流星のファイナライズ 作:ブラック
祝 ミソラちゃんとルナのDLC!!!!
筆者はまだ開けることすら出来ておりませんが…。
早くやりたい。
DLCを購入しなければ…。
ということで、少しだけ次回までは日数をいただきます。
もしかしたらオンラインで皆さんと戦っているなんてこともあるかもしれませんね。
2週間後くらいにまたお会いしましょう。
黒夜くんと別れた僕は、老紳士の捜索を続けていた。
『この近所で見たという噂も聞いたことがあるけど眉唾ものさ。上品な老紳士だったけど、この辺りはそう言う老人も多いからね』
天知さんの言葉を頼りにアマケン周辺を探してみたが、大した手がかりは得られなかった。流石、アマケンだけあって名前を知っている人はいたけれど天知さんの言う通り現在は音信不通。
結局アマケン周辺の捜索は切り上げて、コダマタウンへと帰ってきた。
コダマタウンには『老紳士』と言われて思い当たる人が一人だけいる。
よく委員長の家の側を散歩している杖をついている白髪のおじいちゃんだ。
それにしても…。
「ハードトロピカルってお酒だったんだね。BIGWAVEって言ってたからバトルカードかと思ったよ」
黒夜くんが言っていた物はお酒だった。
『そもそもどうしてバトルカードの店で酒なんてものが売ってんだ? 電波体の俺にはよくわからんが、食い物屋にあるもんだろう普通』
「南国繋がりかなぁ…」
ロックの言う通り、バトルカードショップにお酒が販売されてるなんて、思いもしなかった。
一体何に使うのかさっぱりわからないが、とりあえず買っておいた。
というか、未成年にお酒なんてよく売ってくれたよね。
店長さんが、『お父さんへのプレゼント』ってなぜか勘違いしてくれたから良かったものの…。
『何にせよ寄り道は終わりだ。とっととその老紳士ってやつに話しかけようぜ』
「いや、単刀直入に聞いてもはぐらかされるかも。まずはトランサーの中を除いてみよう」
『…なんか最近、黒夜に似てきてないか?』
「そんなことないよ! 黒夜くんのやり方と一緒にしないでよ」
黒夜くんほどデリカシーというか、無茶苦茶な考え方はしていないはずだ。
◆ ◆ ◆
ヨイリー博士との話し合いを済ませた俺は、ドリームアイランドへと向かった。
電波変換して文字通り光の速度でサテラポリスまで行ってきた訳だが、長く話し込んでしまった。
宇宙ステーションの受信装置が隠されている場所は、ドリームアイランドの廃棄物置き場にある。
ゲーム風に言うならば、『はいきぶつおきば2』だ。
土とゴミをこれでもかと盛られ、地下へと続くエレベーターの扉を隠していたはず。
例のブラザーハンド計画のリーダーをしていた老紳士が関わっていたのだろうが。
ここまでの工事をして、よく目立たなかったものだ。
既にショベルカーによって道は開かれており、廃棄物置き場には似合わない無機質な電子扉が静かに佇んでいる。
俺の方が若干遅かったようだ。
既にスバルは地下へと入っている。
石造りの階段を降り、エレベーターのボタンを押す。
割と最近造られたようだ。
機能は生きているどころか、最新式の電子扉が使われている。
地下へと降りると工事現場にあるような虎柄のテープが貼り付けられた床が目に入る。
「この奥か」
無骨な階段を下っていく。周りの景色は暗いコンクリート壁。時折モニターやら機械が設置されてはいたが、数は少ない。
更にしばらく歩くと雰囲気の違うタイルが敷き詰められた空間に出る。
その先にスバルがいた。
この空間には異質な青い床。
壁にはいくつも配線と配管が剥き出しになっている。
腰壁ほどの高さには、大小の様々な機材が取り付けられている。
そして、一際大きなコンソールを前にスバルは立っていた。
「首尾よくいったらしいな」
「あ、黒夜くん」
こちらを振り向いたスバルはどこか仏頂面だった。
ん?
