反董卓連合後、陳留に戻った曹操軍の面々。反董卓連合で名が売れたためか様々な変化が起きた。
飛将軍呂布と互角の一騎打ちを繰り広げた『鬼神』曹洪
潰れた己が眼を抉り自ら喰らった『隻眼将軍』夏侯惇
華雄、高順、徐栄の三将の軍勢を一人で抑え込んだ『驍将』満寵
これらの将が存在しているという事に加え大陸各地に名の売れている軍師である司馬懿、荀彧、郭嘉、荀攸がいるという事、そして曹操自らの出自、身分よりも能力と人格を重んずると言う言葉に大陸各地から様々な人材が仕官して来ている。
徐庶、蒋済、鄧艾、鍾会、孫礼、姜維、賈充、王凌ら新進気鋭の人材。
そして濮陽を収めていた劉岱、斉南を収めていた鮑信が臣従を申し入れて来た。これから先荒れるであろう天下に立ち向かうためには実力のある者の下につく事が得策であり、その力となるべく配下として戦うべきであると考えたらしい。
結果、多数の人材と新たなる領地を手に入れる事になった曹操軍は一躍、荊州刺史劉表や冀州を制圧した袁紹、揚州を収めた孫策や益州の劉璋などと並ぶ勢力になった。
またこの領地増加を受けて、先に再編されたばかりの人事も再々編される事となった。
本拠である陳留含む兗州西部には華琳、春蘭、秋蘭、隗、景、藤、円楽、真桜、凪、沙和、季衣、流琉、稟、劉岱、鄧艾、鍾会、孫礼。
濮陽、斉南を含めた兗州東部には夏焔、冬莉、煉次、隼、一刀、迅、紫炎、霞、水華、鮑信、徐庶、姜維。
中継地点である任城には星、雷、桂花、風、賈充、王凌。
といった人材配置に決定した。
―濮陽―太守府
任城から僕陽へと異動になった夏焔は、早速鮑信―
「剛さん、城壁の状態は?」
「うむ、先月の大雨で多少脆くなった箇所もあったが先週には修繕が完了している」
「ならば良し、次に・・・・」
「夏焔様、こちらの陳情書なのですが・・・・」
「剛様、徴兵の計画に関してですが・・・・」
今現在、兗州東部の内政は夏焔、剛、徐庶―
警備など治安関連に関しては陳留からの経験がある一刀を筆頭とし迅、紫炎、冬莉の四人組が執り行い、軍備は煉次、隼、水華、霞の四名に委任している。
「うーっす」
「遅れてゴメン」
シュタッと手を挙げながら会議室に入ってきた煉次と、頭を下げながら入ってきた一刀。
「疲れましたよ、ほんとに」
「遅参の程、申し訳なく」
あくびをしながら入室する冬莉に続いて拱手し一礼して隼が入ってくる。
「遅れた事は気にするな、早速だが始めよう」
僕陽へと赴任後初めて行われる会議、主な内容としては今回は各担当部署の現状報告だ。
「では早速だが内政担当より梓、報告をして欲しい」
「は、はいっ!」
ピシッ、と背筋を仰け反らせるように立ち上がり梓が報告を始める。
「農業、商業による収支に現状問題は無く税に関しても滞り無く徴収が出来ています。また冀州方面、擁州方面からの流民が増加傾向にあり日増しに領民が増えています」
冀州を治める袁紹が北の公孫賛、西の張燕、張揚潰しに躍起になっておりかなり無理な税収を強いているらしく、それが理由ですぐ南にある兗州へと民が流れ込んできているのだ。
「こちらに関しましては北郷様より提案された案により中継地点である任城や新たに建設されました定陶の支城付近の新規農地開拓に従事させております、現状開拓率は四割程度ですが以後領民も領地も増える事を考えたならば十分な数字であると予測されます」
「ご苦労、次に治安担当より一刀」
梓が緊張から解放されたように息を吐き出し座ると、入れ替わりで一刀が立ち上がる。
「僕陽の街だけど元々剛さんたちの統治が良かったせいか問題点はあんまり見当たらなかった、けど・・・・やっぱり領民の増加で地元民との間で小競り合いが起きているから今のところはその不満の解消法に関して検討中・・・・ってところかな」
「分った、最後に軍部より煉次」
