なんとも感動的な再会・・・の余韻も欠片もなく俺はサラ教官に穴へと蹴り飛ばされた。もう少し優しい方法はなかったのか是非とも問いただしたい。
「・・・おー、なんつーラッキースケベ」
着地して目に入った光景に思わずそう言った途端当事者以外の視線がこっちに一斉に向けられた。なぜだ、男ならちょっとは羨ましいと思うんじゃねーの?・・・まぁ、俺は玲亜以外の女に興味ねぇけどさ。あ、引っ叩かれた。ドンマイ。
「あはは・・・その、災難だったね」
「ああ・・・厄日だよ」
「厄日って・・・流石に可哀想だろ。それに男としては美味しい場面なんじゃねーの?」
「さ、さぁな・・・」
金髪の女子に叩かれたラッキースケベ君(他意はない、名前知らないからな)は苦笑いしてるし、隣のかわいい系少年は不思議そうだった。・・・前世の男子高校生ってもっとそっちに興味津々だったんだがなあ、よく分からん。その直後俺たちに支給された戦術オーブメントを介してのサラ教官の指示で各自の獲物とマスタークォーツを受け取った。
『それじゃあ、早速始めるとしますか』
その言葉に合わせて唯一を思われる扉が自動的に開き、彼女曰くのダンジョン区画へと行けるようになる。入り組んだ構造と魔獣が徘徊しているという事から考えるに、特科クラスというのは他のクラスと比べて実践訓練と探索・・・或いはそれらに似た形のカリキュラムが組み込まれているんだろうか。そしてこれがテストも兼ねているんなら、そう考えれば辻褄が合う。
『それではこれより、士官学院・特科クラス《Ⅶ組》の特別オリエンテーリングを開始する。
各自、ダンジョン区画を抜けて旧校舎1階まで戻ってくること。文句があったらその後に受け付けてあげるわ』
・・・あの女、話は終わったとでもいうかのように通信を切りやがった。
「え、えっと・・・」
「どうやら、冗談というわけでもなさそうだけど」
何とも言えない顔をしたそれぞれが出方を窺うように互いに顔を見合わせる。まぁそうなるか、いきなりこんな状態になりゃ誰だってそうなる。そんな中先ほどと同じように噛みつき合う・・・名前なんだっけ。眼鏡と坊ちゃんはある意味大物かもしれないな。
結局2人とも単独で先行していったし。
「その・・・よければ一緒に行かないか?」
さてどうするかと考えていると例のラッキースケベ君が声をかけてきた。なるほど、小隊で攻略した方が確かに得策だもんな。そう考えてふとあの単独行動2人が気になった。・・・流石に1人はきついよなぁ、俺じゃあるまいし。
「あー・・・悪い、一応あの2人の様子見てくるわ。つってもあの眼鏡に俺が行っても火に油だろうし、余裕がありゃ見てくんね?てことで、お先~」
「あ、おい・・・」
ついでに面倒なことは任せて俺もダンジョンの中へと侵入することにする。教官の言っていた通り、弱いが魔獣の気配がそこらかしこに点在している。肩慣らしにはちょうどいいかと判断して俺は長年使用してきた獲物を肩に担いだ。ここらじゃあまり見慣れないブツに背後で困惑する気配があったが気にしない。
「さて、今日も頼んだぜ・・・・・・相棒」
大振りの剣と銃が合わさった遠近両用武器・・・ガンスラッシュを片手に俺は一気に駆け出した。
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「へー、じゃあお前も兄の勧めでここにしたんだ?」
思いのほか早くに目的の人物は見つかった。
それなりに腕の立つらしい坊ちゃん改めユーシス・アルバレアと共に襲いかかってくる魔獣を倒しながら会話してみれば・・・当初の貴族らしい傲慢さもなんてことは無い、よくある貴族らしくするために自然に身についたもので本質はなかなか良い奴だった。それになかなかのブラコ・・・兄を尊敬しているらしい。
「ああ・・・だがまさかフェルモード家の次男がこんな奴だったとはな」
「俺らの噂くらいアルバレアの坊ちゃんなら聞いてんだろ。目の前の俺に騙されてんのかもよ?」
「フン、どう思われようが気にも留めないだろう」
「おー正解」
にやりと笑った俺にフッとなんとも様になる不敵な笑みを向ける・・・こんな表情一つでも様になるとかやっぱこいつイケメンだよなぁ。ぼんやりとそんなことを考えていた時、奥の方から聞こえてきた咆哮に同時に顔をしかめる。
「今の声は・・・魔獣か?」
「かなりデカそうだな・・・最奥、ラスボスってとこか?だいぶ近いし他の奴らが先にやり合ってんのかもな」
次の瞬間には俺たちは同時に駆け出していた。
Ⅶ組集結まで、あとわずか。