なんか怒ってらっしゃる。
「ハードトロピカルってお酒だったの?」
「そりゃ、そんなバトルカードないしな」
「先に言ってよ!?」
「でも二度手間にはならなかったでしょ?」
「それはそうなんだけど…っていうか、知ってたなら教えてくれてもよかったんじゃない!?」
「はっはっは。コダマタウンの住人のトランサーには入りまくっていたのさ」
『プライベートなんてありゃしねえな…』
「はっはっは!!」
嘘である。
トランサーの中なんて入ったらノイズでぶっ壊しちゃう。
入りまくりでもしたら、怪奇現象並みにみんなのトランサーをぶっ壊す自信がある。
電波障害はもちろん、修理業者も悲鳴をあげて事件になりそう。
まぁ、ここは流しておこう。
「それで、動きそう?」
話を切り替えて、俺はスバルの隣に並んで大きなコンソールに目を向ける。
「まったく…。メインシステムは動くような気がする。周りと比べてこのコンソールだけ損傷が少ないからね。多分これがメインシステムのコンソール」
「けど専門家じゃないから復旧はできないってところか」
スバルの言う通り、メインシステムの損傷は周りと比べるとかなり軽微なようだ。
コンソールパネルの表面に少し傷が入っている程度。
スバルは『どうしよう…』と不安がっているが、別段焦る必要はない。
この地下施設には、これといって他に機材は置いていない。
宇宙ステーションの一部の機械が稼働していない今、周囲の音はよく聞こえる。
「まぁ、専門家ならすぐに来るだろうさ」
「え?」
俺は天知さんが来ることを知っている。
背後から無骨な階段を降りてくる音が聞こえてくる。
スバルにも聞こえてきたようで後ろを振り返る。
「まさか本当にここまで辿り着くとは、驚いたよ…」
「天知さん!?」
やってきたのは、どこか呆れているようにも見える表情の天知さんだった。天知さんは俺たちから視線を外すと、宇宙ステーションの崩壊した壁に手を当て、ゆっくりと撫でた。
「どうしてここに!?」
「あのあとシゲさん…君たちに教えた老紳士から連絡があったんだ。『どうか大吾くんの息子に手を貸してやってほしい』って頼まれてね」
「シゲさんが…」
天知さんの言うシゲさんとは、先刻話してくれた老紳士のことである。
ハードトロピカルを欲しがっていたおじいさん。
正確には、星川大吾も参加していたブラザーバンド計画においてNAXAのリーダーを張っていた人物だ。
あの事件が原因で隠居したらしい。
「とにかくなんとかメインシステムのコンソールを動くように修理をして、NAXA…いや、サテラポリスに連絡をいれないとな」
「天知さん」
感動した様子のスバルに天知さんはニコリと微笑む。
天知さんとて、大吾へと繋がる可能性のある代物に興味がないわけがなかったのだ。
同時にFM星という未知の脅威に立ち向かう為にも、必要なことだとわかっているのだ。
だが、連絡を入れられるのは困る。
「天知さん、連絡しないでもらえませんか」
「黒夜くん、どういうことだい?」
NAXAのお偉い方に封鎖なんてされたら、たまったものではない。
「ここはNAXAに任せるのが間違いない。それは事件に関係ない一般人だったらの話です。ですが…」
スバルとアイコンタクトをする。
スバルがロックマンであることを天知さんへ伝える。
俺がブラックエースであるとバラす。
その確認の為のアイコンタクト。
スバルは戸惑うことなく、頷いた。
そして自分から話すとばかりに、俺の前へと歩みを進める。
強くなったもんだ。
「天知さん、僕たち本当は…ッ!?」
たが、その先は紡がれなかった。
立っていられないような大きな横揺れ。
