SAOif 紅の戦姫と蒼の聖女   作:百合好きの獣

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呪文詠唱って、ロマンですよね




妖精達の闘舞3

 リーファは半ば感嘆し、半ば呆れながらその戦闘光景を眺めていた。

 半分は的確な支援を最適なタイミングで飛ばすコハルへ、もう半分はバーサーカーさながらにひたすら暴れまわるキリトへ向けたものだ。

 

スー・ティル・アルオ・スロック・ヴェルヴ(汝の呪いを解き放つ)!」

「うっらああああああ!」

 

 コハルの唱えた呪文によって、キリトに掛かっていたステータスダウンの状態異常は解かれ、弾丸のごとき早さで羽の生えた大トカゲへと突貫していく。

 

 一振りで羽を絶ち、一振りで首を狩る。

 

 シルフ領の初級ダンジョンではボス級の強さを誇る大トカゲこと《イビルグランサー》3体を、身の丈と変わらぬ大きさの両手剣で嵐のように切り刻んでいく。

 

 凄まじい、と思った。

 

 キリトの戦闘能力の高さもさながら、コハルの支援もまた別格なのだ。

 

 《イビルグランサー》の特徴として、邪眼と呼ばれるステータスダウンの状態異常を付与してくるカース系の魔法攻撃がある。1体が相手であれば対策をしていればさほど問題がないのだが、複数体が相手だと話が変わってくる。解呪魔法を打っても、また別の固体が状態異常攻撃をしてきて、それを回復する頃にはまた別の固体が――といったループに陥りがちなのだ。

 しかしコハルは邪眼を撃たれたら即回復するのではなく、他の固体の魔法を妨害してから解呪する。時にはリーファに指示をだし、時には自身が攻撃を加えて。

 

 キリトがその戦闘能力を十全に発揮できるのもコハルの的確な支援があってこそ。こういう味方が一人でもパーティに居ると格段に戦闘効率が良くなることをリーファは実経験から知っていた。

 

「|セアー・スリータ・フィム・グローン・ヴィンド《風の刃で敵を打ち切れ》!」

 

 当初五体居た《イビルグランサー》はあっという間に叩き切られ、最後の一匹が残りHPが僅かになったところで逃走を図った。その後姿にリーファは遠距離ホーミング系の真空攻撃魔法を放ち、止めを刺す。

 青い爬虫類の巨体がポリゴン片となって爆散したところで、本日五度目の戦闘は終了となった。

 

「お疲れ様でした」

「お疲れ。援護サンキュー」

 

 ぱしんとハイタッチを交わす二人を見て、このゲームを始める前から知り合いだというから何か別のVRMMOでもやっていたのだろうかとリーファは思う。それほどまでに戦闘慣れしすぎているのだ、この二人は。

 

「お疲れ様。二人ともなんだか随分と戦闘慣れしてるけど、他のゲームやってたの?」

「え? えっと……まあ、やってたというか、やらされてたというか……」

 

 リーファの質問に、コハルは目を泳がせた。まあ、リアルの話を持ち出しすぎるのもマナー違反であるし面白くないとリーファはそれで取りあえず納得することにした。

 

「ふうん……まあいっか。じゃあ先に行こっか」

「はい」「おう」

 

 頷きあい、翅を鳴らして飛翔する。赤々と燃え始めた太陽に照らされ、金緑色の草原が森の彼方に垣間見える。

 《スイルベーン》を出発してから2時間と少し。既に翡翠色の塔群は遥か後方へと遠ざかっていた。

 

 

 

 

 

 

 ローテアウト、という概念があるらしい。

 中立地帯では即時ログアウトが出来ないため、パーティプレイの場合はローテーションでログアウトと見張りを担当するらしい。

 時刻は現実時間で夜19時頃。シルフ領からアルン――世界樹の根元にある巨大な中立都市――へと向かう際に、そこを隔てる山脈は飛行高度限界よりも高いため、歩いて乗り越える必要がある。

 長旅になるし、キリもいいからということでコハル達は一度食事休憩の為ローテアウトをする事になった。

 

 まずはコハルとリーファの二人が最初に落ちた。

 コハルはアミュスフィアを脱ぎ捨てると手早く食事を取り(昨日から作り置きしておいたカレーがあった)、軽くシャワーと着替えを済ませるとすぐにALOへと再びダイブした。

