ダンジョンで神様を嫁にする為に神を目指すのは間違っているだろうか   作:白人

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怪物祭

 

怪物祭(モンスター・フィリア)

 

それは、迷宮都市であるオラリオでのみ開催されるお祭りだ。

このお祭りは、大手ファミリアであるガネーシャ・ファミリアが主催しているもので、ダンジョンで捕獲して来たモンスターを実際に観客の目の前で調教することで、実際には、モンスターを見た事の無い一般市民にとってとても迫力あるイベントとして、人気があるらしい…。

らしいというのは、僕がこのお祭りのことを知ったのが、ついこないだの事で、僕自身が参加した事が無いどころか、存在すら全然知らなかったからである。

 

しかしながら、このオラリオ一大イベントでの(ヘスティア様)の不在である。

 

僕の心中をお察し頂けただろうか?

もうね?

何か面白いものや楽しそうなものを見つける度に思う。

何故、僕は今一人なんだろう。と…、

 

大体、身体を休める為とは言え、態々こんな催しに参加する必要なかったんだ!

いや、エイナさんが参加しろって言うし、シルさんの財布も預かってるから、始めから参加しないっていうのは、あり得なかったんだけども!

それでも、言わせてもらいたい‼︎

 

神は死んだ‼︎

 

くそ〜〜‼︎

何でよりによって、ヘスティア様が居ないこの日にこんな催しを開くんだ‼︎

もう少し有っただろう‼︎

例えば、明日とか明後日とか明々後日とか‼︎

何時になったら、(ヘスティア様)はご帰還なされるのだろう。

 

まさか⁉︎

何かトラブルに巻き込まれて帰って来られないんじゃ‼︎

だとしたら、マズイ‼︎

アレから何日が経った?

もし、ヘスティア様の身に何か有れば、僕は犯人を永遠に殺し続け、そして最後に、ヘスティア様を守ることが出来なかった自分自身を最も惨たらしく殺すぞッ⁈

 

そうと決まれば、すぐにでも、我が愛しのヘスティア様を見つけないと‼︎

 

財布?何それ?知らない子ですね。

 

そして、僕が走り出そうとした、その時…

 

「ノ〜ヴァくぅ〜〜ん!」

 

とても聞き覚えのある、天使の僕を呼ぶ声が聞こえる。

 

「はい。何でしょう?我が神よ。」

 

僕はこの時、瞬間移動を体得した。

 

「あっ!聞こえたんだね?周りもうるさいし、結構遠かった(約400M)から、まだ、聞こえてないと思ってたよ。」

 

フッ、ナメてもらっちゃあ困る。

僕は、ヘスティア様の声なら、どれだけ遠くにいても聴き取れるし、呼ばれたら一瞬で駆けつけるさ。

 

「それより、ヘスティア様。今まで何処に行ってたんですか?僕は、ずっと貴女の帰りを心待ちにしていましたよ。」

 

僕がそう問うと、彼女は自分の口元に人差し指を立てながら、悪戯っぽく微笑んでこう言った。

 

「まだ、内緒だよ?」

 

主は、おられた‼︎

 

今現在、ここに世界最高の女神が降臨されている‼︎

何だアレ!何だアレ‼︎何なんだアレッッ‼︎

可愛いさが、天元突破している‼︎

素晴らしい!最高だ‼︎

僕は、天国にいる‼︎

 

おっと、僕が反応を示さないから、女神が首を傾げている。可愛い。

じゃなくて!

 

「ヘスティア様。まだってことは、何時かは聞かせてもらえるんですよね?」

 

「うん!もちろんさ!だけど、今はそんなことより、大事なことがあるだろう?」

 

大事なこと?

何だろう?

ヘスティア様が可愛い過ぎて、僕の心臓がヤバいということかな?

