SAOif 紅の戦姫と蒼の聖女   作:百合好きの獣

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星に願いを2

◇Side コハル

 

 

 

「記憶喪失……」

 

 路地裏での一件の後、どこか落ち着く場所で話をしようということで招かれたのは、第一層東七区にあるという教会。

 

 そこで二人から聞かされた話はにわかには信じ難く、反芻するようにそのワードを口にした。

 

「ああ、二十二層で保護した時にはもう既に……」

 

 キリトさんとアスナは、血盟騎士団を抜けた後二十二層にホームを移し、結婚した。その後、戦闘から離れた穏やかな生活を数日間送っていて……散策に出かけた森の中で倒れている少女――ユイちゃんというらしい――を保護したそうだ。

 

 こんこんと眠り続けていたユイちゃんは、翌朝目を覚ますことが出来たそうだけど……自分の名前以外、何も覚えていなかった。

 

 見た目からして……十歳にも満たないんじゃないだろうか。そんな幼い子が一人でログインしているとは考えられず、《はじまりの街》にこの子を知っているプレイヤー――親とか、保護者の人とかが居ると推測してこの街に訪れ、小さな子供のプレイヤーを保護しているというこの協会へとやってきた。

 

 子供達を保護していた、サーシャさん。二年間毎日各エリアを回っては独りの子供に声を掛けるということを繰り返し、なんと今では二十人近い子供と一緒に暮らしているという。そんなサーシャさんでも……ユイちゃんを見た事は無いそうだ。

 

 そもそも、このユイちゃんにはおかしな所がある。このゲームでは、プレイヤーにしろモンスターにしろ、動体オブジェクトに視線を合わせると頭上にカーソルが表示される。しかしユイちゃんにはいくら凝視してみてもカーソルが表示される気配は無い。

 

 NPCは基本的に存在位置が固定されていて、移動させることは絶対に出来ないのだけれど(無理に連れようと触ったりするとほんの数秒でシステムに弾かれてしまう)、こうして二十二層の森からここまで来れている時点でプレイヤーであると考えるのが一番妥当なのかな。

 

 彼女が一体何者で、どんな子だったのか、その答えは失われてしまった彼女の記憶にしか存在しない。

 

 そんなユイちゃんはというと――

 

「ねえ……そろそろ離して……?」

「いやです」

 

「あれは一体どういう……?」

「俺に聞かないでくれよ……」

 

 先程からずっとアリスにくっついて一向に離れようとしないユイちゃんに、私含めこの場の全員がただただ困惑に首を傾げていた。

 

 当のアリスも何故なのか全く想像がつかないらしく、眉で八の字を書いてこちらに助けを求める視線を送っている。

 

「ねえ、ユイちゃん。アリス……えーっと、そのお姉ちゃんも困ってるよ?」

 

 やんわりと、優しく諭すような口調でアスナが声を掛けた。

 

 その言葉にはたと動きを止めたユイちゃんは、少し考えるような素振りを見せ、とんでもないことを口にした。

 

「アリスはお姉ちゃん? お姉ちゃん!」

 

 パアッと嬉しそうに顔を輝かせるユイちゃん。あれ? なんか違う受け取られ方してない?

 

「私はいつからキリトファミリーの一員になったの……」

 

 アリスも混乱してるのか、まるで明後日の方向の突っ込みをいれている。

 

「いや、違うんだユイ。お姉ちゃんというのはそういう意味じゃなくてだな……」

 

 どう説明したものかと、キリトさんが言葉を選びながら誤解を正そうとすると、今度はじわりとユイちゃんの目尻に涙が浮かんだ。

 

「アリスは、私のお姉ちゃんじゃないの……?」

「お姉ちゃんと呼んでいいんだよユイちゃん!」

 

 ってちょっと! なに言ってるのもう!