 目を覚ますと、傍らでユイと共に何事かを話しているキリトが片手を上げながら出迎えてくれた。

 

「お待たせしました」

「お帰りなさい、コハルさん!」

「お帰り、随分早かったな」

「食事は作り置きしてたもので簡単にすませちゃいましたから」

 

 そのままコハルも混ざり、三人で他愛もない談笑を続ける。

 SAOでずっと料理スキルを使用していたせいで現実での料理が少し億劫になってしまった話や、メニューを開こうと意味も無いのに右手を振ってしまったといったような話。

 やがてそれぞれの武器の話になった。

 

「そういえば、コハルさんは結局魔法メインで戦うんですね?」

「うん。短剣もキリトさんに一応買ってもらったけれど、私のスキル熟練度だと前に立った場合キリトさん達の邪魔になると思って。いざという時は私も前に出るけど、基本は魔法で後方支援に徹しようかなって」

「まあ、コハルはSAOの時から指揮官タイプだったし後ろで支援してくれると安心して戦えるよ」

 

 そんな風に気安い会話をしていると、やがてリーファが目を覚ました。

 

「ただいま。ん? なんか楽しそうだね。何話してたの?」

「前に居たゲームでの話だよ。お互いの戦闘スタイルがそれに引張られて引張られてるなって話」

「ああ、キリト君どこでも脳筋プレイしてそうだもんね」

「なんだとぅ? まああながち間違ってないんだけどさ。――じゃ、俺もメシ食ってくるかな」

 

 キリトがメニューウィンドウを操作しログアウトすると、アバターは自然と待機姿勢を取った。しかし尚もコハルの肩の上で楽しそうに揺れているユイを見てリーファが驚いたような声を上げる。

 

「驚いた、あなたご主人様がいなくても動けるの?」

 

 ユイが当然と言わんばかりに腰に手をあて、胸を張る。

 

「勿論です。私は私ですから。それと、ご主人様じゃなくて、パパです」

「あっそうだ、そういえば……なんでキリト君の事をパパって呼ぶの? 彼がそういう風に設定したんじゃ……」

「……パパは、私を助けてくれたんです。俺達の子供だ、ってそう言ってくれたんです。だからパパはパパです」

「そ、そうなんだ……ってことはママは……」

 

 ちらりと、リーファの視線がコハルを捕らえた。コハルは苦笑しながら手を振り否定する。

 

「私じゃないですって」

「ほんとぉ……?」

 

 疑いの視線が強くなり、コハルはどうしたものかと困ったように笑いながら頬を掻いた。

 

「コハルさんはママではありませんよ」

 

 口を開いたのはユイだ。

 

「だってコハルさんの大切な人はお姉ちゃ――」

「わー! わー!! ユイちゃん言わなくていい! 言わなくていいから!」

 

 何事かを口走ろうとしたユイを、慌てて遮るように口を止める。

 

「大切な人……?」

 

 どうやら、大事な所はぎりぎり隠せたらしい。リーファはそれよりも大事な人というワードが気がかりなようだった。

 

「えっと、そうですね……大切な人で……ずっと、隣に居たい人です」

 

 脳裏に焼きついた、彼女の笑顔や自分を呼ぶ声、甘えたような仕草を思い出すたびに胸が高鳴る。身体が熱くなる。

 頬に感じた熱を冷まさそうと、夜の森で冷えた手を当てるとリーファが黙っていることに気がついた。顔を上げると、リーファの端整な顔立ちに朱が混じりこちらを凝視していた。

 

「わ、わぁ……コハルさん、なんていうか……色っぽいなぁ」

「えっ? そ、そうですか?」

「はい、なんていうか恋する乙女! みたいな感じで……当てられちゃうなぁ」

「なっ、別に、そんなんじゃ! ないですって!」

 

 お互い顔を真っ赤にしながらばたばたとしているところに帰ってきたキリトが、何事かと首をかしげた。

 その様子を見ていた小さな妖精はくすりと笑みを溢したのだった。

 

 

 

 

 

 

「ん?」

 

 最初に違和感に気づいたのはキリトだった。

 遅くなる前に鉱山都市――《ルグルー》という山の内部にある中立都市にたどり着かねばということで出発してすぐにキリトが足を止める。

 そして少し遅れてコハルも何かを感じ取った。

 

「……なんか、見られてます?」

「うーん、ユイ。近くにプレイヤーは?」

「いいえ、反応はありません」

 

