ミックスジュース   作:ふくつのこころ

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FAIRYTAILのクロスオーバー


炎の魔導士

妖精の(フェアリー)尻尾(テイル)の炎の魔導士?」

「そうです。誰かいませんか?」

 

 ギルドの内部が酒場になっている建物の中、隣にチャーハンの皿に顔を突っ込むように突っ伏しているギルドメンバーであろう男がなぜ眠っているのかと思いつつも、すっかり妖精の尻尾にいて「そういう人もいるんだろう」と感覚が麻痺してしまった金髪の少女はカウンターに座り、ペンを走らせていると、銀髪の女性は首を傾げた。

 

 フィオーレ王国はマグノリア、そこで問題児が多く集うも、集まっている魔導士の多くは実力者という魔導士ギルドがそこにあった。カウンターでペンを走らせる彼女はルーシィ・ハートフィリア。

 

 とある街で火竜(サラマンダー)の噂を聞いたのをきっかけに妖精の尻尾のメンバーとなったが、まだ日は浅い。その街で関わった桜色の髪に会話のできる猫を連れた少年、竜を倒すことを目的とした古代魔法(エンシェントスペル)の使い手、滅竜魔導士(ドラゴンスレイヤー)のナツ・ドラグニルはかなり特殊な部類だが、炎の魔法を操る魔導士だ。

 そのことをきっかけに妖精の尻尾に入ることになるが、いろいろと振り回されながらも良好な関係を築いている。

 

「まず浮かんでくるのは、ナツだけど……。そうじゃないんでしょ?」

「はい。ナツ以外に炎の魔法を使う人っているのかなと思って。誰か心当たりありませんか?ミラさん」

「そうねえ……、他には誰がいたかしら……」

 

 銀髪の女性、ミラジェーンはグラスを拭きながら思案に耽る。ギルド内部でのどたばたにも動じることなく対応しているのをはじめてみたときから古参なのだろうとルーシィは推測しており、彼女ならば、誰か他に知っているのではないかと考えた。

 いずれ、自分の書いた本を出版し、作家となりたい夢を持っているルーシィは魔導士ギルドの日々はかけがえのないものが多く、どんな些細なことでも知っておきたかった。

 

「なんだ?何の話をしているんだ?」

「グレイ」

 

 席に割り込んで入ってきたのは上半身半裸の端正な顔立ち(妖精の尻尾はどういうわけか、美男美女が多い)の青年。

 氷結魔法(アイスメイク)という氷でできた武器を作り出して戦う魔法を用いるが、どういうわけかすぐに脱ぎたがる。

 氷と炎ということもあって、対照的な炎の魔法を使うナツとは相性が悪いが、有事の際は息のあったコンビネーションを見せる。

 

 喧嘩するほど何とやら、という奴だろうとルーシィは感じているものの、本人の前では口に出さないようにしている(間違いなく否定するからだ、それもナツがいれば同時に)。

 

「ナツ以外の炎の魔法の使い手の話よ」

「アイツ以外の炎の魔法使う奴?ナツ以外で厄介なのは、アイツだな」

「え?誰誰?教えてよ、グレイ」

 

 グレイは落ち着けよ、と手で制し、ミラが出してくれたコップに注がれた水をあおる。

 

「エース。ポートガス・D・エース」

「えっ!?あの“火拳”の!?」

 

 ポートガス・D・エース。

 

 ルーシィがまだ妖精の尻尾に入る前から、その名前を聞かなかったことはない。

 名前の並びから遠い地域出身と言うのは分かるが、驚くのはその活躍のほうだ。若干、10代にして多くの非合法の闇ギルドを壊滅させ、その被害も多く(妖精の尻尾に限れば、エースだけに言えたことではないが)、強敵に対して使用する掌から放出するエースの二つ名にもなっている必殺技から、“火拳”のエースと呼ばれている。

 

 妖精女王(ティターニア)火竜(サラマンダー)をはじめ、名高い魔導士の多い妖精の尻尾にまさか火拳のエースがいるとは。

 

「なんだ、知ってたのか?エースのこと」

「知ってるも何も。凄い有名よ、ポートガス・D・エースって。炎の魔法の使い手ながらも空を飛び、モンスターマシンのバイクに乗って移動するって!」

 

 ルーシィは目を輝かせていた。

 作家志望のルーシィのことだ、話題の人物であるエースの噂というのは作家魂に火拳だけに火を点けるには十分なものだったのだろう。

 

「あー、持ってたな……。結構、値段の行く代物だって聞いた」

「エース、あれ買うのに何人から借金したんだっけ?グレイと私、あとはナツとエルフマンにも借りてたような気がするんだけど」

「エルフマンの奴はノリノリだったじゃねーか。「炎で動くモンスターマシンだと!?まさに漢の乗り物だ!」とかなんとか」

 

 火竜(サラマンダー)の噂をはじめて聞いたときから、一体、どんな人なんだろうと想像して期待が裏切られることがあったルーシィは自分の中に持っていた“火拳”のエースの想像図が砕け散る音が聞こえた。

 

「えっ、アレ、借金して買ったモノだったの!?想像とだいぶ違うんだけど!」

「みんなに借金を返して回った後は、しばらく金欠だったわね。今もツケでたまにご飯食べるときがあるし。……これでも、まだマシなほうよ?昔はよく無銭飲食してたんだから。ナツとかに悪影響を及ぼすからってマスターに何度も怒られてたしね」

 

 ミラジェーンはルーシィの隣に目を向ける。

 ルーシィはミラジェーンの視線を追い、隣の席で突っ伏している人物を見る。派手にチャーハンの皿に顔を突っ込んでいる人物、まさか、と思った矢先のこと。

 

「ね、エース?」

 

 笑う髑髏の飾りのあるオレンジ色のテンガロンハットを人差し指をつつくようにすると、エースと呼ばれた男は首をもたげる。

 

 まだ寝ぼけているのか、スプーンを手に持ったまま、もっちゃもっちゃと口の中にあるチャーハンを咀嚼し、飲み込んだ。

 

「……ん?おれを呼んだか?」

「今、貴方の話をしてたのよ。エースにははじめまして、かな?こちら、ルーシィ」

 

 エースはミラジェーンに示されたルーシィのほうを見た。

 

「ル、ルーシィ・ハートフィリアです。あの、いろいろと噂は聞いてます」

「これはご丁寧に。おれはポートガス・D・エース。妖精の尻尾の炎の魔導士だ。Sランクな」

 

 エースはルーシィのほうを見ると、小さくお辞儀をし、またチャーハンの皿に突っ伏した。

 

「え、あの、いろいろ追いつかないんだけど!?食べてまた寝た!?」

「昔から、エースの癖なんだよな……。大丈夫だ、ルーシィ。お前の反応は正しい」 

 




白髭に対してそうしていたように、マカロフのことを敬意と親愛を込めてオヤジと呼んでるんじゃないかな。
自然系は覇気が出る前はチートだからなあ……、ところで、サボの火竜のなんとかっていう武術、ナツを思い出すよね
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