project ING ~海を越えてきたシンデレラたち~ 作:四月一日雪
「project ING……?」
それが俺が担当するプロジェクト名か。まさに世界を意識した名前である。
「見てのとおりこのプロジェクトに参加するアイドルは海外からきている。厳密に言えば違う人もいるが特に問題はないだろう」
ということはこの中に日本出身のアイドルもいるのか。周りを見渡してみる。うーん、全然わからない。確かにこれなら違和感もないだろう。うなづいていると常務はこちらを向かってきた。
「それではあとは君に任せよう。彼女たちの資料はこれだ。それでは健闘を祈る」
「えっ、ちょっと待ってください、もう少し説明があってもいいのでは……(バタン)」
言われるがままに資料をもらうと、常務は部屋から出ていってしまった。
(じーー)周りからの視線を感じる。みんなが俺を見ているようだ。
ええ―、いきなりすぎて困った。もう少し説明があると思ったのだがそんなものはなかった。この企画(というよりも常務)は説明が足りなすぎるのではないだろうか。
でも始めていくしかない。日本語は通じるのらしいので取り合えず意思疎通を図る。
「えっとみんなは俺が話している言葉伝わっている?」
それを機にアイドルたちは一斉にしゃべりはじめた。
「ねえ、何歳なの?」「好きな食べ物ハ?」「プロデューサーは日本人ナノカ?」……
質問攻めにまたあう。先ほど止めた常務はいないので、今度は自分で止めねばならない。
「ちょっとストップ、ストップ!みんな落ち着いて!」
彼女達を何とかして静かにさせる。元気があるのは良いことだがもうこの時点で疲れた。一人で相手をするには人数が多すぎる。
「まずはアイドルのみんなの自己紹介をしてもらいます。その後に俺が自己紹介をします。質問はその時にしてください」
『ハーイ』
しっかり話は聞いてくれているみたいだ。これなら何とかなりそうだ。
紹介の時にお互いに見えるようにするために円形になる。これで準備はできた。
常務からもらった資料を見ながらアイドルを見回す。
「えー、それでは自己紹介をしてもらいます。一斉にしゃべっても分からないので、俺から時計回りでお願いします。名前と出身地、意気込みをお願いします」
「時計回りってどっちですか?」
「右回りだよ、箸持つ方」
「アタシ左利きなんだよ~」
「時計ってどこでも同じ向きに回ってるノカ?」
「みんな、すぐに話を脱線させないでくれ」
なんかみんな自由奔放な感じである。型にはまらないといえばいいのか。日本人だと思ってことをすぐに話す人は少ないが彼女たちはためらいがない。きちんとまとめられるかな…。
「それでは気を取り直してお願いします」
「フンフンフフーン、ではではトップバッターはアタシから~。どうも実は外国出身アイドル、宮本フレデリカで~す。みんなフレちゃんって呼んでね~。生まれはフランス、パリからきたけどフランス語は忘れちゃったのでシルブブレ~。アイドルになったからたくさんカワイイ服とか来てみたいかな~って感じ!」
日本人とフランス人のハーフであるが、見た目は金髪に翠眼と明らかに日本人とかけ離れた容姿である。年齢は19歳で短大生。彼女はプロジェクトクローネにも参加していた。資料には自由奔放と書かれておりその通りだと感じた。テンションがいつでも高い。不思議なリズムを口ずさんでいる。
「わたしは
2つのお団子に髪を作っている彼女は15歳。黒っぽい髪で顔立ちは日本人とそこまで違いはない。日本語はまだ慣れていないが、元気いっぱいなのが伝わってくる。アイドルになるため日本に来たというだけあって、彼女からは強い熱意を感じる。中華料理は幅広いがどんな料理が得意なんだろうか?