 ふるふると首を振り否定したユイに、尚も納得が行かないようにうーんとキリトは首を捻った。コハルも拭えない違和感に顔をしかめる。

 

「見られてる、って……そんな事分かるの?」

「えっと、まあ、本当に些細な違和感なんですけど……」

 

 ALOだけではなく、VRMMO全般に言える事だが所謂気配を感じるといった第六感のような機能は当然ながら搭載されていない。それでもSAO時代の時からこうして時折見られているような感覚に囚われることがままあった。

 キリトに言わせれば、誰かがこちらを見ているときにシステムが自身を参照しそのデータを渡す――その流れを脳が察知しているのではないかとのことだが、実際は分からない。

 SAOに居たときから俗説として鼻で笑われてきたその《システム外スキル》だが案外馬鹿に出来たものではなく、キリトやアリスはそういった違和感を感じ取るのに長けていた。その二人を側で見ていたからかコハルもある程度は知覚できていたし、攻略組はほぼ全員がそれを習得していたともいう。

 

「でもユイに見えないなら誰も居ないんだろうしなぁ……」

 

 ユイは《MHCP-001》だった頃とは違い、この世界ではGM権限は持たない。それでもある程度のシステムに対するリファレンスや広域マップへのアクセス等規格外の能力をその身に宿しているのだが、そのユイが見えないということは気のせいか――あるいは、相当遠くから見られているかだ。

 

「あ、もしかしてトレーサー?」

 

 コハルは一つの仮説に思い至った。攻略サイトで魔法に関するあれこれを読み漁っていたときに目にしたものだ。リーファがそれに追随するように口を開く。

 

「トレーサー? 確かにそれならありえるかもしれないけど……でも、こんな広いとこで見つけるのは無理よ」

 

 トレーサーとは追跡魔法の一つで、小さな使い魔(種族や魔法の使い手によってその姿は異なる)を放ち対象の位置を知らせる魔法だ。

 熟練度が高いプレイヤーが使っていた場合、対象からかなり離れていてもトレーサーをくっつけることが出来、今のような鬱蒼とした森の中では発見はほぼ不可能だ。

 

「まあ気のせいかもしれないしな……先を急ごうぜ」

 

 そう言ってキリトは翅を広げ空に上る。遅れてリーファとコハルも飛行を開始した。

 

 数分間の飛行で、白き山脈――鉱山らしい――の中腹にぽっかりと空いた洞窟の前にたどり着いた。

 ほぼ垂直の絶壁の真ん中に、真四角に切り取られたようにしてその洞窟はあった。遠目からでは判らなかったが、外壁にはおどろおどろしいモンスターの絵が掘られており、上部中央には悪魔の首がこちらを睨むかのようにして突き出ている。

 

 まさに、ダンジョンといった様相だった。

 

 先頭をキリト、次にリーファ、最後尾にコハルの順で洞窟に侵入すると、ひんやりとした冷気があたりを満たしていた。

 先に進み、辺りが薄暗くなってきた頃にコハルが口を開いた。

 

「あ、キリトさん。灯りの魔法は使えますか?」

「灯りの?」

「はい。私が使ってもいいんですけど、スプリガンの灯りの魔法は暗視能力の付与なので目立ちませんから」

 

 コハルがそう言うと、キリトが困ったように頭を掻いた。

 

「呪文覚えてない……」

「あはは……じゃあ、私が言うので続けて詠唱してください」

 

「オース・ナーザ・ノート・ライサ・アウガ」

 

オース・ナーザ・ノート・ライサ・アウガ(我らに闇を照らす目を与えよ)

 

 たどたどしくはあったが魔法の発動に成功し、キリトの手から仄白い光が広がり全員を包んだ。とたんに先ほどまで薄暗かった洞窟内が鮮明に見渡せるようになる。

 リーファはひゅうと口笛を吹いて感嘆したように声を上げた。

 

「便利な魔法もあったものね……というかコハルさん、もしかして魔法の詠唱全部覚えてるの?」

「さすがに全部じゃないですよ。風魔法と、後は一通り使用頻度の高そうな共通魔法……それと、キリトさんがスプリガンだったので闇魔法の中から使えそうなのをいくつか。あ、仮想敵としてサラマンダーが接触してきた場合も考えて火属性の攻撃魔法を数個くらいです」

 

