SAOif 紅の戦姫と蒼の聖女   作:百合好きの獣

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ちょっと筆が止まってしまい他の小説を読んだりSAOFBのDLCをやってたりしたら遅れてしまいました。

けしてANTHEMに夢中になっていたとかそういうわけではなくてですね。ええ……


銃の世界 2

「うるさい、臭い、乗り心地悪い」

「おまえなぁ……」

 

 かぽりとヘルメットを脱ぎ、私は開口一番文句を口にした。

 キリト――和人はやれやれと肩を竦めるとわかってないなという風に鼻を鳴らす。

 

「このサウンドが解らない内は、風になんてなれないぞ」

「それなら私は風になれなくていいや……」

 

 軽口を叩きながらも、私と和人は千代田区にある都立のかなり大きい病院へと足を踏み入れた。

 私も和人も覚醒後のリハビリはここで行っていた為、勝手知ったる足取りで院内を進んでいく。

 菊岡との会談――という名の仕事の依頼を終えてから一週間後の土曜日。ガンゲイル・オンラインにログインする場所が用意できたと指定されたのがこの病院だった。

 

「小春には説明してあるのか?」

 

 病院内だから気を使ってか、小声で和人が問いかけてきた。

 説明というのは、今回の調査の事だろう。

 

「うん、とーぜん。最初は全然乗り気じゃなかったけど、良いって言ってくれたよ」

 

 隠し事はしないと決めたんだ。こういう大事な事は報告しなくちゃ。

 小春はしぶしぶといった形だったけれど、そこまで話が進んでるならもう止められないと承諾してくれた。また和人も一緒にリサーチに加わるという事も伝えれば、それなら自分は外から出来る限り調べてみると手伝いまで申し出てくれたのだ。

 

「こっちも同じ感じだ。まあ九分九厘までただの噂だと思うけどな……」

 

 受付を過ぎ、エレベーターに乗りつけ、いくつかの病室を通り過ぎたあたりで患者の名前の書かれていない一室を見つけた。

 入院棟3階の12号室。菊岡から届いたメールによれば、ここで間違い無さそうだ。

 

「おっす! 桐ヶ谷君、深紅ちゃん! お久しぶり!」

 

 入室した私達を出迎えたのは、私がリハビリの時にお世話になった看護婦の安岐さんだった。相変わらず、女性らしさの塊というか、すらりとした長身にメリハリのあるグラマラスな容姿のナースさんだ。

 私は隣でぴしっと固まってしまった和人に肘鉄を食らわせてから頭を下げた。

 

「お久しぶりです安岐さん」

「ご……ご無沙汰してます……」

 

 和人が何をするといった表情でこちらを睨むが素知らぬ顔。明日奈以外に鼻の下を延ばしそうになった和人がいけないのだ。

 安岐さんは私達のやりとりを見てくすりと色っぽい笑みを溢すと、つかつかと私に近寄り――両腕で私の胸を鷲掴みにした。

 

「ふぇっ!? あっ、安岐さん! 何を!?」

「んー、ちょっと深紅ちゃんまたおっきくなったんじゃない? お姉さん嫉妬しちゃうわぁ~」

「ちょ、ちょっと! んぅ?! やめ――」

 

 それから数分に渡り胸だけに留まらず全身を弄られた私は、ぜいぜいと荒い息を吐き乱れた着衣を直した。

 心なしかつやつやとした表情の安岐さんは、満足したといわんばかりにふうと恍惚なため息を漏らす。

 

「いやぁ、堪能したわぁ……あ、桐ヶ谷君戻ってきて良いわよ」

「そうですか……」

 

 途中で強制退室させた和人が、呆れたような表情で再び室内へと入ってきた。

 安岐さんは気を取り直すようにこほんと咳払いを一つして、口を開いた。

 

「二人とも話は聞いてるよー。お役所の方に頼まれて仮想? ネットワーク? の調査をするんだって? それで二人のモニターチェックをやってほしいって、二人のリハビリ担当してた私に話が来たってわけ。さすが国家権力って感じよねぇ、すでにウチの師長にも話がいってるし。とりあえず、またしばらくよろしくねー」

 

 ひらひらと、気安いノリで手を振る安岐さんに変わらないなぁと苦笑する。

 

「あー……それじゃあ早速ネットに接続するんで……」

 

