SAOif 紅の戦姫と蒼の聖女   作:百合好きの獣

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アンケートで二番目に票が多かった『一方その頃現実では』になります

ちらとだけ出ていた妹ちゃん視点です。

今回段落ごとの改行をせず、区切り毎に改行をするという方法にしています。どっちの方が読みやすいですかね……?


閑話 Dear My Sister

 雪の降り積もる街道を、転ばぬようにゆっくりと踏みしめながら歩く。

 多くの人の足跡で踏み固められた雪は氷となって道を覆い尽くしており、足を取られぬように気をつけながら歩かなければならなく、駅から目的地までの数分の道程ですら嫌に神経を使った。

 

 この道は、この一年半で毎日通った道だ。初めて訪れた時からあまり代わり映えしないのはここが都心部に近いからだろうか。

 川越駅から航空公園駅まで電車に揺られ、歩くことおよそ五分。目的地である――防衛医科大学病院へと足を踏み入れる。

 

 夜間という事もあって正面口は閉まっており、裏口から中に入ると守衛の人がちらりと私の顔を見ただけで入館証を取り出した。それでも時間帯のせいか少し驚いた様子で、しかし「もう遅い時間だから、出来るだけ静かにね」と一言だけ言うと再び監視カメラへと視線を戻す。

 私は何度記入したか分からない書類に自分の名前を書くと、入館証を首から下げてそのまま院内へ。

 もはや慣れた足取りでエレベータに乗りつけ、目的の階のボタンを押し壁に寄りかかった。

 

 もう、あと数時間もすれば二度目のクリスマスなのか。街を彩っていたイルミネーションに、経過した時間の長さを実感する。

 一年半だ。家族という最も身近な存在でありながら、私の名前を呼ぶ、あの甘ったるい声を、にへらと笑う優しい笑顔もそんなにも長い間見ていない。

 もし、このまま帰って来なかったら――そんな恐ろしい想像をしかけた頭をぶんぶんと振り嫌な気持ちを振り払った。

 大丈夫。あの人が言っていた話なら、私の姉は今も囚われた世界から帰還しようと頑張っているはずなんだ。姉が帰ってきたら、言ってやろう。「遅い」と。いつまで待たせるつもりだったんだって。

 

 ポーンという到着を知らせる音が鳴り、扉が開いた。ローファーなので音をなるべく立てないようそっと廊下を進み、いくつかの部屋を通り過ぎる。やがて見えてきた病室の横に姉の名前が書かれている事を確認すると、スライド式のドアをゆっくりと開けて中に入る。

 

 姉に宛がわれた部屋は個室だ。これもあの偉い人が言っていた話だと、デスゲームに――《SAO》に囚われた人達は皆個室が与えられているらしい。それはいつでも家族が面会に来れるようにするためと、その為の費用は全てゲーム会社であるアーガスから支払われているから……だそうだ。

 

 部屋の中央、白い大き目のベッドに横たわる姉は、規則的な寝息を立てている。頭に大きな機械――《ナーヴギア》を装着しているから表情は良く見えないけれど、胸がゆっくりと上下していることに安堵のため息を漏らした。

 よかった。今日も生きてる。

 デスゲームは常に死と隣り合わせの過酷な世界だ。ゆえに、姉の安否を確認するのが私の日課になっていた。

 

 今日はクリスマスを一緒に過ごそうと、この部屋に泊まれる様手続きをしてある。持ってきた鞄から色々と取り出していると、ふと部屋の隅に置かれた棚の上が目に入った。

 

 花瓶の水が替えられている……? そしてその横には、小さなラッピングされた箱が置いてある。手にとって確かめると「Merry Christmas」というメッセージカードが添えられていた。

 そのカードの差出人を見て合点がいった。これはきっと姉の友人であるあの人が来ていたんだなと。

 

「ほら、お姉ちゃん。お姉ちゃんを待ってる人は沢山いるんだから、早く帰って来なさいよね」

 

 姉に声を掛けるが当然返事がある訳がない。姉が突然起きあがり返事をする……だなんて事に期待していた訳でもないが、それでも私は姉に話しかけることを辞めようとはしなかった。もしかしたら、この声が届いているかもしれない。そう思うと自然と話しかけてしまうのだった。