 

 脊髄反射が如くのお姉ちゃん宣言にアリスもしまったという顔をして、ばつが悪そうにこちらを見やると

 

「ご、ごめん……つい……」

 

 と謝ってきた。

 

「どうするのよこれ……」

「えっと……じゃあ近所のお姉さんって事で……」

 

 

 

 ◇

 

 

 

「……それで、二人はこれからどうするの?」

 

 あれから尚も離れようとしないユイちゃんをアリスに任せ、サーシャさんを含め私達四人は今後の話をすることにした。

 

「そうだな……思いつく限りのことはやってみようと思う。掲示板に乗せたりとか、情報屋使って探すとかさ。それでも見つからなければ……」

「二人で保護するの? ……でもそれじゃあ」

 

 確かに、トッププレイヤーである二人が保護をするというのなら、これ以上に安全な場所は他にはないだろう。ユイちゃんも、二人の事を記憶を失っているとはいえパパママと呼び慕っている姿から、彼女自身にとってもいいのかもしれない。けど、そうなると必然二人が最前線に戻る事が出来なくなり、それはユイちゃんが現実に――本当のパパとママに会えるまでの時間が長くなってしまうということだ。

 

「ああ……だから――アスナ、いいか?」

「……うん。……サーシャさん。すみませんが、こちらでユイちゃんを保護してもらうことは出来ますか?」

 

 キリトさんに促され、アスナが一瞬目を伏せた。しかし直ぐに、覚悟を決めた目でサーシャさんを見据える。

 

「私は構いませんが……お二人はそれでよろしいのですか?」

「はい。……本当はすごく寂しいんですけど……一刻も早くこのゲームをクリアして本当の両親に会えるのが、ユイちゃんにとって一番良い事だと思うので」

 

 アスナのその言葉に、サーシャさんは

 

「分かりました。もしSAO内で両親が見つからなかった場合は責任を持って保護致します」

 

 と快諾してくれた。これで、もしも見つからなかった場合に関しても心配ないだろう。

 

 その後、アルゴさんに情報収集を頼んだり、プレイヤーが発行している新聞へ尋ね人の掲載を依頼したりとやれるだけの事をやったところで少し経過を待とうという事になり、サーシャさんのご好意もあって教会の空き部屋に泊まらせてもらって次の日。アスナと共に腕を揮って作った朝食を、小さな子供達と一緒に騒がしいながらも楽しくいただいた。調査を頼んだアルゴさんからの報告を待つ間、話題は先日の……軍の恐喝まがいの徴税活動へとシフトしていった。

 

「あの……サーシャさん、軍っていつもあんな感じなんですか? 私が知ってる限りだと、横暴というか、専横というか……すごく偉そうにしているってのは聞いたことがあるんですけど……」

 

 軍が下層で幅を利かせているというのは、以前から前線でも噂になっていた。それでも他の攻略組達が介入しなかったのは、彼らが専横ながらも治安維持には熱心だったからだ。しかし、あれでは治安維持どころか犯罪者だ。

 

「いえ、以前はそこまででも無かったのですが……。半年程前でしょうか……方針が変更されたのか、徴税と称して恐喝まがいの事をする人達と、逆にそれを取り締まる人達も出始めて。軍のメンバー同士で対立している場面も何度も見ました。噂だと、軍の上層で権力争いか何かがあったとか……」

 

 権力争い、かぁ……。軍は、二十五層で壊滅的な被害を受けてから下層の治安維持に専念するということで前線から身を引いたのだけれど、それでも千人を越える最大派閥のギルドであることに変わりは無く、なんとなく、一枚岩ではないんだろうなぁとは思っていたのだけれど。それでも、日常的にああいった事が行われているのなら何か対策をしないと……。

 

 どうしようかと思案していると、ユイちゃんを連れたアリスがとととっとこちらに駆け寄ってきた。

 

「ねえ、誰かこっち来てるよ。一人だけど、お客さんじゃないかな」

 

 アリスの言葉に重なるようにして、木製のドアを叩く甲高い音が数回響いた。

 

 

 

 

 

 

