榛名に耳かきしてもらいたいだけ 作:ディニクティス提督(旧紅椿の芽)
いつも以上に生暖かい目でよろしくお願いします。
「あ゛ー……書類整理マジしんど……」
軽く伸びをした俺の体からはあちこちの節が抜ける音が鳴った。此処最近はまともに体を動かしてなかったからなぁ……大分鈍ってきたのかもしれん。
俺が提督になって早三年。此処の鎮守府もそこそこの大きさになってきた。尤も、あくまでそれは俺の主観だ。どうやら他の鎮守府には俺のところなんか比較にならないほど大きいところもあるようだ。ぶっちゃけ、まだまだ小さい。それでも最初の頃から比べると格段に大きいし、何より賑やかになった。おかげで俺は見事に前線を離れ、こんな風に書類とにらめっこをする毎日になったというわけさ。……まぁ、俺としては前線に出てひと暴れしたいところなんだがな。いや、だって昔はマジでそうだったし。
(あいつも倉庫で眠り続けてるのもアレだからなぁ……偶には軽く動かしてやらねえと、殻に引き篭もっちまうかもしれねえ)
そんな事を思いながら、俺はそのまま床に寝そべった。なおこの執務室、フローリングの床ではなく、畳を敷かせてもらってる。いや、板張りの床でもいいんだが、どうしてもなぁ……なんか落ち着かねえ。やはり日本人には畳と座椅子、さらに座布団が至高だわ。このい草の香り、これがするかしないかはかなり大きいぞ? 鎮守府の連中もなんだかんだで気に入ってくれてるようだしな。おまけに今日顔を出しに来た近くの鎮守府にいる提督(俺より階級上)も気に入ってるらしい。というか、階級とか関係なく話してくるあたりに近所のおっちゃん感が溢れ出ていた。なんだ、胡座をかいて茶を啜って寛ぐ上官って。相変わらずだが、本当に斬新すぎる。今日の事を振り返るだけでも、何と無く疲れが出てきた。
「提督、今日もお仕事、お疲れ様です」
そんな風に寝そべっていた俺に話しかける奴が一人。んにゃ、この声は……。
「おー、榛名か。そっちも仕事お疲れさん」
ウチの鎮守府が誇る最高戦力の一角に属する、金剛型戦艦三番艦の榛名だ。クリップボードを片手に持っているところから見ると、今日の大淀は既に睡魔との戦いに負け、大破してしまっている事だろう。そうなる場合は秘書艦である榛名へと仕事が引き継がれる事になっている。
「いえいえ、榛名の担当する分は提督の半分程度でしたので、これくらいならまだ大丈夫です」
「そう言うけどな、本来こう言う事務作業は俺らの仕事だし、俺らがやらなきゃいけねえんだぞ」
「それを言うなら秘書艦だって、提督のお仕事の補佐をするのが役目ですから……あ、こちらが本日の資材使用量の明細です」
「お、了解。そんじゃ、茶でも飲みながら確認するか。榛名はどうする?」
「お茶なら榛名が淹れますから! 提督は座って待っててください」
「いいからいいから。偶には俺も茶を淹れたくなるんだ。榛名もそんなところに突っ立ってないで、その辺に座っててくれって」
「……それじゃ、お言葉に甘えさせていただきますね」
執務室の入口付近のところだけは畳が敷かれていない。扉が開く為のスペースを設けていると言うのもあるが、艦娘の連中がそこで土足を脱ぐことができるようにしてる。まぁ、玄関みたいなところだな。流石に畳に土足で上がられるのだけは勘弁して欲しい。緊急時を除くがな。…………まぁ、中には土足だろうと構わずに突撃してくる
ひとまず茶を淹れる事にしよう。机の脇に置いておいてあるポットの中にはあらかじめ淹れておいた茶が入ってる。一々急須で淹れるのもいいんだが、いかんせん面倒なんだよな。まぁ、そういうのはこんな風に書類がくっそ多い時だけだがな。それ以外はウチの秘書艦がいつの間にか用意してくれる。ほんと、榛名はすげえ奴だ。戦艦としての戦力もさる事ながら、事務に関しても抜け目ないし、飯も美味えし、気が効くし、何よりも美人だ。まぁ、そんな彼女だが、どこか落ち着かない様子で卓袱台の前に正座していた。
