project ING ~海を越えてきたシンデレラたち~ 作:四月一日雪
「日本ではクリスマスって積極的に行われているけど、みんなの国はどうだったのかしら?」
「ヘレン、どうしたんですか、突然に?」
「いえ、少し気になったからよ。国際性をアピールするとかそんな深い意味はないわ。これは世界レベルの思いつきよ」
「?なんか難しいですね。ロシアではあまりクリスマス、お祝いしないです。こんなに、街中にアスウィシーン……イルミネーション、飾られたりしないですね。でもママが好きなので、家で毎年やりました」
「確かにやっぱり宗教行事であるからキリスト教の国以外はあまり盛んでないのかしら」
「アメリカはプロテスタントが主流だったかしら。そうなると詳しそうね。とくにメアリー」
「いやいや、あたしは英語がしゃべれないけど文化はわかってるよ!日本のクリスマスは宗教的な意味は薄いよね。なんかお祭り!みたいな感じ。うちは家族で過ごすかな」
「そうね、商業的な要素が強いワ。向こうじゃ家族と過ごす日だけど、日本は恋人と過ごすみたいだシ、ちょっと変に感じることはあるわネ。あと日本じゃクリスマスは祝日じゃなじゃなイ!学校に行かなきゃいけないワ!」
「それにクリスマスよりイヴがmainですネ。日本の文化、興味深いデス」
「ケイトも地元とは違う感じなのかしら?」
「そう、日本の方がcolorfulでおもしろいネ」
「ライラはどうだった?」
「そうですねー、ドバイはいろんな人いるのでございます。ライラさん、クリスマスはしたことあるですー。雰囲気が日本と似ているところがあるかもしれないです。パパにプレゼントを買ってもらったのでございますです」
「イスラム教の国でも外国人の割合によって行われるようね。それは商業的な面が強いのかしら」
「イルミネーションがきれいですー」
「ふぇいふぇいもそんな感じだヨ。クリスマスツリーとかはちゃんとあったけど、別にお休みじゃないネ。やっぱり新年向かえるとき、もりあがる!旧正月?ってヤツネ!」
「なるほどね、年明けの方にウェイトが置かれるというパターンがあるのね。確かに日本も元々は新年の方が行事があるわね」
「ナターリアは日本のクリスマスはどう?」
「向こうと季節が逆でいろいろ楽しいゾ。寒いクリスマスは新しいナ!」
「そういえば、南半球側だったわね。向こうはサーフィンをしたりするの?」
「ウーン、ナターリアはやったことないナ。でもできると思うヨ」
「イヴはいかが?」
「そうですねえ、日本は煙突がなくて困っています」
「確かにここらへんで見たことないわね」
「テレビとかでおっきな煙突を見たりするのですが、炎が出ていることがあったり日本の煙突は奥が深いです」
「それは工場の煙突ね。そこに人は住んでいないと思うわ」
「そうなんですか!?たくさんの子供たちがいると思っていたんですが……残念です」
「でもどうやってプレゼントを届けているの?」
「それは内緒です~。サンタの企業秘密ですぅ」
「興味深いわ!」
「クラリスは教会の仕事、フレデリカはクローネの仕事よね」
「アア、今はこれで全員ダナ」
「ユニット活動は順調ですか?」
「はい、基本は毎日レッスンですけれど頑張っています。アイドルになってからはブリッツェンに頼らずに歩くようになりました。なので体力はついてきていますぅ」
「イヤ、トナカイのひくソリ、乗っている人なんていないネ!」
「アタシ、ソリに乗ったことないわ。その、今度のってもいいかしら?」
「はい、もちろんいいですよ~」
「やったワ!たのしみだわ!」
「メアリーとっても嬉しそうです」
「それにしても今年は寒いね。もしかしたら雪が降るかもね」
「ナターリア、雪見たことナイ!雪が降ると雪男が出てくるノカ?」
「いや、そんなことないよ」
「そうそう、雪男はもっと寒いところに住んでいるネ」
「日本はサムライの国、冬将軍と聞きマシタ」
「いや、どっちも違うと思うんだけど……」
「世界は広いからいるかもしれないわ」
「ヘレンさんまでそんなこと言って」
「ライラさんも見たことないですー。寒くなると公園に人があまりいなくなるのでございます」
「寒さへの対策って何かあるのかしら?イヴやアーニャは寒さになれてそうだけど何かあるかしら?」