 和人が頬をかきながら言うと、もう準備は出来ているからとベッドに案内された。

 あの世界に囚われていた時にもお世話になっていたジェルベッドが二台横並びに置かれており、それぞれ枕元に真新しいアミュスフィアがある。ベッドの近くには使用方法の分からない仰々しい機械も設置されている。

 万が一も無いようにと、菊岡が本気で私達の安全を気に掛けている事が見て取れた。

 

「それじゃ二人とも、服脱いで?」

「「はぁっ!?」」

「電極、貼るから。どうせ入院中に全部見ちゃったんだから今更今更。ほらちゃっちゃと脱ぐ!」

 

 強引に剥かれそうになったが、なんとか安岐さんを説得し上半身のみの脱衣で許してもらえた。尚、和人とのベッドの間には医療用カーテンを引き、更に先にダイブさせることで心の平穏を保つことが出来た。

 

 

 

 

 

 

 ログインして真っ先に思ったのは、空が違うなという事だった。

 空が赤い。いや、赤いというよりは、赤みがかった黄色と言うべきか。SAOやALOとは違い、どこか寂寥感のある黄昏空だ。

 

 GGOの中央都市《SBCグロッケン》は、鋼鉄で出来たような都市だった。

 どの建物も黒々とした色合いで、高層建造群が我先にと黄昏空へ向かい伸びている。その建物の間に同じくメタリックな質感の空中回廊が所狭しと張り巡らされ、まさしくSF世界の都市といった威容だ。

 

 行き交うプレイヤー達もまた、異様だった。

 異様というのは私がファンタジーな世界観のゲーム出身だからで、このゲームのプレイヤー達はそれが正常な姿なのだろうけど、やはりひらひらやきらきらといった形容詞の似合う服装が主だったALOに対し、私の目前を通り過ぎていくプレイヤー達は皆実用性重視、装飾性の少ないミリタリージャケットやスーツを着込み、黒光りする無骨な武器――銃器を肩や腰に下げている姿は、やはり別のゲーム何だと感じさせるものがあった。

 男女比はざっとみて九対一くらい。というか、女性プレイヤーらしき姿が私と、あと一人、すぐそばのミラーガラスを覗いている髪の長い子ぐらいしか見当たらない。

 

「な……なんだこりゃぁ!?」

 

 突然、その女の子が奇妙な悲鳴を上げた。まるで男性のような口調のそれは周囲のプレイヤーも驚き振り向くほどだったが、当の本人はそれに気づく事無くガラスを見入っていた。

 

 なんだか恐そうだなぁ……。同じ女性プレイヤーだから話を聞こうかと思ったけれどやめておこう……。

 

 そもそも、私は対人スキルが低いのだ。慣れた人ならいざ知らず、知らない人に自分から話しかけるなんて高難易度ミッションは到底クリアできる気がしない。だからこそ、先にこの世界にダイブしているはずのキリトと合流したいのだけれど……見渡す限り、キリトらしき影はなかった。

 

 なんだろう、やけに視線を感じる。キョロキョロと視線を動かすと何人かのプレイヤーらしき人物と目が合うがすぐに逸らされてしまった。

 そういえばコンバートしたからアバターの見た目も変わってるんだったと思い出す。目線の高さが現実の私より高い気がするから、もしかしたら結構変わってるのかもしれない。

 気になった私はミラーガラスへと近寄った。……件の女性プレイヤーから少し距離を取って。

 

「お、おお……?」

 

 見た事の無い美少女が、そこに居た。

 いや、鏡を見ているのは私なんだから、鏡に映っているのは私のアバターのはずだ。

 実はこれ、鏡じゃなくてガラスじゃないのとぺたぺた触って確認してみると、映った美少女も同じ動きをしているからやっぱりこれは私で間違いなさそうだ。

 

 でもすぐには信じられそうになかった。

 

 光沢のある上質な絹糸のようなプラチナブロンドの髪は、長さで言えば現実の私の半分くらい。丁度肩甲骨の辺りまでの長さで、左右の髪を後ろでまとめハーフアップにしている。

 すらりとシャープな輪郭に、すっと通った鼻筋。大きな紅玉色の瞳はどこか高貴さを感じさせる。

 口元には薄くグロスが引かれており、ふっくらとした唇が女性らしさを強調していた。

 一方体型はといえば、これもまたバランスが取れたプロポーションで、身長はおよそ160cm位だろうか。腕も足も折れてしまいそうな程に細く、それとは対照的に胸は大きすぎず小さすぎずといった程度。

 まるで神様手ずから造型したかのような、眼を奪われるような美少女。

 

 はっきり言って、誰だこれ、だ。

 

 目立つことには目立つけど、強さという点で見ればむしろか弱そうな印象だ。これでは強いプレイヤーを狙うという死銃にターゲットにしてもらうことは――いや、むしろ都合がいいかも?