「ほら、熱いから気をつけろよ」
「……なんだかすみません」
「気にすんなって」
ただ、この遠慮しがちな性格だけはもう少し何とかして欲しいところなんだけどな。一に遠慮、二に辞退なんて事をやってのけそうな感じだ。もう少し欲を出してもらいたいとは思うんだが……まぁ、無理に強制させるようなものでもないか。さーて、その前に榛名の持ってきた資材使用量のチェックでも——
「……なんで、鋼材がこんなに飛んでるわけ? 俺大型建造回した記憶ねえぞ?」
危うく飲んでた茶を吹きそうになったわ。何が悲しくて鋼材だけでこんなにも飛ぶんだ? どう考えたっておかしいだろ。そもそもでここ最近は出撃の頻度も下がって損傷艦も全くないから消費はほとんどなかった筈だが……。
「え、えっと、それは——」
『待つのです! 司令官さんのアシュタロンはこれ以上改造しなくていいのです!』
『わかりました! わかりましたから! だからって、そのスレッジハンマーを振り回すのはやめてくださいよぉぉぉぉぉっ!』
……大体察した。
「……大本営の技術部で既にハーミットクラブへ改装済ましてんのに、何をしようとしてたんだ明石は」
「……ヤドカリ成分が足りないから、触角のような背中から伸びるアンカーを作ると言ってました」
「なにそれこわい」
ひとまず、明石には一週間工廠に立ち入る事を禁止しておく程度に留めておくか……どうせ今頃ウチの初期艦にシメられてるだろうしな。
『待って待って電ちゃん!? そ、そんなおっきくてふっといのは……!』
『慈悲はない……つべこべ言わずに受けるのです』
『ア゛ーッ!!』
……なんなんだこの鎮守府。今までも同じような事は何度も思ったが、本当にこれだけはいただけない。なんでこんな事になるんだよ。というか、そもそもで大人しい筈の電がああなったのか——って、原因俺か。初建造で資材全部突っ込むという暴挙に出てからだわ。なお、それで建造されたのが榛名だったりするのだが。
「……アシュタロンは現状維持で頼む。これ以上ゲテモノ力を上げないでくれ……」
「朧ちゃんあたりは喜びそうですけどね……」
「既にカニとかヤドカリの域を超えて、アレ唯のバケモノだからな?」
確認を終えた資材の帳簿を執務用の机に置いた俺は、ため息をついてから軽く茶を啜った。なんだ……出撃とかしてねえのにものすげえ疲れたんだが。というか、俺らって一応戦争状態にあるんだよな……? なんか不安になってきたぞ。言っておくが税金泥棒してるわけじゃないからな!
「……なんだか提督、お疲れ気味ですね。榛名でよろしければ、何かしましょうか?」
「今のところこれと言ったものがなぁ……そういうお前こそなんかねえの? なんでもいいんだぞ?」
「い、いえ、私も特には……榛名はこうして提督に労わりの言葉をかけていただけるだけで十分ですから……」
「ンな事言われてもよぉ……」
できればこういう時くらい、欲を前面に出してもらってもいいんだがなぁ……というか出してくれ。どうやってこいつに欲を出させるかなぁ……そんな風に考えていると、徐に俺は自分の耳に指を突っ込んでいた。どうも考え事をしている時に出る俺の癖みたいなものだ。
「あっ……」
「んぁ? どうかしたか? もしかして、なんか欲しいものでも浮かんだか?」
「はい! なんでも良いとおっしゃるのなら、榛名には一つだけあります! 榛名は準備をしてきますので、提督は少し待っていて下さい!」