 サーシャさんと、念のために着いて行ったキリトさんに伴われやってきたのは、長い銀髪をポニーテールに纏めた、怜悧な印象の長身の女性プレイヤーだった。サーシャさんとはまた違った大人の女性然とした魅力のプレイヤーなのだけれど、それよりもその纏っている装備が目を引いた。

 

 ねずみ色のケープに包まれてはいるけれど、濃緑色の上着にゆったりとしたズボン、鈍く輝く金属鎧の出で立ちは《軍》のユニフォームだ。

 

 連れられてきたのが《軍》の人間だと知り、アスナとアリスも身を固くしているのが分かる。

 

 自身が警戒されている雰囲気を感じとったのか、連れられて来た女性は少し居心地が悪そうにしながらも口を開いた。

 

「はじめまして、ユリエールです。ギルドALFに所属しています」

「ALF?」

 

 聞きなれないギルド名に思わず聞き返すと、ユリエールと名乗った女性は小さく首をすくめた。

 

「ああ、すみません。アインクラッド解放軍、の略称です。正式名はどうも苦手で……」

 

 そういえば随分前にその名を聞いたことがあった。本当に最初の頃、ギルドが出来たての頃に《聖竜連合》はDKB、《アインクラッド解放軍》はALFと略されて呼ばれていた。今では《軍》とだけ呼ばれていたからすっかり忘れていた。

 

「はじめまして、私はコハルっていいます。こっちはアリスで、こちらは――」

「血盟騎士団の――えっと、今は一時脱退してるんですけど、アスナです。それと、キリト君。この子はユイって言います」

 

 簡単に自己紹介を済ませると、ユリエールさんはアスナの血盟騎士団というワードに驚いたようで

 

「KoB……なるほど、どうりであいつらが簡単にあしらわれるわけだ」

 

 と得心がいったように頷いた。

 

「えっと……ごめんなさい、軍の人達と争ったのはアスナじゃなくて……私達なんです」

 

 きっとこの人は先程の件の抗議に来たのだろう。その諍いにアスナ達を巻き込むわけにはいかないと訂正すると、またもユリエールさんは驚嘆したとばかりに目をしばたたかせた。

 

「コハルとアリス……聞いたことがあるような――まさか、聖女と戦姫!?」

「えぇ!? ……えっと……はいぃ……」

 

 そう叫ぶや否や、くわ! と瞠目したかと思うと、掴みかからん勢いでこちらに身を乗り出したユリエールさんにたじろぎながら首肯する。《蒼の聖女》と《紅の戦姫》。それは私とアリスに付けられた二つ名で、そう呼ばれているのは知っていたのだけれど、知っているからといってはいそうですと認めるには少し恥ずかしいなぁ……。

 

「そうでしたか! まさかこんなところで会えるなんて! その、握手してもらってもいいですか!?」

 

 らんらんと目を輝かせ握手をせがむ彼女に押し切られ、アリスと順番にユリエールさんの手を握る。握手をした手を慈しむように撫でていたユリエールさんは、はっと正気を取り戻すと、一つ咳払いをした。

 

「すみません取り乱して……。聖女と戦姫――コハルさんとアリスさんは、最前線で戦う女性の二人組ということで、私達女性プレイヤーにとっての羨望の対象なんです。コハルさんはその類稀なる指揮能力の高さや、どんなプレイヤーにも分け隔てなく手を差し伸べる慈愛の心を持ち、その容姿の高さも相まってまるで御伽噺の聖女様のようだと話題です。アリスさんは《英雄之剣》でしたか。戦場に走る紅い稲妻の如く、一騎当千の強さを誇るまさに英雄といった強さで!」

 

 前言撤回。正気を取り戻してなんかいなかった! 捲くし立てるような早口で私達の事を褒めちぎるユリエールさんはまさにバーサク状態さながらで、私もアリスも照れくさいを通り越して純粋に恥ずかしいよ!

