流星のファイナライズ   作:ブラック

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タイトルが思いつかなかった…。
少し間が空きそうです。

毎度のことながら誤字報告ありがうございますm(._.)m


ジャミンガー、しばくべし

超特急で5-Aまでたどり着いた俺たちはそのまま中へ突入してバスターを構える。しかし、ウェーブロードのどこを見回してもジャミンガーの姿は見当たらない。

どうせあの悪役様のことだから、どこかに隠れていやらしい笑みを浮かべて覗いてるんだろう。

 

ところで、こんな時になんだけど、俺は何か忘れている気がしてならない。なにか、とてつもなく大事なことを忘れているような気がするのだ。

 

いや、人命救助以上に大事なことなんてないんだけどさ…モヤモヤする。

 

この気持ちは一体…。

 

「い、いない!?」

 

『これだけ時間を与えればそりゃ動くだろうが…』

 

どこか安心したように息を漏らすスバル。安心してる場合じゃないだろうに。

それにしてもここにいないとなるとあいつの目的は何なのか。

 

単なる足止め?

 

そんなとき、ウォーロックがハッとしたように小さく声を挙げた。

 

『チッ…なるほどな。今頃奴は、あの女のところにいるだろうな』

 

「あの女?」

 

「もしかして委員長のこと?」

 

「ッ!! ルナと一緒にいたのか!?」

 

奴の狙いはロックマンの中身…スバルの弱点である人命。つまり、人質。

 

『理解したか。俺たちはまんまと裏をかかれたわけだ』

 

思わず唇を噛む。

考えが足りなかった。ゴン太とキザマロ、そしてルナでハッピーセット。ゴン太とキザマロがいる時点でルナのことを忘れてたいた俺が馬鹿だった。

 

思い返してみれば今までルナが巻き込まれたことしかない。

 

スバルに賛同してもらい、全速力でルナがいる教室を目指す。スバルの話によれば、ルナは1-Bで待機しているらしい。

 

だが、奴らはウェーブロードを伝って教室内に侵入することが可能なのだ。

 

鍵を閉めようがどうしようが関係ない。

 

故に…。

 

「ろ、ロックマン様ー!!」

 

ルナを捕らえることなど造作もない。

 

4体の電磁波人間に囲まれ身動きが取れないでいるルナ。

 

電磁波人間とかいう名前は返上したほうがいい。

 

紫色の歪んだ電波体。胴体や顔はもちろんのこと、手と足までも、もはや人間ではない。どうして人間という名前をつけたのか。もうポケ◯ンの仲間入りできそうだよ。もちろん、ゴーストタイプで。

 

あれは普通に化け物だ。

 

よく見れば揺らめく炎のような部位がノイズに犯されている。あれは確実にノイズにやられている。かといって、俺のノイズに当てられた訳ではなさそうだ。

 

俺と同種なんじゃないか?

 

ノイズの塊みたいなもんだぞあれ。

 

あのノイズの塊に囲まれたルナも心配だが、先に倒さなければならない奴がいる。

 

「今助けるよ!!」

 

「退がれ、迂闊に出るんじゃない」

 

そんなルナを見たスバルが血相を変えて飛び出していく。呼び止める声に耳をかさない。

 

スバルに放たれるバスター。

 

ウォーロックが気づいたことでなんとか回避に成功する。

 

蜃気楼のように揺らめきながら実体を現したのは例の如くジャミンガー。相変わらずの頭のトンガリ具合に感服する。

 

「その娘はアンドロメダの鍵と交換だ」

 

『ケッ、渡すわけねえだろ』

 

「ならば力づくで奪わせてもらおうか。だが、お前らが2人揃っているとなるとこちらが劣勢。俺に手を出したら娘の命がないと思え」

 

「卑怯な!」

 

どこぞの茶番のような展開。

このジャミンガーの悪役っぷりには尊敬の念すら抱く。

 

「娘、ゆっくりそこで見ておけよ。お前の大好きなロックマン様がなす術もなく俺様にボコボコにされるところをな!!」

 

本当に悪役真っしぐらだなこいつは!?

 

内心でそう思いつつ、ノイズウェーブ・デバウアラを起動する。

 

スバルには悪いが、ここは少し殴られたいてもらおう。というか攻撃しなくてもガードする分には問題ないんじゃないか?