そう言って、榛名は小走りで執務室を後にしていった。何を思いついたのかはわからんが、まぁ欲を出してくれたことに少々嬉しさを感じていた。そんな事を思いながら、俺はぬるくなった茶を飲み干したのだった。
◇
「只今戻りました!」
「おー。で、準備ってなんだったんだ?」
「これを取りに行っていたんです!」
熱茶に飽き、キンキンに冷えてる麦茶を飲んでた時に、榛名は戻ってきた。何処と無く上機嫌な感じの彼女が見せてきた手に持っているものは棒状のものとタオルに綿棒。どう見ても棒状の物は耳かき棒にしか見えないんだがな。
「折角こんな機会をいただいたのですから、提督の耳かきをしたいと思いまして……」
「それは別に構わねえんだがな……でもいいのか? それ、俺しか得しなくね?」
「そんな事ありませんよ。榛名は以前からずっと提督の耳かきをしてみたかったものですから……」
まじでか。とはいえこれは俺としても喜ばしい事である。なにせ、こんなにも可愛い女に耳かきしてもらえるんだぞ? 喜ばない奴がいないだろ。
「そんじゃお前に任せるわ。で、俺はどうすればいい?」
「それじゃ、ここに頭を乗せてもらってもいいですか?」
そう榛名が言って指し示しているのは、彼女の太もも。って、おいおいおい……まさかの膝枕で耳かきか? これは効く……今までロクに女との付き合いがなかった俺にとって、これの破壊力は計り知れない。とりあえず、俺は彼女の言う通りに従って頭を置いた。……うっひょー、女神の太もも柔らけえ(語彙力)。
「こ、これでいいか?」
「はい。それにしても……提督、緊張してます?」
「き、緊張して悪いかよ……」
「いえ。でも……」
「でも?」
「なんだか、いつもと違う提督の姿を見れて得した気分です」
「……うっせやい」
なんでこうもこの子は可愛いんでしょうかねぇ? おそらくだが、俺の顔はきっと真っ赤になっていることだろう。それも、茹でられた蟹レベルで。
「ふふっ。それでは、まずはお耳をあっためていきますね」
熱くもなく、かといってぬるくもない、程よい温度のタオルが俺の右耳に乗せられた。おぉ……既に気持ちいいんだが? なんとも言えない快感である。なんか、全身の緊張も解けていくような気がした。
「どうですか? 熱くはないですか?」
「いーや、程よい温度で気持ちええで〜」
「急にどうしたんですか。喋り方、龍驤さんみたいな感じになってますよ?」
「はっはっは。気持ちいいからそうなったんだ」
「榛名にはどういう経緯でそうなるか、よくわかりません」
彼女はどこか苦笑いを含んだ声でそう言うが、実際そうなんだから仕方ない。それほどまでに気持ちいいのだ。というか、これ以上に何をどう言えばいいのか俺にはわからん。しかも、適度に耳タブやらを揉んでくれてるんだぞ? これを極楽と言わずして何と言うか。
「ではマッサージはこの辺にして……そろそろ耳かきの方、始めますね」
「おう、頼んだぜー」
タオルが俺の右耳から降ろされ、いよいよ本命の耳かきの始まりだ。耳かき棒が挿入されたのか、俺の耳には快感が伝わってくる。
「提督、結構耳垢溜まってますね。最後にしたのはいつですか?」
「あー……いつだろなぁ。耳かき棒がへし折れてからやってないし、軽く二ヶ月ってところか?」
「……なんで耳かき棒が折れたのかについては聞かないことにしておきます」
「まぁ、やつが根性無しだったと言うことで」
いや、耳かき棒が折れたのは仕方なかったんだ。メタル系の耳かき棒でもいいんだが、やっぱり竹製の柔らかいやつが良かったもんで、それを買って使ったら……あら不思議、ちょっと使い方を間違えて折れました。多分持ち方が悪かったんじゃねえかな? それに安物だったし。にしても本当にこれは気持ちいいわぁ……あぁ、そこそこ……そこが気持ちいいぞ。おぉ……! ほぉおおおおぉぉぉぉぉ!
