ガールズ&パンツァー 恋愛戦車道   作:肉球小隊

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昨夜はほぼ徹夜仕事で投稿出来ませんでした……。

お風呂回延長戦♪ノンナのカチューシャの扱いが更にw


第七十五話   オンセン・ウォー!(お替り)

「お母様!?」

 

 

 まほは突如現れたしほに、シャンプーが入り充血したままの目を驚きで大きく見開いていた。

 

 

「何ですそのざまは?みっともない」

 

「あ!いやこれはその……」

 

 

 頭の上にシャンプーの泡を乗せたままの間の抜けた姿のまほは、しどろもどろになりながらしほに対して言い訳をしている。

 

 

「恋、この短期間での6連戦、よく最後まで戦い抜きましたね」

 

「ありがとしほママ♪」

 

 

 大好きなしほから褒められたラブは、子供のように屈託のない笑顔を浮かべ喜んでいる。

 

 

「あ、あのお母様、なぜこちらに……?」

 

 

 やはり泡々な頭のままのまほが疑問を口にしたが、しほは答えず視線のみでその頭上の間抜けな泡を流して来いと命令した。

 

 

「はい……」

 

 

 まほはすごすごとシャンプーを流しに洗い場へと向かい、入って来た三人も軽く身体を清め掛け湯の後に湯に浸かった。

 

 

「でもしほママ、ほんと何でここへ?」

 

「蝶野一尉が話があるそうですよ、でもそれはまほが戻ってから……」

 

「教官が?」

 

 

 ラブは不思議そうな顔をしたが亜梨亜が隣に腰を下ろすと、仔猫が母猫にじゃれ付くように彼女にすり寄り甘え始めた。

 

 

『う゛お゛ぉ゛……』

 

『お、同じ顔した美女同士が……!』

 

『こ、これがホントの親○丼!』

 

『あ…亜梨亜様……』

 

「こら何です?子供じゃあるまいし」

 

「えぇ~?だってぇ~♪」

 

 

 親子の戯れと呼ぶにはあまりに艶めかしく危険な光景に、その場にいる者達のライフは限りなくゼロに近い所まで削り取られていた。

 既に娘であるラブの方が成長著しく全てのサイズで亜梨亜を上回っているものの、その亜梨亜とて同世代に限らず一般的に見ても桁外れなサイズと若々しさを誇っており、不意討ちのような刺激的な光景に鼻を押さえ湯から飛び出す物が続出している。

 さすが西住流家元だけありしほはそのような醜態を晒していないが、その表情は明らかにムラムラしたケダモノの顔になっていた。

 

 

『やっぱりお母さんに見えない……』

 

『どう見てもお姉さんだよね?』

 

『お母さんが若いのか厳島さんが大人っぽいのか……』

 

『どっちにしても親子でエロ過ぎ!』

 

 

 周囲の者達はしほ同様にムラムラした顔でヒソヒソになっていないヒソヒソ声でそんな会話をしているが、当の二人は聴こえないふりなのかそんな声を気にする事なく親子の戯れを続けていた。

 だがしほは一見何も変化していないように見える亜梨亜の口元が、ほんの微かではあるがドヤっているのを見逃さなかった。

 

 

『この(ヒト)は……』

 

 

 黒森峰時代、亜梨亜の掌の上で踊らされ続けていた頃の事を思い出したしほは、そっと深く長い溜め息を吐くのであった。

 そうこうするうちに髪を洗い終えた者達が戻り始め、それまであまり口を開かずにいた亜美がしほに目配せをすると彼女も一つ無言で頷いた。

 

 

「教官……?」

 

 

 亜美の様子がいつもと違う事でラブは何ともいえない居心地の悪さ感じ、彼女に声を掛けようとしたが亜美はそれでも無言で軽く手を上げそれを制した。

 

 

「どうしたんですか?」

 

 

 戻って来たまほも不思議そうな顔で亜美に目を向けると、役者が揃ったと判断した彼女も漸く閉ざしていたその口を開いた。

 

 

「恋さん、そしてまほさん、二人共お疲れ様でした。今日の試合の結末は高校戦車道史上稀に見る接戦であり、後々の語り草になるものだと思います」

 

 

 ここまで言うと、亜美は二人を労うように微笑んで見せた。

 

 

「あの!…教官……お話はその()()の事でしょうか?」

 

 

 そのタイミングでまほは何か思う処があるのか、意を決したように口を挟んだ。

 

 

「さすがはまほさん……どうやら解っているようですね」

 