 昨日ログアウトしてから今日の15時に再びログインするまで、コハルは魔法の知識の習得に時間を費やした。あまり時間が無かったためそれほど種類は覚えられなかったと照れながら言うと、リーファは頬を引き攣らせた。

 

「いや、十分すぎ……っていうかその短期間でこれだけ覚えるってどんな記憶力してるのよ……」

「昔から、記憶力には自信があったんです」

 

 おどけたようなコハルの隣で、キリトはどこからか紫色に発光する本――リファレンス・マニュアルを取り出し読んでいた。どうやら呪文を習得しようとしているらしく、覚束ない様子でスペルを口にしている。

 が、難しかったのかすぐに本を閉じてしまった。

 

「うへぇ……まさかゲームの中で英熟語の勉強みたいなことするとは思わなかったなぁ……俺もうピュアファイターでいいや……」

「ま、まあ適材適所ですよ。けどスプリガンの魔法も使えそうなものがいくつかありましたよ」

 

 そう言ってコハルはいくつかの魔法をピックアップした。スプリガンの魔法は地味だが、隠密や探知、隠蔽など役に立つ魔法も多いのだ。

 

「スペルも覚え方を知っちゃえばすぐに覚えられますしね」

 

 ALOにおける呪文のスペルは、古ノルド語をベースとした独自文法で構成されている。

 まず、先頭には5つの主語――対象を示すワードが必ず入る。

 

 エック――我は

 スー――汝は

 シック――我を

 セアー――彼らは

 オース――我らを

 

 これから単体なのか範囲なのか、対象が自身なのか相手なのかを分け、その後にスペルが何語か続く。

 そのスペルも意味があり、丸暗記でなく言葉の意味を先に知り、効果と関連付けさえすれば簡単に覚えられる。古ノルド語といってもいくつかは英語と似通ったワードもある上に、発音に関しては割りと棒読みでもちゃんと魔法が発動するのだ。

 

「呪文の和訳なんかが載ってるサイトもあったので、それを見たらすぐですよ」

「まじか、確かに呪文詠唱ってロマンだしな。ログアウトしたら見てみることにするよ」

 

 そんな益体も無い話をしながらコハル達は洞窟を進んでいく。道中戦闘が数度あったものの、ユイの正確無比なモンスターの探知やキリトの無双、リーファの魔法攻撃によってさほど苦も無く突き進むことが出来た。

 半ばを超えた辺りで、不意にユイが声を上げた。

 

「パパ、接近する気配があります」

「モンスターか?」

 

 キリトが咄嗟に背中の巨剣の柄に手をかけた。あわせるように、コハルも手にした杖を握り締める。

 

「いえ――プレイヤーです。多いです。……十二人」

「十二……?」

 

 その数にコハルは嫌な予感がした。パーティ単位としては多すぎるのだ。ここは中立地帯、シルフ領から近いとはいえ多種族のPK集団が来ないとも限らない。

 リーファも同様に警戒したらしく、緊張した面持ちで口を開く。

 

「なんかヤな予感……ちょっと隠れてやりすごそっか」

「隠れるって……どこに?」

 

 見たところこの洞窟は多少のくぼみはあるものの一本道であり、隠れるような通路などは見られない。

 訝しげなキリトにリーファはすました笑みを浮かべると少し大きめのくぼみへと身を潜め、二人を手招きした。三人で入ると多少狭いものの、リーファは気にした風でもなくスペルを唱える。

 

「|オース・シャール・オービス・グロン・ロプト《我らを不透明な緑風で包め》」

 

 囁くような詠唱に続いて、緑色の風が三人を包んだ。

 

「喋るときは最低限のボリュームでね。音を立てると魔法が解けちゃうから」

 

 コハルとキリトは無言で頷くことで肯定する。

 

「あと二分ほどで視界に入ります」

 

 通路の奥――暗闇に包まれたそこを凝視しながらコハルは身を縮めた。やがて耳に微かな足音と――重金属の擦れる音が届いた。

 

「あれは……なんだ?」

 

 キリトが頭上でひょいと首を伸ばし不明集団が接近してくる方向を睨んだ。コハルも視線を巡らすと、何かが目に入った。

 赤い、小さな――コウモリ?

