流星のファイナライズ   作:ブラック

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ずっと音沙汰がなく申し訳ございませんでした。

最初からリメイクも考えましたが、流星のロックマン1を書き切ることにしました。
頻度は相変わらず遅いと思いますが、少なくともアンドロメダまでは絶対に必ず書き切ります。


守り抜く覚悟

屋根の下から私たちを見上げていたスバルくんが眩い光を纏い、変身を遂げる。

 

青きヒーロー…ロックマン。

謎に包まれたヒーローの正体は、私のクラスメイトである星河スバル。

そのことを知ったのは、つい最近のことだ。

 

私の中での星川スバル彼のイメージは優柔不断でナヨナヨしていてとてもじゃないが私の理想のロックマン様とは思えなかった。

頭ではわかっていても、認めたくないような感覚だった。

 

あの細い身体の一体どこに怪物と戦う力があるのか疑問は尽きない。

 

目の前で変身を遂げた星川スバル彼の瞳が、真っ直ぐに化け物を睨みつける。

 

『バカな!? ロックマンだと!?』

 

『こんな場所になぜ!? ジェミニ様は!?』

 

次いで動揺がはしる。

化け物たちにとって、ここに彼がいることは想定外のことらしい。

 

動揺する化け物たちにスバルくんロックマン様が急接近。

腕は既に東洋を思わせる湾曲した剣に変わっており、化け物に斬りかかる。

 

鋭い切先に思わず、瞳を閉じる。

だが、不意に身体が軽くなったような感覚が伝わる。

 

ゆっくりと目を開くと私たちの拘束を解かれていた。

 

化け物たちは私たちの背後から、私たちの眼下に見えていた公園の辺りに移動していた。

そのまま戦闘態勢に入った化け物たちが、一斉に腕のマシンガンの銃口を私たちへと向ける。

 

「守ってみせる!!!」

 

スバルくんの声と連続した銃声が鳴り響いたのはほとんど同時だった。

 

一瞬のうちに私たちの目の前に移動したスバルくん。

次の瞬間には黄緑色の大きな盾が、スバルくんの前に現れた。

 

銃声は止まない。

後ろにいるキザマロが、『このままではジリ貧です』と小さく漏らす。

その声に反応したスバルくんが振り返る。

 

ニヤリと笑う。

どこかで見たことがあるような…スバルくんではない、誰かが浮かべていたような飄々とした笑み。

 

「大丈夫。ここから反撃だ」

 

徐に右手を振るう。

巨大な隕石が降り注ぐ。

 

思わず空を見上げる。

私たちの遙か上空。

一度『ピカッ』と光ったかと思えば、次の瞬間には強風とともに化け物の方角へと流れていっては落ちていく。

 

キザマロとゴン太の開いた口が塞がらない。

 

強風と轟音が鳴り止む。

 

銃声はもう聞こえない。

いつのまにか私たちを守ってくれていた盾も消えている。

 

隕石が着弾したであろう場所は、どういう原理なのか凍ってしまっている。

 

公園の木や近くの川の水が、まるで時が止まったかのようだ。

 

これだけ常識外れの攻撃だったにも関わらず…化け物たちはまだ立っていた。

だが、満身創痍なのは明白だった。

 

こちらに再び銃口をつけようとするが、その動作は先ほどよりも拙い。

 

「遅い!!」

 

自身の身体を光と変えて視界から消える。

刹那、重い音と共に3体の化け物が遙か彼方に吹き飛ばされる。

 

巨大な斧を振り切った構えで握りしめていた。

 

「お、お前、スバルなのか!?」

 

時が動き出したかのように、ゴン太が声をかける。

 

「黙っててごめん。すぐに終わらせてくる。だから待ってて」

 

そのまま化け物たちが吹き飛んだ方向へと跳び去っていく。

 

キザマロもようやく事態を呑み込んだのか、ゆっくりと深呼吸をしてわなわなと口を開いた。

 

「ま、まさか…あのスバルくんがロックマンだったなんて…」

 

一体誰に想像がつくだろう。

 

少し前まで不登校のクラスメート。

側から見ても争いごとなど向かないような大人しい性格のはずの少年。

優柔不断で、ナヨナヨしていて、どうみても…。

 

「も、もしかして委員長は知っていたんですか!?」

 

「…ええ」

 

今までもこうして彼は人知れず悪に立ち向かってきたのだろう。

 

青いヒーローの正体を知って尚、私から見たスバルくんのイメージは変わらない。

 

それなのに…。

 

『守ってみせる!!!』というスバルくんの言葉に不覚にもときめいてしまった。

 

…ときめいた!?

