流星のファイナライズ   作:ブラック

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もしかしたら明日明後日は更新ないかもです。

デンパくんに罪はない…。

すこし間が空きそうなんで後書きに次章予告を載せました。


オックス・ファイア

「この感じ…間違いねえ。奥にFM星人の1人がいるはずだ。ヤバそうな匂いがプンプンするがどいつのことを指してんだか…」

 

チラリとこちらを見るウォーロック。

それにしてもウォーロックには警戒されっぱなしである。突然周波数がぐちゃぐちゃでノイズ撒き散らしてるような奴がやってきたらそりゃビビるか。

 

…帰ったらファブリーズしとこ。

 

「ここはすでにFM星人の支配下にあると言っていい。油断するなよ、スバル!」

 

「だからロック!!」

 

そうそう、プライバシーは大事だよウォーロック。

 

一通りのやりとりが終わったところで入り口付近にいる電波くんに話しかけると大まかな内容を話してくれた。

 

『ト◆ック ヲ セイギョスル コントロー◆システム ガガガガ ボウソウシテテテ…ビビッ!』

 

わけのわからない説明に絶句しながら俺とスバルは先へと進んでいく。どことなく様子がおかしかったな電波くん。

 

歩いていく十字路にたどり着く。

 

どうやらセキュリティが掛けられているようで進める場所へ進んでみるとまたもやデンパくん。

 

『ビ◆! コノサキニ コン◆ロールシスーー ヲ ソウサス◆ パネルノ ヒーツガ アーノデスガ、ウシプログーー ノッテイカナイト タドリツーーナイ ヨヨウデ◆』

 

…これはきっとオックスのせいだ。オックスが何かしたに違いない!

断じて俺のノイズドウィングバーニアのせいじゃないんだ!

 

オックスめこんな可愛らしいデンパくんを壊してしまうとは許さんぞぉぉぉッ!!

 

それにしてもロックマンは影響を受けていないのかな?

…いや、ロックマンにも影響はしっかり蓄積されていったはず。

確か、電波体によってキャパシティーがあるとかないとか…。

 

あ、ううん、僕悪くないから。

 

『ケッ、こんなプログラムで関連のあるFM星人といえばオックスしかいねえな。やはりあいつはオックスか』

 

実際に目の前にあるのをみると確かに牛だった。だけど悲しいかな。実はこの牛さんプログラムはオックスファイアがこの電脳を支配する前から存在している。

もともとは気性が穏やかで働きものだとか言ってた気がする。

 

試しに牛プログラムへ乗ってみるとそりゃもう暴れる暴れる。

 

背中についた取っ手に捕まりその場を耐えきる。どうやら一方通行のようで耐え切って入れば問題ないようだ。

乗りこなすことはできそうだが、物理的にものを言わせないと無理だろう。

 

あ、降りた少し先にミステリーウェーブ…700Zガッポリだ。

 

後ろにいるスバルとウォーロックが呆れ気味でこちらを見ている。お金って大事なんだぞ!

ショップでHPメモリが買えないのは全部Zのせいなんだ。

 

「これがコントロールパネルか」

 

やがて辿り着いた先にあったのは黄色の大きなプレート。真ん中にはメーターがあり、振り切れんばかりに傾いている。コントロールパネルにウォーロックがアクセス、操作をするとメーターがゆっくりと逆方向へ傾いていく。

 

無事に正常化したようだ。

 

『おいスバル、こんなものを見つけたぜ』

 

ウォーロックが口から吐き出したのは赤い鍵。決して汚いものではない。

多分これが最初のアクセスキーになっているんだろう。

 

帰りの牛プログラムは正常化したおかげか暴れることなくスムーズに帰ることができた。

暴走したときよりも速さが速くなっているのはどうしてなのか。

 

『レッドキーを確認しました。セキュリティを解除します』

 

無事にセキュリティウォールを解除して見えてきたのはまたしても牛プログラム。

 

「ロックマン、先に君からやってよ」

 

まずはスバルを先に行かせ、その様子を見守る。

 

あ、今姿勢の取り方絶対間違えたよ。振り落とされる寸前だったよ!?

