流星のファイナライズ   作:ブラック

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やってしまったことは仕方ない…ということで投稿することにしました。
もし読んでいた方がいたら申し訳ないです(T . T)


星の試練

夕焼けが落ちようかという頃、とある場所の屋上で二人の少年と3つの黒い影が対峙していた。

 

『来たか…明星黒夜よ』

 

ご存知AM星人の三賢者様である。

わかったよ、もう俺が目をつけられているのはわかったさ。

 

それでも一言言わせて欲しい。

 

「だからなんでさ…」

 

▼ ▼ ▼

 

時は帰宅した後までさかのぼる。

 

家に着いてからしばらくは平穏なときを過ごしていた。ミソラちゃんとメールのやり取りをしているときがとても至福である。最近は元気にしているようで一から音楽を学んでいるんだとか。

 

なんというか…小学生で一から音楽を学び直すっていうのもよくわからないんだけどね?

 

どんな天才少女さ。

 

今度時間があればこっちに来るからよろしくとのことだ。

 

また騒動になるんじゃないかと苦笑いをしつつも返信の内容を考える。

今まさに返信を送ろうとしたその時、突然としてトランサーが振動する。

 

電話だ。

生まれて初めてブラザーから電話がかかってきた。そのことに感動しながら通話ボタンを押す。

 

『あ、もしもし黒夜くん?』

 

「スバル?どうした?」

 

かけてきたのはスバルだ。

天地さんのところでペンダントを解析してもらって何かわかったのだろうか。

 

『えっと、なんていえばいいのかなmdajem…』

 

スバルの声に突然ノイズが混じって聞こえなくなる。

 

電波変換していなければトランサーの不調ではない。故に断じて俺のせいではない。

やがてノイズが収まっていき静まった次の瞬間、野太く低い声が俺のトランサーから聞こえた。

 

『明星黒夜よ』

 

「…どういうことですか、これは」

 

『天地研究所の屋上で待っている。試練のときは来た』

 

勝手に電波を乗っといておいて勝手に切るなとか物申したいことは色々とあるが、とりあえず行かないことには始まらない。母さんには適当な理由をつけといて外出する旨を伝える。

 

いざアマケン目指してひとっ飛び。

 

電波変換をして文字通り光の速度で移動したその先に待っていたのはAM星人三賢者とスバルがいた。

 

そうして今に至るわけである。

 

『明星黒夜そしてスバルよ』

 

俺だけフルネームで呼ぶのには理由があるんだよね。ノイズ使うから嫌ってるわけじゃないよね。

 

…若干不安である。

 

『こいつも来たんだ、いい加減もったいぶるのをやめて教えやがれ!何が目的だ?』

 

「ウォ、ウォーロック!」

 

ウォーロックが痺れを切らして三賢者に問いかける。スバルがなだめようとするこの流れもなんというかもうテンプレである。

 

慣れたもんだよね。

 

「この電波体は3つのサテライト…ペガサス、レオ、ドラゴンのそれぞれを管理している。いわゆるサテライト管理者だよスバル」

 

「黒夜くん知ってるの!?」

 

「前に夢の中でちょっとね」

 

スバルが目を大きく開いて俺を見る。

ウォーロックは何やら考えている様子。俺と三賢者の繋がりでも考えているのだろうか。

もしかしたら夢の中での出来事を思い出してるのかもしれない。

 

『あの夢でそんなことあったか?』

 

『お前たちは先に返したのだ』

 

「そういうことだ」

 

『黒夜の言う通り、我らは3つのサテライトを管理する者…その影だ。サテライトペガサスの管理者、ペガサス・マジック』

 

『サテライトレオの管理者、レオ・キングダム』

 

『サテライトドラゴンの管理者、ドラゴン・スカイ』

 

それにしても随分と巨大な電波体だ。大きさもさながらだが、ひしひしと伝わってくるプレッシャーは只者ではない。スバルがビジライザーをかけないで見えている通り、常人でも見ることができる。

 

だが、俺からしてみればこいつらが異常に見えて仕方がない。

 

この電波体の力は…危険だ。

 

直感がそう告げているのだ。

 

『戦いの時が迫っている』

 