 

 亜美は更に優しくまほにほほえんで見せ、その素敵なお姉さんの笑みに思わずドキリとしたまほは、頬をポッと染めて慌てて目を逸らした。

 

 

「さて、まず初めに言っておきますが今日の試合の勝者は黒森峰であり、公式記録上のその結果が覆る事はありません」

 

 

 その亜美の発言に悲痛な表情になったまほが更に何かを言い掛けたが、それは再び亜美が無言で軽く手を上げ押し止めた。

 

 

「あのぉ…ちょっと、イヤ、全然話が見えないんですけど……?」

 

 

 自分の負けで初めから納得しているラブは、本気で亜美の言わんとする処が理解出来ずフクロウのように首を傾げ、ラブのその様子に何故か亜美は心苦しそうな表情になった。

 

 

「恋、まずは蝶野一尉の話をお聞きなさい」

 

「え?あ、ごめんなさい……」

 

 

 亜美は亜梨亜に目礼した後、やっとその先を話し始めた。

 

 

「先程も話した通り、今日の試合は勝者は黒森峰です。近年は判定装置の精度も飛躍的に向上し、コンマ秒単位の時間差も計測出来るようになり引き分け判定も本当に少なくなりました。因みに今日のお二人のフラッグが揚がった際の時間差は1/500秒でした……」

 

「1/500秒ですって!?」

 

 

 おそらくここに居る者の中で一番数字に煩く、それが如何に凄いかを最も理解しているアッサムが、驚きに目を大きく見開き裏返った声を上げていた。

 

 

「あ…申し訳御座いません……」

 

 

 その声が思いの外大きく響き注目されてしまったアッサムは、恥ずかしげに小さくなった。

 

 

「えぇ、以前であれば引き分け判定なっていたような時間差でした。でもそれ自体は計測出来ているので問題ではありません。実際正確に撃破判定がなされて白旗が射出されていますから」

 

「では何故勝者がコールされるまでに、あれ程時間が掛かったのでしょう?」

 

 

 それこそがこの話の核心部分であり、亜美の表情に真剣さが増した。

 

 

「つまり審判団がそこまで判断に迷う程の何かがあった……そういう事で宜しいのですね?」

 

 

 まほの後を受けてダージリンが念を押すように確認した事に、亜美も肯定の印として一つ頷く。

 

 

「え~、何よそれ~?私の方が先に白旗が揚がった……それでいいじゃないよ~」

 

 

 ラブが面倒な事は嫌いだとばかりに口を尖らす。

 

 

「こういったケースは私も今回が初めてです。ですが判定装置の精度が向上した現在、こういった事例がまた起こる可能性は充分にあります。そしてこれは今後判定基準を見直すべき重要な案件であると、自分の立場に関係なく私はそう考えています。」

 

「えっと……教官?」

 

 

 いよいよ話が見えなくなってしまったラブは、更に首を捻っている。

 

 

「恋さん、それをこれから順を追って説明させてもらいます」

 

「ハァ……」

 

 

 要領を得ないラブは曖昧な返事しか出来ないが、それでも構わず亜美はそのまま説明を続けた。

 

 

「まず弾着のタイミングですが先程も言った通りその時間差は約1/500秒、そして先に被弾していたのはまほさん、推察通りあなたのティーガーⅠの方が先でした」

 

「やっぱり……」

 

 

 まほは駆け引きに敗れた者特有の感覚とでも呼ぶべきもので、どうやら直感的に自分の方が先に撃たれていた事を自覚していたらしかった。

 

 

「双方の判定装置の衝撃センサーで、先に弾着の衝撃を感知していたのはまほさんのティーガーⅠでした。これは複数回確認しているので間違いありません」

 

「その差が1/500秒って事……?」

 

 

 まほと違い、話の核心を理解出来ていないラブは、更に訳が解らぬといった顔になっている。

 

 

「ちょっと待って下さい!それじゃあ先に被弾したのはお姉ちゃんなのに、先に白旗が揚がったのはラブお姉ちゃんの方って事なんですか?」

 

 

 亜美の話の矛盾した状況にみほも思わず声を上げてしまったが、しほに控えよと視線で制されると慌てて口元を両手で覆った。

 

 

「えぇ、そういう事になるわ……では何故そんな事になったか説明しましょう」

 

 

 亜美は話すべき事の時系列を頭の中で整理しつつ、言葉を選びながら慎重に話を続けた。

 

 

