献帝劉協に従う事を決めた四勢力、そうなって来ると下手に動くのは命取りとの意見が出てきた。
「今下手に動いて劉協様の存在を疑われるのは愚策だろう、ならば外向きの手を幾つか打つべきだ」
そう提案したのは久龍だ、袁紹攻めを急がずに先ずは事前の策を打つべきだと。
「先ず公孫賛だが事情を説明すればこちらに手を貸してくれるはずだ、ならば使者と共に援軍を送り込み暫くは耐えて貰おう」
元々公孫賛は漢王朝に対する忠誠心はある、ならば劉協存命の報と劉協の書状があったならば二つ返事で協力してくれるだろう。
「次に外部の味方だが・・・・馬騰を頼る、西涼軍を味方に出来れば益州側の牽制と荊州の陽動を同時に行える」
馬騰、馬超の親子は義心に厚いと聞く、ならば利と義を説けば合力してくれるだろう。
「最後に袁紹だが・・・・二、三度奇襲をかませば勝手に退くだろう」
袁紹の兗州侵攻は恐らく牽制が目的、ならばその出鼻をくじけば無茶はせずに退くだろう。
「先の編成案を全訂正する」
との言葉と共に久龍がその場で再編成を開始する。
「公孫賛への使者兼援軍に曹仁を総大将とし軍師に程昱、将として鮑信、周倉、紀霊の三将に随行していただく、兵数は五千。ひたすらに強行軍で袁紹領内を駆け抜けていただきたい」
「んー、まぁ承りますよぉ?」
「はいはいー、お任せあれー」
気の抜けた返事で冬莉と風が応諾する。
「続けて馬騰への使者だが・・・・荀攸にお願いしよう、護衛として徐晃」
「えぇ、お任せ下さい」
「おぅ、バッチリやってやんぜ!」
丁寧に隗が応じ、気合十分に円楽が応じる。
「荊州方面の備えだが周瑜を総大将に軍師に郭嘉、将は蒋欽、夏侯淵、満寵、黄蓋で水上戦に備えて頂きます」
「ふむ、直々のご指名だ・・・・過不足無く期待に答えて見せよう」
「はっ、精神鋭意励ませて頂きます!」
余裕を持った態度で冥琳が、やや固くなって稟が応じた。
「呉の南部だが・・・・総大将に孫権、軍師に荀彧、将に夏侯惇、曹休、鄧艾、王凌、関羽、張飛、呂蒙、陸遜・・・・基本は防衛だが可能ならばそのまま南部平定に乗り出して欲しい」
「任せて頂戴!」
「ご期待に答えて見せます!」
両者共に気合満点な蓮華と桂花。
「最後に袁紹軍への奇襲部隊だが・・・・曹洪を大将とし軍師に司馬懿、将に張遼、趙雲、張繍、姜維、孫策、甘寧だ・・・・裁量は任せるぞ夏焔」
「そうだな、暫く攻める気を起こさなくなる程度に叩いておこうか」
「ふふふふふ、お任せを」
鬱憤でも溜まっているのだろうか、二人が不敵な笑みを浮かべながら応諾する。
「劉協様には四勢力中心の地、許昌に移って頂きます」
「うむ、よきにはからえ」
是非もなしと劉協―
「曹操、劉備、李典、審配、董卓、賈駆、諸葛亮、鳳統、魯粛らには劉協様に随行していただく・・・・それと北郷」
「へ?」
「天の御使いの名、そろそろ役立てて貰うぞ」
「どういう事だ?」
「劉協様は文の象徴として、そして北郷・・・・君を武の象徴として。軍部の頂点に立ってもらう」
その言葉にはその場の全員が驚く。
「ちょ、ちょっと待ってくれよ!!俺何かが・・・・」
「ああ、今の君に地位に見合う活躍など期待していない・・・・だが何れは地位に見合う男になって貰う・・・・やってくれるだろう?」
「・・・・分った、やってやるよ・・・・自力で軍部の頂点の名に見合う実力を身につけてやる」
「ああ、その意気だ・・・・とは言え今はまだ実力不足だから審配、張繍を補佐にして更に最終的に部下を数名配属するようにする。また今名を呼ばれなかった将に関しては後々要所の守備に就いてもらう、が状況に応じて今編成された部隊に援軍などで参加する可能性もあるため留意しておいて欲しい」
カラカラと今の編成を記した竹簡を丸め久龍が一同を見る。
「漢は終わるが晋が始まる、皆の尽力に期待する」
その言葉、その姿に不思議と全員が陽華に似た雰囲気を感じ取る。
「ならば、貴方も己を偽る事を止め新たなる国と共に歩むべきでしょう?」
その背に言葉を投げかけたのは陽華だ、その言葉と同時に久龍の動きが固まる。
「今は・・・・その話はいいのではないだろうか?」
そのやり取りの真意を知る者は陽華と久龍だけであり、何かを感じ取ったものも僅か数名だ。
「まぁ良いであろう・・・・曹洪・・・・夏焔よ、貴方の号令で全てを始めるとしよう」
「俺・・・・ですか?」
夏焔の問いかけに、静かに頷く陽華。
「私の覚悟を引き出したのは貴方です、そしてこの場にいる者たちをまとめ切れるのもまた貴方」
少しの間を置いて静かに前へと出る夏焔。
「新たなる国の始まりではある、だがしかし!現状を打破せねば未来は無い!袁紹や劉表、劉璋といった群雄や他にも俺たちの動きに或は賛同し或は忌避するだろう、それを打ち破って初めて晋は始まりを迎える」
掲げられた彗龍。
「始まりから終わりまで全て正念場と心得よ!!」
『応!!!』
その場にいた全員が或は拳を、或は腰に下げた武器を掲げる。
そう、ここから始まりなのだ・・・・・・・・
次回からはちょくちょく視点が入れ替わります・・・・が主に夏焔、隗、冬莉、煉次、一刀、景の六人の視点になると思います。