「戦いの時?」

 

『そのための準備をしに、我らはやって来た』

 

FM星人との戦いが本格的になってきたことが関係しているのだろう。FM王もようやく本腰を入れて地球を叩こうとしたいるわけだ。

 

そしてアンドロメダもまた…。

 

FM王もただ寂しくてかわいそうなだけなんだけどね。

 

『お前たちにも守るべき大事な絆が生まれた。ブラザーバンド…それが合図だった。我々は待っていた。お前たちにブラザーバンドができるのを』

 

ペガサスの言葉を引き継ぐようにレオが口を開く。

 

『人は守るものができた時、初めて本当の力を手に入れる。今、この星にかつてない脅威が迫っている。その脅威によってお前たちの大切な者は失われ、生まれたての絆もことごとく切り裂かれるだろう』

 

「かつてない脅威…」

 

「なるほど、それでその脅威に立ち向かえとそういうことですか?」

 

『それが星の命運。イレギュラーはあったがここまでは決まっていた(・・・・・・・・・・・)。そのペンダントがお前に渡ったときから確信していた』

 

チラリと俺を見るドラゴン。

スバルがダイゴの子として生まれたときから決まっていたとかゲームで言っていた気がする。

 

「父さんを知っているの!?」

 

『我々はお前の父親と協力してブラザーバンドを作り出した。絆を何よりも大切にする心優しき男…それこそが星河ダイゴ、お前の父親だ』

 

「…父さん」

 

『お前の持っているビジライザーとペンダントはお前の父親と我らが連絡をとっているときに使っていたものだ』

 

『星河ダイゴを中心に我らは運命の糸で結ばれていたのだ。スバル、ウォーロック、そして明星黒夜よ』

 

だからどうして俺だけフルネーム?

 

『この星の運命はお前たちにかかっている』

 

「ほ、星の運命って…いきなりそんなこと言われても!!」

 

『我らは戦うことはできん。打ち勝つことは決してできんのだ。脅威に打ち勝つにはスバルとウォーロックが融合したロックマンの力が必要だ。そして鍵となる未知なる存在…それこそが明星黒夜』

 

AM星がなくなったのはアンドロメダによるものだからね。三賢者ですら敵わなかった存在。

 

だからこそ、勝てないことを悟っているのだろう。

 

『来るべき決戦の日に備え、我々はお前に力を授けることにした。スターフォース。星の力を!』

 

『お前?こいつは関係ないのか?』

 

「明星黒夜の力と我らの力は決して重なることはない。様々な要因でな」

 

いわゆる大人の事情ってね。

俺の周波数が関係してるんだろうね。まぁ、生まれが生まれだから仕方がない。

多分、あの生まれがなければノイズを操るなんて芸当から常に電波が見えるなんてのもできなかったはずだ。

 

『さて、力を与える前にはっきりと言っておこう。お前たちは弱い』

 

『なんだと!?』

 

今日何度目ともわからない怒声を出す。だがそれでも三賢者たちは動じない。

むしろ、その反応こそが弱者の証だと言わんばかりに。

 

『我らは見ていたのだ。お前たちがあの黒いジャミンガーに無様にやられる様をな』

 

「…それは」

 

『明星黒夜との連携は確かに見事だ。阿吽の呼吸といってもいいだろう。だがそれでもロックマン、お前は弱い』

 

スバルを強化するのに手っ取り早いのはバトルカードを集めることやHPメモリを獲得すること。

だが、それをものともしないほどの強化を施すならばスターフォースの存在は欠かせない。

 

『星河スバル、そしてウォーロック…これよりお前たちには星の試練を受けてもらう!!』

 

星の試練が、今始まる。

 

▼ ▼ ▼

 

とうとう始まった『第1回、チキチキ!!星の試練!!』は金ピカのデンパくんこと5人の星の番人を全て倒すという内容だ。

ちなみに俺は口だし不要どころかこの場に残るように言われ、スバルとウォーロックはロックマンに電波変換して去っていった。

 

スバル本人の力を強化するので全然問題ないが、わざわざ家から駆り出されたのだからちょっと悲しい。ここで見ているだけというのもなんだか煮え切らないものがあるのだ。

 