 

 鞄から取り出した箱を三つ、棚の上に並べた。私からと、父と母からのクリスマスプレゼントだ。流石に家族三人で泊まるには個室は狭すぎるから、今日は代表して私だけが泊まりに来ている。その為二人からプレゼントを預かってきたのだった。

 

「お姉ちゃん。メリークリスマス。……まだちょっと早いけどね」

 

 さて、日付が変わるまでにやる事はやってしまおう。私は洗面台からお湯を出し、ボウルに溜めると姉の服を脱がし始めた。下着のみの姿になった姉の身体を、湯に通したタオルで優しく拭っていく。

 これは私と母が毎日やっていることで、本来であれば看護婦さんの仕事なのだろうけど無理を言って私たちがやらせてもらっている。

 腕に刺さっている点滴の針に触れないように、細心の注意を払いながら姉の身体を拭く。この一年半で、随分と痩せてしまっていて、腕はもはや枯れ枝のようだった。

 

「……それなのになんでここだけは全く変わらないのよ」

 

 一年半前と比べて、みるからに痩せてしまった姉の身体は、ある一部分だけは全く変わっていない。同じ遺伝子を受け継いでいるはずなのに全く成長しなかった自身の同じ部分を見下ろし、嘆息する。そして悔しいからと姉のそれを軽く叩いた。

 

「ま、身長では勝ってるから別にいいけど?」

 

 ここで強がっても誰も返事をしてくれないことに気づき、また一つため息をついた。

 

 全身を拭き終わり、下着を取り替えて(やはりサイズは全く変わってなかった)新しい入院着を着せると、心なしか姉の顔に安堵が浮かんだ気がした。

 自分もパジャマに着替え、いつものように今日あった出来事を姉に報告していると、コツコツと二回控えめなノックが聞こえた。

 

「はい?」

「夜分遅くにすみませんね、菊岡ですが……入室しても大丈夫かな?」

 

 その声に扉を開けると、そこに居たのはスーツ姿の男性だった。太い黒縁眼鏡にしゃれっ気の無い髪型の、どこか真面目そうな見た目のその人の名前は、菊岡誠二郎。総務省総合……長いから忘れてしまったけれど、要は官僚の偉い人だ。

 顔を合わせるのはこれで三度目で、今日訪れた目的もなんとなく予想が付いた私は「どうぞ」と彼を室内に招きいれた。

 

「ああ、今日は深藍(みお)ちゃんだけなんだ。ご家族はご自宅かな」

「はい、個室に泊まるのは三人だと狭いので……。私だけです」

「泊まる……ああそうか、明日はクリスマスだものね」

 

 そう言うと彼は「僕達はクリスマスなんて無いようなものだからね、すっかり忘れてたよ」と一人ごちて、がらがらと部屋の隅から移動させてきた椅子に腰掛けた。そしてビジネスバッグから様々なお菓子を取り出して机の上に並べ始めた。

 

「深藍ちゃんも食べるかい?」

「いえ、私は食事は済ませてきたので……。夜にお菓子食べると太りますし」

 

 私が断ると、菊岡さんは少し残念そうな表情を浮かべ、続いてノートパソコンを取り出した。

 

「さて、深藍ちゃんに会うのは半年振りだね……。この半年間ゲーム内で何があったかは知りたいかい?」

「お願いします」

 

 私が即答すると、待ってましたと言わんばかりに笑みを浮かべた菊岡さんは語り始めた。

 ゲームは現在四十九層まで攻略されており、あと半ばほどだということ。そして姉は、レベルは全プレイヤー中トップであることを。

 

「ほ、ホントにお姉ちゃ……姉は全プレイヤートップなんですか?」

「ああ、間違いないよ。彼女の今のレベルは……70。その次がキリト君の68だから、2つもレベルの差がついてる」

 

 信じられない。あの、引っ込み思案で臆病な姉がそこまでの存在になっていたなんて……。いや、あの事件があるまではどちらかといえば活発な方だった。それにしても、あのほんわかとした姉が、自分の身体を動かして闘うゲームで最強の位置にいるだなんて、到底信じられなかった。

 

「ただ、妙な事があってね……」

「妙な事?」

「ああ、ここ半年の間彼女は最前線及びボス攻略に一度も参加して無いようなんだ」

 

 ……どういう、事だろうか。姉は、一万人の中で頂点に位置する位の強さを持っている。なのにゲーム攻略に参加していない……?