「あっ、ほら、こんなに大きなのが取れましたよ」
「おー、でけー。というか、こんなのよく溜まってたよな、俺の耳」
「この調子でどんどん取っていきますね!」
めっちゃご機嫌な榛名。そんなに俺の耳かきが楽しいのか? ……というか、一瞬だけ鼓膜まで掘られんじゃねえかと思ってしまったのは内緒だ。
「提督、どこか痒いところはないですか?」
「ん? あぁ、そうだな……ちょっと奥の方をカリカリと頼めるか?」
「はい! 榛名にお任せください!」
……うほぉおおおおぉぉぉぉぉ! そこだ、そこそこ! あ゛〜……本当に気持ちいいわぁ……にしても、なんであんな雑な説明で場所がピンポイントでわかるんだ? やっぱすげえよ、榛名は。
「提督、お顔が緩んでいますよ?」
「それだけ気持ちいいって証拠なんだぜぇ〜」
お前は気持ちいい以外の感想言えないのかと言われそうだが、俺の語彙力では到底言い表せん。経験するに限るわ、これは。お、耳かき棒が引き抜かれたぞ? んでもって次に入ってきたのは柔らかめのブツ。ああ、綿棒に切り替えたのか。程よい力で取ってくれる耳かき棒も良かったが、柔らかい触りでしてくれる綿棒も気持ちええな。ふおぉぉぉぉぉ……!
「気持ちいいですか? 金剛お姉様に比叡お姉様、それに霧島はこれが好きだと言ってくれるのですが」
「お前の姉妹が気持ちいいと言ってるんだろ? 気持ちいいに決まってんだろうが」
というか榛名、姉妹全員に耳かきしてんのかお前。そりゃこれだけ上手なのも頷けるわ。
「そう言ってもらえると嬉しいです。では、仕上げに……ふーっ……」
……ふひょおおおおぉぉぉぉぉおおおおぉぉぉぉぉっ!!
「て、提督!? な、なんだか急にぷるぷるって震えましたけど……だ、大丈夫ですか!?」
「よ、予想以上の破壊力に……お、驚いただけだ……つ、続けてくれて構わねえぞ……」
「お、驚いただけだったんですか……それを聞いて榛名、少し安心しました。もしかしたら榛名が何か粗相をしてしまったのかと……」
「それだけはねえから安心しろ」
「そ、そうですか……あれ? もしかして……提督って、お耳が弱いんですか?」
「……黙秘権を行使する」
「それ、自分から認めちゃってるようなものですよ? それなら……ふーっ……ふーっ……」
ぬぉおおおおぉぉぉぉぉっ……!? これの破壊力は半端ないぞ……! というかこの子、どこか小悪魔じみてきたぞ? まぁ、可愛いから許すが。
「はい。こっちのお耳は終わりましたよ。提督、反対側を向けて貰えますか?」
「お、おう……だが、この向きでいいのか……?」
榛名に言われて俺は体の向きを変えたんだが……なんか俺の顔面が榛名の腹に向いちまったんだよなぁ……しかもちょっと視線を上にずらせば、其処には二つの浪漫が……これはいかん……憲兵どもに見つかったら最後、俺は詰所にぶち込まれる事確定だな……。
「えっ……えっ、あ、は、はい! そ、それで大丈夫です! ……むしろ、その体勢でいて欲しいといいますか……」
「……ん? 今なんか言ったか?」
「い、いえ! で、では、左耳も同じように始めますね」
何かを隠すように言う榛名。何を言ったのかはわからんが、深く聞く必要はないか。さっきと同じように程よい温度のタオルで耳マッサージ。ん? 結構時間経ってるのに、そんなに温度下がってないのか? ま、気にしなくてもいいか。気持ちいい事に変わりはないんだし。
「じゃ、耳かき始めますね」
「へーい。任せたぞー」
「はい! ……提督、なんだかこっちのお耳はあまり耳垢がないのですが……」
「あー……多分あれだな、俺の癖。耳に指突っ込むってやつ。あれで取れる奴は取れたのかもしれねえな」
「……それ、お耳に傷つきますよ?」
「仕方ねえだろ。考え事してるとついそうなっちまうんだ」
「むぅ……今度から榛名が定期的に提督のお耳のチェックと耳かきをします」
「おいおい、マジか……」
「これは決定です!」
今日の榛名はやけに強気だ。まぁでも……悪くはないか。榛名の耳かき、めっちゃ気持ちいいし。自分でするよりいいかもしれん。