 一見弱そうな見た目のプレイヤーが、大会とかで大活躍をすれば注目されるに違いない。

 大会は、まさに今日からバレット・オブ・バレッツという最強プレイヤーを決定するものが行われるとキリトが言っていた。この目立つアバターで本戦にまで出場できればこれ以上無いアピールになるだろう。

 SAOからALOへ引継ぎ、二年以上も鍛え上げたこのアバターならステータス的には問題ないはず。後は実際に銃撃戦を経験してみなければ分からないけど……。 

 

 まあ、やれるだけやってみよう。最悪私かキリトのどちらかが出場できればいいんだし。

 で、そのキリトは一体どこに行ったんだろう?

 

「あのぉ……」

 

 首を傾げていると、背後から突然声を掛けられびくりとした。振り向くと、先ほど変な叫び声をあげていた女性プレイヤーがおずおずといった様子で片手をあげている。

 

「な、なんでしょう」

 

 人見知りモード発動で、ぎぎぎとぎこちなく笑みを浮かべた。……浮かべられているだろうか。

 

「すみません、この辺に安い武器屋ってどこか分かります?」

 

 どうやら少しは効果があったらしい。黒髪の女性は少し安堵したような表情で言った。

 だけど道を知りたいらしい彼女の力になれそうにはなかった。

 

「ごめんなさい、私もこのゲーム初めてで……」

 

 言いながら、メニューを開いてマップを確認し辟易とする。

 あまりにも複雑すぎる多層構造のこの街は、マップを確認したところでイコール目の前の光景に結びつかないのだ。その中から目的地を探し出したどり着くには多大な労力が必要になるだろう。

 

 私は少し考えてから、口を開いた。

 

「良かったら、探すの手伝いますよ。私も武器屋には用があるので」

「えっ、いいんですか?」

 

 どのみち大会に出るために武器を調達しなければならない。いい武器屋を探さなければならないが、この広大なマップの中を一人で探索するよりかは二人で探した方が効率もいいだろう。

 キリトには悪いけど、ここはこの女の人を手伝おう。この近くに居ないってことは先に行ったのかもしれないしね。キリトもBoBに参加するつもりなら、どちらにせよ向こうで合流できるだろう。

 

「とりあえず、メインストリートに行きましょっか」

「あ、えっと、ありがとう……ございます?」

 

 探し物をするならまずは大通りから。コハルとのショッピングで得た教訓だ。

 やや遠慮がちな黒髪の少女を連れて、私はメインストリート目指して歩を進めた――

 

 数分後。

 

「迷ったね……」

「そうですね……」

 

 あっちこっちと道を変えたのがいけなかったのかもしれない。私達は当然のようにあっという間に道に迷っていた。

 

「ごめんなさい、裏通りの方が安い武器屋があるかもなんて言ったせいで……」

「ううん、私もそう思ったし……」

 

 マップを開いて現在位置を確認するが、自分が今どこにいるのかすら分からない。別段方向音痴ってわけじゃないけど、流石にこの複雑さは迷うというものだ。

 

 道中、黒髪の少女と少し話をしてなんとなく気心がしれた気になった私は敬語を使うことを辞めていた。

 なんと彼女もBoBに参加するつもりで別ゲームからコンバートしたそうだ。凄い偶然だねと二人で笑った。そして彼女は、割と人見知りの気がある私でもすぐ打ち解けてしまえる程に気さくな人物だった。……何故か時折笑いを堪える仕草があったけど、どうしてだろう?