 

「それと、半年前から一緒に居たプレイヤーとも分かれてしまっているみたいなんだ。そのプレイヤーはコハル君って名前で、常に一緒に居たんだけれど……。コハル君は生きているし、何故離れてしまったのか。単に喧嘩なのか、それとも別の理由があるのか。攻略に参加していないのも含めてそれを知るために、僕は今日来たんだ」

 

 そう言うと、菊岡さんはビジネスバッグから一本のケーブルを取り出すと姉のナーヴギアとノートパソコンを接続した。そして私にも画面が見えるように向きを変え、続ける。

 

「これで彼女の動きがより詳細に分かるはずだ。といっても行動ログと位置、そしてステータスの変動くらいしか分からないんだけどね」

 

 画面に映し出されたのは、簡素な2Dマップに、無数の光点。そして左下にはログが凄まじい勢いで流れては消えていく。

 菊岡さんはキーボードを簡単に操作すると、ごちゃごちゃとしていた画面が光点一つを残して消え、ログも流れが止まってかなり見やすくなった。

 画面上部には『Player Name:Alice』と表示されている。

 

「アリス君……君のお姉ちゃんだけを表示するように設定した。これで彼女の動きを追えるはずだ。どうやら今は……三十五層に居るようだね」

 

 菊岡さんはとんとんと画面の一部を指差した。そこには青い光が輝いており、ゆっくりとだが移動している。時折止まっては、再び移動を繰り返していて、どうやらどこかに向かっているようだった。

 

「ふむ、彼女がいるのは《迷いの森》かな? しかし、どうしてここに……。レベル上げかな」

 

 菊岡さんも姉の行動に疑問を持ったらしく、顎に手をやり不思議そうに画面を見ていた。

 

「菊岡さん《迷いの森》ってどういうところなんですか?」

「ああ、《迷いの森》はフィールドダンジョンの一つで、入るたびに中が変わっているっていう地図を持ってなければ踏破が難しい所なんだ。だけどあそこには特にクエストなんて――いや、待てよ。そういえばアーガスの社員が何か言っていたな……」

 

 鞄を漁り、一つのレポート用紙の束を取り出した菊岡さんは、それをパラパラと捲ると目的のページを見つけたのか、そこに書かれている内容に目を通し始めた。

 そして、血相を変えて画面にかじりつき、叫ぶ。

 

「まさか、一人でボスに挑む気か!?」

「ボス!? どういう事ですか!?」

「《迷いの森》はこれといったイベントが無いダンジョンだが、クリスマスになるとボスモンスターが出現するらしいんだ。噂程度でしかNPCからその情報が得られないようになってるから、挑むプレイヤーはまず居ないだろうとそれを設計したプログラマーは言っていたが……」

 

 クリスマスって……25日まで、あと1時間くらいだ。姉を示す光点は尚も、迷い無く動いている。

 

「一人でボスに挑むのだとしたら、何故……? 一体、彼女は何をしようとしてるんだ……!」

「お姉ちゃん……」

 

 きゅっと、不安を紛らわすように姉の手を握り、私はただ画面を眺め祈ることしか出来なかった。

 

 

 

 

 

 

「戦闘が始まった。こうなったら、後は彼女が無事に勝つか、通りがかったプレイヤーが助けに入ることを祈るしか出来ないな」

 

 一時間後、姉が留まっていた場所に赤い光点が出現した。あれがボスモンスターなのだろう。すぐさま姉とボスの光点が交錯し、ログに「プレイヤー:アリスが《背教者ニコラス》と戦闘開始」という文字が流れた。

 

 菊岡さんは再び画面を操作すると、マップに表示されていた光点が少し増えた。どうやら同じ層にいる他のプレイヤーの位置も分かるようにしてくれたらしい。そして画面右端には姉の名前と共に緑色のバーと、その下に《背教者ニコラス》の名前と赤いバーが出現した。恐らく姉とボスのHPを見れるようにしてくれたのだろう。

