とあるウルトラ戦士が言った。
どんなときも諦めない、それがウルトラマンだと。
☆=
『しゃきっとしろ、陸ゥ!お前がそれじゃあ、オレは100パーセントの力を出し切ることはできねえ!』
「でも、ウルトラマン。僕はウルトラマンみたいに強くないし……」
宇宙人の襲来、破壊の限りを尽くす宇宙人の斥候の怪獣による破壊活動によって瓦礫の下敷きにされそうになっていた親子を庇う形で陸は命を落とした。
そのとき、“ウルトラマン”と出会った。
『お前は自らの危険を恐れず、誰かを救う行いをしてみせた。気に入った!お前にオレの命を与える代わりにオレとともに戦え!』
そうして、“ウルトラマン”によって命を与えられた陸は復活し、怪獣と戦うべく、変身アイテムを使って“ウルトラマン”となり、怪獣を迎え撃った。
しかし、此処で一つ問題が発生する。
“ウルトラマン”には、
覚えていることと言えば、自分のもっている力をどのように扱うことができるのかと言うことくらいだということで、名前や地球に来るまでの記憶を一切覚えていないと言う。
陸はそんな“彼”に対し、怪獣と余裕で渡り合えるほどの強さを誇ることから、ウルトラマンと彼を呼ぶようになった。
変身アイテムの短い先端に宝石のはめられた棒の名前は、眩い輝きからスパークフラッシャーと名づけ、“ウルトラマン”とともに“二人で一人のヒーロー”として多くの敵と戦ってきた。
その中で“ウルトラマン”と同族らしき者と出会うも、誰も“ウルトラマン”のことを知らず、それでも、最後は“この地球のウルトラマン”に協力してくれた。
頭部に鋭利な刃物を二つ備えた青と赤のウルトラマンだったり、
明るく真っ直ぐな熱血漢だったり、
色んな地を渡り歩いている風来坊の男だったり、
中には、ある地球に最初にやってきたというウルトラマンにも出会った。
そうした出会いを通し、陸と共に戦っている“ウルトラマン”の強大な力であったり、出会ってきたウルトラマンの姿を見ていると、陸はますます、引け目に感じてしまう。
自分がこの“ウルトラマンの力”を手にして良かったのか?
もっと、他に相応しい人間がいたのではないか?
ただ、ヒーローが好きなだけの自分がウルトラマンとしているのは間違っているのではないか?
これまでよりも、最も強大な敵による攻撃。
地球では、ウルトラマンと言う存在には活動時間に限界があると風来坊の男に教わったが、陸と融合している“ウルトラマン”は陸より先にウルトラマンの力を手にしていた、あるいは活動をしていた先輩が状況に応じて姿を変えていたのに対し、陸と融合している“ウルトラマン”は素の状態で既に強く、どんな敵であろうと果敢に挑み、さながら“捻じ伏せる”かのようなファイトスタイルであった為、通常よりも時間が短く、1分間しか戦えないという欠陥があった。
しかし、記憶喪失ながらも、バトルスタイルや一つ一つの技の強さから、陸自身が未熟なこともあって苦戦することはあれど、最後は必ず勝つことができた。
どんな敵にも、最後には必ず勝つことと、諦めずに挑んでいく姿に最初に地球にやってきたという、最初の男に陸と“ウルトラマン”は次のような名前をもらった。
『君と身体を共有している彼。二人で一人のウルトラマンである君たちに相応しい名前は、ジード』
ジード。
それが陸と“ウルトラマン”の名前。
『どうにもこうにもならない時がある。そして、助けが必要になったとき、我々、ウルトラマンは人々に力を貸す』
最初に“ウルトラマン”と呼ばれた男は、かつて自らの命を与えた男のように何か訓練を受けていることはなくとも、地球人の中に彼が見出した“光”を見た。
『そんなとき、君には手を差し伸べることのできるような、そんな人間であってほしい。時には考えることよりも行動することが必要なこともある。ジーっとしていても、ドーにもならないと』
故郷の星に帰る前に等身大の大きさになった“最初の男”は、まだ中学二年生の偶然にもウルトラの力を手にしてしまったヒーローに憧れる少年の頭を撫でた。