落ちそうにはなったものの、なんだかんだ辿り着くと暴れ牛はこちらに戻ってきて俺が乗るのを待っている。

 

暴走している癖して健気なやつである。

 

俺も牛に跨って再びしがみつくことで難なく牛プログラムをクリア。若干俺のときだけ軌道がおかしいのはノイズのせいだと思いたい。途中で落ちそうになったので飛んでスバルのところに行ったらすごい責めるような顔をされた。

 

 

解せぬ。

 

 

その先にあったコントロールパネルも無事に正常化させると再びウォーロックの口から鍵が出てくる。

 

今度は青い鍵だ。

 

お、帰り側にミステリーウェーブ発見…ってガトリングガンか。

持ってるからスバルにあげといたらとても喜んでくれた。

先ほど同様、ブルーキーゾーンも手っ取り早くクリアしてコントロールパネルをウォーロックに操作してもらい正常に戻す。

 

暴れ牛が慣れてくるとだんだんと可愛く見えてしまうのはどうしてだろう。

因みに飛ぶとスバルとウォーロックが無言になるのでやめることにした。

 

『お前ら…だんだんと楽しんでねえか?』

 

「「そんなことはない」」

 

もしかしたら、楽しんでるかもしれない。

 

『ここに来るまでで確信したぜ、奴の名はオックス。牡牛のような突進力を持った凶暴なFM星人だ』

 

「そ、そんなこわいヤツが相手なの!?」

 

「落ち着いて考えてみろスバル。牡牛の特徴は猪突猛進。どうせ力は強くても直線的なんでしょ?」

 

「その通りだ。ヤツは力は強いが動きは直線的で単調。落ち着いてヒットアンドアウェイ戦法を取れば勝てねえ相手じゃねえ」

 

『なるほど』と相槌を打っていたスバルだが、何かに気がついたらしく俺の方をじっと見つめてくる。

 

「ところでどうして僕の名前…」

 

「だってさっきからウォーロック…だっけ、がスバル、スバルってずっと言ってるじゃん」

 

「ウォーロックーーーー!!」

 

愉快なコンビで何よりである。

 

 

▼ ▼ ▼

 

トラックの電脳2で必要なのは4つのテトラキーというものらしく、セキュリティウォールによって塞がれていたところに対応したテトラキーを示す必要がるようだ。

 

相変わらずの牛ゲーを難なくクリアして探索を行う。時折発見するミステリーウェーブを入手することも忘れない…あ、HPメモリ20!

 

「コントロールパネルを正常化させるよ」

 

調子づいてきた俺たちはみるみるうちに暴れ牛を乗りこなしコントロールパネルを正常化させていく。オックスからしたら面白くない展開だろうが、こちらからしたら結構楽しい。

何が楽しいっていく先々にミステリーウェーブが落ちているのがとても楽しいし、嬉しい。

 

今度は650Zね。

今日だけで結構ガッポリ稼げちゃうんじゃなかろうか。

 

4つのテトラキーが集まったところで元の場所へと戻りセキュリティウォールの前でテトラキーを示す。

 

『コココ◆ーーームコウニ、トラックノノノノノ…』

 

「何が言いたいのかわからないね…」

 

『こんなノイズの塊が目の前にいちゃこうもなる。俺だって気持ち悪りいんだよ。オラ、距離とれ、ノイズ移るだろうが』

 

「ほんとすみません」

 

デンパくんに罪はない。

 

心の中でデンパくんに土下座しながら先へ進む。

あとでノイズウェーブ・デバウアラでここら一体のノイズを全て吸収するので電脳自体は復活するだろう。

 

デンパくんは…誰かがなんとかしてくれるといいな〜。

 

4つのテトラキーをセキュリティウォールに示し、最後の扉を開く。

続いているのは細い道だ。ところどころ曲がり角があったが、もう暴れ牛はどこにもいない。

この電脳がノイズ(・・・)に侵食さえされていなければ正常であったといえよう。

とりあえずノイズウェーブ・デバウアラで粗方綺麗にしたはずだが、残存するノイズは残っているようだ。

 

さっきも言ったけど最後に全力で掃除しよう…。

 

「…このニオイは?」

 

「牛丼じゃないぞ、ゴン太!!」

 

「違え! このニオイはウォーロック、お前だな!」

 

なん…だと…。

ゴン太でありながら牛丼というワードに反応しなかっただと!?

どうやら本当にオックスに洗脳されてしまったようだなゴン太!