 

「ゆ、ユリエールさん、も、もういいです、もういいですから……!」

「っと……すみません。ですがお二人が私達の希望であることは本当なんです。これからも頑張ってください。応援しています」

「ありがとうございます……」

 

 あぁもう顔が熱い……。

 

 脱線してしまった話を元に戻し、続きを聞くとどうやら深刻な状況になっているらしかった。

 

 まず、軍……《ALF》は結成直後は《MTD》という名前だったそうだ。MTDは《MMOトゥデイ》の略称らしく、キリトさんによるとSAO発売当時の日本最大のネットゲーム総合情報サイトとのこと。《MTD》を結成したのは、その管理者であるシンカーさん。彼は当初、情報やら食料やらの資源を、なるべく多くの人達で分かち合おうという志の元ギルドを結成した。しかし、その想いを実現するには環境が悪く……そして、ギルドの人数が多すぎた。こうして最前線で攻略するようになった今なら分かるのだけれど、MMORPGの本質はリソースの奪い合いだ。限られた資源――アイテムや経験値等のリソースを、プレイヤーの間で奪い合う。その競争に勝てた者が強くなる。その本質はSAOでも……いや、むしろデスゲームと化したSAOだからこそ奪い合いは激化したと言える。

 

 目の前にある、自身の安全に直結するアイテムやコル等を、仏の御心を持って他の恵まれないプレイヤーへと還元する。そんな慈善行為を実行するには、軍の規模はあまりにも大きすぎた。 得たアイテムの秘匿が横行し、それに対する粛清、反発が相次ぎ、リーダーであるシンカーさんの権威は失墜していった。

 

 そこに台頭してきたのが……私達も良く知る、キバオウさんだった。

 

 シンカーさんを丸め込み、キバオウさんが設立した《アインクラッド解放軍》へと合併。公認の方針として、犯罪者狩りと効率の良い狩場の独占を推進した。その結果、数の力にものを言わせたお陰かギルドの収入は激増。キバオウさん一派(解放軍の初期メンバーのことだ)の権力は強大なものとなった。そして調子にのった一派のメンバーが、徴税と銘打った恐喝まがいの行為を行っているそうだ。

 

 しかし、そんな彼らにも弱みがあった。それはゲームの攻略をないがしろにし続けたことだ。末端プレイヤーたちからの不満が膨らみ続け……キバオウさんは危険な賭けに打って出た。配下の中で、最もレベルが高いプレイヤー十数人でパーティを編成し、最前線のボス攻略へと乗り出したのだ。それが丁度七十四層でのことで、そこでリーダーを一人失い、パーティは敗退。強く糾弾されたキバオウさんはギルド追放寸前まで追い込まれたそうだ。

 

 追い込まれたキバオウさんが何をしたかというと……シンカーさんを罠にかけ、なんとダンジョンの奥深くに放逐してしまったのだ。「お互い丸腰で話し合おう」というキバオウさんの言葉に騙されたシンカーさんは、装備もアイテムもないままで今もダンジョンの奥に取り残されている。

 

 それが実に三日前のこと。生命の碑の彼の名前が無事な事から、どうやら安全地帯までは辿り付けたみたいだけど……。

 

「ギルドリーダーの証である《約定のスクロール》を操作できるのはシンカーとキバオウだけ。このままシンカーが戻らなければ、ギルドの会計も人事もキバオウにいいようにされてしまいます。……シンカーが罠に落ちるのを防げなかったのは副官である私の責任。彼を救出に行かなければならないのですが……でも、彼が幽閉されたダンジョンは私ではとても太刀打ちできず、《軍》のメンバーの助力も当てに出来ません」

 

 ぐっ、と唇をかみ締め、私とアリスを真っ直ぐに見つめてくる。

 

「そんなところに、恐ろしく強い二人組みが現れたという話を聞きつけ、いても立っても居られずにこうしてお願いしに来た次第です。コハルさん――アリスさん」

 

 ユリエールさんは深々と頭を下げ、言った。

 