 

ジャミンガーが猛攻を仕掛ける。

 

攻撃方法は物理ばかりだが、避けようとするスバルに向かって巧みにバスターを放ってくる。予測射撃まで完璧である。スバルもスターフォースを使って空へ逃げようとするも『それを解かなきゃ娘の命はないぜ?』と言われてやむなく解いた。

 

ジャミンガー…ガキじゃないんだから…。

 

吸収率は50%といったところか。

 

電磁波人間の片腕が消滅するが、ジャミンガーはそれに気づかない。よほどスバルに御執心なようだ。

 

さて、どうして電磁波人間の片腕が消滅したのか。奴らの存在が俺と同じく、高密度なノイズに当てられて作られたものだからだ。ファイナライズほどではないが、人体に影響が出る程度の濃度。

 

それだけの濃度があれば、あそこまで暴走するのも頷ける。

 

ノイズウェーブ・デバウアラはノイズを吸収し、自身の力へと変換する機構を持つ。

 

故に、電波体だろうが人間だろうがノイズを吸い取ることが可能だ。

 

どうせ俺がノイズ電波体だということを見抜いてこの方法を思いついたんだろう。まあ、ノイズを吸収できることまでは知らなかったらしい。

 

加えて心外なのは俺が眼中にないこと。

 

どうして毎度毎度、俺はFM星人関係からガン無視されるのか。あれか、そんなにロックマン様大好きなのか。

 

ロックマン様しか眼中にないのか?

 

いやらしい嘲るような笑みを浮かべながらジャミンガーがスバルを殴りつける。

 

ロックマンがボコボコにされる様から逃避するように、やがてルナは気を失った。

 

「さて、お遊びは終わりだ。そろそろトドメを刺させてもらうぜ」

 

「ああ、そうだな。こっちも準備が整ったよ。辺りをよく見てみろよ」

 

俺に言われるがままにジャミンガーが辺りを見回す。ぐるりと一周、周りを見回そうかというとき、ルナが倒れている場所を見て固まった。

 

その場所にいたのは、気絶したルナのみ。

電磁波人間の姿はどこにもない。

 

「ば、馬鹿な!?」

 

固まるジャミンガーに大きく一歩近づく。

 

「というわけで、ここからは俺たちも抵抗しようと思う…拳で」

 

「散々やってくれた借りは返さないとね」

 

むくりと立ち上がったスバルの瞳に、光はない。呆然としたような瞳で見つめながらジャミンガーに近づき、グーで作った拳を胸の前で握りしめる。

一歩足を踏み出したのをきっかけに、高速でジャミンガーに迫る。俺の頭上を飛ぶのはアイスペガサスへと変身を遂げたロックマン。出会った最初とは真逆の立場になったが、地上でボクシングをするのも悪くない。

 

「流星サーバー、アクセス」

 

『Ryusei Server Access』

 

特徴的な機械音声が耳に届いたのとバトルカードが送られてくるのはほぼ同時。その一瞬の間にバトルカードを選び終え、腕の形状を変化させる。

 

「動きを止めるよ!」

 

上空のスバルから放たれるのはアイスペガサスのチャージショット、アイススラッシュ。

 

氷の塊がジャミンガーの足元に向かって放たれ、動きを拘束する。

そこに腕の形状をボクシンググローブに変化させた俺が突っ込み、アッパー。

 

シンクロフックX。

 

3からXへと変化したのは大量のノイズを吸収したせいだ。

元々高威力であったシンクロフックがバグデータと化した威力は半端じゃない。

上空へ吹き飛んだジャミンガー。その先に待っているのは、腕の形状を俺と色違いのグローブへと変化させたスバル。

 

頭から殴り飛ばされたジャミンガーが地面へと叩きつけられる。

 

さらにそこへ細い弦のような何かがジャミンガーへ突き刺さり、音符が…弦? 音符?

 

そこで思い出す。

俺が一体、何を忘れていたのか。

 

「そうだよね、私はギターで抵抗しようと思うんだけどどうかな!」

 

そういえばミソラちゃん(この子)、また突然来ることになってたんだった。

 

▼ ▼ ▼

 

思わず頭を抱えたくなる状況っていうのはこういうのを言うのだと思う。

『ハープ・ノート登場! 間一髪…じゃなさそうだったけどセーフだよね!』などと訳のわからないことを口にした女の子。

 

紛れもなくハープ・ノート…ミソラちゃんである。

 

「ヘルプシグナルが鳴ったと思ったら2人がいるんだもん。びっくりしたよ」

 

ヘルプシグナル?