「やっぱりブリッツェンが一緒にいればあったかいですよー」
「んー、ヴァレシュキ……ミトンをしていればあったかい、ですよ。グランマに編んでもらいました」
「イギリスも冬は冷えるそうだけどどうしているの?」
「2人ほどではないけど……やっぱりLiquor、これがイイネ!」
「後、外に出なければイイんじゃない?」
「つまり事務所から出なければいいのでございますです」
「いやいや、みんなには事務所の外で頑張ってもらわないといけないでしょ!」
来てみるとほとんどの人がそろっていた。
「あっプロデューサー、お疲れ様ですぅ~」
「待ちくたびれたゾ」
「どう、次のユニットは決まったノ?」
「大体決まっているが、正式な発表はできないな」
「えーいいから、教えなさいヨ。日本人は変にもったいぶるのはよくないことだと思うワ」
そういわれると痛いところである。彼女たちを待たせてしまっているのは事実である。
「近いうちに報告するから、もう少し待っててほしい」
「しょうがないわネ!もう少しだけヨ!」
まだ納得いっていないようだが、何とか理解してもらった。できるだけ早く動けるようにしないと。
今日フレデリカは別の仕事に参加している。
「イヴはもう少しで本番だけど実感はあるか?」
「正直まだわからないですぅ~。でもアイドルとして、サンタとして感謝を届けていきたいですぅ」
俺にとっても初めてのことで勝手がよく分からないところがある。そうした中でもうまくやっていきたい。
「じゃあ、俺は仕事に戻るからみんなも適度に休んだらレッスンに行ってくれよ」
アイドル達が頑張っている中で俺も負けずに頑張っていきたい。俺は部屋を後にした。
「そういえばイヴちゃん、プロデューサーに相談しなくてよかったノ?」
「いえ、大丈夫です。プロデューサーも忙しそうな様子でしたから」
「遠慮なんてしなくていいんじゃナイ?」
「いえ、あまり心配をかけては申し訳ないです。この時期はサンタの準備もありますが、アイドルとの両立も頑張っていきたいですぅ」
◇ ◇ ◇
INGの日常
「クリスマスといえば、もちろんイヴが名前や誕生日が関係しているのがわかる。だが実はクリスマスに関係が深いアイドル他にもがいるって知っていたか?」
「いったいどうしたんですか、プロデューサー?」
12月上旬、俺は唐突に話を切り出した。みんな困惑しているようだが、話を続ける。
「いや、みんなの自己紹介を聞いた後にふと名前の由来とか気になって調べたんだよ。そうしたらさっき言ったようにクリスマスに関係ある子がいたんだ。俺はそれを本人が認識しているのかが気になってな?この場で聞いてみようと思ったんだ」
「それで、そのアイドルって誰なの?」
「では、自分がクリスマスに関係あると思う人は挙手!」
しーん。誰も手を挙げない。
「そういえばこのシーンとは何の音なのでございますですか。」
「これは擬音語というものよ。実際に音はなっていないけれど状況を表すために使われるものよ。例えばアイスを食べて頭が痛くなる時はキーンと表現されるわ」
「おお、賢くなりましたです。今度使ってみるでございます」
早く話しを戻さないとすぐ脱線してしまう。
「はい、正解はナターリア!君です!」
「ええええ、ナタリーアだったノ!?いや全然知らないゾ」
「それでいったいどこが関係しているんですか?」
「ナターリアという名前はラテン語のnatele domini クリスマスに由来しているからだ。
みんなも自分の名前の由来を聞いてみるのもいいかもしれないぞ。
へえーはじめって知ったぞ。ちなみに誕生日は6/29だぞ。
またナターリア一つ賢くなったぞ!プロデューサーありがとうな。
こ、こら。そんなにくっつかなくていいだろう。照れなくたっていいぞ。ほらほら、ぎゅー。
◇ ◇ ◇
今日は12/23、世間は休みかもしれないが俺には一切関係がない。もう明日には本番を迎えるのか……。時間の流れがあっという間に感じられる。まだプロデューサーとして慣れていなく、忙しいからことさらそのように感じるのだろう。この後は二人と明日の段取りについての確認を行う。そこで伝えるべきことをまとめておこう。
書類をまとめていたら、すこし予定の時間に遅れてしまった。急ぎ足で部屋まで向かう。
「待たせ……」
