それとは別にドラ◯エ10も始めました
たのちい
二十一層攻略 前編
12月20日
【七人の妖精達】
kirito:ちょっといいか?
koharu:はい
ai:なんですか?
kirito:皆24日予定は?
shinon:喧嘩売られてる? それなら買うけど
kirito:違う違う違う!! ALOで大型アップデートあるんだよ!
leafa:あー、そういえば告知されてたね
koharu:ソードスキルの本格導入と二十層以降の追加でしたっけ
ai:ソードスキルってまだ導入されきってないんですか?
asuna:全部はね
asuna:ALOにしかない弓とか杖とかに実装されるみたいだよ。あとは武器スキル以外も
shinon:弓って言った?
spiegel:弓から極太ビームとかでるのかな
koharu:そこまでは流石に……どうなんだろう
kirito:でもユニークスキルは実装されないだろうなー……少し残念
shinon:俺が二本目の剣を抜けば
leafa:立っていられるやつは……居ない
kirito:ふびゅぐ
ai:うわぁ
koharu:えっと……
spiegel:僕はカッコいいと思います!!
kirito:あ“あ”あ“あ”あ“あ”!!
asuna:私が続きを話すね
ai:何事も無かったかのように……!?
koharu:そういう文が追加されてるのはユニークスキル持ちだけだから
asuna:私はノーダメージってこと。で、24日なんだけど、二十一層が解放されたら最速で攻略したいの
shinon:最速で?
asuna:うん。誰よりも早く二十一層を突破したい
leafa:そんなにボスドロップが良いんですか?
kirito:いや、目的は二十二層に到達する事だな
ai:あ、復活した
koharu:あー、そういう事
diavel:や。今来たけど面白い事になってるね。ログハウスを買いたいんだろう?
spiegel:こんばんわ!!
ai;ディアベルさん、こんばんは
shinon:こんばんは。そういえば団長は?
koharu:アリスはバイト中だよ
koharuが画像を送信しました
ai:あー! かわいい! メイド服!
leafa:そっか。今日アリスちゃんバイトなんだね
kirito:後でからかおう
koharu:アリスが「見てるからね」ですって
kirito:仕事しろ仕事!!
diavel:はは。それで24日だけどオレは空いてるよ
leafa:あたしもー
ai:私も、お姉ちゃんのとこ行こうと思ってたけど、皆行くなら行きます。
shinon:私も特に予定はないわね
spigel:右に同じ。力になれるか分かりませんけど……
kirito:大丈夫だ! シュピーゲルとテイムしたあの子が居てくれるとかなりありがたい!
spigel:ほわぉあ
kirito:なんて?
shinon:気にしなくていいわ。ただの発作よ
ai:シュピーゲルさんの事がだんだん分かってきました
leafa:あたしも。面白い人だね。同い年らしいけど
koharu:アリスも「行くー!」って。もちろん私も大丈夫ですよ
asuna:皆ありがとう! ログハウス購入出来たら、パーティしましょ!
ai:わーい
leafa:わーい
shinon:攻略するのはいいけど、九人じゃ厳しくない?
diavel:ウチのギルドには四人で一層突破した前例があるからなんとも言えないけれど
diavel:まあ、普通に考えて難しいとは思う
kirito:そこは考えがある
diavel:ほう
kirito:知り合いに片っ端から声かけてきた。フルレイドは無理でも、いくらかは来てくれると思う
diavel:それならオレも何人か声かけてみようかな
krito:サンキュー! じゃあ、24日はアップデート後に一旦ギルドハウスに集合で!
alice:バイト終わった~。あ、わたしも一人先輩に声かけたら来てくれるって~
kirito:私の英雄之剣に、敵は居ない──
alice:屋上
kirito:上等
spigle:最高にカッコいいと思います!!