「お会いしたばかりで厚顔きわまるとお思いでしょうが、どうか……私と一緒にシンカーを救出に行って下さいませんか」

 

 その言葉を聞いた私は、迷う事無く答えていた。

 

「分かりました。私でよければ、お手伝いいたします」

「本当ですか!? ありがとうございます……!」

 

 顔を上げ、表情を輝かせるユリエールさん。だが、それに待ったを掛ける人物がいた。

 

「ちょ、ちょっと待ってコハル。引き受ける前に、最低限の裏付けをしないと」

 

 焦ったような顔で静止してくるのは、今まで黙って話を聞いていたアスナだった。

 

「でも……」

「でも、じゃないでしょ。それで貴女達何度も危ない目にあってるんだから」

 

 うぐ、と言葉に詰まる。私は――私とアリスは第一層から、手の届く範囲に居る人だけでも助けたいという思いから頼みごとをされたら断ることをしなかった。そのせいで、何度か騙され危険な目にもあったし、それでアスナやキリトさんに助けてもらったこともある。

 

 けど、それでも。私は目の前で困っている人を放って置きたくないし、力になりたいと思う。

 

 それに……。

 

「無理なお願いだっていうことは私にも分かっています。……でも、黒鉄宮《生命の碑》のシンカーの名前にいつ横線が刻まれるかと思うともうおかしくなりそうで……」

 

 やっぱり。副官の責任で助けに行かなければならないなんてさっきは言ってたけど、きっと彼女にとってシンカーさんは大事な人のはずだ。状況を説明している姿や表情から、シンカーさんの事を心から心配しているということがありありと伺えた。それに、見ず知らずのプレイヤーにこうして一人で尋ねてまでお願いに来たのだ。それはもう、副官やギルドリーダーという間柄だけではとても出来ないように思う。

 

 大事な人が、いつ死んでしまうか分からない状態にいる。その辛さと恐怖を私は痛いほど知っている。私はもう二度と、あんな思いはしたくない。したくないし、他の人にもして欲しくない。

 

「う……そんな目で見ないでよ……私だって助けになりたいけど、でも……」

 

 じっ、とアスナの目を見つめると決まりが悪そうにあたふたとし出した。きっとアスナも本心では信じてあげたいと思っているはずだ。だけど、彼女がSAOで過ごした二年間が安易に信じる事に警鐘を鳴らしている。ちらと視線を移すと、キリトさんも迷っているようで黒色の瞳が揺れる心を映している。

 

――その時だった。今まで大人しくアリスに手を握られていたユイちゃんがふと顔を上げた。

 

「ママ、大丈夫だよ。その人、うそついてないよ」

 

 ぎょっとした。それはアスナやキリトさん、そしてアリスも同じだったようで皆が一斉にユイちゃんに視線を集中させた。ユイちゃんはそんな状況でも臆する事無く屹然とした態度でアスナを見つめている。

 

「ユ、ユイちゃん……そんな事判るの……?」

「うん。上手くいえないけど……わかる」

 

 その言葉を聞いたキリトさんがくくっと喉を鳴らして笑うと、ユイちゃんの頭をくしゃくしゃと撫でた。

 

「疑って後悔するよりも、信じてから後悔しようぜ。攻略組が四人も揃ってるんだ、きっと何とかなるさ」

「相変わらず呑気な人ね……もう、分かりました。コハル、私達も着いていくわ。それが条件よ、いい?」

 

 仕方ないなぁといった様子で、アスナは引き締めていた表情を崩した。二人が手伝ってくれるなら、これほど心強いことはない。

 

「ありがとうアスナ。……アリスもごめんね? 勝手に引き受けて」

「ううん。私は元々行く気だったし、平気だよ。……ユイちゃん、お友達探しもうちょっとだけ待っててね」

 

 アリスがユイちゃんの艶やかな黒髪を撫でながらそう言うと、ユイちゃんは大きな笑みと共にこくりと頷いた。

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