「そういえば団長って色んな種類の武器使いますよね」
差し迫ったイベントや攻略したいコンテンツも無いため、「何しようか」なんて投げかけたものの、何ら建設的な話し合いは出来ずにダラダラと雑談を続ける今日このごろ。
最近の《七人の妖精達》の日常と化した一コマの中で、不意にシュピーゲルがそんな事を言い出した。
「うん? そうだよー」
彼の指摘する通り、わたしはSAO時代から多くの武器を使い分けて戦っていた。
メインウェポンは片手直剣だけど、両手剣、片手棍、細剣、曲刀、刀、両手槍、両手斧と八種類。とはいっても極めてる――スキルがカンストしてるのはその内片手直剣と両手剣、両手斧、刀の四種類で、後は奥義ソードスキルが使える用になってからは熟練度上げをしておらず、大体五〇〇~七〇〇程なんだけど。
ちなみに奥義ソードスキルとは強力なソードスキルではあるものの、熟練度は四〇〇位で習得できる。その後も別のソードスキルは覚えられるし、別の奥義技もある。例えば《ヴォーパル・ストライク》は片手直剣が熟練度九五〇になると習得出来たり、別の奥義技……最上位ソードスキルとして《ノヴァ・アセンション》なんてものもある。奥義とは一つじゃないのだ。
「どうしてそんなに多くの武器を使おうと思ったんですか?」
シュピーゲルは純粋に疑問に思ったというように、首を傾げていた。それに追従するように他の皆――この場に居るのはコハルとアスナ、キリトとシノンを合わせた五人だけだけど――が「確かに……」と頷いていた。
「まだ熟練度上がってないはずの下層でもたまに他の使ってたわよね?」
「うん。二層からかな。クエスト報酬の片手棍使ってたよ」
「そもそも、ベータテストの時から既に変幻自在の剣だかなんとか言われてたよな」
口々に推論を立てる皆に、まあまあと苦笑いをこぼした。ずっと一緒にいたコハルはいいとして、キリトもアスナもよく見てるなぁとちょっと感心してしまう。適宜一緒に攻略はしてたけど、パーティ組んでたわけでもないのに。
さて、何故という質問に対する答えだけれども、別に深い理由があるわけじゃない。
「使おうと思ったというか、使わざるを得なくなったっていうのが正解……かな」
「その心は?」
「わたしって身長が低いでしょ? だからどうしてもリーチの長さで不利になるし、あとコハルと二人のコンビだったから、打撃に弱い敵の弱点を突けるようにって考えた結果だよ」
自分で言っちゃうのも業腹だけど、手足の長さや身長の高さでわたしは不利になりやすい。
剣道三倍段というように、間合いの長さをひっくり返すにはそれを覆せるほどの実力差が必要だ。……使い方これで合ってる? 誤用もあるって聞くしちょっと不安になってきた。
とまあ、SAOプレイヤーは全員が剣道やら空手なんかの武道の心得があるわけでもなく、当然わたしもスグちゃんの稽古の様子や試合を見たことがあるだけでこれっぽっちもわからない。
そんなリーチの長さも実力も劣るわたしが、勝つために考えた結果辿り着いた答えが――相手の武器に合わせてこちらも得物を変えるというシンプルな結論だった。
……というのが建前で。実は別の理由があったんだけど、それは恥ずかしいから秘密にしておこう。
「ん? でもお前ベータテストの時は初期アバターだったはずだよな? それなら身長云々っておかしくないか?」
しておこうと、思ってたのに。
この無駄にカンのいい男は、要らん事を突っついてきた。余計な事を……。
「初期アバター?」
シノンが別の事に食いついてくれた! 誤魔化しチャンス!
