流星のファイナライズ   作:ブラック

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あけましておめでとうございます!

とうとう新年。どのような年末を過ごされたでしょうか?
わたしは来年のごとく人気番組のダウン○ウンのあれで年を明かしました。

さて、前置きはこれくらいにして…。

今年もよろしくお願いします!


FM編 4 結ばれる絆(ハープ・ノート)
再会


明星黒夜。

 

お前たちの進む先には大いなる災いが訪れるであろう。

 

お前(・・)に与えられた未来は二つ。

 

災いを打ち破る力を手にしていながら自らが災いとなり破滅する未来。そしてもう一つは正しく力を振るい、友と共に歩む戦いの未来。

 

どちらの未来を選ぶかはお前次第。ノイズの力、正しく使ってみせろ。

 

いつも、お前たちを見ているぞ…。

 

 

▼ ▼ ▼

 

そんな夢を見ました。

 

AM星の三賢者さんたちですね、わかります。

 

「…」

 

なぜだ!! なぜ俺が目をつけられた!

おかしいぞ、ここはスバルくんが目をつけられてスターフォースの力がうんちゃらかんちゃらでどうこうって話だったはず!?

 

ベッドの上でのたうち回る俺は母さんに叩き起こされて起床しました。

 

 

あれから数日後。

 

宇田海さんの記憶は曖昧だったものの、事件は幕を引いた。五陽田刑事が俺たちの電波を嗅ぎつけて到着したようだが、意味はなかった。俺がスバルに早く帰ることを促したのは五陽田さんがやって来てめんどくさくなること間違いなしだからだ。

 

予想通り、それから事情聴取が始まったみたいだしね。

 

幸い、宇田海さんは罪に問われることがなかった。理由として原因が不明であることと、天地さんや職員の擁護によるものだ。

 

あんな変人コスプレイヤーを宇田海さんだとは思わないよね。だって肌の色何色さあれ。

 

『そりゃ、あんなヒョロイ奴が事件を起こせるとは思わねえからだろうな』

 

「おいおいウォーロッくん、ヒョロイは君のとこもスバルも同じだろ?」

 

『ウォーロッくんはやめろ、虫唾が走る』

 

とことん嫌われたようで何よりである。

さて、見てわかる通り、俺のトランサーの中にいるのはご存知ウォーロックである。

なんでも俺に聞きたいことがあってわざわざやって来たんだとか。それより俺のトランサー多分ノイズだらけだけどそこんとこ大丈夫?

 

『それより、教えろ。いい加減スバルが起きちまうだろうが』

 

「俺が何者でどうして電波変換ができて、どうして裸眼で電波体が見えて、どうしてノイズの影響を受けないかだっけ…長いわ!」

 

ウォーロックが聞きたかったのは俺の根底に関わることだった。それもそのはず、こんな馬鹿げているスーパー地球人がいたらおったまげるに決まっているのだ。

 

ぶっ壊れもいいとこである。

 

というかお前はスバルのお母さんか!?

 

「二度手間は嫌いなんだよ、そういうのはスバルが学校に来てから2人で訪ねたまえウォーロッくん」

 

『チッ、本当にくえない奴だぜ。まあいい、俺もまだやることがある。今日はこのくらいにしといてやるぜ』

 

ウォーロックは三下のような台詞を吐き捨てると俺のトランサーから出てウェーブロードをたどって去っていった。最後に僅かに手を振ってくれたのはギャップを狙ったのだろうか。

母さんが仕事に行ってから早くも40分ほどが経ったか。ウォーロックも結構粘った方だと思う。

 

今日は事件のこともあって大事をとって学校は休ませてもらっている。全然元気だし、むしろやりたい放題やっちゃったのだから悪い気しかしない。

 

母さんの圧力には勝てなかった。

 

そんなとき、インターホンが鳴った。

こんな時間に誰かと思って出てみればそこに立っていたのは頭にツノを生やしたおっさん。

 

見覚えがある。

 

断じてセ○トくんではない。

 

「相変わらずこの家は異常にZ波が高い。そしてノイズも少量だが見受けられる…」

 

明らかに家宅への不法侵入をしているが、この人は警察官だから…いや、警察官こそやっちゃいけないのでは?