 

 人通りが多いとはいえない路頭で、二人してうーんと頭を捻る。私達の目的は武器屋と、BoBに参加するために総督府に行くこと。大会にはエントリーすらしていないから、あまりもたもたしてられない。となれば。

 

「こうなったら道を聞いてみよっか? えーっと」

 

 MMORPG――大規模多人数同時参加型ゲームの強み。困ったら人に聞く、だ。

 私は通りがかる人の中からある影を見つけ、駆け寄った。

 

「すみません、道を聞きたいんですけど」

 

 私の声に振り返ったのは、女の子だった。

 ペールブルーの髪は無造作なショートヘア。猫科の動物のような藍色の瞳に、ぷっくりとした薄紅色の唇。少し開いたジャケットの奥では確かにふくらみが見て取れる。

 どこからどう見ても、まごうことなき女の子だ。

 

 この絶望的な男女比の中からよくぞ見つけられたと自分を褒めてやりたい。

 威圧的な雰囲気の男性プレイヤーに話しかけるなど、私には到底無理なのだから。

 

 女の子の方は、最初こそ警戒したように怪訝な表情だったが、私の顔を見て目を見張り、しげしげとこちらを眺めた。

 な、なにか変だっただろうか。知らない人に自分から話しかけるなんて滅多に無いから何か間違えてしまったのかもしれないと内心少し慌てると女の子がすぐにごめんなさいと謝罪してきた。

 

「ごめんなさい、あまりに綺麗だったから驚いちゃって……」

「あ、ありがとう……?」

 

 褒められるのは苦手だ。けれど今褒められているのは私ではなくこのゲームの現実離れした見た目を持つ私のアバターであり、なんともいえない気分になる。

 これがSAOやALOでだったらきっとドキドキしてしまって大慌てだっただろう。

 

「このゲームは初めて? どこに行きたいの?」

 

 女の子はふわりと頬を緩め微笑み、そう言った。

 なんだか優しそうな人だと、私も胸を撫で下ろす。

 

「えっと、とりあえず安い武器屋と、あと総督府に行きたいの。連れも居るんだけれど、道に迷っちゃって」

 

 影で成り行きを見守っていた黒髪の少女を手招きすると、彼女はおずおずと近寄ってきた。

 

「ど、どうも……」

「あ、どうも……。ところで武器屋は分かるけど、総督府はどうして?」

「今日やるっていうバトルロイヤルの大会に参加したいんだ」

 

 私がそう言うと、ペールブルーの女の子は目を点にして驚いた。

 

「え、ええと……参加しちゃいけないって訳じゃないけど、あなた達って初心者なのよね? 悪いけど、ステータスが……」

「それは大丈夫。私達、別ゲームからのコンバートだから。その点は平気」

 

 プレイ時間にして二年と数ヶ月。別ゲームではトッププレイヤーの端くれだったから……とは流石に言わないけれど。

 女の子の顔に笑みが浮かび、藍色の瞳がきらりと輝いた。

 

「へえ……じゃあ、なんでこのオイル臭くて埃っぽいゲームに来ようと思ったの?」

「うーん、今までのがファンタジー系だったから、SFっぽいのにも挑戦してみたくて。銃での戦闘もちょっと興味あったし」

 

 まさか仕事でやってきましたなんていう訳にはいかず、当たり障りの無い理由をあげる。まあ私がどの程度銃での戦闘に通用するか興味があったのは本当の事だしね。

 隣の少女に視線を移すと「私もそんな感じです」と首肯した。

 

「そっかー、それでいきなりBoBに出ようだなんてたいしたものね」

 

 女の子はくすりと笑うと、大きく頷いた。

 

「いいよ、案内してあげる。私もどうせ総督府に行くところだったんだ。その前にガンショップだったね。好みの銃とか、ある?」

「えっと……」

 

 銃の種類なんて拳銃とその他ぐらいしか見分けがつかない。咄嗟に言われ反応に困り、隣の黒髪の少女を見ると彼女も困ったような笑みを浮かべていた。

 

「じゃあ色々揃ってる大きいマーケットに行こう。こっち」

 

 くるりと振り向き歩き出した女の子の背中を、私と黒髪の少女は慌てて追いかけた。

 

 上ったり下ったり、右に曲がれば左に曲がり。動く階段に動く通路など、もう一度同じ道を辿って来いといわれたところで到底不可能と思われる複雑な道を抜けて案内されたのは、ガンショップというよりアミューズメントパークのような場所だった。

 きらびやかなネオンに、軍艦マーチのような音楽。様々な色と喧騒に酔ってしまいそうになる。

 