「うん。早く始めたすぎてOKボタン連打してたらアバター設定もそのままでやっちゃってさ」
「最初は男の子だったもんね、アリス」
「男の子だったの!? へぇ……全然想像つかないなぁ」
そういえばその話をしたことが無かったアスナが、わたしを見ながら驚愕の声を上げていた。その視線がわたしの胸に行っている事には一言物申してやりたいが、ここはぐっと我慢する。祝勝会で旅行に行った時からたまにそういう視線をアスナから感じることがあるけど、きっと気のせいだろう。
ともあれ、これで誤魔化せ――
「で、色んな武器を使う本当の理由は何なんだ?」
なかった。
ちくしょうめ。
ニヤニヤとした笑いを浮かべながら……って、あれ絶対気づいてるよね。本当の理由。なんでかって、あいつもわたしと感性が似た所があるからだ。
「はぁ……本当は、いっぱい武器を使ったらカッコいいかな? って思ったからだよ。それが偶々上手くハマっただけ。相手によって武器変えれば強いかな? っていうのもホントだけどさ」
「え、なんで隠してたのよ」
恥ずかしいからだよ!
とは言えず、ぷいっと顔を逸らすだけに留める。
あの時は丁度ゲームとかにハマり出していたピークの頃であり、そういうのがカッコいいと本気で思い込んでたんだ。
……今でも、ちょっとはいいと思ってるケド。ちょっとだよ? 本当だ。嘘じゃない。
「でも、それだけの武器を使い分けられるってやっぱり凄いですよね」
「ああ。俺も真似してみたけど、とてもじゃないけど使いこなせそうになかったし」
「武器だけじゃなくて、体術もよね? BoBでも基本近接格闘だけで優勝しちゃったもの」
「外から見てると手品みたいだよね」
……なんだなんだ。辱めたかと思えば、急に持ち上げてくるじゃないか。
まあ、悪い気はしない。それどころか、ちょっといい気分かも。ふふん。
「ま、まあ。殆どソードスキル頼りでまともに武器を扱えてるわけじゃないけどね」
とはいえ、キリトやシノン、アスナはいいとしても尊敬を通り越して崇拝の領域にまでいたろうとしているシュピーゲルについては、ある程度弁解しておかないと本当に信仰対象になってしまう。
今言った事についても嘘ではなく、わたしは本当に武器を扱えている訳じゃなくて、あくまでも相性有利を取って強引に押し切ってるだけだし。剣の腕というのならばキリトや、もっと言えばスグちゃんには絶対に勝てない。
「でもずぶの素人ってわけじゃないんでしょ? BoBでも達人みたいな動きしてたじゃない」
「んーん。何もやったことないよ? 本当にソードスキルの動きをただ真似してるのと――映画を見た位かなぁ」
「「「「映画?」」」」
異口同音に、皆の疑問の声が揃った。
それに苦笑しつつ、答える。
「こっちに戻ってきてからだけどね。アクション映画とか観て、真似してるの」
カンフー映画とか、剣や刀でのアクションをバリバリするようなやつを参考にしている。現実じゃ到底真似出来くても、VRのこのアバターなら再現出来るのだ。
なんだか皆から呆れたような視線を感じるけど、気の所為だと流しておこう。
ちなみに、わたしのアバターはSAOでのアバターをコンバートしたものだ。SAOで得た二年半のスキル熟練度はある程度ナーフされているとはいえ、ほぼそのまま引き継いでいる。そうじゃなければとてもじゃないけど幾つもの武器スキルをカンストには出来ない。ALOサービス当初から頑張ってるプレイヤーにはちょっと申し訳無さを感じるけど、ズルをして得たものではないから許してほしい。や、まあ不本意とはいえ現実の事を考えず24時間鍛える事が出来たからこその成果なんだけど。
閑話休題。
「でも残念だなぁ。ALOには《クイック・チェンジ》が無いから、またアリスのびっくり剣術が見れなくなっちゃったし」
アスナがぽやぽやとしながら不意につぶやいた。
びっくり剣術とは酷い言い草だ。
確かに《クイック・チェンジ》が実装されてないから、SAOの時みたいな戦い方が出来ない。