「確かに判定装置のデータ上では、まほさんのティーガーⅠの方が先に被弾している事を確認しています。しかしその後衝撃センサーは、その弾着による衝撃では撃破に至らずと判断しています」

 

 

 殆どの者が亜美の言う事をまだ理解出来ていないが、それでももう口を挟む者はいなかった。

 

 

「それでは何がティーガーⅠに撃破判定を下したかという事になりますよね?これはもう皆さんもご存じの事ではありますが、戦車道の試合に出場する戦車には衝撃センサー以外にも各種センサーが組み込まれ、稼働中の戦車は常にそれらが状況をモニターしています。今回の場合そのうちの一つが、ティーガーⅠの駆動系に修理不能な損傷を負ったと判断し撃破判定を下しています」

 

 

 自分が先にやられた自覚があったまほやデータの扱いに関してはプロに近いアッサム、メカニカルな面には滅法強い大洗のレオポンチームのメンバーなどは、亜美の話の意味する処が見えて来たらしく沈痛な面持ちでラブに視線を送っていた。

 

 

「その一方で正面装甲を抜かれたLove Gunの方は、ダイレクトに衝撃センサーが行動不能と認め即座に撃破判定を下しています……あくまでもデータ上の話ですが、Love Gunが撃破されるより先にティーガーⅠの駆動系は破壊されていたのです。メインである衝撃センサーで行動不能と即座に判断されたLove Gunに比べ、云わばサブのセンサーで駆動系の破壊を確認されたティーガーⅠとでは、その判定が下されるまでの時間にほんの僅かに、でも致命的な差が生じてしまいました」

 

 

 ここまで聞けばそれが何を意味するかは誰でも分かる。

 Love Gunの方が先にティーガーⅠの息の根を止めていたにも拘らず、計測システムの問題で遅れを取り試合に敗れ去っていたという事を。

 その驚きの事実に皆言葉を失い表情の方も信じられぬといったものになっていたが、当のラブとその母である亜梨亜、そしてAP-Girlsの少女達だけが別であった。

 

 

「何事かと思えばなんだぁ、そんな事か~」

 

「そんな事ってオマエ!?」

 

 

 気の抜けたようなラブの言葉に、まほの方が驚いている。

 

 

「え?だって理由が何であれ先に白旗揚げたのはウチの方よ?そもそもスパっと白旗判定取れなかったのが悪いんであって、何もまほが気に病む事はないわ」

 

 

 ねぇ?っとばかりにラブがAP-Girlsに目をやると、彼女達も全員がコクコクと何度も頷いており、亜梨亜も何も言わぬがそれが当然といった感じで涼しい顔をしている。

 

 

「いや!だけどなぁ!」

 

「だけども何もないわ、他にもやりようがあったのに間接的な攻撃を私が選んだ結果だもの、ダイレクトヒットで撃破を目指さなかった段階で私は負けていたのよ」

 

「お、オイ!いくらなんでもⅢ号とティーガーじゃそれは無理があるだろう!?」

 

「だから言ったじゃな~い、他にもやりようがあったってさ~」

 

 

 少し意地になったようなまほに、ラブは仕方ないとばかりに伝家の宝刀を抜いた。

 

 

「まほ、この話はこれでお終いよ。今日の試合の勝者は黒森峰、この事実は揺るがないの。もういい加減お姉ちゃんの言う事を聞きなさい!」

 

「だ、誰が誰のお姉ちゃんだ!?」

 

 

 真っ赤な顔で余計むきになったまほの事をラブはヒラヒラと手を振り軽くあしらっており、その様子が可笑しいのかしほは俯き肩を微かに震わせそっと呟いていた。

 

 

『やっぱりこの子(まほ)では恋に勝てません……』

 

「お母様なにか!?」

 

「いえ別に……」

 

 

 今度はそっぽを向き大きく肩を震わせるしほであった。

 

 

「恋さん……恋さんの気持ちも解りますが今お話した事も事実であり、これは今後の私達試合を運営する側にとっても、非常に大きな問題である事も理解しておいて頂けますか?」

 

 

 ラブもさすがにもうそれ以上は何も言わず、静かに微笑み一つ大きく頷いた。

 

 

「ありがとう恋さん」

 

 

 亜美もやっと胸のモヤモヤが晴れたのか、その表情が明るくなった。

 

 

「蝶野一尉、この様な過密日程にも拘らず、審判長として全戦子供達の面倒を見て頂きありがとうございます」

 