 

「頼む……君はゲーム攻略の希望なんだ、こんなところで死なないでくれ……」

 

 一通り画面を操作し終えた菊岡さんは、背もたれに寄りかかるようにして息を吐いた。

 ふと、姉の光点から少し離れたところに複数の光が姉の居る場所に向かって進んでいるのが視界に入った。

 

「菊岡さん、これ……」

「ん? ……おお! 彼らは……キリト君にコハル君!? それにアスナ君に……クライン君か! 彼らもボスの噂を聞きつけたのか……なんにせよ好都合だ! アリス君、彼らが到着するまで持ちこたえてくれよ……!」

 

 菊岡さんは、その集団に希望を見出したのか、声に安堵を滲ませながら手を組み画面を見つめた。

 姉のHPバーは減っては増えてを繰り返し、ボスのHPバーはみるみるうちに削れて行く。このままのペースなら、勝てるんじゃないか。そう思った瞬間、姉のHPバーが増えなくなった。

 

「ああ……っ! もしかして回復アイテムが切れたのか!? 頼む……頑張ってくれ……!」

「お姉ちゃん! 頑張って……!」

 

 姉の手を握り、必死に声援を送る。深夜だからと声を抑える事も忘れ、祈るように強く手を握り締めた。

 やがて、姉の戦いは終わりを迎えた。お互いHPがあと僅かというところで、『プレイヤー:アリスがソードスキル《ワールウィンド》を発動』というログが流れ、ボスのHPバーが0になったのだ。

 

「は、はは……勝ってしまった。本当に一人でボスに……。深藍ちゃん、誇っていい。君のお姉さんは現在《SAO》で恐らく最強のプレイヤーだとも」

 

 それを見届けた後、菊岡さんは安堵からかぼすんと深く背もたれに寄りかかった。

 私は、姉の凄さと、そして生き残ってくれてよかったという安心で半ば放心状態で天井を仰いだ。

 

 再び画面に目を移すと、そこには先程の集団が姉の居る場所へとたどり着いていた。そしてその集団の中の一つが、ものすごい勢いで姉の光点に重なった。これがコハルさんなのだろうか。もしかしたら、別れてから半年間姉の事を探していたのかな……。そんな想像が頭を過ぎる。

 

 次の瞬間、姉のHPバーが0になった。

 

「は……!? なんだ、何が起きた!?」

 

 菊岡さんは慌てて身体を起こし、画面を凝視する。私の目は、画面端のログを捉えていた。そこには『《背教者ニコラス》の《最後の一撃》が発動。プレイヤー:アリスのHPが全損』と表示されていた。

 

「馬鹿な……! こんな事が……!」

 

 動揺する菊岡さんを横目に、私はようやく意識が現実に戻ってきて何が起きたかを把握した。

 姉のHPが0になってしまった。それは、つまり――姉が、死ぬ?

 

「や、やだ……! お姉ちゃん!! 駄目! 死なないで!!」

「くそっ! 何か、何か方法は……!?」

 

 姉が死ぬ。その事実は私の心をかき乱し、半ば錯乱しながら姉の身体を揺する。涙で視界は滲み、姉の輪郭すらおぼろげだ。涙を拭くこともせず、私はただひたすら姉に声を掛け続けた。

 

「お姉ちゃん! 置いてかないで! もうお姉ちゃんのおやつ勝手に食べたりしないから……! 何でもするから……だから……だからぁ……お願い……死なないで……」

 

 声が震え、やがて言葉を発することも出来ずにただ泣きじゃくり縋ることしか出来ない。それでも姉の死を受け入れられず、嫌々と駄々を捏ねるように姉の胸に顔を埋める。

 

 しかし、いつまでたっても姉の鼓動が止まることは無かった。

 

「なんだ……? 何が起きてる? HPは全損したはずなのに、何故ナーヴギアが作動しない……?」

 

 ゆっくりと、顔を上げる。何があったのか、涙を拭って画面を見ると――

 

『プレイヤー:コハルがプレイヤー:アリスに対し《還魂の聖晶石》を使用。プレイヤー:アリスの蘇生に成功』

 

