project ING ~海を越えてきたシンデレラたち~ 作:四月一日雪
『あけましておめでとー!!』
『Happy New Year!!』
「今年もよろしくお願いしますね、プロデューサー♪」
「ああ、こちらこそよろしく頼むよ」
本日は一月一日。日付を越して、数秒前のことは去年のことになっていた。
「あのね、フレちゃん日付変わるときに地上にいなかったんだよ~」
「わー、本当ですかぁ?」
「なんともテンプレートなことをしているな」
ここはいつものINGの部屋。テーブルには様々な料理が並んでいる。
大晦日の夜から予定していた通りにINGのみんなで年越しパーティーを行っていた。
みんなしっかり日付が変わるまで起きていた。本当にみんな元気だなぁ。
「それで今日のお参りはどうするノ?」
「みんなも眠いだろうから、近場でいい神社がないかと探してみた。そしたら見つかったんだよ」
「おお、それはとっても、楽しみですね」
「ああ、俺も常務に聞いてみたりして初めて知ったんだ」
「早くいってみたいナ!」
「いや、さすがに寝たい……。10時にここに集合にしような?」
「なにいってるネ!これからが本番ヨ!」
「もう俺には厳しいんだ……」
この若さにはついていけない。俺はもう体力がないので許してほしい。
「それじゃああとは任せたぞ。必ず十字に来るからな、それまで寝たい人はちゃんと寝るんだぞ」
◇
そして10時に再び部屋に戻ってきた。一睡すればやはり全然違う。みんなも少しは寝たのだろうか?
「みんな、おはよう!」
部屋に入るとすでに全員そろっていた。
「誰かしらね過ごして起きてこないと思っていたが、みんな起きれたんだな」
時間に対してしっかりすることは大事だ。そう感心していたら、フレデリカがそれを否定した。
「違うよ~。寝なければ遅刻しない!」
「……もしかして一睡もしていないのか?」
「こんなに楽しいのに寝ていたらもったいないね」
みんなは俺が思っていた以上に元気にであった。
「お参りの途中で寝るんじゃないぞ」
「はい~、ちゃんと起きてましょうねブリッツェン♪ブリッツェンはあったかいです~。スース―……」
イヴが早くも寝始めていた。
「それじゃあ行ってみるか。本当に近いから驚くぞ」
イヴを起こしみんなで移動を始める。
「いったいどんな場所か楽しみでございますです」
「そうだナ。でっかい門とかあるノカ?」
みんないろいろ期待しているがどういう反応をするんだろうな。
ほどなく歩いて俺たちは目的地に来た。
しかし一同怪訝そうな表情を浮かべている。
「さあ着いたぞ」
「プロデューサー、ここってさ」
「事務所の敷地内、ですよね?」
「その通りなんと346プロの中に神社があったんだ!」
たどり着いた場所は346プロの敷地内であった。目の前には小さな鳥居と本殿があった。
「何の冗談なノ?このほかにあるんじゃないの?」
「いや、別にふざけているわけじゃないんだ!お正月にお参りを考えているんです、って常務に行ってみたらここを紹介されたんだよ!」
俺も初めてみるから驚いた。いきなりここに連れてこられたメアリーの気持ちも分かる。
「だが大事なのは見た目ではないということだ!」
そんなに大きくはないけどしっかり鳥居もあるから問題ないだろう。
「いつも神様こんなに近くいたんですネ、日本はすごいデス」
「アタシたちが知らないからってこれで済まそうとしているんじゃないノ?」
「そんなことないからな。ここは非常にご利益があるんだぞ!」
これも常務からの受け売りではある。
毎年この時期に多くのアイドルががここにお参りに来ているらしい。
「それってうちの事務所のアイドルですよね?」
「その通りだと思います」
この神社に来ることができるのは346のアイドルぐらいしかいないだろう。確かに売れているアイドルが多いから常務のいうことはあっている。これ以上深く考えてはいけない。
「とりあえず入ってみよう」
早速、境内(?)に入ってみる。
「まず作法の勉強からしようか。道の真ん中は神様が通る場所だから端を通るんだ。」
「それ知っているです。Mr.イッキューですね!」
「一休さんとは別ものよ、ケイト」
「しかも『このはしわたるべからず』なので思いっきり逆ですね」
そんなことを話しながら行くと三人の少女がいた。
「みなみなさまー、ようこそいらっしゃいましたー」
「346神社にようこそー!あなたに幸運が舞い降りますように~」
「わっ、私たちがここで巫女をやらせいただいていますっ!」
そこにいたのは3人の巫女(?)であった。
「あの人たちはいったい誰ですカ?」
「彼女たちも346プロのアイドルだよ」
「へ―そうなんデスカー」
面識は特にないらしい。まあ346プロは200人近いアイドルが所属している。全員と友達というわけでもないのだろう。
「じゃあ俺が紹介をしようか」
「いやそれには及ばない。彼女たちが自己紹介をするだろう」
どこからともなく声がかけられた。ま、まさかこの声は……。
「自分の魅力を相手に伝えるのも、アイドルにとっては必要なスキルだ」
そこにいたのは三城常務だった。
「じょ、常務⁉ いつからいらっしゃったのですか」
「たまたま通りかかったのだよ。私も参拝に来たのでな」