一刀は最早なれたもので汗一つかかずにそのまま座り、今度は煉次が立ち上がる。
「元々の曹洪隊と比べると濮陽軍は多少練度が劣るがそれでもそこらの兵よりは上だったから今は濮陽兵の練度の水準を少しづつ上げる方に腐心している、で・・・・兵数も流民の増加に伴って増えてきたから今は指揮官候補の育成も始めてる」
元々の濮陽軍が三万、それに曹洪隊を中心とした任城守備軍一万も編入し四万、現地での募兵と流民からの募兵により併せて六万規模になっている。北に袁紹、東に孔融、南に陶謙と周囲を敵性勢力に囲まれた状況であるが故に軍備拡張が最も急がれている。
「ま、内政が充実している分で楽ができているな・・・・防衛線に関してもまずまずだ・・・・ま、それでも圧倒的に数が足りないのが問題なんだがなぁ・・・・」
本拠陳留にしても北に袁紹なのは変わりなく、東の洛陽近辺は無法地帯で賊が跋扈し、南に劉表と気の抜けない状況には違いないのだ。
「失礼致します」
扉の外から水華の声が聞こえてくる。
「構わん、入れ」
「じゃあお邪魔するわね」
いるはずのない人物の声に、全員が思わず開いた扉の向こうを仰ぎ見れば水華の前に華琳が立っている。
「華琳、何故ここにいる」
華琳が陳留から本拠を変えないのは西方への備えの意味もある、その華琳が気軽に本拠を離れると言うのは割と大問題なのだ。
「客を連れて来たのよ」
そういって華琳が合図をするとその背後に法正と蒋欽が現れた。
「桃香と雪蓮から同盟の話を持ち込まれてね、陳留側の意見はまとまっているから両者の領地と隣接する濮陽組の意見を聞きに来たわけ」
「成程」
確かに、劉備軍のいる小沛と孫策軍の揚州と近いのはこちら僕陽だ。
「俺は賛成しよう、防衛の観点から考えても必要であり両者共に信じるに値する」
「他の皆も同意、かしら?」
華琳の言葉に全員が首を縦に振る。
「ならば、法正、蒋欽・・・・桃香、雪蓮に伝えなさい・・・・返答は応諾、後日正式な席を設け正式な調印を行う、と」
『はっ!!』
「夏焔」
「む?」
「二人は今日はここで泊まらせなさいな」
「帰るにもここからの方が楽だろうしな、分った・・・・丁度会議も終わる」
―曹洪屋敷―
卓を囲み盃を交わすのは夏焔、法正、蒋欽の三名だ。互いに別の勢力ではありながらも不思議とそれぞれの勢力で似たような立場で仕えている三人はすぐに気が合い、様々な話に花を咲かせていった。
「不思議なもんだな」
「ん?」
「何がだ」
蒋欽の言葉に、夏焔と法正が首を傾げる。
「違う主君に仕え、違う道を選んだ三人で呑むのが今までの人生で一番酒を美味いと感じるってのはさ」
「確かに、私もあまり他人と呑む事はしなかったがそれでも今飲んでいる酒はかなり美味いと感じる」
「・・・・確かに、不思議な事だ」
自然と、三人が笑みを漏らしながら顔を見合わせる。
「法正、確かお前のところの主君たちってさ・・・・義姉妹の誓いを結んでるんだよな?」
「ん?ああ・・・・」
「成程、そういう事か」
それぞれが、ゆっくりと盃を掲げる。
「それぞれが違う主君に仕えてはいるが・・・・」
「そういう事もまた一興・・・・」
「何より、先を見た良い誓いだ」
空の盃を一つ取り出し、それぞれが小刀で指先を傷つけ、滴る血を盃におさめる。
「曹洪、字を子廉・・・・真名を夏焔」
仕える主君もバラバラで
「蒋欽、字を公奕・・・・真名を
主義も理想もバラバラで
「法正、字を考直・・・・真名を
それでもたった一つの共通点を頼りとし
「我ら三人、義兄弟の誓を立てたからには」
たった一つの誓いを立てる
「思想、仕える主君は違えども」
三人が揃って、否・・・・
「この乱世を生き抜き、また再び」
仲間の誰一人として欠ける事無く
『揃いて盃を交わす事を誓う!!!』
乱世を無事戦い抜ける事を・・・・
曹洪、蒋欽、法正はゲームの三国志でも気に入って使っている武将ですね。