!!?』

 

洛陽中に、その叫びは響き渡ったとか響き渡らなかったとか。




何のことはありません、璃々ちゃんに並ぶ娘成分が欲しかっただけなんです。涼夏ちゃんの相手でちょっと戸惑う夏焔に周囲がニヤニヤしたり桂花や凪、星がお母さんと呼ばせようとしたり・・・・アイディアが膨らみますね( ̄∀ ̄)
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