魏伝 ~曹洪の章~   作:碓氷

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第十七話 新たな仲間、再編成

―翌日―

とにかく、曹操軍全体で袁紹の眼を引き付けるように派手に立ち回った。春蘭が張遼を包囲し降伏させれば袁紹がそれに触発されたように奮起し軍を動かした。

 

「春蘭様が右目を失ったそうです」

「・・・・そこらへんの事は華琳に任せておこう、今は・・・・彼女らの扱いだ」

 

今ここにいるのは曹洪組と張繍、稟のメンツだ。

 

「・・・・」

「・・・・」

「で?ウチらをどないする気なん?」

 

二人の少女を庇うように立つのが張遼、その背後に少女が二人・・・・董卓と賈駆である。

 

「董卓殿、我らが主君曹操は貴女を助けんがためにこの連合に参戦した。害意は無い」

 

少し、俯き気味だった董卓だったがその言葉に表情を明るくする。

 

「ふぇ?華琳ちゃんがですか!!?」

「然り、我が幼馴染が斯様な真似をする非道な人物であるわけが無い。よって袁紹らの牙にかけられる前に助け出す・・・・とな、最初は袁紹を討つと言って聞かなかったほどだ」

「そう、なんですか・・・・ちょっとだけ嬉しいです」

 

テレテレとしている董卓。

 

「俺もその話を聞き真実だと感じたから手を貸している、詠(賈駆)、霞(張遼)・・・・頼む・・・・月(董卓)のために共に降ってくれ・・・・」

 

土下座の体勢で二人を説得する張繍。

 

「・・・・うん、分かってる。一番ここが安全なことぐらいは」

「せやなぁ、捕まったっちゅうても縛られたりしたわけじゃなし・・・・むしろ高待遇やったしなぁ」

 

ちょっとだけ呆れ顔で、二人が応諾するのだ。

 

―五日後―陳留城―

あの後、董卓の存在を悟られぬために主力の武将二名の怪我(春蘭の右目と夏焔の傷)を理由にして桃香、雪蓮、美羽らに話を通してから連合軍より退去した曹操軍。

 

「では改めて、宜しくお願いします」

 

ペコリ、と董卓―月が丁寧なお辞儀をする。

 

「まぁ月も助けて貰ったことだし、世話になるわね」

 

ちょっとつっけんどんな態度を取るメガネ、賈駆―詠。

 

「ここ強いの多いからなぁ、ウチも楽しみや」

 

ケラケラと、実に楽しそうに笑う張遼―霞。

 

「ただ手を組むだけの隣人よりは、手を取り合う仲間でありたいと。ハッキリそう思ったわけだ」

 

そんな三人の様子に微笑みながら張繍―紫炎がヒラヒラと手を振る。

 

そしてここに他から二人。

 

「曹洪殿の御言葉は我が心に深く響き渡りました!何卒、私もこちらで世話になりたく!」

 

元袁紹軍軍師審配―(じん)、当初は出奔を疑われたが真っ向から辞表を提出してきたらしい。

 

「袁紹に未来は無し、節操無しと取られても仕方は無いが・・・・先があるのはここだと感じた」

 

元袁紹軍武将張郃―(らい)、こちらも真っ向から辞表を提出してきたとの事だ、意外と二人共律儀だ。

 

「先ずは諸君らの参入、歓迎する」

 

華琳からの指名で夏焔が挨拶をする事になった。

 

「其々が様々な合縁奇縁でここに来た、それには必ず意味があるのだと思う・・・・まぁ何はともあれこれよりは共に歩む友であり仲間であり家族だ。何か困ったならば誰かを頼れ、誰かが困っていたならば気にかけてやってくれ・・・・」

 

―任城―

迅と紫炎、霞が任城へと赴任する事になったため、三名と遠征に出た曹洪組を引き連れて任城へと戻る夏焔。

 

「・・・・っ、お父さん!」

 

結構な速さで駆け寄ってきて、夏焔の懐に飛び込んだ涼夏。

 

『お父さん!?』

 

例に漏れず驚きの表情を見せる迅、紫炎、霞。

 

「涼夏、元気にしていたか?」

「・・・・うん、冬莉おねーちゃんに、とっくんしてもらってた(むふー)」

「ほう、良かったなぁ・・・・暫くは俺も戦は無い。今度は俺が色々と教えてやろう」

「うん・・・・?」

 

涼夏の視線が背後の迅、紫炎、霞に注がれる。

 

「えと・・・・えと・・・・(あせあせ)んっ・・・・」

 

矢張り人見知りは解消されがたい様子で夏焔に隠れる涼夏。

 

「涼夏、自己紹介」

「(こくこく)そ、曹洪の娘の、曹真・・・・です。宜しくお願いーします」

「おーぅ、ウチは張遼っちゅーんや。これから宜しゅうな」

「・・・・ん」

 

おずおずと手を差し出して霞と握手をする涼夏。

 

「やや、久しぶりだね夏兄」

「冬莉か・・・・すまんな、涼夏の世話を焼いて貰って」

「いやぁ、ほら親戚っしょ?だったらお世話してとーぜんで」

「なら良い。武術を・・・・教えていたそうだな」

「まぁねぇ、ほら・・・・私ってば一生懸命な娘の味方だから・・・・ってひゅい!?」

 

ケラケラと笑う冬莉、の頭を撫でたのは一刀だ。

 

「冬莉は良い娘だなぁ」

「まぁそうなるな・・・・」

 

―後日―

人材も兵数も増えた曹操軍では、華琳、夏焔、稟、秋蘭、桂花、迅らのメンツによって再編が行われた。

 

主軍、本拠陳留に駐留するのは華琳率いる精兵五万。武官は春蘭、秋蘭、季衣、流琉、雷、景、円楽、真桜、沙和、軍師として隗と稟、文官として月、詠である。

副軍、支城任城に駐留するのは夏焔率いる混成の三万。武官は冬莉、煉次、一刀、星、凪、紫炎、霞、文欽―(ふじ)、軍師として隼、桂花、文官として水華、風、迅である。

 

大きな変動としては冬莉が任城に異動したぐらいで他に新規参入があった事以外は大した変化は無い。

 

「一刀、紫炎、迅の三人はこれから三人一組で動くように・・・・それぞれに長所と短所がある、互いにそこを観察し、補い合え」

 

また任城では一刀、紫炎、迅の三人が一組で編成され凪、真桜、沙和らを三羽烏と呼ぶのに対し三将星(三羽烏よりも位が上で経験もある三人組の敬称として)と後々呼ばわれる事になる・・・・がそれはもう少し後の話である。

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