流星のファイナライズ 作:ブラック
毎度ながら誤字報告、ありがとうございます。
事情聴取
あの事件から2週間。
マスコミが学校にくることも度々あったものの、ようやく沈静化。普段通りの授業が展開されるようになった。辞任した校長先生の代わりの校長先生もやってきて、ようやく再スタートを切ることとなったコダマ小学校。
5-A組も普段通り、熱いクラスメートたちが盛り上がっていた。
「うっしゃ! 今日の僕の日直どうだった!?」
君の日直の号令はどうにかした方がいいと思う。
「うぅ〜。また宿題忘れちゃったよ…」
君は万年宿題忘れかな?
「さて、これで今日の学校はおしまいだが、くれぐれも寄り道しないで帰るんだぞ〜」
育田先生がこう言っているのにも関わらず、早速『おい、今日どこ行くよ』と囁き始めるクラスメートたち。
これが反抗期というやつか?
「そうだ。ゴン太〜、宿題の算数はいつになったら出すんだ〜。もう4日目だぞ〜。明日持ってこなかったら…」
「わ、わ、わかってます! けどそんなに一気に勉強したら頭がもたないぜ先生〜」
「おや、3日前にもう終わってるんじゃなかったか?」
「うげっ」
爆笑されるゴン太。そんなゴン太はチラチラと辺りを見回す。
ゴン太は助けを呼んだ。
「私は手伝わないわよ」
しかし、失敗した。
ゴン太は助けを呼んだ。
「ご、ゴン太くん、たまには自分でやってみたらどうでしょう」
しかし、失敗した。
「く、黒夜…」
ゴン太は助けを呼んだ。
「大丈夫だゴン太〜。どうせやっても明日持ってくるの忘れるから」
しかし、失敗した。
まあ今まで宿題やってこなかったゴン太が徹夜でやったとしても持ってくるのを忘れるのが関の山だろう。それに、先生はゴン太が別の人のを丸写ししていることに気づいているはずだしね。
「それと、明星と星河はこのあと放送室に来てくれんか? 外部の方から話があるみたいでな。説教するわけじゃないから安心して来てくれ」
そうしてホームルームは終わり、みんなが散り散りになって帰って行く。残って少しだけ勉強していく者。ダッシュで廊下を駆け抜けて風紀委員に捕まる者。教室の隅にゴン太とキザマロを立たせて説教するルナと様々である。
「なにタラタラしてるの…さっさと走る!」
こうしてみると、やっぱりゴン太とキザマロはルナの子分なんだな〜。
小学5年生から上下社会が出来上がっていて何よりである。
将来強く生きれることだろう。
あとは、走って風紀委員に捕まらないことを祈ろう。
「黒夜くん」
こちらに近づいてきたスバル。本当に表情も柔らかくなったものだ。初めてあったときの無表情とは比べものにならない。
「さて、行くかスバル」
「うん、話ってなんだろう」
「大方、前の事件のことだろうな〜」
大体の予想はついている。タイミング的にも五陽田さんがやってくるころだ。前の事件の調査とスバルと俺についてだろう。俺たちは巻き込まれたと同時に学習電波当時その場にいなかった人間。
疑われるのは無理もない。
若干びくびくしているスバルを連れて放送室の中に入る。
すでに中には育田先生と五陽田さんが待っていたので近づいて軽く会釈する。
スバルがその姿を見て『んげっ!?』と言ったのは気にしない。
きっと五陽田さんが苦手なんだろうな〜。
「やあ、黒夜くん。それとスバルくん…だったかな」
「お久しぶりです五陽田さん。調査ですか?」
「おや、お知り合いだったんですか?」
「ええ、黒夜くんとは何度か面会をしていましてね。先生もご存知だとは思いますが電波障害児の件です」
電波障害児と言う言葉に反応するスバル。余計なことを口走ってくれたと思いながら適当に返事をして流しておく。これはそのうち本当に根掘り葉掘り聞かれることになりそうだ。
「相変わらず異常な数値…まあいつものことか」
もう俺のZ波とノイズに唸る五陽田さんだが、ついに思考を放棄した。それはそれで悲しいものがある。
まるで人外判定である。
人間はやめたつもりはない。
「先日、この学校で起こった事件は君たちも覚えていると思う。それで調査していたんだが、非常に強い残留Z波とノイズが検知されたのだよ。つまり、先の事件にはZ波とノイズが関わっている可能性が高い」
言いたいことはなんとなくわかった。
「それでちょうど久しぶりに登校したスバルに目をつけたってことですか?」
確かにこのタイミングでスバルが登校したのは出来すぎている。もちろん、偶然に違いないのだが、疑うには十分な理由だろう。
「ちょっと待ってください。あの事件は私がおかしくなって起こしたものです。この子たちはむしろ被害者ですよ」
「私はこの子たちが犯人だとは疑っていません。ノイズに関しては黒夜くんが校内を歩いているだけで付着しますしね。ただ、この2人は私たちが知り得ない何かを知っているのではないかと睨んでいるのです」