それは通りかかったというのでしょうか?意外と信心深いのかもしれない。
「346プロでも正月や神社を代表するアイドルたちだ。INGのアイドル達に自己紹介をしたまえ」
そして3人の巫女さんが順番に自己紹介を始めた。
「わたくしは
「私は
「わ、私は
『(噛んだ)(噛みましたネ)(噛んでマス)』
「私たち3人でジャポネスクというユニットを組んでいます。お正月にふさわしいユニットですよ♪」
「彼女たちは我が346プロの中でもこの時期にふさわしいアイドルだ」
その通りだと感じる。彼女たちはどことなく神秘的な雰囲気をまとっている。
「では後のことは君に任せた。私は仕事に戻る」
「は、はい。お疲れ様です!」
そう言って常務は事務所に戻っていった。本当に立ち寄っただけだったのか……。
「まずはあけましてー、おめでとうございますー。本年もよき一年となりますようにー」
「あけましておめでとうございます。今日はよろしくお願いします」
「そして今日は茄子さんと歌鈴さんの誕生日なのですー。誠に良きひなりー」
「そうなんですか!お誕生日おめでとうございます」
「ありがとうございます♪」
「きょ、恐縮です!」
「ちょっとプロデューサー、そういうこと教えてよ。ケーキ買って来ればよかったワ」
「いっ、いえそんなにしていただかなくても大丈夫ですっ」
「ふふふ、安心してください。それは自分たちできっちり用意しております!じゃ~ん、これです♪」
そう言って指さした先には大きな鏡餅があった。
「これは、お餅、ですか?」
「おお、rice cakeですね!」
「その通りです。コメでできたケーキなのです!」
「やっぱりお正月はこっちの方が似合いますね」
そういうことらしい。もしかしたら毎年誕生日にはお餅を食べているのかもしれない。
すると誰かのおなかから『ぐ~』と音が鳴った。
「んー、おなかがすいてきましたです」
どうやらライラのようだった。
「まだ正午前だけど、朝食食べたの?」
「食べていないのでライラさんはひもじいのです」
「でもみんながまだお腹すいて『ぐ~』ら我慢……」
「今のはライラさんじゃないでございます」
「あの……恥ずかしながら私もお腹がすいてまいりました……」
顔を赤くしながらクラリスが手を挙げていった。
「ふふふ、それじゃあ移動してお昼ご飯にしましょうか」
茄子さんが楽しそうに笑う。
「お、お参りはお昼ご飯の後にしましょう。準備もありますので」
「準備ってなんですか?」
「あ、えっとそれは、まだ内緒なので……」
「ほら、みんな移動するぞ」
こうしてお参りする前にお昼ご飯を食べることになった。
◇
「わざわざ、おせちまでいただいてしまい申し訳ございません」
「いえいえ、こちらこそこのようなものしか用意できずすみません」
歌鈴さんがそう言いながら出してきてくれたおせちは明らかに豪勢なものだった。
「この重箱、五段まであるんですけど……。本当にいただいてもいいんですか?」
「はい、遠慮なさらないでください。たくさん用意しましたので、私たちだけでは食べきれません」
「プロデューサー、くれるって言っているものはもらった方がいいワ」
「少しは遠慮ってものをだな……」
「それにすぐ謝るのは日本人の変なところだワ。こういう時はお礼を言うものよ、食べさせてもらってありがとう!」
……確かにお礼を言った方がお互いに気持ちがいいものだろう。その考え方は前向きでいいな。
「では、ありがたくいただきます」
「はい、召し上がってください♪」
「それにしてもおせち料理は何でちょっとずつしか入っていナイ?全然食べた気にならないネ」
おせち自体を食べたことがないのかもしれない。フェイフェイがなんとなく言った言葉に茄子さんが答える。
「これらは一品ずつに意味が込められているのです。どれも縁起がいいものになっていますよ」
「そうなのか!じゃあこのどういういみなんだ!」
「これは伊達巻といいます。形が巻物に似ているため、知識の向上の意味が込められていますー」
「このレンコンさんにも意味はあるのです?」
「レンコンは穴があいているので将来の見通しがきくようにという願いが込められています」
「へー、とても奥が深い食べ物なんですねぇ~」
「でもどれもおいしいからイイよね♪」
「フレデリカ、もうちょっと学びながら食べてくれ」
こうして質問して意味を教えてもらいながら、おせちを食べるというスタイルで食事は進んでいった。
興味を持ってもらえて本当に用意してもらったかいがあったと感じた。
食事も終わりそれぞれ談笑していると佳乃さんがこれからの説明を始めた。
「お食事の後はー、お参りでして―」
「その時に一緒にぜひ見てもらいたい物があります」
「それはなにかしら?」
「それはおたのしみですー」
「そ、それでお参りの仕方を先に説明したいと思いましゅっ。また噛んじゃった……」
そこから神社での作法について教わった。
「なかなかルールが多いですぅ。ブリッツェンは覚えられましたか?」
「神様に会うためなのでやはりこういったことは大事にしていきたいですね」
クラリスは一定の理解があるようだ。サンタはそういうものがないのか?
「それでは移動してお参りをしましょー」
続きます (今日中に上がります)