 

「へっ、今更気付きやがったか。地球に来ているFM星人はお前だけか?」

 

「そうだ、オレ様が一番乗りだ。だが、もうしばらくすれば次第にやつらも集まってくるだろうよ!!」

 

御丁寧にFM星人事情を教えてくれるあたり、オックスっぽい。

オックスはウォーロックとスバルが電波変換した姿をまじまじと見つめ嘲笑を込めて鼻で笑う。

 

「お前にしてはえらく貧弱なやつに取り憑いたものだな。どうやら洗脳しているわけでもないらしい。飼いならされたか?」

 

「うるせぇッ!!誰に取り憑こうがオレの勝手だろうが!」

 

「ちょ、ちょっとロック、こんなのと戦うの!?」

 

「おいおいオックス・ファイアのボディを見て怯えたのか?拍子抜けだぜ。それで…」

 

スバルに対して興味を失ったのかオックスは俺をまじまじと見つめる。

 

「気色の悪い周波数だ。なんだ貴様は…そうか、この電脳をノイズで乱したのも貴様の仕業か。思わず俺もノイズに当てられちまいそうになったぜ。ブルルルッ」

 

「悪いとは思ってますが、こればっかりはわざとじゃないんですごめんなさい」

 

とりあえずバーサーカー・ゴン太くんにならなかっただけ良かったとしよう。だって、なったらオックス・ファイアがオックス・ファイアEXになるくらいはレベル上がるよ?

 

「まあ、いい。とにかく俺はウォーロック…貴様からアンドロメダの鍵を取り返すだけだ」

 

「チッ、この星を破壊するのが目的か」

 

「それが王の命令ならな。まずはこのゴン太の身体を使って街を破壊する。それが地球破壊の第一歩だ。いくぞ!この俺…オックス・ファイアのパワーの前にひれ伏せ!」

 

「俺は…俺は委員長に認められるために!委員長には俺が必要なんだ!星河…星河スバルーーー!!ブルォォォォッ!!」

 

未だに狼狽えるスバルにオックス・ファイアが襲い掛かる。これはよく見る突進攻撃、オックスタックルだ。

ウォーロックに腕を引っ張られたことでなんとか回避に成功するもオックス・ファイアは続けざまにタックルの体勢をとる。

 

確実に俺が空気になっているのはオックス・ファイアが俺を気味悪がって攻撃してこないのか、すでに俺の存在を忘れているかの2択である。

 

オックスは頭の中1つのことしかなさそうだもん。

 

「バトルカード、プレデーショーン!」

 

スバルもようやく戦う意思を固めたのかウォーロックにバトルカードを食わせて腕の形状を変化させる。生で見たのは初めてだ。

カードの名前は多分ロングソード。普通のソードよりもリーチが長いから確かに戦いやすいかもしれない。

オックスはスバルに近づくとタックルではなく巨大な腕を振り下ろす。

スバルもロングソードで迎え撃とうとするが、パワーでオックス・ファイアに勝てるわけがない。こちら側へ飛ばされて来たスバルをキャッチするも、慌てて地面へ捨てる。

 

「ごめん、ノイズ移るでしょ?」

 

触っちゃったけどノイズの影響でてないよね?

大丈夫?

 

地面に転がったスバルとウォーロックが非難の視線を送ってくるが鋼のメンタルで堪える。

 

「スバル、協力しようじゃないか」

 

『…チッ、相変わらずイケスカねえ野郎だが、なりふり構ってられる状況じゃねえな』

 

「…今僕投げられたんだけど」

 

「ごめんて…流星サーバー、アクセス」

 

『Ryusei Server Access』

 

特徴的な機械音が耳に届いた途端、視界の右下に流星サーバーからダウンロードからバトルカードが表示される。

コガラシ3にソードファイター3、ウィンディーアタック3、ダブルイーターにシンクロフック3、エアスプレッド3か。

とりあえずオックス・ファイアのパワーに対抗するにはシンクロフック3でボクシングまがいのことをするしかないね。

もし炎で対抗して来たら今度はウィンディアタック3で降りかかる火の粉を払おう。

 

「俺の本来の戦闘スタイルは空中戦。だから俺は空から君たちをサポートするよ」

 

「わかった!」

 

「ブルルルッ! 作戦会議は終わったか?」

 

こちからが話している間は何もしないでいてくれるオックス優しい。

 

ノイズドウィングバーニアをより広範囲に広げて制空権を獲得する。

 

まず選択したのはエアスプレッド3。

 

広範囲に広がるこの拡散弾を横の動きに鈍いオックス・ファイアが避けられるはずがない。降り注ぐ拡散弾にオックス・ファイアは腕で顔を隠す。

両手をクロスさせて炎による攻撃を放ってくるが、その範囲よりもこちらが空を舞う方が圧倒的に速い。炎を気にすることなく、無傷で避けきる。

 

その隙を狙ってスバルが腕を振る。

すると地面から亀裂が走り、電波の波がオックス・ファイアに直撃する。

 