「あ、いえ、これも職務でありますし何よりもこれ程の好カードを、こうして纏めて間近で見る機会もそうありません。ですからこちらこそ感謝しています」

 

 

 笠女の理事であり現厳島グループのCEO、更には厳島流先代家元である亜梨亜に礼を言われ、そのラブ生き写しの美貌プラス大人の色気にドギマギしながらも、亜美自身の胸の内の偽らざる想いを亜梨亜に伝えたのであった。

 

 

「教官お世話になりました……そだ!お礼にお背中流させて下さい♪」

 

「えぇ!?そんなの悪いわ!」

 

 

 名案とばかりに、にっこり顔のラブが勢いよく立ち上がると、急浮上したたわわな伊号四百型をユサユサと揺らしながら亜美の手を引き洗い場へと向かう。

 

 

「これ何です、はしたない」

 

「いいからいいから~♪」

 

 

 亜梨亜が一応窘めるもラブは気にせず大胆に歩を進め、亜美を座らせボディーソープで彼女の良く締まった美しい肢体を泡々にして行く。

 

 

『うわぁ……』

 

 

 そのあまりにもエロス溢れる光景に、溜め息交じりの声が一斉に漏れた。

 

 

「し、しまったメモ帳がぁ!」

 

「目にしっかりと焼き付けておきなさい……」

 

「Jesus!主よ感謝します!」

 

「お前ん家は普通に仏教じゃなかったか?」

 

「これはもう吶喊しかありませんなぁ」

 

「だからノンナ!直ぐに私に目隠しするの止しなさいよ!次やったらマジ粛正するわよ!?」

 

「パンツ脱いで待ってます」

 

『ぶっ!』

 

 

 お子様達が大人の世界に大興奮する中、少し頬を上気させたしほが上目使いでらしくない程におずおずと亜梨亜にそっと耳打ちをした。

 

 

「あの……もし宜しければ、私に亜梨亜様のお背中を流させて頂けませんか?」

 

「あらいいの?それじゃあお願いしようかしら?」

 

「……!わ、分かりました…それではこちらに……」

 

 

 その妖艶且つ悪戯っぽい笑みにドキッとしたしほは、若干取り乱しながら思わずラブ同様亜梨亜の手を取り立ち上がった。

 

 

「あら嬉しい♪」

 

「ハッ!し、失礼致しましたぁ!」

 

 

 テンパってしどろもどろになるしほであったが、満足気な亜梨亜は雰囲気たっぷりに微笑むと、そのまま彼女にエスコートするように促した。

 

 

「お、お母様ぁ!?」

 

「だ、誰か耐水性のメモ帳を持っていないかぁ!?」

 

「Wow!大人の西住流対厳島流ね!」

 

「カチューシャ様、今夜は如何様な粛正でも存分にして頂いて構いません」

 

『ぶふっ!』

 

「あなた達普段どんな生活(プレイ)おくってますの?」

 

「だからノンナ!誤解を招くような事言うんじゃないわよ!」

 

 

 しほと亜梨亜の泡々プレイを前にお子様達はどんどん壊れて行くが、その艶めかしい光景の破壊力は極めて絶大であった。

 ラブに全身くまなく洗われてしまった亜美が、覚束ない足取りでふらふらと湯に浸かりに向かった頃、今度は逃げようとするしほを捕まえて座らせた亜梨亜が彼女の背中を流し始めた。

 

 

「あ~!亜梨亜ママずるい~!私もしほママの背中流す~♪」

 

「あ!?コレ!恋止しな……あぁ~ん♡」

 

 

 横から手を出したラブが背中ではなくいらん所を泡々にした為、それを阻止しようとしたしほは堪らず色っぽい声を上げてしまい、西住流家元としての厳しい顔しか知らぬ者達はそのギャップに辛抱堪らん状態に陥っていた。

 

 

「おぉぉぉお母様!なんて羨ましい!」

 

「お姉ちゃん……」

 

「た、頼む!誰か私にメモ帳を!」

 

「Hey!これって一体ナニ丼になるのかしら!?」

 

「下品な…でも変わって欲しい……」

 

「の、ノンナ!だから何で私のおっぱいを隠すのよ!?」

 

「それはカチューシャ様が急に立ち上がってしまったからです」

 

『ぶははははは!』

 

 

 目隠しされまいとカチューシャが立ち上がった結果、目隠しをするはずだったノンナの両手はその手に収まる可愛い小っぱいを手ブラしてしまっていた。

 

 

「や!?だから何で先っちょ刺激すんのよ!?」

 