 外観だけでなく、内装もまた相応だった。

 所狭しと並べられたショーケースにはぎっしりと、黒光りする無骨な銃が置かれており、一目見ただけで威圧されそうだ。店内にはNPCと思わしきやけに露出の多い美女達がいるけれど、その手や腰、背中にはやはりごつごつした銃器の姿が。

 

「す、すごいお店……」

「本当はこういう初心者向けのところよりもっとディープなところの方が掘り出し物多いんだけどね……。えっと、二人ともステータスタイプはどんな感じ?」

 

 《ザ・シード》でコンバートされたこのアバターはALOでの私のステータスをそのまま引き継いでいるはず。

 ALOはザ・シードで新生ALOとなる前はレベル制ではなくスキル制。プレイヤースキル重視でステータス――筋力値や敏捷値などは無かったそうだけど、ザ・シードはSAOをベースとしているため、それを使用したタイトルは漏れなくスキル制ではなくレベル制へと転換されている。

 

「コンバート前なら私敏捷特化だよ」

「私は筋力優先、その次が素早さ……かな」

 

 ALOでは素早さ特化。筋力も装備の要求ステータスに合わせてちょっとあげたけど、ほぼ敏捷極振りに近い。それはSAO時代から変わらない私の戦闘スタイルだった。

 

「AGI極とSTR-AGIかぁ……AGI極のあなたはハンドガンかサブマシンガンをメインアームにしてラン&ガンか近距離戦闘に特化するのがいいと思う」

「私は?」

「黒髪の貴方は重めの武器を主体にして、中距離戦闘タイプがいいかなぁ……あ、でも貴女達コンバートしたばっかだよね。てことはお金が……」

 

 言われて、右手を振りウィンドウを出す。コンバートシステムはアバターは引き継げるけど装備品とかアイテムは引き継げない。つまり……

 

「「せ、千クレジット……」」

「ばりばりの初期金額だね」

 

 私達は顔を見合わせ苦笑した。

 

「その金額だと、ほとんど何も買えないわね……。ねえ、もし良かったら――」

 

 女の子がその先を言う前に首を思いっきり左右に振り否定する。彼女が提案しようとしてくれたのはお金の援助だ。けれどゲーマーとして流石にそれは譲れない一線だった。

 

「流石にそこまではお世話になれないよ。うぅん、そういえばカジノってあるんでしょ? ルーレットとか、ない?」

 

 女の子は小首をかしげ、口元に手をやり苦笑した。

 

「あるにはあるけど……ああいうのはお金があるときにスるのを前提でやったほうがいいよ。ルーレットだと……となりのお店かな」

 

 再び案内されてたどり着いたのは、カジノというよりはバーのようなところだった。店は円形で、外側がバーや立ち飲み席がずらりと並び、その内側が遊戯スペースとなっている。遊戯スペースにはビリヤードやダーツ、ブラックジャック等のミニゲームがあった。そしてその中に、目当てのテーブルを見つける。

 

 赤と黒で彩られた円盤が高速回転し、その脇には数字の書かれた緑色のマット。

 まごうことなき、ルーレットだった。

 

「ねえ、本当に大丈夫なの?」

 

 不安そうな目で見つめる水色の女の子に、心配ないと笑いかけ席に座る。

 大丈夫、ルーレットならやったことがあるし――あのシステムと同じであるなら、勝てるから。

 

「まあ、見ててよ」

 

 私は回転する円盤をじっと見つめ、にいと口角を吊り上げると赤の12に全財産をオールインした。

 

 




・アリスのGGOにおける容姿
 銀髪紅目のどえらい美少女。歩けば視線を集め、動けば観衆が沸き立つ。まさに立てば芍薬、座れば牡丹。歩く姿は百合の花。
 現実とはずいぶんとかけ離れたが、身長が元より高くなったためアリスは割りと気に入っている。
※FBで作ったらキリトよりも高くなってしまったので縮めました。アスナと同じく160cm前後としました

・ザシード以降のVRMMOについて
 オリジナル設定として、ザ・シードを媒介にしたMMOタイトルは全てレベル制になるという設定。
 プレイヤーの強さの規格がレベル制で統一されていないとコンバート時に大変なことになりそうという事で作りました。
 ゲームのロストソングでも種族熟練度という形でレベルはありましたし、フェイタルバレットもレベル制。なので大きくは外れないかと……
 
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