たっぷり数十秒ほど続いたその揺れが収まる。
スバルや天知さんも怪我はなさそうだ。
原作でも大きな地震がおきていたが、ここまで大きな地震だっただろうか。
だが、今は目の前のことに対処しなくては…。
「あ、あれは!?」
「こんなところにまで…」
メインコンソールの上に突如として黒い球体が現れている。
デンジハボールだ。
ヤシブタウンやコダマタウンに現れた球体がこんな場所にまで現れてしまった。
球体は時折スパークを繰り返しながら宙に浮いている。
「スバル、お前に任せるよ」
「え!?」
デンジハボールのおかげで、ウェーブホールがなくても電波変換は可能だ。つまり、この空間ならどこでもロックマンに変身ができる。
スバルの躊躇う理由もわかる。
天知さんがここにいるからだ。
だが、俺たちには天知さんが必要不可欠だ。
「スバル、今は協力者が多いに越したことはない。天知さんの協力は必要不可欠だ。今も…これから先も…」
「で、でも…」
躊躇うスバルが、天知さんをチラリと見る。
長年の付き合いだ。
信頼は十分にある。
「君たちが何かを隠していることは、薄々感じていた。スバルくん、話してくれるかい?」
天知さんの真っ直ぐな視線をスバルは受け止める。
一度目を瞑って、頷く。
「わかりました。でも、まずはこのデンジハボールを破壊します」
スバルは意を決したように、トランサーを翳すのだった。
◆ ◆ ◆
デンジハボールは何も問題なく排除されました。
本来であればここにジェミニが電波体の状態でやってくるのだが、終始姿は見えなかった。
先日、再起不能になるまでボコボコにしたのが効いているらしい。
FM星に乗り込んだときには復活しているのだろうか。
復活してなければ、とんでもなく楽になるのだが。
どちらにしても今回の件には間に合わなかったと見て間違いはないだろう。
実際、ここでブラックエースに変身するのは避けたかった。
ただでさえ壊れているせいでノイズが出ているのだ。
ブラックエースに変身したせいで修復不能なんて事態はバッドエンドまっしぐらだからね。
そうして時はスバルが天知さんに『カクカクシカジカ』の話をしたところまで進む。
「…にわかには信じられない話だ。だけど、君は目の前で見せてくれた。秘密にする訳も納得できる」
「天知さん、黙っていてすみませんでした」
「アマケンの…ウタガイの時も君が戦ってくれていたのか。ありがとう」
「そんな! 僕にも関係があることですし」
「ということは、まさか黒夜くんは?」
「はい。あの時の黒い奴は俺です」
10秒ほど沈黙が走る。
天知さんの顔が、それはもうニッコリと微笑んでいる。
笑顔が黒い…?
「はっはっは! あの時はありがとう。ただ、擬似宇宙空間での重力体験ができなくなってしまったことについて、後で少しお話をしなくてはいけないな」
あっれぇ…スバルの時と天知さんの反応が違うぞ。
冷や汗が滲む。
「いやはや、どの機材も壊れてしまってね。なんでも原因はノイズらしくてね、再起不能なんだ。はっはっは!」
「大変申し訳ございませんでした!!」
平に、平に御容赦を!!
擬人宇宙の空間といえば、アマケンでキグナス・ウイングと戦った場所である。
擬人宇宙の空間ということもあって、なんちゃってギャラクシーをぶっ放した、あそこである。
無重力体験ができるあの空間は当時のアマケンの顔そのもの。
一番の売りが壊れてしまったとなれば、天知さんも多少凹んだのだろう。
おいスバル、貴様笑っているな?
『ぷっ』って聞こえたぞ、『ぷっ』って。
ウォーロックもニヤつきながらこっち見んな。
「まぁ、冗談はそれくらいにして…」
あ、天知さん?