電波変換を解いてあぐらをかいていた俺の視界が突然暗転する。

 

『さて、明星黒夜』

 

気がつくと、そこにはドラゴンしかいなかった。レオの姿もペガサスの姿もそこにはない。

 

周りの風景もまったく違う。

似ている風景で言えばヤシブタウン。大きなビルがいくつも建ち並び、ウェーブロードも随分と広範囲に広がっている。

 

バカな、本当にヤシブタウンに瞬間移動したとでもいうのか。

そんなことはあり得ない。

 

『ここは事前に我らが用意した特別な空間。ヤシブタウンではない。安心しろ』

 

「特別な空間って言われても…」

 

安心しろと言われて『はいそうですか』とは言えない。

ドラゴンのプレッシャーが先ほどとは比べものにならないほどに変わっている。

 

これは…この空気は…。

 

『行くぞ、明星黒夜!!!』

 

「ッ!! 流星サーバーーーーッ!!」

 

『Ryusei Server Access』

 

ドラゴンが猛々しく吠えてこちらに向かって突撃してくるのをすぐさま電波変換してノイズドウィングバーニアを使用して避ける。若干回避が遅れたせいかミソラちゃんのリンクアビリティであるファーストバリアが消える。

 

あのままならば確実にドラゴンの口の中に収まっていた。

 

飢えているわけでもあるまいし!!

 

「俺の試練はなかったんじゃありませんでしたっけ?」

 

『言ったであろう。見極めるとな!!』

 

「ちょッ!?」

 

俺の言葉など聞き届けてはくれないようで俺に向かって突撃してくる。ただの突撃ならば回避は容易い。だが、地面から鋭く尖った木を召喚してくるので面倒くさい。

 

しかも槍のごとく飛んでくるのだから余計にタチが悪い。

 

「そこ邪魔なんですけど!!」

 

腕を横薙ぎに振るって炎のリングを放つ。その炎のリングが下で発射されるのを今かと待ちわびている鋭く尖った木を焼いて行く。

 

モエリング3だ。

 

ゲームでは縦3マスという設定だったが、現実で使うとこのように広範囲を殲滅することができるのだ。

 

綺麗な弧を描いて俺の元へ戻ってきたリングが消える。

 

流星サーバーから送られてきて選んだバトルカードは当然モエリング3だけではない。

地の有利は一時的にだが、なくした次はこちらから仕掛けることができる。

 

高速で地面に降り立って左手を地面に叩きつける。

 

ドラゴンが放っていたものよりは遥かに細いが鋭く尖った竹が地面から飛び出してくる。

 

モジャランス3。

 

俺を追いかけて急降下してきたドラゴンはモジャランスに気づいて向きを変えようとしたが、すぐには止まらずにモジャランスが…刺さらなかった。

 

さすがにあの巨体を串刺しにしようとする考え方に無理があった。ドラゴンはモジャランスに当たったものの、モジャランスが折れてしまうという悲惨な結果に終わった。

 

火力が足りない。

 

『その程度か明星黒夜』

 

「……」

 

手がないわけではない。

やってやれないことはないのだ。

 

だが、それをするとどのような影響が出るのかわかったもんじゃない。

 

『その程度では守れるものも守れんぞ。あの少女に何もしてやれなかったようにな』

 

「わかってるさそんなことは!」

 

確かに俺はあの時何もできなかった。

本当の意味で心を助けることは俺だけでは決してできなかった。ハープとミソラちゃんが出会わなければどうしようもなかったことはわかっている。

 

『ようやくできた絆はすぐに壊される。お前の弱さ故に』

 

「そんなこと!」

 

『ならば力を示せ!これで終いにするぞ、明星黒夜!!』

 

ドラゴンが一際大きく咆哮を挙げると螺旋を描きながら空高く飛翔していく。

 

呼応するようにドラゴンの周りに集まっていく木の葉。螺旋を描くことで強大な風の役割を果たしているのだ。

 

まるで、木の葉を纏った巨大な竜巻。

 

「なりふり構ってる暇は…ないッ!!」

 

バトルカードを選択してできる限り遠ざかる。

ドラゴンは未だに飛翔し続けているが、いつこちらに向けて突撃してくるかわかったものじゃない。

 