厳密には、装備ショートカットはあるけど、メニューの階層がSAOの時より下にあるため、当時のように使用が出来ないというか。スキルというよりもシステム的な立ち位置に存在しているのだ。別のゲームで言うお気に入り登録みたいなものだからね。
ただ――
「……そうでもないよ?」
「「「「え?」」」」
抜け道が無いわけじゃ、ないんだけど。
◇
「で。なんで俺が実験台に?」
「他に適任が居ないでしょ」
というわけで、キリトを仮想敵に見立てて、ギルドハウスの庭で模擬決闘を行う事に。
釈然としなさそうにしながらも、その表情はどこか楽しげだ。周りで観ている皆も、ソワソワしつつワクワクとした気持ちが外に出ている。
「じゃ、前準備するよー」
「準備?」
剣を地面に突き立て、わたしは詠唱を開始する。
「ek,kalla,margr,vopn」
詠唱が完了すると同時、わたしの頭上に山吹色の魔法陣が出現した。
次の瞬間、ずどどどどどと雨のように数多の武器が地面へと突き立った。
「……ナニソレ」
「鍛冶魔法。レイン先輩に教えてもらったんだ。ストレージとは別のとこに武器を溜めておいて、それを出す魔法」
これを極めると、無数の剣やら槍やら斧やらが相手に向かって降り注ぐ恐怖の魔法になるらしい。レプラコーンで戦闘をする人は珍しいから、実質レイン先輩のオリジナルスキルとなる。ちなみにそれを――レイン先輩は《サウザンド・レイン》と名付けていた――初見で食らった結果、何も出来ずにHPが全損しかけた。
わたしの場合は、鍛冶魔法を覚えたはいいものの熟練度が低く、そもそも鍛冶魔法自体がレプラコーンの種族魔法なのでカンストさせる事が出来ず、窯をひっくり返していっぱい武器を出すだけしか出来ない。
「じゃあ行きます」
「ちょ、ま――」
待たない。
わたしは地面から直剣と両手槍を引き抜くと、そのままキリトへと投げつける。
慌ててキリトは回避するけど、それを見越して次々と武器を投げ続ける。
「おわあああああ!?」
「それそれ~っ」
悲鳴を上げながらも巧みに剣を操り、時に弾き、時に転がりながらもキリトはしぶとく避け続けた。
まあここまでは想定済み。この魔法の真骨頂はここからだ。
「そいっ!」
「なんだと!?」
今まで武器を投げるだけだったわたしが、突然両手剣を手に突っ込んで来たことに、キリトは驚愕の声を上げた。
そのまま胴切り――とはならず、剣で防がれる。さすがはキリト。これくらいじゃ倒せない。
競り合わず、両手剣を手放しキリトの背後へ回る。
それに合わせてキリトもこちらを振り向くが、先手を取ったわたしのほうが、次の行動へ移るのはちょっとだけ早い。
丁度キリトの背後に突き刺さっていた槍を引き抜き、その力をそのまま真横へと凪ぐ動作へと繋ぐ。
「っくそ……!」
キリトも流石に焦ったのか、やや大袈裟に仰け反りながらも槍の穂先を避けた。
体勢が崩れかけた好機を逃すまいと、槍を捨てキリトへ接近。キリトの左側面に刺さった両手斧を振り抜く。
防がれる。
気にせず斧を放り投げ、背後の直剣で飛び込み胴。
次は短剣。掬い上げるように真下から真上への切り上げ。
再び両手槍を拾って突撃。すれ違った後、両手剣での逆胴。
次は、次は、次は――
間断無く、武器を拾っては攻撃し、拾っては攻撃を繰り返していく。
「おあああああっ!?」
「貰いっ!」
武器を受ける、というのは単に軌道上に武器を置いて踏ん張るだけじゃ意味がない。
インパクトの瞬間に力を込める。それも全力ではなく、相手の力の強さや武器の重量を加味した適切な力量で。
そうじゃなければ、受けきる事が出来なかったり、重心が崩れて隙が生まれてしまう。
同じ相手と何合も打ち合っていれば、たとえ戦い慣れていなくても自然と力加減を覚えていけるものだ。慣れている者なら、経験等から即座に対応が出来る。
相手が、同じ武器を使っているのであればの話だけど。
例えばこのように、常に死角から、重量武器から軽量級まで様々な武器をランダムにぶつけられると――