「私はイヴ・サンタクロースですぅ~。グリーンランドから来ましたぁ。アイドルのほかにサンタもやっていますぅ。困っているところを助けていただいたので、ご恩にこたえて感謝と笑顔を届けていきたいですぅ~!こんどブリッツェンも一緒に連れてきますぅ~」
プラチナブロンドと金の瞳が輝く19歳。さがり眉なので困り顔に見える。出身はグリーンランド、って島の名前だよな?国としてはデンマークで地名は他にあるはずだが。だいぶざっくりした出身地説明だ。それよりも気になるのは、サンタなのか。……そっかー、まあサンタの一人や二人がアイドルになってもそんなにおかしい確率ではないな(思考放棄)。それとブリッツェンとはいったいなんだろうか?
「ワタシはキャシー・グラハム、デス。アメリカのニューヨーク出身デース。ジャパニーズ、アイドルトッテモクールねー」
くせっけな茶髪に碧眼の15歳。見た目は完全にアメリカンなのだが……。
「あの、キャシーさん」
「ナンデスカー?」
「履歴書には浅草で育ったと書かれているのですが……」
「え、本当ですか、しょうがないな。コホン、では改めましてキャシー・グラハムです。浅草育ちの江戸っ子です!アメリカと日本の文化どっちも好きです。でも英語は話せませんのでよろしく!」
中身は江戸っ子らしい16歳。まさに外見では判断してはいけないということだろう。しかしこのノリはアメリカンな雰囲気を感じる。このプロジェクトの中で一番身長が高い。
「ハァイ、私、ケイト。イギリスの北の方出身デス。日本に留学中でアイドルデビューなりまシタ。日本文化に興味ありマス。もっと日本語勉強して上達したいネ。kawaiiアイドルになってやりマス!」
茶髪のショートで碧眼が美しい上にそばかすがかわいい女性だ。年齢は二十歳ということで数少ない大人のアイドル。そのわけあってかこの中では落ち着いた性格のようだ。出身地がざっくりしているなあ。日本語は不慣れな様子であるが、趣味は読書ということで勉強熱心なところがうかがえる。
「アタシはナターリアだヨ。地球の反対、リオ・デ・ジャネイロから来たンダ。アタシもフェイフェイと一緒で、日本のアイドルにあこがれてここまでキタヨ。カワイい人形さんみたいな恰好が好きダ!それとダンスなら任せテ!」
元気いっぱいな黒髪の褐色の女の子。年齢は14歳で人懐っこい笑顔が年相応の愛らしい印象を与える。それに対してプロポーションがすごい。これも日本人との違いがあるかも。ブラジルでダンスといえばやはりサンバなのだろうか。好物は寿司ということで味覚はすでに日本人かもしれない。
「そうね、人はあたしのことをヘレンと呼ぶわ。ただ他の呼び方をしてもらっても構わないわ。あたしは海の向こうから来たわ。そしてすべてにおいて世界レベル。当然目指すのは世界レベルのアイドルよ!」
ロングヘアの黒髪をかきあげた彼女はヘレン。出身地に関しては履歴書を見ても何一つ情報がない。また名前に関してもこだわりがないのだろうか。資料には世界レベルである、とだけ書かれている。しかし只者ではないオーラは伝わってくる。年齢は24歳でプロジェクト最年長であるものの頼りにしていいのか判断に困る。
「ハァーイ!アタシはメアリー・コクランよ。サンフランシスコからファミリーで引っ越して日本に来たワ。アタシはセクシーなアイドルを目指しているの!世界で活躍するからよろしくネ!」
金髪ツインテールがかわいい碧眼の10歳の少女。まさに人形のようだ。このプロジェクトで最年少だ。そんな彼女はセクシーなアイドルを目指しているようだ。…まあ将来性は大いにあるだろう。ただその路線は後5年ほど時間が必要な気がする。日本語、英語ともに流暢に話せるそうだ。
(つづく)
ちょっと間が空いてしまい申し訳ございません。
また中途半端なところで切れてしまいごめんなさい。
すぐに後編も書きますので待っていただければ幸いです。
クリスマスまでにもうちょっと投稿したい…