 コハルははっと目を見開き、リーファに声を掛けた。

 

「リーファさん! あれを打ち落としてください! ――トレーシング・サーチャーです!」

「っ!」

 

 通路から転がるように飛び出たリーファが両手を翳し叫ぶ。

 

「|エック・スキート・トゥトゥーグ・スマール・ストリーダ《小さき針で射止めよ》!!」

 

 スペルを唱え終えた瞬間、リーファの指先からエメラルド色の針が無数に発射される。

 ビィィと空気を切り裂き進む針の内の数本がコウモリを捕らえ、串刺しにする。小さな炎に包まれたそれはやがて消えていった。

 

「街まで走りましょう!」

「え……また隠れるのはダメなのか?」

「トレーシング・サーチャーは潰されたらその場所も術者には伝わっちゃうのよ。どうせこのあたりにきたらトレーサーを撒くだろうしとても隠れきれないわ。それにあれは火属性の使い魔で――」

「ってことはサラマンダーか!」

 

 三人で脱兎の如く駆け出す。

 ユイのナビゲートによれば、洞窟はもうすぐで終わりその先に《ルグルー》がある。そこまで逃げ込めれば――

 

「トレーシング・サーチャーってトレーサーと違うのか!」

「トレーサーの上位魔法よ! 追跡だけじゃなくて隠密状態の看破もできる火の高位魔法!」

「なんだってこんなとこに!」

「わかんないわよ!」

 

 言い合いながらも三人は洞窟をひた走る。

 その最中、コハルはどうしても頭にひっかかることがあった。

 トレーサーを付けられていたということは、最初から狙いは自分達だったということだ。その理由は定かではないが、それよりもどうやってトレーサーをつけたのかが気になった。

 つけられたとすれば、まだコハル達が《スイルベーン》に居た頃だろう。それ以外ではユイが常に周囲を警戒していたからだ。

 だとすればおかしいことが一つある。先ほどの使い魔は火属性。さらに高位の魔法だ。使えないわけではないが、シルフが使用するためには相当な熟練度上げが必要になる。まだサラマンダーが使用したと考える方が自然だ。

 

 ということは、サラマンダーが《スイルベーン》に侵入していた……?

 

 他種族のホームタウンに入ることは容易いことではない。入ったところで、自身は攻撃できないがその街の種族は攻撃できるのだ。さらに敵対種族であるサラマンダーに対しては、門番NPCが発見次第攻撃するように設定されていると聞いた。そんな中《スイルベーン》にサラマンダーが来るのはわざわざ殺されに行っているようなもので、何の目的があって――

 

 いや、違う。

 

 キリトが《スイルベーン》でも無事であったように、シルフが中に手引きをすれば比較的安全に街に入る事が出来る。だとすればサラマンダーがコハル達に気づかれずに魔法を使用することも可能だろう。特徴的な赤い髪はフードやらなにやらで隠せばいいのだから。

 そしてシルフならば《スイルベーン》に安全に入れる道を知っていてもおかしくないだろう。

 

 だとすれば考えられるのは、シルフの誰か――それも、抜け道を知っているような割と上位のプレイヤーがなんらかの目的でサラマンダーと手を組み、街中へと手引きした……。

 

 何か、事件が起きようとしている。

 走り続けながら、コハルは戦慄を感じ身震いする。

 

 やがて、洞窟が終わり視界が開けた――

 

 




スペルにルビ振ったらスマホだとルビになってるのとなってないのがありますね……何が悪いのか……。PCだと全部ルビになってるのに

・魔法のスペル
参考サイト:ソードアート・オンライン まとめwiki
古ノルド語主体とは書きましたが、原作およびアニメで描写のされない解呪魔法はオリジナルで、古ノルド語の翻訳が難しかったため比較的近いアイスランド語を参考にしています。
また、リーファの使用した隠密魔法は主語がオースではなくエックであり、その後再帰代名詞が使われたりしていますが、作者の頭がよろしくないため簡略化するべくオースとしています。割と適当なのでそういうものだと思ってください……

・ALOにおけるコハルの装備
メインは杖。サブに短剣を持っています。莫大なコル――もといお金を持っていたキリトが奮発して買ってくれました。
やはりコハルは最後まで遠慮していましたが、自身の強化がその後の攻略の助けになると説得されたため、なんらかのお礼をするということで落ち着いています。

・ALOにおけるコハルの見た目
描写はしていませんが、リーファのような金髪ではなく若葉色のセミロングを後ろで束ねてます。【サマーガール】コハルの髪色を変えたような形だと思っていただければ。

今回の犠牲者 レコン、シグルド
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