shinon:貴方は早く帰ってきなさい、もう……
side アリス
きたる24日。
わたしたちはメンテナンス終了直後にログインし、その足で迷宮区へと突入──はせず、《七人の妖精達》ギルドハウスにて顔を突き合わせていた。
全員ではなく、集まったメンバーの中から代表者を何人かで円卓を囲んでいる。
「じゃー、久しぶりの、二十一層ボス攻略会議を開始、します!」
わたしの音頭に、皆がわぁーとまばらな拍手を鳴らした。
あの時の様に命を賭けているわけでもないので、それぞれの顔に緊張の色は全くない。どころか、全員が楽しげに笑みを浮かべていたりなんかもする。
なんだか感慨深い気分だ。
「さっき皆が集まった時にも言ったけど、改めて。今日は集まってくれてありがとー。今更紹介の必要もないだろうけど、《七人の妖精達》団長のアリスだよ。ウチからはアスナとコハル、ディアベルに会議に参加してもらってます」
それぞれが会釈するのを見届け、次の紹介へと移る。
「で、顔合わせも兼ねて会議に参加してもらいました。わたしのリアルでの先輩、レインさん」
「Очень приятно! レインです、よろしくねー!」
元気溌剌と答えたのは、枳殻先輩ことレインさん。ALOはがっつりやってるわけじゃないけど、SAOでのアバターを引き継ぎしてるから戦力的にはかなり頼もしい。
「ギルド《風林火山》からはクラインが来てくれましたー」
「おう、キリの字には後で伝説武器掘りに付き合ってもらう約束だし、暇してたから丁度いいぜ」
「クリスマスイブなのに?」
「うるせェ! いいんだよ、こっちで寂しがってる素敵なレディを探すんだからな」
ドッと場が笑いに包まれた。
うーん、いいなぁこの雰囲気。SAOでも危険度の低いイベントやる時とかこんな感じだったけど、大勢集まって何かやるっていうのもいいね。
「あと最後に、ディアベルが声かけてきてくれた──キバオウと、アルゴ」
「よろしゅうな。あんましログインはしてへんから、まあ数合わせ位に考えといてくれや」
「オレっちは情報屋だから、戦力としては期待しないでくれよナ」
ギルドハウスにキバオウの姿があった時は本当に驚いた。
以前SAOクリア記念オフ会で、SAOから引き継ぎしたという事は聞いてたけど、仕事が忙しく中々ログインが出来ないと言っていたから。ALOに《浮遊城アインクラッド》が実装された時以来じゃないだろうか。
この場に居る八人、そして今大広間で待っている十三人を含め延べ二十一人。
フルレイドの半分には残念ながら満たなかったけど、それでも錚々たるメンバーが集まった。
七人パーティが七組の計四十九人がボスに挑める上限人数だ。それ以下の人数で挑むのは正直かなり厳しいのだけど、やりようはあるだろう。
VRMMOはプレイヤースキルである程度のレベル差や人数不利はひっくり返せるし、プレイヤースキルならば今日集まった人達は全員一線級なのだから。
「じゃあ、後の進行は二人に任せるね」
「ああ」
「わかったわ」
と、ここでわたしの役目は終了。後は参謀たるアスナとディアベルにバトンタッチ。
団長だからこういう最初の進行を務めなくちゃいけないのは分かってるけど、肩が凝っちゃうな。
わたしは言わばお飾りの団長で、メインで運用してくれてるのはアスナとディアベルなんだけどね。これが傀儡政権ってやつ……なんちゃって。
あー疲れた。
「じゃあまずは確認から。SAOでの二十一層のボスは《ソルジャー・ガーディング・ザ・ルインズ》。遺跡を守るゴーレム達だ。HPが共通の群体ボスで、石造りのゴーレム達がわんさか出てくる。これといって気を付けなきゃいけないギミックはないが、囲まれないように立ち回りは気を付けてくれ」
「ALOのアインクラッドだと何か改変があるかもだけど……多分、敵の数が増えたり、個体のステータスが上がったり位だと思います。これまでのボス攻略の情報を見る限り、ギミックとかに変更は加わってないみたいだったので」
「質問ええか。数が増えるっちゅうのはかまへんけど、ワイらはどういう編成で行くんや?」