グランドウェーブ1だろう。

 

オックス・ファイアがよろけている間に腕の形状をスプレッドガンからシンクロフック3へと変える。

 

ボクシンググローブの形状をとった腕をブルンブルン回しオックス・ファイアに向かって突撃。

 

「!! 迎え撃つまで!」

 

「アーーン…」

 

距離が縮まる。

速度は降下する速度が相乗効果をなし、さらに突進する速度が上がる。いくらパワーに自信があろうが、これだけスピードがあればこちらが有利。

 

もしかしたら俺の腕が折れるかもしれないけど、そこはシンクロフック3を信じるしかない。

 

「○ーーーンチッ!!」

 

拳と拳がぶつかり合う。

スパークを起こしながらぶつかり合うその様はどこぞの戦闘民族アニメの戦闘シーンのように見えているかもしれない。

拮抗する力と力のぶつかり合いだが、一瞬にしてオックス・ファイアの拳が劣勢へと変わる。

その要因を作ったのはオックス・ファイアの背後で砲身へと変化させた腕を構えるスバルだ。

 

バトルカード、キャノンだ。

 

威力こそ40と少ないものの、汎用性の高いバトルカード。

 

そのまま推進力で押し切って殴り飛ばすと腕の形状を元に戻し、ウィンディアタック3を読み込む。

 

握りしめるのは巨大な扇子のようななにか。

 

それを思いっきり振りかぶり、振り抜くことで強力な突風を発生させオックス・ファイアをスバルの元へと運ぶ。

 

『来るぞ、スバル!!』

 

「う、うん!バトルカード、プレデーショーン!」

 

スバルの腕の形状が変わる。

ソードでありながら、尖端部分が横に広がっている。リーチはそこまで長くはない。

ソード系のバトルカード、ワイドソードだ。

 

スバルは迫り来るオックス・ファイアの体格を予測し、真横に入ってワイドソードを横薙ぎに振るう。

吹き飛ばされて来るオックス・ファイアの勢いを使った良い対処の仕方だ。

 

「バ、バカな!!」

 

身体が崩壊し始めるオックス・ファイア。

ゲームのように小刻みに爆発するのは仕様らしい。

 

「へっ、ザマアミロってんだ」

 

「オレ様を倒したからと言って…いい気になる…必ず…アンド…グォォォォッ!!」

 

小刻みな爆発が連鎖していき、やがてその巨体は幻だったかのように消えていった。

中身であったゴン太が心配だが、目立った傷跡はない。肉体的疲労で気絶しているのかもしれない。

 

もしかしたらどこかの骨が折れていることも考えられるけどね。

 

「か、勝っちゃった…」

 

「お疲れ様」

 

「助けてくれてありがとう。えっとそういえば君は?」

 

「あ、ああ〜。ブラックエースって呼んでよ」

 

断じて格好つけているわけじゃないからね。これ本当に名前だからね、厨二じゃないんだからね!!

 

「ありがとう、ブラックエース」

 

やめて、その何も知らない純粋さが眩しい!?

 

兎にも角にも、これで万事解決だ。

これから無差別破壊事件が起こることはないだろう。ゴン太も無事…とはいかないだろうけど助けたことだし。

そろそろ五陽田刑事が来そうだし、今回はこの辺りで帰らせてもらおう。

 

「とりあえず、後のことはスバルに任せるよ。展望台のところから覗かせてもらってたけど、スバルの友達なんだろ?」

 

「と、友達なんかじゃないよ!!」

 

「まあ、そう言わずに任せたよ。またね(・・・)

 

さて、これだけ儲かったんだし何か美味しいものでも買って帰ろ。

 

 




「で、でも僕は信じたかった。あ、天地さんは、そ、そんなことをする人じゃないって…」

「それでですね!星河スバルはどうやら明日天地研究所へ行くらしいんですよ!」

「彼は宇田海。ここの研究員で僕の助手だ」

「擬似宇宙ツアーに参加される方ですね。まず注意をしたいと思います」

「私はあなたに罰を与えに来ました。私を裏切ったこと、後悔するといいです」

「クエーー!!許せな〜〜〜い!! 俺たちはれっきとした白鳥だ!」

『早くしろ! 手遅れになるぞッ!!』

「ここは擬似宇宙の電脳。ブラックホールがあってもおかしくない。見せてあげるよブラックエース本来の力をね」

こんな感じで次章は進んでいきます。あっという間の白鳥編ですね。

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