その顔からは表情が読み取れないものの、声色は優しく、肉親の情を知らずに育った陸は彼の行いから“父性”を無意識に感じた。
“ウルトラマン”は、ジードの由来を好ましく思っていなかったようだが、悪い気はしていない様子だった。
『陸』
“ウルトラマン”は、廃墟に潜んで身体を震わせている身体の宿主の少年に対し、語りかける。陸が身体を震わせるのは無理はない、通っていた学校は消し飛ばされ、尖兵によって大切な人たちが傷ついてしまった。
世界中を、惑星そのものを暗黒で包み込んでしまうほどのこれまでに戦ってきた宇宙人の中の誰よりも強大な力の持ち主。
これまでも、何度も活動時間の制約や苦戦することはあれど、最後は何とか勝利をもぎ取ることができた。
けれど、今回ばかりは敵いっこないと心が折れかかっていた。
変身アイテムのスパークフラッシャーの光を掻き消してしまう相手。
誰かの力だから、自分の力じゃないから勝てない。
自分の力は、“借り物”だから。
「勝てないよ、あいつには」
『かもな』
「なら、無駄だよ。変身したって。“ウルトラマン”になっても」
地面に大量の涙が落ちる。
両親は死に、物心がついたときには既に一人。
自分もこのまま死んでしまうんだ、と思った。
『“ウルトラマン”なら、な』
「どういうこと?」
含みのある言い方に陸は戸惑う。
“ウルトラマン”が勝てない相手に誰が勝てるというのか、一体化をしている間に陸の気持ちをすぐに汲み取ることができたのか、“ウルトラマン”は答える。
『“ウルトラマン”じゃあ、勝てねえかもしれねえ。だがな、オレ達は二人で一人の“ウルトラマンジード”。あいつの言うことを聞くのはなんだか癪だが、ジーっとしてても、ドーにもならねえ!ってのは同感だ。お前はオレが認めた“二人目”の男だ。時間が短くても、やってやろうじゃねえか?』
“ウルトラマン”は、見知らぬ誰かの顔が過ぎる。
覚えていないはずなのに、無意識に口に出していたライバルのこと。
「……!そうだね、僕達はウルトラマン。“ウルトラマンジード”なんだ!」
ヒーローに“なりたかった”少年は、一蓮托生の身にあるヒーロー“である”男の鼓舞を聞き、立ち上がり、スパークフラッシャーを掲げる!
「『ジィィィィィィィィィィィィィド』!」
銀色と赤のボディ、しかし、これまでに現れたウルトラマンのどのウルトラマンよりも凶悪な姿、鮫を髣髴とさせる光の巨人。
対し、闇を擬人化したような暗黒の巨人は“ウルトラマンジード”の姿に驚愕する。
「貴様は、まさか、余を倒したウルトラマンの仲間、ウルトラマンべリアル!?」
驚愕する暗黒の巨人に対し、“ウルトラマン”は――――ウルトラマンジードは、既にファイティングポーズを取りながら返答する。
「記憶を失う前のオレを知っているのか?……だが生憎、今は、ウルトラマンジードがオレの名前だ」
それから、駆け出して、“ジード”はパンチを放つ!
「『覚悟しとけ、オレ達がお前を倒す!』」
暗闇に指す一筋の光のように、“ジード”は、叫んだ
用語解説
“ウルトラマン”……自らの命を顧みず、親子を助けた陸の姿勢に心打たれて命を与え、一体化した。記憶を失っており、活動制限時間は歴代のウルトラ戦士の中で短い一分間。
制限時間が短い代わりに非常に強く、苦戦することはあれど、最後は必ず勝てた。
ウルトラマンジード……初代ウルトラマンに命名された、二人で一人のウルトラマンの名前。由来はもちろん、ベリアルの息子。正直因縁しかない。
覚悟しとけ、お前を倒す!……ウルトラマンジードプリミティブの変身の台詞、決めるぜ!覚悟!のオマージュ。
ウルトラマンベリアル(アーリースタイル)……時期はウルティメイトウォーズ中。“ウルトラマン”の正体。当の本人は自覚はないが、陸をライバルにして後にウルトラの父と呼ばれる、ウルトラマンケンの次に認めている。記憶喪失の原因は、ケンを攻撃から庇ったというもの。
暗黒の巨人……エンペラ星人。時間軸はウルティメイトウォーズ後、2000年代
と言う感じ。
この世界で最初に現れたウルトラマンがベリアルなら面白いんじゃないか、っていう試み。もちろん、アーリースタイルで。