流星のファイナライズ   作:ブラック

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勢いでやってしまった…。


FM編 1 始まり
プロローグ


俺は今どこにいるんだろうか。

 

目は開いているが、暗すぎて何も見えない。

 

そもそもいつの間に俺はこんなところに来たんだろうか。

実は全くと言っていいほどに記憶がない。

 

俺が覚えているのは大好きなロックマンのゲームを買いにゲ◯まで行ったところなんだが…。

 

一体全体どうなっているのやら…。

 

《キミはその帰り道にトラックにはねられて死んだんだよ》

 

…声?

 

いきなり聞こえた声に対して俺は確かめるように口を開こうとしたが、口から声が出ることはなかった。

いや、聞こえた…というよりは頭に響いてきたという方が正しいかもしれない。

 

《キミはあの時あの場所で死ぬ運命ではなかった》

 

トラックにはねられたとか言ってたが…。

だけど死んだのならどうして俺はここにいる?

 

わかったぞ!

 

ー神は言っている、そこで死ぬ定めではないとー

 

つまりそういうことか!

 

《先程も言ったがキミはあの時死ぬ運命ではなかった。だから私がキミの魂を回収し、ここに置いたのさ》

 

再び頭に響いた声は予想した通りの答えが返ってくる。

 

そこで時間を巻き戻すんですね、わかります。

 

だが姿の見えない神様は楽しそうな口調で笑う。

 

《違う違う、選択をしてもらうんだよ》

 

選択?

 

《そうさ。キミが新たな世界でやり直すか、ここで消えて無くなるかのどちらかをね》

 

そんなの一択しかないじゃないか。

死ぬのなんてごめ…いや、もう死んでるのか。

 

《随分と冷静なんだね》

 

頭に響いた声はどことなく驚いているように聞こえたが、俺はいたって冷静というのは間違いではなかった。

むしろどうして驚いているのか聞きたいぐらいだ。

 

この感情は期待だ。

 

なんたって、起きてしまったことはどうしようもないからな。

死んでしまったならどうしようもない。

今更騒いだって元いた世界に生き返れはしないんだろう。

 

唯一の心残りは流星のロックマン3ができなくなったことくらいだ。

 

《うんうん、物分かりのいい子は好きだよ。気に入った! キミにはしっかりと特典をつけてあげるよ…と言っても、僕が選ぶんだけどね》

 

特典?

何か貰えるのか?

 

…お金?

 

《まあお金もちゃんと用意してあげるけど、それとは別の物だ。キミは流星のロックマンが好きだったんだろう? 》

 

もちろんだとも。

 

《確かキミがはねられる寸前に買ったのは流星のロックマン3だったかな》

 

この状態じゃもうできないけどね!!

 

《だから僕は流星のロックマン3に出てくるブラックエースの力と使用できるバトルカードの力全てをキミに与えようと思うんだ。そうだね、あとは裸眼で電波世界が見えるようにしとく?まあその代わり流星のロックマン3のストーリーは消えて無くなるけどね》

 

マジか!

だけど未経験の能力もらってもうまく使えないんじゃいか?

 

何度やっても口は開かないので、頭の中で念じるようにしているが、会話は成立している。

顔を見て話が出来ないことは少し残念だが、相手は神様。この際気にしない。

 

《その辺は大丈夫だよ!僕がプレイして必要な知識だけ送るから!それじゃ、流星のロックマンの世界へ行ってもらおう! いい人生を送れることを願うよ!》

 

おい待て待て。

流星のロックマンの世界に転生できるのはものすごく嬉しいんだが、3のストーリーはなくなって問題ないの?

 

というか俺の買った3はあなたがやるんですね…。

 

《大丈夫大丈夫、ちゃんと脅威のないメテオGを作ってアクセスできるようにするし。3がなくなるせいでストーリーに支障が出るみたいだけどそこの因果を繋げておくから。最初の事件も多分君が知らない結末になるんじゃないかな?》

 

メテオGってなんだ?

 

そしてストーリーに支障が出るっていうのがものすごく気になる!!

3なくなっちゃうの!?

 

そんなことを只管頭の中で騒いでいると、突然のごとく俺の身体に浮遊感がきた。

 

暗すぎて見えないが、どうやら足下に大きな穴が開いて落ちていってるらしい。

 

《それじゃ、逝ってらっしゃーい♪》

 

ニュアンスが違うんだけどッ!?

 

▼ ▼ ▼

 

目がさめるとそこは焼けるような光の中だった。まかさ転生した途端に御陀仏なんてことにならないとは思うが、この光の量は異常だと感じる。

 

しかも体がうまく動かせないときた。

 

早くも死亡フラグが立ってしまっている。

 

転生して数秒で死ぬとか、なにそれ斬新。

 

耳から聞こえてくるのは規則正しいリズムで鳴る機械音と、金属かなにかが落ちたような音。

 

これは明らかに人為的な音。間違いない、ここには人がいる!!

 

確信を持って意思を伝えるべく、口を開く。

 

「おお、奇跡だ! 安心してくださいお母さん、元気な男の子ですよ!」

 

え、まさかの赤ん坊ですか。

 

こうして俺の第2の人生が始まった。


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