笑顔が消えてないんですけど。
「君たちにFM星人たちと戦う力があるというのはわかった。君たちがこれから何をしようとしているのかも察しがついた」
「はい。天知さんにこのステーションを修理してもらうことで、電波を辿ってFM星に乗り込むつもりです」
天知さんから笑顔が消える。
「無茶だ。それに君たちにもしもの事があれば、君たちの家族はどうなる。アカネさんに僕はどんな顔をして会えばいい」
「だけど、このままじゃ」
天知さんの悲痛な声にスバルは顔を俯かせる。
スバルとて、天知さんの言うことはわかっている。
「黒夜くんもだ。アカネさんと君のお母さんは友人なのだろう。アカネさんの友人を悲しませるわけにはいかない」
母さんを思い浮かべる。
女手一つで育ててくれた母さん。前世の母とは性格も容姿もまったく違うが、自身をもって自分の母親だと断言できる。
だが…それでも。
「だとしても、俺は行きます」
天知さんがじっと俺を見つめる。
瞳には戸惑いと憂い。
ゆっくりと瞳を閉じて溜め息を吐くと今度はスバルに向き直る。
「僕は大吾さんをこの手で宇宙に打ち上げてしまったんだ」
天知さんは、強い後悔の念に苛まれていたのだろう。
慕っていた先輩を自らの手で打ち上げた。
結果として、大吾さんは帰ってこなかった。
スバルが顔を上げる。
瞳にはもう迷いの色は見えない。
「どんなに小さくてもそこに希望があるなら命を賭ける価値はある」
天知さんの目が大きく見開く。
「その言葉は…」
懐かしむように、それでいてどこか憂いを帯びた声音。
それはスバルも同じだった。
「うん。父さんの言葉だよ」
「だが、僕は…アカネさんは…君や黒夜くんまで失うわけには」
「失わない為に僕は戦うんだ」
天知さんに被せるように言葉を紡ぐ。
スバルの覚悟であり、決意そのもの。
「スバルはこんなにも強くなった。ブラザーだっていっぱいできた。天知さんだって、昔とは違うことがいっぱいあるでしょう?」
「僕は…僕たちは、小さな希望にかけてみます」
沈黙が流れる。
天知さんの瞳からも憂いの色は消えた。
どこか清々しい、笑顔。
「…ありがとう2人とも。僕は大事なことを忘れてしまっていたようだ」
「それじゃあ」
恐る恐るスバルが聞くと天知さんは笑顔を浮かべたままコンソールのディスプレイを撫でた。
「一日、時間をくれ。明日には、このメインシステムのコンソール使えるように整備しておこう」
「ほ、本当!?」
「ただし! 2人とも必ず生きて帰ってこい。それが絶対条件だ」
スバルが大きく頷く。
俺はそんなスバルを誇らしげに見つめたのだった。
◆ ◆ ◆
解散となりドリームアイランドのバス停でスバルと別れた後、俺はひっそりと宇宙ステーションの一部がある地下まで戻ってきた。
すでに天知さんは作業を始めており、今は工具や電気工事に必要な部材を広げているところだった。
「天知さん」
「すまない黒夜くん、戻ってきてもらって」
俺は天知さんから呼び出しをくらっていた。
理由は、察しがついている。
さっきの擬似宇宙空間のことでは断じてない…そうだよね?
「まさか君がヨイリー博士との伝手を持っているとは思わなかったよ」
「本当に
そう。
天知さんはヨイリー博士から連絡を受けていた。
ヨイリー博士との会話の中で、お願いをした。
『表だって博士が動くことは難しいはず。だからこちらに馴染みのある天知さんに、博士からの依頼として俺を手伝ってもらうようにお願いしてほしい』と。
だから天知さんは最初に『NAXA…いや、サテラポリス』と言い直した。
本来ならばこの領分はNAXAの管轄。
サテラポリスも十分に関わってはいるが、修理となればNAXAだ。
だが、天知さんはヨイリー博士から依頼を受けた。
表立っては行動できないと知っていても、サテラポリスにいるヨイリー博士に連絡するのが、筋というものだ。
「それで、本当なのかい? 大吾先輩が生きているというのは」
「可能性は高いと考えています」
「もしそうだったとして、まだいるのか…あの場所に」
「それこそ、本当に小さな希望です。いないと決めつけて準備せずにいるよりも、いたときにどう連れて帰るかを考えなければ希望は絶対に掴めない」
まぁ、やることは大したことじゃない。
ウォーロックや電波体ができて、今の大吾さんにできない訳はない。
「このことをスバルくんとアカネさんには?」
「…流石に重すぎます。もしも、万が一生きてなかった時のショックがあまりに大きすぎる」
あくまで、大吾さんのことを話すのはヨイリー博士と天知さんの2人だけ。
アカネさんとスバルには絶対に話してはいけない。
「僕は大丈夫ってことかな?」
「天知さんの知識と技術は絶対に必要だったんです」
「俄然、やる気が出たことは間違いないんだ。僕も希望を持つことができる。明日には絶対に君たちを送り出してみせるさ」
天知さんは再び作業道具へと手を伸ばす。
ここからは邪魔になるだけだと判断し、ドリームアイランドを後にした。