 という一文がログに表示されていた。

 

「《還魂の聖晶石》……は、はは……はははははっ! そうか! 蘇生アイテムか!! 良かった! 深藍ちゃん! アリス君は生き返ったんだ!」

「蘇生……アイテム……?」

「ああ! このボスは倒すとプレイヤーを蘇生できるアイテムをドロップするんだ! しかし何故それをコハル君が……? まあいい! とにかく良かった!」

 

 お腹を抱えて笑う菊岡さんを他所に、私はただ呆然とその言葉を頭の中で反芻する。やがて見回りに来た看護婦さんに怒られるまで菊岡さんは笑い続けていた。

 姉は助かった……? よく分からないが、蘇生アイテムというものをコハルさんが使用したことによって姉は一命を取り留めたらしい。

 それを理解すると同時、再び涙が溢れた。

 

「よ……よがった……お姉ぢゃん……! し、死んじゃうがど思っだ……!」

 

 溢れる涙も、鼻水も構わずに、顔中をぐしゃぐしゃにしながら姉の無事を噛み締めるように、眠る姉に抱きついた。

 菊岡さんはそんな私に気を使ってかそれ以上声を掛けてくることはせず、キーボードをカタカタと操作して何かを探しているようだった。

 

「はぁ……なるほど。アリス君とコハル君は恋人になっていたのか。それでストレージが共有されて、蘇生アイテムをコハル君が使用出来たと……」

 

 ぴたり、と涙が止まった。待って欲しい。今、恋人と言っただろうか。

 

「菊岡さん、恋人って……?」

「システム的な関係でね、恋人になれば、共有のストレージ……まあリュックみたいなものが使えるようになるんだ。それでアリス君が手に入れた蘇生アイテムを間一髪使う事が出来て――」

「そうじゃなくて! お、お姉ちゃんに恋人がいたんですか!?」

 

 死ぬほど初耳だった。あんな男のおの字も無いようなふわふわに彼氏が出来ていたなど。信じ難いと同時に黒い感情がふつふつと湧き出してくる。

 

「い、いや……システム的な関係ってだけで実際にそうだとは……というかそもそもコハル君は……」

「コハルさんがなんですか!」

「こ、コハル君は女性プレイヤーなんだよ……」

 

 …………どういうこと?

 

「え……? コハルさんて、女性なんですか? あれ? でも恋人って……」

「ああ……バグ、なのかな。アリス君もコハル君も両方女性でありながら恋人に――って、あ」

 

 菊岡さんが、何かに気づいた様に声を上げた。その視線の先には行動ログが。釣られて、私もログに目を通す。そこに表示されているのは――

 

『プレイヤー:アリスとプレイヤー:コハルが婚姻関係を結びました』

 

 拝啓、お姉ちゃんへ。

 無事に帰ってきたら聞きたいことが山ほどあります。まずは、コハルさんとどういう関係なのか、洗いざらい吐いてもらいます。それはもうキリキリと。そして実際に会わせてもらいます。その上で、コハルさんがお姉ちゃんに相応しいか、私が見極めます。

 

 だから、早く帰ってきてください。そして、ゲームの中での冒険の数々を聞けること、楽しみに待ってます。

 愛しの妹より。




・アリスの眠る病院
 考察サイト等で有力候補とされている防衛医科大学としています。ちなみに触れてませんがキリトもこの病院にいる設定です。

・アリスの家族構成
 父母妹の四人家族。妹の名前は深藍(みお)。苗字及びアリス本人の名前に関しては今は秘密ですが、既に何にするかは決めています。深藍はアリスの一つ年下です。

・菊岡及びその他機器
 菊岡はゲーム内部の情報収集に努めており、それを被害者家族に伝える役職を請け負っています。使用したノートPCとケーブルはナーヴギアと接続することでゲーム内情報を閲覧できる優れもの。しかし三次元のデータ処理を無理矢理二次元的な処理に落とし込んでいるため大雑把な行動ログしか把握できず内部の人間がどういった理由で行動しているのか等は分かりません。エクストラで菊岡がキリトに中での話を聞いたのはこのため……という設定です


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