大きく腕を振るいグランドウェーブ3で地面を抉る。狙う先なんてものはありはしない。

グランドウェーブが役に立つのは何かに当たっても止まることなく貫通するからだ。しかも3の速さは中々見所がある。

 

放たれたショックウェーブがいくつものビルを抉っていく。

 

さらに別の方向にグランドウェーブ3を放つ。

 

また別の方向のビルが傾く。

ダメ押しにモジャランス3を地面に向けて放つ。

 

全てを溜め終えたドラゴンがこちらへ向けて突撃してくる。その身はまさしく木の葉の台風…リーフストーム。

 

地面から飛び出してくる鋭く丈夫な竹に小さな物は壊れていく。

 

残念ながら手持ちにインビジブルはない。

こればっかりは運がなかった。

 

この攻撃を防ぎきれば勝機はある。

 

ドラゴン本体の直撃だけは避けなければならない。

なんとかドラゴン本体を回避することには成功したが、次に襲いくるのはドラゴンの周りを刃のように荒れ狂っている木の葉。

 

「防ぎ切れよ、シールドォォォッ!!」

 

全力で盾を支えつつ盾に隠れる。

轟音とともに木の葉が通り過ぎていく。木の葉が盾に突き刺さっていく衝撃が伝わってくる。

 

数が増していくにつれて重みが増していく。

 

そしてカスタムゲージが溜まる。

 

「スーパーバリアッ!!」

 

盾が破れるのと俺を黄色い炎のような膜が包んだのはほぼ同時だった。

そのままジェットアタックを使用して大きく竜巻から逸れる。

 

若干いくつかの木の葉が突き刺さったが致命傷には至っていない。

 

スーパーバリア。

これはバリアの上位カードであり、5回の攻撃から身を守ってくれるものだ。

インビジブルを引けなかったのは運がなかったが、なんとか耐えきることができた。

 

すでに先の攻防でこの場所にあった建造物はあらかた破壊されている。建造物が壊れれば中に入っていた電子機器も破壊されている。もちろん完全に破壊されてしまえば意味がない。

 

周りを見回す。

 

見渡す限りの荒野だ。先ほどまで建ち並んでいた建造物がまるで嘘のだったかのように。

それが夢でも嘘でもないとわかるのは建造物の残骸と電子機器からスパークが漏れているからだ。

 

わずかでも一部が残っていれば、そこから微弱な電波が流れていればノイズは起こる。

 

ノイズ率は…680%

 

「流星サーバー、アクセス」

 

『Ryusei Server Access』

 

一度流星サーバーとの接続を切り、もう一度つなぎ直す。

 

当然、バトルカードも一新される。

 

繋がれたのはメテオGのサーバー…今までよりも遥かに深いところにあるサーバー。

 

ここから先は決して自由にはさせない。

 

「大層な歓迎、ありがとう」

 

『今のを凌いだか…』

 

未だに力衰えないドラゴン。

優位だと思って俺に合わせて地面のすぐ近くまで降りたのは失敗だった。

 

これだけのノイズだ。

 

どれほどのノイズが集約されるか俺ですらわかったもんじゃない。

 

「俺もあなたを俺の領域に招待するよ…覚悟はいいか管理者!!」

 

『何を…ッ!?』

 

地面が避けるように、侵食するように黒い靄が広がっていく。

以上に気づいて飛び上ろうとするがそうはさせない

 

ホイッスルを使って俺の元へと引き戻す。

 

そして呑まれる。

 

まるで泥のように足を、身体を侵食していく。すっぽりと頭までも呑み込まれた途端、世界が変わった。

 

「見せてあげるよ、俺の本気をね」

 

見渡す限りの薄暗闇。

 

その名を…ノイズウェーブ。

 

▼ ▼ ▼

 

一方その頃スバルも奮闘していた。

 

星の証は無事に全て回収し終えたまではよかった。だが、そこから先はペガサス・マジックとの戦闘という予想外の展開が待っていたのだ。

僕は持てる全ての力を使って立ち向かった。

 

『力無くば、新しくできたその絆すら守ることはできん!!」

 

どれほどダメージを与えても底が見えない!!

