ダンジョンで神様を嫁にする為に神を目指すのは間違っているだろうか 作:白人
「ただいまぁ〜、かっじゃなかったヘスティア様。」
僕は、最愛の彼女に帰りを告げる。
「おかえり、ノヴァ君‼︎何時もより帰りが遅かったから、心配してたんだぁ〜。無事でなによりだよ!」
彼女は、そう言って満面の笑みを浮かべる。
何この子超可愛い‼︎
僕は何度目かわからないが、また彼女に惚れ直す。
「心配してくれて、ありがとうございます。今日は、魔法の実験をする為に霧の深い12階層に行ったんです。だから、帰りが少しだけ遅くなっちゃいました。」
僕がそう言うと、彼女は鳩が豆鉄砲を食ったような顔をして固まっていた。
「じゅっ12階層ぅぅぉぉーーー⁉︎何をやってるんだ‼︎君は‼︎怪我は無かったのかい?冒険者になって一週間でそんな深くまで、潜る奴が有るか‼︎危ないじゃないか‼︎」
再起動すると、今度は鬼の様に怒り出した彼女を、僕は必死で宥めようとして、慌てて言い訳をする。
「でも、
ギロリッ!
ひっ!
「へっ
僕は一瞬死を予感したけど、なんとか一命を取り留めた様で、彼女は僕の話を聞く態勢になる。
幾ら慌てて居ても、もう二度とヘスティア様のことを神様と呼ぶのは、止めにしよう…。
「実は、今日は、僕の魔法について実験しようと思ったんです。」
「実験?」
ヘスティア様は、訝しげに僕を見る。
「はい。それで、僕の魔法を周りの人に見られない様にしたくて、その為に12階層に行ったんです。」
「だからって、君が危険を冒したら、意味が無いだろう!」
僕は、怒る彼女を宥める様に言った。
「ヘスティア様、落ち着いてください。僕も何だかんだでレベル2ですよ?上層のモンスターに、そう簡単にはやられたりしません。」
その言葉に彼女も少しは納得したのか、先程の怒りが少し治まった様に感じる。
すると、今度は罰が悪そうに彼女は言う。
「ゴメン、今のは殆ど僕の八つ当たりだ。僕は、君に何もしてあげられないから……」
その言葉に今度は僕が怒る。
「
貴女に出会って、僕の世界は煌びやかに色付いたんだ。
そんな貴女だから、僕は好きになったんだ。
そう伝えるのは、少し恥ずかしくて僕はその言葉を呑み込む。
「ッ‼︎君は、いつも僕が一番言って欲しい言葉を平気で言う。でも僕はね?もっと直接的な形で君の力になりたいんだ。だから…」
そこまで言って、ヘスティア様は言葉を切る。
「これから数日、僕は出掛けて来るよ。必ず帰るから心配しないで待っていて欲しい。」
ヘスティア様は、僕の目を見て真剣な表情でそう言った。
「はい、分かりました。いつまででも待ちますよ。ここで…、」
僕は、即答した。
彼女がここまで真剣に言ったんだ。
きっととても重要なことなんだろう。
僕はついて行っては駄目なんですか?とは、聞かない。
彼女が待っていて欲しいと言ったんだ。
なら、僕にできることは、ここで彼女の帰りを待つことだけだ。
「でも、今すぐではないんですよね?」
僕は、半ば確信して言う。
「えっ?ああ。別に今すぐって訳じゃないさ。明日の夜からかな?」
「そうですか。なら、今日は沢山色んな話をしましょう。今日だけでも、貴女に話したいことがたくさんあるんです。」
それから夕飯を食べた後、僕らは色んな話をした。
まず、始めに今日の実験で分かった僕の魔法のこと。
僕の一番好きな物語の話。
ヘスティア様が、天界で過ごして来た日々の話。
彼女が下界に降りて来た理由。
僕らは眠くなるまで、お互いの話をし続けたんだ。
そして、明くる朝…。
「それじゃあ、行ってきます。ヘスティア様。それと、行ってらっしゃい。」
「ああ、ノヴァ君、行ってらっしゃい。それと、行ってきます‼︎」
そんな可笑しなやり取りに、僕らは顔を見合わせて笑う。
その時のヘスティア様の笑顔は、昨日までとは見違える程優しく、それでいて、野に咲く一輪の花のように可憐で、僕は、自分の顔が赤くなるのを誤魔化す様に、ダンジョンへ向かった。