とある問題児の母も来るそうですよ?   作:地獄花

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――第二話――

 

 

 

「じゃあ最後に、野蛮で狂暴そうなそこの貴方は?」

 

 

「高圧的な自己紹介をありがとうよ。見たまんまに野蛮で狂暴な逆廻 十六夜です。粗野で凶悪で快楽主義と三拍子揃ったダメ人間なので、用法と用料を守った上で適切な態度で接してくれお嬢様?」

 

 

「取り扱い説明書をくれたら考えてあげてもいいわ。十六夜君」

 

 

「ハハ、まじかよ。今度作ってやるから覚悟しとけ」

 

 

 

心からケラケラと笑う逆廻十六夜

傲慢そうに顔を背ける久遠飛鳥

我関せず無関心を装う春日部耀

自分の服と上着を乾かす柊碧郁

 

そんな彼らを物陰から見ている黒ウサギは

 

 

(うわあ………なんか問題児ばっか見たいですね〜)

 

 

召喚しておいてアレだが……彼らが協力する姿は、客観的に想像できそうにない。黒ウサギは陰鬱そうに重たくため息を吐くのだった。

 

十六夜は苛立たしげに言う。

 

 

「で、呼び出されたはいいけどなんで誰もいねぇんだよ。この状況だと、招待状に書かれていた箱庭とかいうものの説明をする人間が現れるもんじゃねぇのか?」

 

 

「そうね。なんの説明もないままでは動きようがないもの」

 

 

「………。この状況に対して落ち着き過ぎているのもどうかと思うけど」

 

 

(全くです)

 

黒ウサギはこっそりツッコミを入れた。

 

もっとパニックになってくれれば飛びだしやすいのだが、場が落ち着き過ぎているのでタイミングを計れないのだ。

 

(まあ、悩んでいても仕方ないデス。これ以上不満が噴出する前にお腹を括りますか)

 

三者三様の罵倒雑言を浴びせてくる様を見ると怖気づきそうになるが、此処は我慢である。

ふと十六夜がため息混じりに呟く。

 

 

「―――仕方がねぇな。こうなったらそこに隠れている奴にでも話を聞くか?」

 

 

物陰に隠れていた黒ウサギは心臓を掴まれたように跳び跳ねた。

四人の視線が黒ウサギに集まる。

 

 

「なんだ。貴方も気づいてたの?」

 

 

「当然。かくれんぼじゃ負けなしだぜ?そっちの猫を抱いてる奴と俺の上着を羽織ってる奴も気づいてたんだろ?」

 

 

「風上に立たれたら嫌でもわかる」

 

 

「落ちてる時に見えたし耳が隠しきれてない、かな」

 

 

「………へえ?面白いなお前」

 

 

軽薄そうに笑う十六夜の目は笑っていない。3人は理不尽な招集を受けた腹いせに殺気の籠もった冷ややかな視線を黒ウサギに向ける。黒ウサギはやや怯んだ。

 

 

「や、やだなあ御四人様。そんな狼みたいに怖い顔で見られると黒ウサギは死んじゃいますよ?ええ、ええ、古来より孤独と狼はウサギの天敵でございます。そんな黒ウサギの脆弱な心臓に免じてここは一つ穏便に御話を聞いていただけたら嬉しいでございますヨ?」

 

 

「断る」

 

「却下」

 

「お断りします」

 

「嫌だ」

 

 

「あっは、取りつくシマもないですね♪」

 

 

バンザーイ、と降参のポーズをとる黒ウサギ。

しかしその眼は冷静に四人を値踏みしていた。

 

(肝っ玉は及第点、この状況でNOと言える勝ち気は買いです。まあ、扱いにくいのは難点ですけども)

 

 

黒ウサギはおどけつつも、四人にどう接するべきか冷静に考えを張り巡らせている―――

と、春日部耀が不思議そうに黒ウサギの隣に立ち、黒いウサ耳を根っこから鷲掴み、

 

 

「えい」

 

 

「フギャ!」

 

 

力いっぱい引っ張った。

 

 

「ちょ、ちょっとお待ちを!触るまでなら黙って受け入れますが、まさか初対面で遠慮無用に黒ウサギの素敵耳を引き抜きに掛かるとは、どういう了見ですか!?」

 

 

「好奇心の為せる業」

 

 

「自由にも程があります!」

 

 

「へえ?このウサ耳って本物なのか?」

 

 

今度は十六夜が右から引っ張る。

 

 

「………。じゃあ私も」

 

 

「ちょ、ちょっと待―――――!」

 

 

今度は飛鳥が左から。左右に力いっぱい引っ張られた黒ウサギは、言葉にならない悲鳴を上げ、その絶叫は近隣に木霊した。

 

 

 

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