 

「デートしようぜ!ノヴァ君‼︎」

 

そう言ってヘスティア様は、僕に手を差し伸べた。

 

「ゴフッ‼︎」

 

「なっ⁉︎大丈夫かい?ノヴァ君‼︎」

 

「大丈夫です。目の前に女神が見えるだけですから。」

 

「本当に大丈夫かい⁉︎確かに僕は女神だけど!」

 

本当に大丈夫です。

ただ今、天国に着いたと思ったら、ウェディングドレス姿のヘスティア様が、僕に微笑んでくれたぐらいの幸せの絶頂にいるだけですから。

僕は幸せです。

思い残すことは何もありません。

 

「ノヴァ君!ノヴァくぅ〜〜ん‼︎」

 

と、まぁ、小芝居はこの辺にして、

 

「ヘスティア様!それじゃあ、行きましょうか‼︎デートに!」

 

そう言うと、彼女は満面の笑みで言った。

 

「うん!エスコートしてくれるかい?ノヴァ君。」

 

「もちろんです‼︎」

 

僕たちは、二人仲良く手を繋いで、露店を周る事にした。

 

 

 

 

 

 

 

「キャーーー‼︎」

 

僕たちが、しばらく幸せの絶頂にいると、突然、遠くから悲鳴が聞こえてきた。

 

「モンスターが逃げたぞー!」

 

僕は、その声を聞いて、すぐ行動に移す。

 

「ヘスティア様!逃げてください‼︎僕は、モンスターを倒して来ます。」

 

「何を言ってるんだい!逃げたモンスターが、もし深層のモンスターだったら、どうするつもりだい?君も一緒に逃げるんだ!」

 

ヘスティア様の言うことも最もだ。

大体、僕は今、武器を持っていない。

そんな状態で、深層のモンスターに殴られたら、レベル2になったばかりの僕じゃ、一溜まりもないだろう。

 

だけど、一つ言わせて欲しい。

僕らはついさっきまで、幸せの絶頂だったんだ。

それを、邪魔してくれた不粋な獣を許してやる必要があるだろうか?いや無い。

むしろ、万死に値する。

 

そこで、やっとモンスターが現れる。

 

あれっ?アイツどこを見て……

 

ブチッ‼︎

 

ゴウッ‼︎

 

身体から炎が吹き上がる。

 

「ヒュイ⁉︎」

 

その声は、誰のものだったのか、彼の最愛の女神のものだったのか、周囲にいた一般市民によるものだったのか、はたまた今し方現れたモンスターのものだったのか、少なくともその時の彼の表情を見た者は、一様に同じ事を思った。

ああ、これは死んだな。と、

 

「ほう。クソ猿風情が、()のヘスティアに色目を使うとは、良い度胸だ。あとさっきから、俺を見てやがる野郎も覚えておきやがれ!テメェら全員、ブッ殺してやる‼︎」

 

視線の野郎も、うぜぇ事この上ねぇが、まずは、目の前にいるクソ猿からだ。

 

()は、とりあえず、クソ猿に裁きを下す事にして、手に剣を出す。

 

その剣は、今まで出した全ての剣と違って、血の様に赫い十字剣だった。

 

「うわぁ〜⁉︎」

 

そこまでしたところで、今度は別のところから、牛頭のあのモンスターが現れてヘスティアを攫っていった。

 

そのモンスターと一緒に、クソ猿も逃げる。

 

はっ?

 

俺の最愛を視姦しておいて、逃すとでも思ってんのかよ?