「四人パーティを四つと、遊撃班に三名、指揮を二名で挑みます。パーティ編成に関してはここに居る人から四人リーダーを選んで、それ以外である程度レベルや戦力が均衡になる様に組みましょう。遊撃は突出戦力のアリスとキリトくん。それとここには居ないけどシノンさんにお願いします。指揮は私とディアベルさんが。何か意見はありますか?」
「いや、かまへん。文句ないわ」
「オレもだ。けどよォ、大丈夫なんかね?」
「大丈夫、とは?」
「オレら以外にもボス直するやつ居るんじゃねェかってよ。有り得なくはないだろ?」
「それについては一応コハルとアルゴさんで手を打ってもらってるわ」
「うん。覚えてる限りの二十一層の美味しいクエストとか、ボス情報が判明するクエストなんかを掲示板とかで撒いてきたから。アルゴさんにも手伝ってもらって」
「大きいギルドは飛びつくだろうナ」
うわぁ……。
撒き餌をばら撒いておいて、それに他のプレイヤーが食いついてるうちに自分たちは事前に持ってる情報アドバンテージを武器にさっさと本命をとるという、割とえげつない手法に頬が引きつった。
だって、基本的に経験値とかアイテムとかは上層に行けば良い物が手に入るのだ。その層でしか手に入らないアイテムなんかもあるけど、ごく少数だし。
アップデート直後でリソースの奪い合いが発生するのは確実なのに、更に火種を投げ込む悪辣さ。
ALOをやるようになってから……いや、ギルドを立ち上げた後辺りからかな? コハルはちょくちょくこういう方法を取る。
騙したりとかしてるわけじゃないけど、後になって気づいたら巻き返せなくなってるような、プレイヤーの思考の隙をついたり、誘導したりする類いの。
身内とか、後は初対面の人とかにはいつもの優しいコハルなのだけど、対戦相手や敵対プレイヤーには容赦がない。
SAOと違って命がかかってない分、遠慮とかそういうのが無くなったからとは本人の弁だ。
《蒼の聖女》と呼ばれてたコハルは一体どこに……。いや、わたし達には変わらず優しいし、困ってるプレイヤーを手伝ったりはするけど、前述の容赦の無さからALOでついた裏の二つ名は《腹黒聖女》……。
ちなみに普通のプレイヤーには《データバンク》という二つ名が広まっている。「攻略サイトを見るよりコハルに聞いた方が早い」ともっぱらの噂だ(本人は限度があるし偏りもあるからと否定しているが)。
「集団で動いて他のギルドに目を付けられないよう、迷宮区へはパーティ毎に間隔を空けて向かいましょう。……このくらいかしら。後何か質問はありますか?」
「無いみたいだね。時間は稼げるとはいえ、出来れば一回で終わらせたい。皆、頑張ろう!」
そうこうしている内に、攻略会議も終わったみたいだ。
装備や持ち込むアイテムの最終確認をして、大広間のメンバーに作戦伝達とパーティ編成を終えて、二十一層迷宮区へとそれぞれ向かっていった。
わたし所属の遊撃班は最後に出撃。
念の為フードつきマントを装備し、二十一層の最初の街から離れた所で徐々に走る速度を上げていく。
「ねえ、ここまでこそこそする必要あるの?」
横を走っていた、同じく遊撃班のシノンがそんなことを聞いてきた。
うーん、それは大いにあるんだよね……。
「俺達……《七人の妖精達》か。大分目立つギルドになったから色々とあるんだよ」
「ああ……なるほどね」
説明しよう! ギルド《七人の妖精達》とは!
・初の大規模ギルドイベントに合わせて作成され、参加上限に満たない人数で優勝をかっさらっていった。
・その直前に第一層をフルレイドの十分の一以下の人数で強行突破したおバカさんたちが全員所属
・第一回ALO統一デュエル大会優勝と準優勝が在籍
・ALOでも有名人だったアイドル的存在が2名在籍
・美形なアバターになりやすいALOの中でも美男美女揃い(なお団長はマスコット枠)
・巨大ギルドの悉くと繋がりあり
うーん、そりゃあ目も付けられるよね。
在籍九名の零細ギルドの癖に炎帝に始まる巨大ギルドと交流を持つ、全員がALOでフロントランナーになり得る(SAO程切羽詰まって攻略はしてないので、レベルやら武器やらは最前線ではないけれど)ギルド。
話題性たっぷり!