なにはともあれ、この人こそがサテラポリスに勤めている五陽田刑事だ。

以前から度々家を調べにきては不法侵入するのでもう慣れてしまった。

 

「お久しぶりです五陽田さん」

 

「おお、黒夜くん。久しぶりだな。相変わらず君の身体はZ波が高いな。それにノイズもあるみたいだ。定期的に病院には通うんだぞ」

 

「大丈夫ですよ。で、今回もまた調査ですか?」

 

「ああ、君ももうニュースでみただろうがコダマタウンの無差別破壊事件と先日の天地研究所で起きた事件。どちらも異常なZ波を待つ電波体によるものだと本官はみていてな」

 

「さらにだな、モノレールの事件以降5年前の異常電波が活動を再開した。奴はZ波とともに異常なノイズを放つ危険電波だ。なんとかせねば…」

 

言えない…それ全部俺のせいですなんて絶対に言えない。

スバルと違って本当に電波世界に影響を与えちゃうなんて絶対に言えない。

 

「む、本官は次のポイントへ急行しなければではまたな黒夜くん。お母さんを泣かせるんじゃないぞ〜!」

 

五陽田刑事は俺の家から出ていくと奇妙な走り方をしながら去っていった。

 

根は良い人なんだけどな〜。

 

とりあえず今日はやることがない。母さんが仕事を終えて帰ってくるのも午後16時ごろ。それまではほぼ自由時間と言っていい。せっかく休むのだから精一杯楽しまなければ…。

電波変換してウィルスバスティングをしたり、適当に歩き回ったりしてのほほんと過ごすことを決めると早速外へ出る。

 

外はまだまだあったかいけれどブランケットを持って展望台を目指す。まず最初は展望台でお昼寝をすると決めたのだ。

 

え、お昼じゃない?

さっき起きたばかりだろって?

 

小さいことは気にしない。寝る子は育つ。寝すぎて頭が痛くなり始めるのは10代後半からだよ。

 

電波変換していくほどの距離でもないので歩いて展望台へと向かう。道中、公園でそろそろ再開する予定のバトルカードショップ専門店を発見したが帰りに寄ることにしてスルー。

田中さんに言ったらきっと『敵情視察だッ!!』なんて言って乗り込みそうだ。

 

「…あ」

 

「…なんでやねん」

 

展望台にたどり着くとそこには先客がいた。

ここ1ヶ月でこれだけ出会うことはそうそうないだろう。もはやお馴染みとなりはじめた有名美少女シンガー…響ミソラ、その人である。ミソラちゃんは鳩が豆鉄砲くらったような顔で俺をじっと見つめる。やがてニッコリと微笑んで彼女はギターを弾きながら歌いはじめた。

 

ここには俺以外に誰もいない。

 

なんというか、心地よい気分がする。曲調はバラードほどゆっくりではないものの、聞いている人に安らぎを与えてくれる。それでいて力強い歌詞。

 

前回は声しか聞こえなかったけど、本人を目の前にして聞くとこうも違うのか…そりゃファンが増えるわけだよ。

 

やがて歌詞を言い終えたミソラちゃんがギターを鳴らす。それが最後だったのだろう。ギターの音が余韻となって響いた後に残るのは静寂のみ。

 

「どうだった?」

 

「優しい歌だったと思うよ」

 

「そう? よかった…新しく作った曲なんだけどこの曲だったらママも喜んでくれるかな」

 

「その新しい曲はお母さんに?」

 

きっともう亡くなっているお母さんに向けたものなんだろう。

 

「私が歌をつくるのはママのため。ママ、私が新しい曲を聞かせるたびに喜んでくれるんだ。ママ、聞いてくれた? とってもいい曲ができたよ…」

 

ミソラちゃんは空の方を向いて祈るように呟く。その姿は今にも消えてしまいそうなほどに儚かった。

ミソラちゃんの母親は喜んでいるだろうか、それとも憂いているだろうか。

 

「きっと、喜んでるよ」

 

優しく微笑んでいるに違いない。

 

「ふふ、ありがとう。それと…ひさしぶりだね」

 

ひさしぶりと言う程でもないのはモノレールの時に会っているからだ。あのときは電波変換してたし気づかなくて当然だけどね。ミソラちゃんが声で勘付いたかもと思ったけど杞憂だったようだ。

その後、経過はどうだろうか。あれからも音楽活動は続けているようだった。

 

「それでちゃんと警察には相談した?」

 

「…ううん。でも私はマネージャー(ストーカー)には負けないよ。私は、あの人の言うお金()のためだけに歌を歌ってるわけじゃないから」

 

「そっか。でも助けを呼ぶのは重要だからね。自分の心に正直にね」

 

「…ほんと、君には助けられてばかりだね。そろそろ行かなきゃ、またね」

 

ミソラちゃんが話している間、彼女の表情は始終憂いを帯びていた。その顔に張り付いた笑みは今にも崩れそうな脆く儚い笑み。

 

う〜ん、どうにかしてあげたいけどできることなんてないんだよな〜。

 

ものすごく嫌なことではあるが、俺が何かするよりもミソラちゃんがハープに出会った方が救いになる気がしてならない。

 

さてそれよりもやるべきことがあるな。

ミソラちゃんと話している間に近くに感じた知っている気配。

 

…そこか!!