 

もし鳴っていたとするならば、スバルがボコボコにされているときに鳴ったのかもしれない。まったく気づかなかった。お礼を言うスバルの顔はにこやかだが、俺はそうもいかなかった。

 

「わたし、黒夜くんの家で待ってたんだけどなー」

 

ジト目でこっちを睨めつけるミソラちゃん。その瞳は笑っていない。

 

言えない…メッセージもらった直後に忘れましたなんて絶対に言えない。

 

「ご、ごめんハープ・ノート。ほら、人命救助って大事だよね」

 

ミソラちゃんはなにか言いかけたが、背後でジャミンガーが起き上がる気配を察知してギターを構える。

 

俺とスバルも例外ではなく、バスターを構える。

 

「…うぐぐ。よくも、やってくれたな小娘。電磁波人間、小娘を痛めつけ…」

 

そう言おうとして思い出したかのように口をつぐむ。

 

「電磁波人間?」

 

「あの人、たくさん殴ったから頭おかしくなったんだよ…」

 

なにも知らずに首をかしげるミソラちゃんに優しく語りかける。『なるほど!』と納得するあたり、ミソラちゃんは詐欺に気をつけた方がいい。

 

「残るはお前だけだ、ジャミンガー!」

 

そしてこういったやりとりに慣れた様子のスバル。

 

ガン無視は寂しいぞ。

 

「こ、こうなったら俺自ら貴様らをバラしてやるッ!!」

 

そこからはなんとも悲惨な戦いだった。いや、戦いとすら言えない蹂躙だった。

スバルが空から氷の礫を放ち、同じく上空からスプレッドガンXを放ち、ミソラちゃんが音符でジャミンガーの周りを包囲し爆発させる。更にスバルが使ったバトルカード…クエイクソングでグラビティ効果という鬼畜ぶりだった。

 

『餌にしてやろう』

 

大きく腕をふるってジャミンガーに向かって数多のピラニアがとびかかっていった。

ピラニアキッス3でジャミンガーにトドメを刺したときの2人の引いた目は今でも忘れられない。ウォーロックからはありがたいことに『鬼畜』の称号をいただいた。

 

ジェミニしばくべし、手下殺すべし。

 

後にミソラちゃんとスバルは当時のことをこう語る。

 

『なんていうか、弱肉強食って言葉の意味を実感したかな…』

 

『黒夜くんって時々恐ろしいよね…どっちが悪役かわかんなくなっちゃったよ』

 

▼ ▼ ▼

 

『ち、チクショウ…こんなはずじゃなかったのに…ジェミニ様バンザァァァァイ』と呟いてピラニアごと爆散していったジャミンガーに少し同情してしまった。

 

だが、後悔はしていない。

 

最後の最後でジェミニの名前を出したジャミンガー。

 

ジャミンガーがジェミニの手先であったことがウォーロックたちにも伝わる。それと同時に理解できるのは、ジェミニが既に手を打ってきていることだ。

 

俺たちが知らない間にジェミニの奴は動向を掴み、ジャミンガーを送りつけてきていた。学校でツカサと接しているときに不審な点はない。

 

どうやらツカサともうちょっと接触していく必要がありそうだ。

 

『なるほどな、裏で糸を引いてやがったのはジェミニの奴か』

 

「ジェミニってもしかして…」

 

『そう。FM星人の1人だ。俺が知ってる中で一番厄介なのは奴だな』

 

スバルとウォーロックの会話を聞きながら遠くで倒れているルナに目をやる。

 

相変わらず気絶しているようだ。

 

ノイズの影響が少し心配だが、一応ノイズは吸収し終えたから大丈夫だとは思う。

どうせ五陽田さんに取り調べされてノイズ値が高いと言われて病院送りにはなるとは思うけどね。

 

直後五陽田さんが、教室に現れ調査をし出したので俺たちはすぐさま撤退。

 

ルナはきちんとお家のベッドに寝かせておきました。

 

不法侵入だけど許してよね?

 

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