ダンジョンで神様を嫁にする為に神を目指すのは間違っているだろうか   作:白人

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ミノタウロスとの戦闘描写が短い!という感想があり、自分もそこについては、少し物足りなさを感じていたので、編集しました。
もしよければ、読んで下さい。

これからも、おかしなところがあるとご指摘頂けましたら、幸いです。


炎の試練

僕は今日もまた、ダンジョンに潜っている。

 

あの初めてのダンジョン探索の日を乗り越えて思ったことは一つ、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

ダンジョンの性質,モンスターと正面から戦うことの難しさ,自分がいつ死ぬか分からないという恐怖,それら、様々な実際にダンジョンに一人で潜らないと分からない多くのことを学んだ。

 

新人冒険者の何割かが、最初のダンジョン探索で命を落としていると、後からエイナさんに顔を青くされながら聞いたのは、妙に納得出来た。

そして、一番最初のダンジョン探索を終えると重傷を負ったり、帰って来ない新人冒険者が目に見えて減るそうだ。

この()()()()()()()を乗り越えることが冒険者になる上で、一番最初の試練になるらしい。

 

こうして僕は、知らないうちに、冒険者最初の試練を突破した。

 

 

でも、この時の僕は知らない。

本当の()()()()()()()()というものの恐ろしさを、

 

 

「ギィャ⁉︎」

 

「よし、これで16匹。」

 

この一週間で、だいぶダンジョンの雰囲気にも慣れてきた。

今では、5階層に潜っている。これは、本当ならかなりのハイペースなのだが、僕のステイタスは何故か異常な伸びを記録しているので、エイナさんからも渋々、許可が下りたのだった。

かと言っても、日々の収入はまだまだ余裕のあるものではなく、毎日ダンジョンに潜っても全然神様に楽をさせてあげることは出来ない。

そんなことを考えて少し落ち込んでいると、凄まじい叫び声が聞こえて来た。

 

「ブモオオォォーーーー‼︎」

 

ッっ‼︎

僕はすぐに叫び声の聞こえて来た方に武器を構える。

 

「なっ⁉︎」

 

大きい。

僕の倍ぐらいの大きさの牛頭の怪物に、僕は息を飲む。

 

「ミノタウロスッ!」

 

エイナさんから聞いたダンジョンの知識の中には、その魔物の名前と出現階層しか入っていなかったけど、数多の題材で取り上げられるその怪物だと、僕は一目で分かった。

 

どうする⁉︎逃げるか?いや、ここまで近付かれたら、もう無理だ。

何故、僕はあの叫び声が聞こえたとき、すぐに全力で逃げ出さなかったんだ‼︎

そう、舐めていたんだ。

この階層にもう単体で自分が対処出来ないモンスターが出て来ることは無いと。

その結果が、これだ‼︎

って今は、そんなことを考えている暇は無い!

 

「ブモォー‼︎」

 

ミノタウロスがその巨大な拳を僕に叩きつける。

 

「なっ⁉︎」

 

咄嗟に避けることが出来ず、受け止めようとした僕の身体がゴムのように吹っ飛び、ダンジョンの壁に叩きつけられる。

 

「ガハッ‼︎」

 

今の一撃で、剣が折れ、剣を持っていた右腕も骨が折れたのか、指先一本動かそうとするたびに激痛が走る。

 

逃げるのは、無理。

戦局は、絶望的。

傷を与えて逃げるのも、僕の攻撃じゃあ相手をイラつかせるだけだ。

武器は、壊れた。

それにもう、腕が上がらない。

しかも、さっきの衝撃でポーチの中に入れていたポーションの瓶が割れてしまった様で、近くにガラスの破片が散らばっている。

こんなのどうすれば……。

僕は…、ここで死ぬのか?

 

そこで、神様との約束がふと頭をよぎる。

 

いいや、まだだ‼︎

まだ、戦える‼︎

神様と約束したんだ‼︎

必ず生きて帰るって‼︎

まだ、身体は動く‼︎

まだ、僕の心臓は、止まっていない‼︎

ならば、生きる為に戦え‼︎

 

逃げるのは、不可能。

戦局は、絶望的。

だから、どうした‼︎

 

そこで、ミノタウロスがこちらに突進して来る。

 

よく見ろ‼︎頭をまわせ‼︎

タイミングは一瞬!外せば死あるのみ‼︎

僕は、右腕の激痛を何とか堪えながら、左に思いっきり跳ぶ。

受け身取る暇は無く、着地の衝撃が直に右腕に伝わる。

 

「うぐぁッ‼︎」

 

激痛に悲鳴が漏れそうになるが、奥歯を噛み締めて堪える。

そして、直ぐさま立ち上がって次の攻撃に備える。

どうやら、一応回避出来たみたいだ。

 

僕は、生きなくちゃいけない。

 

ならば、戦え。

 

僕は帰らなくちゃいけない。

 

ならば、闘え。

 

その時、背中が燃える様に熱くなる。

 

なんだ?背中が熱い。

でもこの熱さは、何処か覚えがある。

そうか!