基本的には「ゲームを楽しみましょう」を掲げているゆる~いギルドであるのだけど、ちゃんと決まりごとはある。
ひとつ、合意の無いPKは禁止。またこちらから先にプレイヤーを攻撃しないこと。
ふたつ、アイテムやコルは基本的に個人のもの。
みっつ、ギルド内の決め事は話し合いで決めましょう
き、決まり事があった方がゆるく感じる……。
とまあ、一応こんな方針で動いているからか、明確な敵対っていうのは今の所ないのだけども。
下層域だから一桁層に比べればマシとはいえ、それなりに広いフィールドを駆け抜け、迷宮区へと到着したあたり。
偶然かと思ったけど、さすがにこうもつかず離れずだと、ね。
「んー……二人共、先行ってて」
「は? どうし──……手助けは?」
「ううん。キリトまで残っちゃうと向こうが大変になっちゃうから。それに、このくらいならわたし一人でなんとかなると思う」
「オーケー。早く来ないと先に倒しちまうからな」
「あは、じゃあ急がないとだね」
キリトとシノンの二人を先に行かせ、わたしはその場に残る。
シノンが怪訝そうな顔をしていたけど、キリトが説明してくれている事だろう。
二人の背が迷宮区に消えた事を確認した後、振り返る。
さて、わたし達をつけ回す熱烈なファンのお顔をかくに~ん。
「げ……っ」
「はぁい。どうも、いい天気だね。ところでわたし達に何かご用事?」
現れたのは、十名。
種族はサラマンダーが多いけど、ウンディーネやシルフ、それとケットシーもいるかな。
「お、おれ達はただ新しいコンテンツを攻略しに来ただけだ! そこをどけよ!」
「ふーん……全員が後衛なのに?」
種族はバラバラだけど、彼らには共通点があった。
それは、全員が後衛──それも魔法での攻撃に特化してるような装備だということだ。
「まるで、今からボス戦に挑んでるPTに乱入して、漁夫の利もってこうって魂胆にしか見えないんだけど」
「い、言いがかりだ!」
まあ、口では何とでも言えるよね。
でもまあ、通すわけにはいかないんだけど。
「ま、いっか。どちらにせよここから先に行かせるわけにはいかないんだけどね。もしそれでも先に進むって言うなら……」
剣を抜き、床へと突き刺す。
そして高らかに
「ここを通りたくば、わたしを倒してからにするんだね……っ!」
実は一度言ってみたかった台詞。
うーん、悪役っぽくていい響き!
「くっそ……おい、やるぞお前ら!」
向こうは無理にでも押し通るつもりのようだ。
うんうん。その気概は嫌いじゃないよ。
「魔法を詠唱するのかな? わたしが切り込むほうが早いと思うけど」
「うっ……」
突き刺した剣を引き抜き、構える。
詠唱は最低三単語以上が必要だ。それくらいなら、口を開いてから魔法が発動するまでに二人はやれる。
そう脅してやると、にわかにたじろぐファンの方達。
だけど、一人がにやりとした笑みを浮かべた。
「俺知ってるぞ! お前達はギルドのルールで先にプレイヤーに攻撃しないって決めてんだろ! 団長がそれを破っていいのかよ!」
「む」
それを言われると辛い。
PKは駄目だけど、身を守る為に応戦するのはオッケー。だからわたし達は相手がPKをする気だと分かっていても、自分から手を出さないように徹底している。
流石に十人全員の魔法を、初撃だけとはいえそのまま受けるのは厳しいなぁ。
アップデート前までなら、だけど。
「ふっふっふ……」
「な、何がおかしい!」
お、いいね今のやり取り。
「ならばお見せしてあげよう……アップデートで追加された、わたしの奥義を……!」
「は、ハッタリだ! やれ!」
ファン達が一斉に口を開く。
わたしは魔法の完成と同時に動き出せるよう、メニューを表示させ──
「とりゃ──っ!!」
突然、横合いから乱入者が現れた。
「な、なんだコイツ!?」
「はや……うわぁーっ!?」
それは闇色の風となり、するするとファン達の間を通り抜けていく。
ひとつ風が吹く間に一人がポリゴンへと変化させられ、悲鳴が重なっていった。
「はぇ……?」
思わず呆気に取られ、呆然とその風を──暴風を見る。
「うっそ、速……」
辛うじて見えるのは、その風が闇のような濃紺である事と、閃く剣閃のみ。
わたしの目で、その姿を追いきることが出来ない。
「大丈夫!? 助けに来たよ!!」
およそ半分程ファンの方達を屠った風は、わたしを庇う様にして立つとそんな事を言ってきた。
紺や紫で全身を彩った、髪の長い女の子だ。
彼女はわたしを助けに来てくれたのだろうけど……
「えっと、どなた……?」
その顔に見覚えは無かった。
フレンドの誰とも違う。というか、ALOで色々な人と関わり戦った事もあるけど、こんなスピードを出せるプレイヤーをわたしは初めて見た。
下手をしたらわたしよりも……闇風よりも速いかもしれない彼女は振り返り、歯を見せて笑う。
「ボク? ボクの名前はユウキ! よろしく!」
これが、わたしが初めて本気の対人戦で負けた、≪絶剣≫との最初の出会いだった──
おかしいな、プロットと違う展開になってるぞ……?
二十一層ボス討滅戦参加メンバー
アリス
キリト
コハル
アスナ
ディアベル
アイ
リーファ
シノン
シュピーゲル
レイン
クライン
キバオウ
アルゴ
その他8名
お前らクリスマスイブに予定無いのかよ…