じっと俺たち見つめる五陽田さん。スバルは若干たじろぐが、真っ直ぐとその瞳を見つめ返す。五陽田さんは知っていてもいいと思う。この人は正義感あふれる人だ。
なにも知らずに空回りされるよりもある程度知ってもらって協力してくれたほうがこちらとしても嬉しいのだ。
「なぁ、全く知らないことはないだろう?これまでZ波の絡んできた事件のほとんどには、スバルくんとノイズが関わっているのだから」
「そ、それでも僕は知りません」
「いいかね、スバルくん。驚かずに聞いてくれ。Z波の正体は宇宙人なのだ!!」
思わず身体を硬直させるスバルと俺。
宇宙人なんて非科学的な存在に対してどうやって核心まで辿り着いたのか。
スバルは無表情を保っているが、内心では相当焦っているに違いない。
「いいか、その宇宙人たちは人の目に見えない電波の身体を持ち、人間に近づき心に取り付く。そうして悪事を働くのだ。君も下手をすれば…」
残念ながらもう取り憑かれているとは口が裂けても言えないだろうな〜。
「いやいや、それはないでしょう! 電波の宇宙人ですと? ユニークな発想ですな」
事実ではあるが、笑い飛ばす育田先生。あなたもリブラをその目で見て、合体したはずなんだけど…。
それとも知っていてスバルを守るために嘘をついたのか。
「そ、そうですよ〜!」
スバルは好機と見たのかすぐにこれに合わせる。
「いや、これは本当で…」
「もういいでしょう。うちの児童は宇宙人なんて知りませんよ。2人とも、まあ帰っていいぞ」
「…わかりました。今日のところはこれくらいにしときましょう」
そうしてスバルは早足に放送室から出て行った。俺も一礼してから外へと出る。
さて、ここで少しだけ話しておいても損はないだろう。放送室の外で五陽田さんを待つ。しばらく待っていると放送室から五陽田さんが1人で出てくる。
どうやら育田先生は放送室の整備をするようでまだ中にいるようだ。
「おや、黒夜くん」
「五陽田さん。少し話しましょうか」
学校で話すのもなんなので、人気が少ないだろう展望台に場所を移す。予想通り人気は少なく、ここにいるのは俺と五陽田さんのみ。育田先生に寄り道はなしと言われたが、これは事情聴取ということにして許してもらおう。バレたらだけどね。
「五陽田さんの言ったことに間違いはありません」
「!! どういうことだね黒夜くん!!」
「宇宙人。間違いないですよ。育田先生がおかしくなったのはFM星人リブラと名乗った天秤のせいです」
間違ったことは言ってない。俺は確かに育田先生に取り憑いたリブラをこの目で見たのだから。
「天秤みたいな形で目と口があるオバケみたいな感じでした…というかあれほんとに宇宙人?」
「姿は確かにオバケのようだが、存在的に宇宙人で間違いない。ううむ…やはりそうだったか」
「スバルが錯乱してるのも無理ないですよ。宇宙人を見ただけでなく被害にあってるんですから。そりゃもう怖かったでしょう」
「本官は無神経なことを言ってしまったようだな。協力に感謝する黒夜くん。こうしちゃいられん。報告書をまとめなくては」
「調査頑張ってくださいね」
五陽田さんは綺麗に敬礼してからこの場を去るべく走り出す。夕日に向かって走るその様子はどこぞの刑事ドラマを見ているようだ。
ここでテロップが欲しい…。
だが突然何を思い出したのか後ろ向きで走りながらこちらに戻ってくる五陽田さん。ビデオテープなんてものはこのご時世にないが、今の五陽田さんは巻き戻ししているようで面白い。
「おっと、そうだ。相変わらずノイズ値が高いから定期的に病院に行くんだぞ〜」
「はーい」
今度こそ走り去っていった五陽田さん。
途中で転んだのは断じて見てない。
頑張れ、五陽田さん!
大きく伸びをするとトランサーを開き、いつの間にか来ていたメッセージを開く。3通来ているようだ。
『最近来てないけど、たまには顔出してくれよな。あと仕事手伝って…』
これはヤシブタウンの田中さんだ。そういえば最近はごたついてたから顔をだせてない。
最近はウィルスが増えていることもあって繁盛しているようだ。
『ヤッホー。この前は付き合ってくれてありがと! 今度はどこに行こっか! 今日これからそっちに向かう予定だから話そうよ!』
これはミソラちゃん。
前回ミソラちゃんと出かけた時に見た電波ザムライ。なんとも新鮮な映画だった。
言いたいことは色々あるが、そういうのは前日くらいに言いなさい。
最後のメッセージはどうやらスバルらしい。
『ゴン太とキザマロがジェミミミになっちゃった!?』
内容がまったく掴めない内容のメッセージ。
どうやらなにかが起こったようだ。