これは神様が、僕のステイタスを更新するときの熱さだ。

なら、これは神様の熱さだ。

神様が僕に力をくれる。

神様との約束を守る為の力を…。

 

背中の熱が増す度に、身体から力が溢れて来る。

 

再び、ミノタウロスが突進して来る。

今度はさっきよりも余裕を持って、避けることが出来た。

 

突進を2度躱されたミノタウロスは、その巨大な拳での攻撃に切り替える。

さっきは、全く反応出来なかった攻撃が見える。

さっきは、まるで動かなかった身体が動く。

 

ミノタウロスが攻撃し疲れたのか、息を荒くさせながら距離を取る。

 

僕もすかさず、思考を纏める。

 

何故かわからないけど、きっと神様のおかげで、攻撃は一応躱せる様になった。

だけど、このまま攻撃を避け続けたってジリ貧だ。

僕の体力だって無限に保つ訳じゃない。

大体、血を流し過ぎたのか意識が朦朧とする。

それに、右腕はまだ全く動きそうに無いし、剣はへし折れたままだ。

 

せめて、剣さえあれば……。

 

そのとき、自然と僕の頭の中に言葉が浮かぶ。

何故か僕は、それを不思議に思う事は無く、頭に浮かんできた言葉を唱えた。

 

覚醒(目覚め)の時は、来た。

其は、世界を照らす者。(其は、世界を滅ぼす者。)

 

其は、全てを包み込む聖剣の担い手。(其は、全てを燃やし尽くす魔剣の担い手。)

 

我が敵を、打ち倒せ。(我が敵を、薙ぎ払え。)

 

来たれ!()()()()()()始炎剣(しえんけん)プロメテウス‼︎

 

熱い炎が、僕の身体から噴き出す。

 

身体が、焼けるように熱い。

 

炎が、僕の手に収束して、一本の燃える様な赫色の剣になる。

 

そして、手元に残ったその剣はまるで、全てを焼き尽くす地獄の業火の様にも見えたし、また、全てを照らす暖かな太陽の光の様にも見えた。

 

凄い。この剣なら、目の前にいるアイツにも通用するかもしれない。

僕は、静かにその剣をミノタウロスに向けて構えると、ヤツは何処か怯えている様だった。

その姿は、ついさっきまでの自分を見ている様で、少し可笑しかったけれど、僕は静かにその剣を振り下ろす。

 

「うおおおぉぉぉーーーーーー‼︎」

 

ドオオォォーーーン‼︎

 

地響きが鳴り、目の前を真っ赤な炎が覆い尽くす。

 

「ブモオオォォーーー‼︎」

 

放たれた炎は、瞬く間にミノタウロスを包み込み、その身体を全て燃やし尽くした。

 

「ハハハッ…勝ったぞ、この野郎。」

 

そこで僕は、強敵に勝った達成感からか直ぐに意識を失った。

 

 

 

 

 

 

 

 

「凄い。」

 

 

私が、15階層から逃げ出したミノタウロスを追っていると、如何にも駆け出し冒険者といった格好の少年がミノタウロスと対峙していた。

直ぐに助けようと駆け出すも、少年は何か詠唱しているようなので、直ぐに射線から離れる。

すると、そこへ物凄い熱量の炎が通り抜ける。

それこそ自分もまともに喰らえば、タダでは済まないと思わせるほどのものだ。

それを放った少年はその後、精神疲弊(マインド・ダウン)を起こしたようで、直ぐに倒れてしまった。

一部始終見ていた私は、そのことに先程の感想が漏れた。

 

「オオッ!アイズゥー、ミノのヤロウは、ヤッたかぁー?」

 

私は、その声に振り向き答える。

 

「あの子が、魔法で倒した…。」

 

そこで、ベートさんが倒れている少年の方を見る。

 

「ああん?あそこで、ぶっ倒れてるガキがミノタウロスを倒しただぁ〜?んなワケねぇーだろ!大体、その倒したミノが何処にも居ねぇーじゃねーか。」

 

「それは、跡形も無く燃え尽きたからで……。」

 

「ブワッハッハッ‼︎それこそあり得ねーだろ!んなガキにミノタウロスが消し飛ばされんなら、今頃オラリオにLv.1冒険者なんて存在しねーよ!」

 

「でも、私は…。」

 

「良いかぁ〜アイズ。いくらもうすぐオラリオに帰れるからって、ダンジョンの中で夢見てたら死んじまうぞぉ〜!ククッ!」

 

そう言って、私の話を全く信じようとしないベートさんを睨む。

 

「ああ、分かった分かった。ほら、さっさとフィン達のトコに戻んぞ。」

 

そう言って、彼はさっさと先に仲間の下へ戻って行った。

私もすぐに後を追うと思って、ふと気づく。

 

あの子、上に連れて帰ってあげないと…、

 

そうして私は、倒れている少年の下へ行こうとして、ふと足に何か当たったのに気づく。

 

魔石?何故こんなところに?

それにこの大きさは……

ふと少年が倒したミノタウロスのことが頭をよぎる。

 

「これは、君が倒したものだから、君のものだよ。」

 

そうして、少年の腰についているポーチに魔石を入れる。

すると、そこで少年が右腕からかなりの量の血を流していることに気づく。

私は、直ぐポーションを出し、傷口にかける。

すると一応、傷は塞がった様で流れていた血は止まる。

私は、直ぐさま少年を背負って、地上を目指して走る。

 

「それじゃあ、地上に帰ろうか。」

 

途中、意識を失っている少年にそう話しかける。

そう言ったとき、少年は少し微笑んだ様な気がした。

 

 

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