「あまりに可愛いものですからつい……」

 

『ぐはぁっ!』

 

「こ……コリコリしちゃらめぇ♡」

 

『う゛お゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛……』

 

 

 ノンナにピンポイントでクルスク(先っちょ)を責められ身悶えるカチューシャの姿に、ケダモノ達のムラムラはいよいよ臨界点に到達しつつあった。

 

 

「恋、やり過ぎですよ?」

 

「えぇ~?だってぇ、しほママとっても綺麗なんだもん♪」

 

「……」

 

『やっぱりこの親子が一番おかしい……』

 

 

 ケダモノ達が目をギラ付かせる中、三人も再び湯に浸かるべく戻って来た。

 

 

「ふ……」

 

 

 やっと解放されたしほが湯の中で一息吐くと、隣では亜美が完全に放心状態で力なく漂うようにプカプカと湯に浮かんでいた。

 

 

『無理もないわね……』

 

 

 ラブの年に似合わぬテクニックと、しほのウィークポイントを知り尽くした亜梨亜のコンビネーションプレイに責められた彼女も、少し気の毒そうに亜美の事を見ていた。

 そして湯に浸かり尚も戯れるたわわな親子にケダモノ達の意識集中した時にそれは起こった。

 

 

「ん?」

 

 

 母である亜梨亜の肩にもたれまったりしていたラブは、湯の中を何やら蠢く影が自分達の方へと接近して来る事に気が付いた。

 その影は亜梨亜の湯に浮かぶたわわの前まで来ると、静かに浮上し始めその正体が解った。

 

 

「あら、この子は?」

 

 

 目の前に浮かんだ謎の生き物に、亜梨亜は不思議そうな顔をする。

 

 

「え?紗希ちゃん!?」

 

 

 ギリギリまで潜航して接近して来た者の正体は、大洗の人間魚雷丸山紗希であった。

 そして彼女のその戦法に覚えがあったラブは、思わずその身を固くした。

 

 

「あ…まさか……」

 

「おっぱい……」

 

「え?何かしら?」

 

 

 よく聞き取れなかったのか亜梨亜が小首を傾げる。

 

 

「あ!ちょ……待ったぁ!」

 

 

 

 

 

 ちゅぱ♡

 

 

 

 

 

 潮騒の湯の時と同様に紗希は先っちょに吸い付いた。

 但し今回はラブではなく亜梨亜の先っちょに。

 

 

「あら大胆♡」

 

 

 亜梨亜は聖母の笑みで紗希の頭を撫でる。

 

 

「ちょ────!おま────!」

 

 

 その紗希の暴挙に目を剥いたしほが絶叫し、真っ青になった梓がそれを止めるべく湯の中を全力でザブザブと波を蹴立ててすっ飛んで来た。

 

 

「ちょっと紗希!何やってるの!あぁぁ──!スミマセン!」

 

 

 さすがに梓も亜梨亜が何者であるか理解しており、そんな相手に対しての紗希の斜め上処ではない行動に卒倒しそうであった。

 

 

「あら、あなたが今年度のヤングタイガーの澤梓さんね?」

 

「亜梨亜ママ?」

 

 

 紗希を片乳に張り付けたままの亜梨亜は、鷹揚な態度で梓を手招きする。

 おっかなびっくり、取って食われそう、そんな感じで亜梨亜の隣に腰を下ろしながらも梓は抗う事が出来ずに彼女の腕の中に抱かれて行くが、抱き寄せる亜梨亜の様はまさにラインのローレライだ。

 

 

「いい子ですね…あなたならこの先恋の良きライバルになってくれそうね……」

 

 

 何やらとんでもない事を言っているにも拘わらず、梓の方は夢見心地で暗示でも掛けられたようにぽやんとした表情でそれを黙って聞いていた。

 

 

「出たよ夜叉姫…あれでコロッとやられてみんなその気になるのよ……じゃなくてぇ!あなた達もうそれ以上は!あ、亜梨亜様も~!」

 

「あら?しほちゃんあなたもなの?」

 

「あ、こりゃいかんばい…スイッチ入っとる……」

 

 

 しほが気付いた時には既に手遅れだったらしく、紗希も梓も揃ってトロンとした目付きで亜梨亜の腕の中に絡め捕られていた。

 そしてさすがラブの母だけあり本家本元のフェロモンを戦闘濃度で散布した為に、その場にいる者全てが汚染され徹甲の湯全体がR指定の限界を超えたカオスと成り果てていた。

 

 

「あぁん、らめぇ♡」

 

