御子の軌跡   作:片瀬玲音

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閑話~会遇~

 

4月某日。

 

 

新入生たちもようやく学園生活に慣れてきた長閑なつかの間の放課後。

 

今年から発足したⅦ組に所属する四大名門の青年・・・・・・ユーシス・アルバレアは天気も良く、特に予定もないので校舎裏のベンチで読書でもしようと訪れていた。先日偶然見つけた校舎裏のこの一角は程よく日の光が差し込み、なによりも彼にとって不快でしかない他者の好奇の目から逃れられる心地良い空間だった。そういえば同じクラスになった飄々とした青年も、その特殊すぎる家系から遠巻きながらもあることないこと陰で囁かれ、いつも放課後は人目を避けるように早々に下校している。もし機会があればこの場所を教えてやるのも悪くないかもしれない。

 

そんなことをぼんやりと考えながら春の穏やかな陽気の中、鳥の囀りや風の音、そしてユーシスの手元のページを捲る音だけがする空間にのんびりとした足音が近づいてきた。

 

 

「~♪・・・・・・っと、あらら?先客がいたわね」

 

 

どこかおどけたような不思議と耳に残る声にユーシスが顔を上げると、若葉色の制服を着崩した女子生徒がこちらを覗き込んでいた。

 

「・・・貴様は、2年生のようだが・・・・・・」

 

胡乱げな、どこか鬱陶しそうな表情を隠そうともしない彼に彼女はクスクスと小さく笑っている。彼女が笑うのに合わせて微かに揺れる柔らかな夕焼け色の髪が妙に目に焼き付いた。

 

「フフ、レフィアよ。2年Ⅵ組、レフィア・ルヴィナート・・・Ⅶ組のアルバレア君で合ってるかしら?」

「・・・・・・ああ、ユーシス・アルバレアだ」

 

優しく微笑んだレフィアに気恥ずかしくなり思わずユーシスは素気ない返答をするが、それも気にせずレフィアは満面の笑みで近づき真っ直ぐに彼を見返す。

 

「隣、お邪魔してもいい?」

「・・・別に構わない」

「フフ、ありがと」

 

彼の了承を得てストンとベンチに腰かけるとレフィアは伸びをして深く深呼吸をした。

 

「ん・・・・・・気持ちい~!人気もなくて天気も最高、サボるにはもってこいの場所よね~♪」

「・・・・・・授業をサボるな」

 

上級生という事も忘れて呆れ顔で思わず呟いてしまったが仕方のない事だろう。どうやら彼女はかなり不真面目な性格らしい。それから暫く、2人は談笑をして過ごし、ユーシス自身も驚いたが何故か彼女にはすぐに気を許し僅かながらも表情を和らげていた。

 

「へぇ、宮廷剣術か・・・機会があればちょっと見てみたいな、見た感じ中々の使い手みたいだし」

「それは構わないが・・・そちらは何を使っている?」

「ああ、あたし?あたしはハルバードよ。どうしても剣術とは勝手が違うけど、よかったら今度手合わせしてみる?あたし一応去年、獅子心勇士賞を貰ってるし退屈はさせないと思うわよ?」

 

好戦的に口元を釣り上げたレフィアにユーシスもまたフッ、と笑って見返した。

 

「フン、なるほど・・・・・・それでは“先輩”の手並み、拝見させて頂こう」

「あはは・・・・・・こちらこそ、お手柔らかにね?アルバレア君!」

 

笑う彼女に穏やかな気持ちになるが、それと同時にどこか壁のある呼び方に少し不愉快な気分になって自身が顔を歪めたことに気付きどうにも不思議な感覚になる。そんな彼の様子にレフィアは少し訝しげに様子を窺っている。

 

「・・・・・・・・・・・・シス」

「へ?」

「・・・~っ!・・・・・・・・・ユーシスで、いい」

 

そう言ってそっぽを向いた彼の金髪に隠れた耳が微かに赤くなってるのが可笑しくてレフィアはまたクスクスと笑って答えた。

「フフ・・・・・・ええ、よろしくねユーシス。あたしもレフィアでいいわ、先輩も敬語も必要ないし」

「・・・・・・では、そうさせて貰うとしようか。改めてよろしく頼む、レフィア」

「ええ!」

 

 

 

 

 

 

 

どこにでもある、些細な出会い。

 

 

この出会いに今後振り回され、悩まされることになるなど、ユーシスはまだ知る筈もない。

 





はい、という事で初めての閑話を書かせていただきました。

個人的に初めて閃の軌跡をプレイした際一番の推しはクロウだったんです。
でもユーシスのあのナチュラル偉そうなのに実はめっちゃいい奴だったっていうあのおもしろ性格、結構好きだったんですよね。中々にかわいいじゃないですか!!
ということで多分ユーシス君は個人的趣味により結構出っ張ると思われます。まぁメインはクロウ兄さんとオリキャラシオン君にしたいんだけどねぇ・・・。正直閃シリーズⅠ・Ⅱの改バージョンがもうすぐ出るんでもしそこで細かいクエストとかの変更点があったら対応したいな~と思っているんですよね。

え、当然どちらも既に予約済みですよ?

ということで一応これからもなるべく更新したいですが改の内容によっては多少変更しますのでご了承ください。
それと、やっとプロローグの終了なので一応目標として2章、バリアハート編が終わったあたりで彼と彼女のその時点で公開できる(表向きの)プロフィール、そしてシリーズを通しての今後の軽い説明を行いたいと思います。勿論それはご覧にならなくても十分に物語を楽しめるので暇がある時にでもご覧ください。
(・・・まぁまだ当分先になりそうですけど)


それでは、今回は少し長く話過ぎましたね。また次回をお楽しみにしていてください。
ここまで閲覧ありがとうございました。
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