俺の最愛に触れたテメェもだぞ?クソ牛。

 

テメェらまとめてブッ殺す。

 

断罪(裁き)の時は、来た。

其は、法を敷く者。(其は、法を犯す者。)

 

其は、罪を赦す聖剣の担い手。(其は、罰を与える魔剣の担い手。)

 

罪人を、裁け。(咎他人を、焼き殺せ。)

 

来たれ!()()()()()()断罪剣(だんざいけん)サクリファイス‼︎

 

炎がクソ猿とクソ牛を包み込む。

だが、クソ牛の手の中にいたヘスティアは、無傷だ。

俺は、手に持っている剣をズボンのベルトに引っ掛けて、クソ牛の手の中から落下するヘスティアの下へ行き、その身体を抱きしめる。

 

「怪我は無いか?」

 

「うっうん。だっ大丈夫だよ。(ちょっと何時もより雰囲気が荒い感じのノヴァ君、滅茶苦茶カッコいいぞ!どどど、どうしよう!自分の顔が、どんどん赤くなってるのが分かるよ。)」

 

へっ、俺に抱かれただけで、顔を真っ赤にしやがって、つくづく可愛い奴だ。

 

「ガグォォォーーー!」

 

その時、また複数のモンスターの唸り声が聞こえてくる。

 

「何だ、何だ?コイツらを送ってくる奴は、俺に恨みでもあんのか?全部こっちに向かって来やがる。」

 

俺がそう言うと、ヘスティアは驚いた様に声を上げる。

 

「えっ!これは、誰かの差し金なのかい?ノヴァ君。」

 

「ああそうだぜ、ヘスティア。だから、しっかり掴まってな‼︎」

 

そう言って、俺はヘスティアを抱き、出来るだけ人気のない方へ走り始める。

 

「うひゃあ‼︎どっどうしよう、ノヴァ君!僕はこんな状況なのに、心から幸せを感じてしまっているよ‼︎」

 

「黙ってねぇと、舌噛むぞッ!」

 

そんなやり取りをしていると、急に、モンスターの数と勢いが増した気がする。

 

クソッ‼︎

あの数を相手にすんなら、もっと広い場所に出ねぇーと、周りへの被害が馬鹿に何ねぇぞ!

 

俺は、何とか少しでも時間を稼ぐ為に、迷路の様なダイダロス通りに飛び込んだ。

 

何処かねぇか?

少しで良いから、時間を稼げる様なトコ!

 

それを見つけるより早く、多数のモンスターが俺たちに追いつく。

 

ドゴッ‼︎

 

「うおっ!」

 

バギッ‼︎

 

「ひゃあ⁉︎」

 

俺たちが、変な声を上げながらも何とか逃げていると、奴らも少しは学習したのか、俺たちを取り囲もうとする。

そこで、俺は階段を見つけて、迷わずそこを飛び降りた。

 

「うわぁ〜〜‼︎」

 

ヘスティアが、突然の浮遊感に思わず悲鳴を上げる。

 

「うぐッ!」

 

着地と同時に、俺の口からくぐもった呻き声が漏れる。

 

「大丈夫かい⁉︎ノヴァ君‼︎」

 

ハッ!自分だって、こんな状況だってのにこの神様は…、

 

「ああ、ちょっと打っただけだ。」

 

「でも、血が‼︎」

 

「うるせぇ。こんなモン、ダンジョン潜ってたらよくあることだ。」

 

しっかし、ヘスティアに怪我させねぇ為に、頭打ったのはしくったな。

お陰で頭から血が出て、意識が朦朧としてやがる。

 

「グォォォーーー‼︎」

 

チッ、ちったあ休ませろよ!

クソが!

 

「ほら、行くぞ。今ので少しは、時間を稼げただろうが、頭打ったから、もっと時間を稼がなくちゃならなくなった。」

 

「時間を稼ぐ?なら、あそこに隠れたらどうかな?」

 

そう言って、ヘスティアが指定したのは、絶妙に全方位から隠れ易そうな細い路地だった。

 

「よし、あそこで時間を稼ぐぞ!」

 

「うん!」

 

そして、俺たちは時間稼ぎの為に、その細い路地へと足を踏み入れた。

 





一体、何イヤさんの差し金でしょうね〜。

自分のお気に入りとイチャイチャする姿に嫉妬するなんて、まさかあの美の女神であるフレ何とかさんがする訳無いですよね〜笑笑。
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