キンッ、と軽い金属音と共に、キリトの片手剣が弾き飛ばされた。
「わたしの勝ちー」
「くっそぉ……」
簡単に崩れる。
最高峰の反応速度を持つキリトだからこそ、ここまで耐えることが出来たけど、他のプレイヤーならほんの数合で決着がつけられる事だろう。
「あ、あれは……っ!」
「何よ、シュピーゲル」
「かの英雄王の――いや、無名の英雄が使用したという無数の宝具を投影するという伝説の――」
「シュピーゲル」
「何だい!?」
「静かに」
「はい……」
何やらシュピーゲルが興奮してたけど、直ぐにシノンによって沈静化されていた。
ちなみに彼の言っているアニメについてはわたしも見た。というか、そもそも《サウザンド・レイン》がまんまそれだったのでわたしもそれに倣った形だ。
「うーん、どうやって攻略すればいいのかしら」
「攻略って……」
別の方向に視線を向けてみれば、アスナが腕を組みながらウンウンと唸っていた。参謀役らしく、先程の大道芸の攻略法を見出そうとしているらしい。
いやいや攻略法って。同じギルドの仲間なのにさ。コハルも困ったような笑みを浮かべてるし。
とはいえ、この曲芸のようなシステム外スキルにも、もちろん攻略法――明確な弱点は存在する。というか、弱点が大きすぎて普段から使えないくらいだ。
「あー、やられた。だけど、その技の欠点は見切ったぞ」
「欠点?」
いつの間にか弾き飛ばされた武器を手に戻ってきたキリトが、ふふんと得意げな笑みを浮かべている。
まあ、キリトなら一発で分かるよねって事で、ちらりとこちらを見てきたキリトに首肯を返し、続きを促した。
「幾つかあるけど、まず一つ。出した武器は装備してるんじゃくて、手に持った状態だから武器スキルの熟練度が適用されない」
正解。
窯からひっくり返して出した武器は、持って投げる事は出来るけど武器スキルの熟練度が乗らないから素の攻撃力だけ。一応、投げたら《投擲》スキルの恩恵は受けられるものの、武器として扱っても大した威力は出ない。当然、ソードスキルも使えない。
武器熟練度を乗せるには、手に持った状態でメニューを開き、装備欄から切り替えるしかないんだけど、急いだところで数秒はかかる為現実的じゃない。それなら元々装備してる武器で殴ったほうが早い。
「二つ。これ、本来の装備じゃないよな? 窯っていうのに入れられるのは自分で作った武器限定……なんじゃないか?」
「それも正解。ついでに言うと、レプラコーンじゃないから鍛冶魔法の熟練度は200程度で打ち止めなんだ。だからわたしが作成出来るのは良くて希少級まで。NPC作成の武器のほうが出来が良いくらい」
ちなみにちなみに、レイン先輩は当然のごとく鍛冶魔法はカンストしているため、射出される武器は全部エンシェント級。サーバーに一振りしか無い、伝説級の一つ下だ。現状、伝説級武器はハンドメイド出来ない(事になっている)ので、プレイヤーメイドで作れる最高級品を惜しげもなく乱射してくる。怖い。レイン先輩曰く、最終目標は伝説級武器を作ってそれを射出する事らしい。
「最後。これ、俺も使えるよな?」
「うん。窯から出した時点で、所有者じゃなくなるから投げ返す事は出来るね」
さっきも言った通り、装備品扱いじゃないから窯から出て地面に落ちたらそれはドロップ品と同じで所有者が無い状態になっている。だから投げ返せるし、なんならそのまま振り回す事も出来ちゃう。もっとも、熟練度が適用されないのは同じだから、わざわざ落ちてる武器を拾って反撃してくるメリットは少ない。なんらかの理由で装備武器が使えなくなった時に一時凌ぎが出来るくらい……かな。
「つまり、最初に装備してる武器にさえ気をつけてれば対応は難しくない……はずだ。まあ、初見じゃ難しいだろうけど」
「そのとーり」
初見なら、混乱してる最中に押し切れるけど、このカラクリがわかってれば捌くのは別に難しくないと思う。装備品は窯に入れられず、出てきた武器も装備出来ないから、《クイック・チェンジ》があったSAOの時のように見せてる武器とは別の武器スキルを装備しておく……みたいな小技も使えないし。下位互換みたいなものだ。
