小さな頃から、何かが足りなかった。
胸の中心にぽっかり穴が空いて、何を嵌めても埋まらない感覚が酷くもどかしかった。一人ぼっちだったわけじゃないのに・・・あの人がいつも隣にいたのに、あたしの中の魂が、彼以外の誰かを求めてる。そんな自分が嫌で・・・いつからか、見ない振りをしていた。
「・・・ん〜・・・」
穏やかな朝の日差しが窓から差し込み、あたしは重力に従おうとする体をゆっくりと起こす。いつも通りの、朝。
・・・なんだろうか。
目を開いた途端襲う、強烈な違和感は。
何もおかしな点はない。ベッドも、机も、何ら変化ない。あたしレフィア・ルヴィナートが生活する、トールズ士官学院の寮・・・?
レフィア・・・そう、あたしの名はレフィア、の筈だ。なのに何で、こんなにも己の名に違和感を覚えるの。違和感と共に頭が割れそうなほど痛んでくる。この痛みも・・・どこかで・・・。
ーーー愛してる、玲亜。
「・・・・・・翔、さん」
ポツリと零れた名前は、驚くほど簡単にあたしの中へと入り込む。名前と共に、どこか懐かしさすらある記憶が蘇ってくる。そして思考がはっきりとして全てを理解した瞬間・・・あたしの目からは、大粒の涙が次々と零れ落ちていた。
なるほど、あの神様とやらはあたしを相当追い詰めたいらしい。
あたしが今生きるこの地・・・そして、あたしの横で穏やかに眠る銀髪の青年、そしてあたしと彼の所属・・・あたしは、この世界を知っている。
あたしは生前・・・前園玲亜だった頃、よく好んで様々なゲームをしていた。アクションやパズル、対戦にRPG・・・本当に多種多様だった。
その中で長年続けていたシリーズが・・・この世界。今あたしが生きる年の物語は、確か最新作でわくわくしながら進めていた気がする。残念なことに肝心な結末や、細かいストーリーはこれっぽっちも思い出せないが(恐らくあの自称神の仕業だろうね)自身の立場と、翔さんが恐らく所属するであろう立場も予測できる。寧ろ今日この日に記憶が戻って無関係なんてのはありえない。
あたしと・・・彼は、相容れることはできない。
いずれ、敵になる。
理解しているのに、会いたくて仕方がない。もう一度だけでいい。あの笑顔で、あの声で、あたしの名を読んでほしい。本当は愛してると、伝えたいけど、あたしはもう・・・横にいるこの男を裏切るなんてできないから。彼の隣に立つには、あたしはもう穢れすぎている。だから・・・もしも会えたら、この感情はこの学院を去る時一緒に捨てるから。
「ん・・・あ?・・・・・・どーしたんだよレフィ、なんかあったのか?」
目を覚ました途端驚いた顔をして、すぐ優しい顔であたしを引き寄せてくれた銀髪の青年・・・今の幼馴染のクロウと生きるのが、あたしの人生なの。
だから、忘れるために・・・見つけて、翔さん。
「・・・・・・何でもないの。おはよう、クロウ」
下手くそな笑みに何も言わず、ただただ優しく笑うクロウに、酷く罪悪感を感じた。
ライノの花が舞い散る春の朝はあたしの想いの終わりを示しているようで、なんとも言えない苦しさに、あたしは再びクロウの胸に縋り付くしかなかった。
ということで、主人公2人記憶戻りましたね。
小話的なものをすると
一応現在Ⅲまで出てて私全てクリアしてるんですけど、2人が事故にあった時はⅱ制作の話が出るか出ないか位という設定にしています。
一応ある程度まで話を進めたら2人の人物紹介したいと思います。
それでは、今後もよろしくお願いします(´∀`*)