部屋の中から話し声が聞こえる。どうやら二人で何かを話しているようだ。
こういう時はどうしたものか。話が終わるまでまった方がいいのか……?しかし盗み聞きもよくないことだが……。
とりあえず話の内容で決めるとしよう。そう考え、申し訳ないと思いつつ会話に耳を傾けた。
「いよいよあしたですねぇ。とってもはやいです」
「そうだね~。まあさっきも一緒に練習したし大丈夫だよ♪」
「でも私、振り付け間違えてしまいましたぁ。トレーナーさんにも注意されました」
「アレ、そうだったっけ?でも明日は明日の風が吹く~ってカンジ?ケセラセラ~♪」
どうやら明日のライブについて話しているようだ。イヴは今日の練習でミスをしてしまったらしい。そういえばレッスンしているところを一回も見に行っていなかったな。そんなことがあったのか。
二人の会話は続いていく。
「フレちゃんはステージで歌ったことがあると思うのですが、緊張しますか?」
「イヴちゃんは明日が初めてなんだっけ?もしかして緊張しているの?」
「緊張、しているのかもしれません。私もよく分からないんですぅ」
「それはどんな感じなの?」
「とってもドキドキしています。なんだか子供たちにプレゼントを置いていくときみたいです。喜んでくれるかな、大切にしてくれるかなって考えるときみたいです」
「ふむふむ、それはとってもいいことです」
いつもより困ったような表情のイヴにたいして、フレデリカは腕を組み大仰に頷いている。
「フレちゃんもその昔、初めてステージに立つときがありました。しかし緊張はしなかったよ♪」
「それはどうしてですか?」
「最初からアタシの好きなようにやろうって決めていたから♪」
フレデリカは満面の笑みで答えた。
「やりたいことをやったら、それが成功とか、失敗かはどーでもいいの!あー楽しかったってなってそれで終わり!」
「そういものなのですか?ファンの方にいいところを見せたいとかは?」
余りに衝撃的な返答ににイヴは少し戸惑っているみたいだ。
「別にいいんじゃないかな?これがアタシだ!って見せればいいのだ♪
だってフレちゃんは自分がやりたいからアイドルをやってるんだし♪イヴちゃんはどうかな?」
「……たしかに私もサンタを自分がやっていて楽しいから、やっていますぅ。そういうことなんですね!」
「まずは私が楽しくやることが一番大事!」
「うんうん♪」
「そのうえで、私のライブでみんなにさらに幸せを届けたいです。みんなの幸せは私の幸せですから!」
どうやらイヴの中にわだかまっていた悩みは無事に解決されたようだ。二人ともいい笑顔である。
「お話を聞いていただいてありがとうございます!」
「シボーン、お安い御用だよ~♪どんどん聞いていいからね~、物知りフレちゃんとはアタシだよ♪」
フレデリカは見た目以上にしっかりしている。何て強いのだろう。さすが、クローネに選ばれているアイドルである。おかげでイヴも目的を確かに定めることができたようだ。初めてなのは俺だけではないってことを忘れていた。イヴもまた覚悟を決められる強さを持っているのだ。俺はいったいどうだろうか。
本当ならプロデューサーである俺が、イヴの悩みに気づくべきだった。些細なことと本人は言うかもしれないが、そういう時に頼ってもらえるようにならなくてはプロデューサーとしての仕事を果たしたとは言えないだろう。
きっと俺は自分のことしか見えていなかったのだろう。だから話しかけづらかったのかもしれないし、気付いてあげられるほどの余裕がなかったのだろう。
「俺はまだまだなんだな」
当たり前に思っていたはずのことを再認識させられた。どこか自分はこの職業に向いているのだと思いあがっていた。そんなことはなかった。彼女たちの横に並ぶにふさわしくなるには、まだ道のりは長そうだ、
これ以上アイドル達に心配をかけさせるわけにはいかない。今の俺にできることはそう多くないがそれでもひとつづつやっていこう。
「二人とも待たせたな!」
俺はできるだけ明るく、彼女たちの下へ歩み寄っていった。
なんかふと思ったことを書いていったら思ったより長くなっていました。
意外と内容少ないじゃないか!って思われるかも。
次でとりあえずブッシュドノエル編は終わりです。
次の話も今日中にあげたい!