 

 最後には夜叉姫に蹂躙されたしほの断末魔にしては色っぽ過ぎる叫びが響き、どピンク色のカオスも漸くその幕を閉じたのであった。

 

 

「常夫さんも本当に幸せね♪しほちゃんみたいにいつまでも若々しくて、こんなにも可愛い子がお嫁さんなんだもの♡」

 

「あぁぁ……」

 

 

 狂乱の入浴後、脱衣所で火照った身体をタオルで拭いブラにたわわを押し込んでいた処に亜梨亜からそんな事を言われたしほは、意味不明な呻き声と共にその場に崩れ落ちて行った。

 

 

『か、可愛い!?誰が?お母様が!?』

 

『何処が!?お母さんの何処が!?』

 

 

 目玉が飛び出して地球一周して来そうな顔で、まほとみほが大声でヒソヒソ話しをしている。

 

 

「ハァ~、アンタ達ってホンっとダメ姉妹よねぇ……ボンクラ過ぎてお姉ちゃんマジで悲しいわ~」

 

 

 大袈裟に溜め息を吐いて見せたラブは、白い目で二人を見ながら吐き出すように言った。

 

 

「なっ!?誰が──」

 

「ふぇっ!?だって──」

 

「Shut up!この似た者ポンコツ姉妹め!ねぇ、千代美とエリカさんはいいの?こんなスカタンが生涯のパートナーでさぁ?」

 

「フム…さすがにちょっと考えてしまうな……」

 

「ですね……」

 

 

 アンチョビとエリカがまじまじとまほとみほを見た後に、暫く見つめ合い腕を組むと揃って何やら真剣に考え込んでしまった。

 

 

『あ゛ぁ゛ぁ゛────!』

 

 

 ラブとアンチョビ、更にエリカの痛いまでの白い視線に耐えかねたまほとみほは、頭を抱えて膝を突き絶望的な悲鳴を上げていた。

 

 

「しほママ♡」

 

「おば様♡」

 

「家元様♡」

 

「あなた達……」

 

 

 しほの下に集まった三人に支えられたしほは感極まったように三人を抱き締め、全員ブラとパンツのみという訳の解らぬ姿で、見た目だけは妙にエロい猿芝居を演じてポンコツ姉妹に止めを刺す事を忘れない辺りはさすが西住流家元であった。

 

 

「さて、コンベンションホールに立食形式ですが夕食を用意させました。身支度が整ったら皆でそちらに行くようになさい」

 

 

 自身も身支度が終わると家元の顔に戻ったしほが、黒森峰の隊長であるまほに指示を出した。

 

 

「え?宜しいのですかお母様?」

 

「当然でしょう、この時間に何もなしで帰したらそれこそ失礼に当たるというものですよ?さあ早く皆に伝達なさい」

 

「はい!解りました!」

 

「しほちゃん、それでいいの?」

 

「はい、両家の親族もこちらに向かわせていますので……まあこの方が片付きもいいですし」

 

「まぁ♪」

 

 

 しほの言い草にクスッと笑った亜梨亜であったが、確かに彼女の言う通りでありその仕切り的確さに感心しているようであった。

 

 

「また随分と大事になって来たなぁ……」

 

 

 これから西住と厳島両家の親族に引き合わされる事になっているアンチョビは、背後から聞こえる二人の会話に気が重くなり始めていた。

 全ての戦いが終わり西住の振る舞いによる思いがけぬ宴会という事で、皆一様に浮かれているがそんな事情があるアンチョビはあまりそれに乗る事が出来なかった。

 

 

「愛、こちらの準備は整ったそうよ、さっき艦内のテーラーから連絡があったわ。そちらの方はどうかしら?ラブ先輩はそういう事に敏感だけどバレてない?」

 

「はい、問題ありません……それでそちらに連絡するタイミングは?」

 

「明日のライブが終了後そのままが一番理想かしら?」

 

 

 宴会の知らせに浮かれる者達の陰で、エリカと愛が何やら密談を行なっている。

 会話の内容と二人がラブに送る視線から、どうやら前夜の密会が関係しているらしいがその内容は今もって不明なままであった。

 二人の狩人の目は、回遊魚のように人々の間を談笑しながら彷徨うラブの笑顔を追っていた。

 

 

 




どんな競技にも判定が微妙な事があるので、その辺をお話に取り込んでみました。
一応予定ではこれ程大規模なお風呂回も最後の予定ですが、
まだ先の事はちょっと解りませんw

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