 

足元にできた魔法陣のようなものから氷の刃が飛び出して来るのをインビジブルで回避する。

 

『くっそ、本当に同じ電波体か!?』

 

ウォーロックがこう言うのも頷ける。今までの誰よりもタフだ。見かけが大きいのは伊達じゃない!

 

だけどこの戦闘は唐突に終わりを告げた。

 

『ふむ…想像以上の強さだった』

 

『手を抜きやがって…化け物かよお前』

 

ウォーロックの言葉に耳を疑う。

 

今ので…手加減されてた?

あれだけダメージを与えて、こっちは満身創痍なのに?

 

強い。

今までの誰かとなんて比べものにならない。

 

無理だ。

ただでさえサテライトの管理者でも勝てないほどの敵に打ち勝つなんて。

 

『我らの目的はお前たちの潜在能力を測ること。やはり、素質は十分。もう片方は…』

 

ペガサスが呟いた途端、何もない空間から黒い靄のようなものが広がっていき、巨大な何かが大きく吹き飛ばされていった。

 

それが僕の隣へ大きな音を立てて落ちる。

 

ドラゴンだ。

サテライトの管理者のドラゴンが傷だらけになって飛ばされてきたのだ。

 

突然、呼吸が苦しくなる。

 

肺を押しつぶされたかのような感覚に思わず膝をつく。

これは…一体!?

 

『スバル、ウェーブアウトだ! 電波変換を解け!!』

 

ウォーロックに言われるがまま、電波変換を解く。今度は若干頭が痛くなったものの息苦しさからは解放された。

 

『これほどとは…』

 

未だにビジライザーがなくてもペガサスの姿は見えているがどことなく苦しそうだ。それに姿が掠れてきている。

 

ビジライザーをかける。

 

未だに黒い靄は健在でその中から誰かが出てくる。

 

赤いバイザーに黒を基調としたボディ、ノイズを撒き散らすように広げられた大きな羽。

 

ブラックエース。

 

黒夜くんだ。だけど僕の知っている黒夜くんではない。

 

あれは、あの力は怖い。

 

「満足した?サテライトの管理者」

 

『我らをも凌ぐその力、異常としか言えぬ。やはり、お前とスターフォースが重なることはない』

 

怒気を含んだ黒夜くんの声にペガサスは間を置いてから喋った。

 

「…ふぅ。それくらいわかってますよ。まず俺がスターフォースを手にしたところで力を発揮することさえ不可能でしょ」

 

黒夜くんからプレッシャーが消える。いつもの飄々とした黒夜くんだ。

 

「スバル」

 

不意に名前を呼ばれた。

 

「今なら、まだ引き返すことができる。ここでならまだその運命から逃れることはできるかもしれない」

 

『明星黒夜』

 

「運命だろうがなんだろうが、選択するのはお前自身だ」

 

ペガサスの言葉に臆せず、いつもとは違う口調で問いかけてくる黒夜くん。

サテライトの管理者から受け取る力がどんなものなのかは知らない。だけど、黒夜くんの口ぶりからその力が強大なものだということは理解できた。

 

きっと、黒夜くんはその力のことを知っているんだ。

 

僕は失うのが怖い。ミソラちゃんと黒夜くんとブラザーバンドを結んでもそれは変わらない。

 

力がなければ守るものも守れない。

 

「力があっても、守れないときもある。力があるから犠牲になるものだってある。それでも、スバル…お前は力を受け取るのか?」

 

どんなことを意味しているのだろう。

 

ミソラちゃんの時のように黒夜くんの全ての気持ちは黒夜くんにしかわからない。

これから何かが起こると知っていながら、わずかにでも力がありながら何もできないのは嫌だ。

 

ただ見ているだけで目の前で失うのはもっと嫌だ。

 

「それでも僕は守る力が欲しい。君と肩を並べて戦えるだけの、力が欲しい。」

 

黒夜くんはニコリと微笑むと大きくペガサスに向かって頷く。ペガサスも同意するように頷くと僕へ向き直る。

 

『さて、試練は終わった。ロックマン、お前にスターフォースを授ける!』

 

光の柱が僕を貫いた。

 

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