 

いや、ときめいたわけじゃ…わけじゃ…。

 

顔が熱くなる。

 

いつもは晴々とした青空に、薄黄緑の透明な電子の道が続いている。

 

幾度となく窮地を救われてきたルナは呆然と虚空に消えた背中を見つめていた。

 

◆ ◆ ◆

 

アイスメテオはやりすぎだったかもしれない…。

 

噴水とか凍ってたんだけど…大丈夫かな。

 

『ケッ…後悔するんなら、最初からやるんじゃえねよ』

 

「そ、そんなこと言ったって…シールドを解く訳にもいかなかったじゃないか」

 

バトルアックスの刃で斬る・・のではなく腹の部分で吹き飛ばす・・・・・。野球のバッティングのような要領でミートさせてみたが、ジャミンガーだけを吹き飛ばした。吹き飛ばした方向には展望台の電波がある。展望台の電波まで届かなかったとしてもウェーブロードは上空にある。

 

誰かを巻き込むことはないだろう。

 

僕も思う存分暴れることができる。

 

最優先事項は委員長たちからジャミンガーを引き剥がすことだった。

成功した今、恐れることはない。

 

 

『力があっても、守れないときもある。力があるから犠牲になるものだってある』

 

スターフォースを受け取った時に黒夜くんから言われた言葉を思い出す。

 

覚悟は、とっくに決めたはずだ。

僕は僕にできることをするんだ。

 

みんなを、この町を、守ってみせる!

 

スターフォースの力でグリーンドラゴンに変身すると、最速で吹き飛ばされたジャミンガーを追いかける。

 

今だ受け身を取ることに精一杯のジャンガーにチャージショットとバトルカードを駆使してダメージを蓄積させていく。

 

『スバル、立て直す暇を与えるなッ!!』

 

「いくよ、ロック!!」

 

『ッ!?』

 

スプレッドガンでの範囲攻撃で3体同時にダメージを与え、連携しようとすれば、有無を言わさずホイッスルで引き寄せワイドソードでまとめて切りつける。

 

とにかくジャミンガーの脅威となるのは連携。こいつらが連携を組んで攻撃してくることはもう学習済みだ。

 

嫌というほど経験したし、負けもした。

 

やられっぱなしだったあの頃の僕とはもう違う。

 

みんなを守れるだけの力が僕にはある。それだけの力はあるのだと、サテライトたちの管理者は言った。

 

僕の友達を傷つけるこいつらを絶対に許さない。

何かを失うことは、もう二度とごめんだ。

 

だからこそ、僕は僕に出来ることをしなくてはならない。守り抜かなければならない。

 

そのためのスターフォースなのだから。

 

何より、黒夜くんに任されたんだ。

その期待に、僕は答えたい!!

 

「うおおぉぉぉッ!! スターブレイク!!」

 

スターフォースの力を切り替える。

グリーンドラゴンからアイスペガサス。

 

空中戦に特化するだけでなく、チャージショットが相手を拘束するアイススラッシュへと変化する。

 

そう…今までよりも戦いやすいと感じる一番の要因は、スターフォースの力を切り替えて変身ができるようになったからだ。

 

相手を凍らせ、空中から一方的に殲滅するアイスペガサス。

圧倒的な一撃の火力で滅殺するファイアレオ。

俊敏なスピードと周りの地形を味方にするグリーンドラゴン。

 

今までとは違い、僕の自由意志で状況に応じて変身することが可能となった。

 

ちなみに、黒夜くんのおすすめはアイスペガサスらしい。空からの一方的な殲滅はいつも言ってるサーチアンドデストロイの体現なのだとか。

 

「そろそろ終わりにするよ」

 

ジャミンガーたちのダメージも大分蓄積されたことを見越して、最後の一枚のバトルカードをプレデーション。

 

禍々しい黒い球体が、スパークしながら僕の手に現れる。

 

黒夜くんが時折使うノイズでできた重力球体のようにも見えるが、まったくの別物だ。

 

野球ボールほどの大きさのその球体がスパークするその様は、まるで放たれる時を今か今かと待っているよう。

 

同時に普通のバトルカードよりも異質なカードであることを感じさせる。

 

掌に乗ったビー玉程度の球体を優しく転がすように空中へと手放す。

球体は僕とジャミンガーの中間で停滞し、ゆっくりと大きさを増していく。

 

徐々に大きくなり、球体の大きさは子どもが1人入れる程度の大きさにまで広がった。

 

ジャミンガーは動かない。

いや、動けない。

 

やがて最大まで達した球体。

大地を揺るがすような轟音と全てを引き込もうとする引力の暴風が辺り一面を根こそぎかっさらっていく。

 