「……で、では、綿棒で拭き取っていきますね」
……何を恥ずかしがったんだろうかねぇ? もしかして今までのちょいと強気な自分の姿とか? 普段は出さないような感じの雰囲気だったし、仕方もねえか。それにしても……本当、極楽やな……。これ程までに気持ちいい耳かきを経験した事はないぞ。
「そういえば提督」
「どうした?」
「いえ、先日いつもの『のほほんヤドカリ動画』を見てたのですが——」
「……なんでウチの鎮守府はそれが流行ってんのかわかんねえな、おい。まぁ俺も見てるが」
「その動画の下にオススメの動画というものがあったので見てみたんです。それで、ちょっと気になったことがありまして……」
「なんだ? ヤドカリの習性とか言うなよ?」
「いえ、そうではなくて……その、こういう時は……あの、み、耳舐め……とか、した方がいいのでしょうか……?」
……今なんて言った? 耳舐め!? おいおいおいおい……誰だこの純粋無垢な子にそんなものを教えた奴は!? というかその元凶動画の投稿主よ、しばくか!? 悪いがそういうサービスは、俺、苦手なんでね……。
「……いや、しなくていい。あんまりそういうのは得意じゃねえから」
「……提督ならそう言うと思ってましたよ。なんだか安心しました。榛名も、そういうのはちょっと苦手ですから……その、き、キスとかならいいのですが……」
……どうやら言い出した本人も苦手なようだ。それを聞いて安心した俺がいる。この子はそういう文化は知らなくていいんだ。耳かきで充分充分。……まぁ、俺がその手のものがどうにも苦手ってのがあるんだがな。
「で、では仕上げに……ふーっ……ふーっ……」
その瞬間、俺の思考は見事に消え去った。そして、この可愛らしい息遣いが俺の脳を占拠していく。なるほど、これが電撃戦というものか(多分違う)。頑張ってる感がハンパねえ。俺は今、彼女の可愛さによって殺されかけてる。疲れという疲れが片っ端から飛んでいくぞ、これ。
「——はい。これで提督のお耳は綺麗になりましたよ。どうでしたか? 提督にこんな事をするのは初めてなので不安だったのですが……」
「いや、最高だった。おかげで疲れも吹き飛んでったわな」
「そ、そうですか! 提督にそう言って頂けるなんて……榛名、感激です!」
柔らかな太ももに別れを告げ、上体を起こした俺を待っていたのは、満面の笑みを浮かべている彼女の顔だった。本人もご満悦といったところで、大層喜ばしい事なのだろうが……なんか俺の方が得してね? いや、榛名は俺に耳かきしたかったわけだが、得の割合が俺の方に偏ってきてる気がしなくもない。はて、どうしようか——あっ、あれがあったわ。
「そういや榛名、今日ウチに来た提督から手土産にとケーキ貰ったんだが、どうだ? 食っていかないか? 序でにコーヒーも出すぞ?」
「えっ……そ、そんなに!? は、榛名には勿体無いです!」
「いいからいいから。……数が少ねえから他の奴に知られると暴動が起きかねん。なお残り一個な」
「……戦争が起きますね、確実に」
「だろ? ほら、遠慮せずにさ。しかも、お前の好きなモンブランだぞ?」
なんでそんな身内しか知らない情報があるのかわからんが……さては青葉、そういう情報を売ってきたな? よし、後で問い詰めるか。なにせ今は、
「ほ、本当ですか!? ほ、本当に榛名が頂いてもよろしいのですか!?」
めっちゃ目を輝かせている榛名の姿があるのだから。
「おうよ。ただし、他の連中には内緒な?」
「わかってます。……お姉様達には申し訳ありませんが、これだけは譲れません。提督、いただきますね」
幸せそうな笑顔を俺に見せてくる榛名。駆逐艦や海防艦の連中からすれば、榛名は大人の女性に見えるそうだが……今の彼女は可愛らしい女の子にしか見えない。まだまだ子供っぽいところはあるなと思いながら、俺は自分と彼女の分のコーヒーを淹れるのだった。……無論、俺はブラック、榛名は砂糖もミルクも入れたがな。
続きは未定。
書くかどうかも不明。