まあ、かといって装備してる武器以外の対応が甘くなったら容赦なく首を狩るつもりだけど。武器の攻撃力が低くても、クリティカルすれば流石にHPが消し飛ぶ。
キリトの解説とわたしの補足を聞いたアスナが、顔を真っ青にしてワナワナと震え始めた。
「え……。ってことはまたアリスは悪質な初見殺しを編み出したってこと……?」
「そういうことだ」
どういうことだ。
なんだ悪質な初見殺しって。しかも『また』って。
思い返してみる。
①《クイック・チェンジ》で戦闘中に武器を変えて、相手の意表を突く
②派生の《スキル・チェンジ》で武器スキルごと付け替えて、ソードスキルから別の武器のソードスキルに繋げる
③これ
なにこの悪質な初見殺し。
思い当たりすぎる事に呆然としていると、シノンが「GGOでも無手で油断させておいて銃弾をはじきながら迫ってきたわよね」と更に追撃をしてきた。
まずい。このままじゃわたしの印象が『初見絶対殺す悪質な女』になってしまう。
弁明しなければ。
「ち、違うの。これは対人に使うつもりは――無くはなかったけど。本当は防御用なの」
「防御用?」
よしよし。キリトが食いついてきた。イメージの払拭の為、わたしは「そう」と頷いて、散らばった武器を一度回収した後、再度召喚してからコハルを呼んだ。
「コハル。魔法で攻撃してくれないかな。できれば複数の、ホーミングしてくるやつ」
「え? う、うん。いいけど……」
戸惑いながらもコハルは十分な距離を取り、詠唱を開始した。
コハルが選んだのは風の刃を複数射出する中級魔法。数秒の詠唱の後、コハルの背後に浮かんだ翠緑の魔法陣から同じ色の刃が出現し、襲いかかってきた。
数は5。撃ってきてとは言ったものの、割と容赦が無い。
「っ――よっ、と」
迫る風刃に焦る事無く、わたしは足元から剣を二振り引き抜き、投げつけた。
投げられた剣は両方とも風の刃と激突し――弾く。
残るは3つ。間断なく、残る3つを迎撃するように武器を抜き、三度投げる。投擲スキルの恩恵が乗ったそれは、狙い違わず全ての風刃に当たり、先の二つと同じように魔法を弾いた。
「ふぅ……。まあ、こんな感じ」
「どんな感じよ……」
ぽかんと口を開けた一同の中から、シノンが代表するようにため息をついた。
「ALOの魔法ってずるいよねー。対象指定の魔法は、一度発動しちゃえばホーミングしてくるから回避できないし。防ぐためには別の魔法を当てるか、壁を張って暴発させないとだし」
ALOの魔法は2種類ある。対象指定か、地点指定か。地点指定の魔法なら範囲外に逃げればいいのだけど、対象指定は先の通り逃げても追いかけてくるので、射程距離外まで逃げ続けるか、魔法で迎撃するしか無い。武器でガードしても、火魔法は爆発してダメージ受けるし、他の魔法も大なり小なり防御を貫通してくる。
前にアイとPvPで遊んだ時に、間合いの遥か外から高速詠唱で氷の弾幕を張られ防戦一方でボコボコにされた時から、どうにか魔法を剣で打ち破ってやりたいと考えていた。
「考えた結果、こうなりました」
「ゴリ押しにも程があるだろ」
うるさい。
ともあれ一応の対応策として編み出したものの、準備にちょっと時間がかかるし、まだまだ実戦で使えるレベルではない。
「銃弾を斬った時みたいに、魔法も斬れれば良いんだけどねぇ」
「それは流石に……ん? いや待てよ……」
なんだかブツブツと思考にふけってしまったキリトを横目に、本日のびっくり剣術お披露目が終了した。
尚、しばらく後に本当にキリトが魔法を剣で切り裂いてみせ、どや顔を晒してきた事を追記しておく。
・ALOにおけるクイックチェンジはスキルではなくシステムに組み込まれました
SAOではメニューを開けばすぐにたどり着けましたが、ALOではSAOよりも一手多くタッチをせねばならず、かつ装備を換装するとショートカットメニューが閉じてしまうため使えないという設定。