 

「で、スバル…隠れてないで出てこいって」

 

『なんでわかんだよ、化け物かお前』

 

化け物扱いするんじゃありません。

実際にスバルがいることを知っていた(・・・・・)のもこのタイミングで展望台にミソラちゃんがいたことを考えてだ。

 

断じて気配を感じたわけではない。

 

「おー、ロック今朝ぶりだな元気しとぉや!!」

 

「黒夜くん、今の子って…」

 

お。スバルから下の名前で呼ばれるようになった。これはいい進歩だ。今までは君だったからね。

そういえば、天地研究所の事件でも帰りはルナトリオと一緒に帰ってたっけ。

 

微笑ましいことに『待ってよ〜』なんて言ってたな。

 

「俺もスバルって呼んでるんだからくん(・・)はなしだよ、スバル。で、さっきの子は超有名美少女シンガー、響ミソラだよ」

 

「やっぱり…」

 

あれれ?

確か原作では知らなかったはずなんだけどな〜。

 

「知ってるのか」

 

「前に一度だけね」

 

スバルもそれなりにカルチャーに目覚めているようで何よりである。流石にライブに行ってる姿は想像できないけどね…というか有り得ないか。

 

ん?

 

もしかして会ったことがある?

 

「そっか。まあ、俺の場合、一方的に知ってるだけで向こうは俺の名前なんて知らないと思うけどね」

 

そういえば自己紹介はしてなかったな〜。

名前教えないで連絡先だけ渡すってそれどんなストーカー?

 

…ストーカーは俺だったということか!!

 

自分の思わぬ失態に心の中で羞恥しているとウォーロックがスバルのトランサーから出てきて俺の前に立つ。

 

『お前のことだ。気づいて接触してるんだろ?』

 

「ん?なにを?」

 

真面目な声だ。

これは何かあったか?

 

『あいつがFM星人を吸い寄せるよな強力な孤独の周波数を放ってることだ』

 

「え、マジですか」

 

どうやら宇田海さんのときと同じく、ミソラちゃんもハープと合体待ったなしまで追い詰められていたようだ。

ということは今朝方ウォーロックが言っていた『やることがある』というのは尋常ではない孤独の周波数を発していたミソラちゃんの監視だったようだ。

 

まだハープには取り憑かれていないが、それも時間の問題。あれ、そういえばミソラちゃんのライブは明日…マジですか?

 

こんなに立て続けに事件が起こるって…そりゃ五陽田刑事が忙しいわけだよ。

 

スバルに話を聞いてみるとミソラちゃんの詳しい事情はほとんど知らないようだった。前に展望台でさっきのように歌を聞かせてもらったらしい。

 

最近は時折来てたのかな?

 

それで表情が気になったと…ふむふむ。

 

スバルもどうせ巻き込まれる運命にあるのだ。情報は共有しておくべきだろう。

とりあえず大まかな事情をスバルに話しておく。

 

要は『お母さんとの繋がりである歌を悪いマネージャーのお金稼ぎの道具にされて非行に走りそうな美少女戦士なんだよ』とまあこんな感じである。

 

マネージャーのことを悪く言い過ぎな気がするが小学生を働かせすぎるのは良くないぞ。

 

「なんとなく似てるって思った?」

 

「…別に、僕はあの子とは違うよ」

 

本質はそっくりなんだけどね…。

 

ここが、スバルとミソラちゃんのファーストコンタクトだと思っていたのだけと…。

 

なにはともかく、スバルにはこのあたりでブラザーを作ってもらいたい。

 

あ、俺でもいいよ。大歓迎です。

 

さて、今度はキグナスの時のようには行かない。

あれはやりすぎた…キグナス・ウィングは犠牲になったのだ。

 

聞けば擬似宇宙の電脳もボロボロにしてしまったようで、事件後の規制がなくても損壊が激しすぎて動かないらしいじゃないか。

 

天地さんほんとごめんなさい。

 

そのあとルナトリオが合流してくるのは目に見えてたのでスバルに丸投げして逃げてやった。

 

 

『いきなりゼット波がなんだとか、あんなことまでされたらお嫁に行けないわ!!』

 

とか言っていたけど五陽田さんなにしたのさ。

 

 

 


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