『な、なんだ、引き込ま…!!』

 

ギガクラスバトルカード、ダークネスホール。

 

『全てを引き込むブラックホールに似たこの球体は弱っている的であればどんなウィルスでも球体の中に引き込み、デリートさせる』と黒夜くんとBIGWABEの店員さんが話していた。

いつか黒夜くんを驚かそうと買ったこのバトルカードは僕にとって、とっておきだ。

吸い込まれていくジャミンガーたちを見送りながら、バスターを連写して更に追い討ちをかける。

 

ジャミンガーの耐久のMAXを1,000とするならば、今の耐久は200程度。

 

ダークネスホールに耐えられるだけの余力は、もう彼らにはない。

 

『ウ、ウギャァァァァ!!』

 

ジャミンガーの悲鳴と共に黒い球体はパタリと姿を消した。

 

「ふぅ…これで一安心かな」

 

『まだ終わりじゃねえぞ。デンジハボールをぶっ潰さねえ限りな』

 

そうだ。

この電波化現象と呼ばれるものは、禍々しい球体が原因で起こったのだ。

 

「早いとこ、終わらせて黒夜くんと合流しよう」

 

『ケッ、そうだな。だがスバルそれにしても…』

 

ロックの言いたいとこは、なんとなくわかる。

 

改めて廃墟を見回してみて思う。

電波化現象のせいで、どうやらこの空間そのものがダークネスホールの対象になっていたらしい。

 

あったはずのベンチはなくなり、木々からは葉が落ちて枯れたようになっている。

 

悲しいかな…展望台のマスコットことピッチングマシンくんは球体の中に吸い込まれてしまったらしい。

 

まるで強力な台風が通り過ぎた後のような光景。

 

不幸中の幸いか、球体があの程度の大きさだった為、被害は展望台の周辺だけで済んだようだ。

元は電脳空間のみに左右するはずのバトルカードだ。電波化現象によって一時的にでも電波へと置き換わってしまった物は吸い込まれてしまったらしい。

 

この状況下の住宅街で使ったらとんでもないことになっていたのではないかと。

 

やはり黒夜くんが使おうとするバトルカードはちょっとおかしい。

 

◆ ◆ ◆

 

なんだか盛大に罵られた気がする今日この頃。

 

あの後、ミソラちゃんを安全なヤシブタウンの病院へと搬送した。正直、ボロボロのミソラちゃんの姿を見て目の前が真っ暗になった。

 

不幸中の幸いか、ミソラちゃんの症状は軽いとのことだ。

 

ノイズで機器を狂わせる恐れがある為、病室に留まるわけにもいかず、とっとと追い出されてしまった。

 

医者の先生から聞いた話だと腕や足だけでも、痣や痕が残っているがどれも表面的な傷で重傷までにはならなかったようだ。

 

火傷と打撲か…跡が残ったらどうすんだ。

女の子だぞ。

 

あれ、やっぱもうちょっとボコッてから殺った方がよかったか?

 

大きく深呼吸をしてから伸びをする。

心を落ち着かせ、今後のことを考える。

 

思わず研究所から飛び出してしまったが、スバルは問題ないだろう。

 

スターフォースを覚醒させ、サテライトの管理者からそれぞれの力を譲り受けたのだ。

 

もはやジャミンガー如きに苦戦する実力ではない。ジャミンガーGが5体来たとしても楽勝だろう。

 

それにだ。

 

俺は知ってる…知ってるんだぞ、こっそりダークネスホール買ってたの。

あの大人しかったスバルが、ちょっとニヤってしてた。

 

スバル…なんて恐ろしい子。

 

さて、事態は一気に加速を始めた。

 

ここまで来てしまえば、後はクライマックスへと一直線だ。

 

アンドロメダの目覚めとFM王ケフェウスとの邂逅。

最後に訪れる宇宙ステーションの一幕…。

 

さて、残された時間は少ない。

できることは全てやらなければ。

 

まずは五陽田警部に相談をする必要がある。

 

NAXAがまだWAXAに変わっていないこの世界で、何をしているのかわからないが…あの人(・・・)に会うことはできるのだろうか。

 

サテラポリスに伝手を作る必要がある。

 

代償として、謎に包まれていたブラックエースの正体を話すことになるが、どちらにしても、もう少しでバレる事だ。

 

問題は、こんな突拍子もない話をして協力を得る事ができるかどうか…。

 

いや、少しでも希望があるならやってみる価値はある。

 

「すみません、五陽田警部。例の件、話す代わりに相談が…」

 

トランサーを開き、五陽田警部にコンタクトを取るのだった。

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