ガールズ&パンツァー 恋愛戦車道   作:肉球小隊

198 / 309
今回の主役はやっぱりレオポンチームになるかな?


第六十二話   Expert

「どんな具合だ西住?」

 

「大分あちこちヘコんじゃいるが装甲自体には何ら問題はない…ただ右の履帯が切れかけているのと、転輪の一つが要交換な状態だな……」

 

「そうか、ならサッサとやってしまおう……幸いこの手の問題のエキスパートのレオポンチームがここにいるし、これだけ人手もあるから直ぐに済むはずだ」

 

 

 使い込みよく手に馴染んだ作業用皮手袋でグラつく転輪を揺すってみせたまほの手元を覗き込んでいたアンチョビは、立て続けに重戦車に突っ込まれ倒壊し瓦礫の山と化した元住宅跡地の中でレオポンを点検中の自動車部を肩越しに左手の親指で指差しながらそう言った。

 

 

「いや……これは私の蒔いた種だ、自分でなんとかするから先に行ってくれ」

 

 

 だが自分がいとも簡単にラブの挑発に乗ったのが原因でこの結果を招いた為に、まほはアンチョビの提案を断り先を急ぐよう進言していた。

 

 

「アホぅ、隊長とフラッグ車残して先に行ける訳がないだろうが、後続は中団で宙ぶらりんになってたケイが纏めちゃいるが隊長はあくまでもオマエなんだからシャンとせんか」

 

 

 特に怒っている訳ではないが困ったヤツだといった顔のアンチョビにお小言を頂戴したまほは面白くなさそうに拗ねた顔をしたが、アンチョビはそれに構う事なくレオポンの点検をしていた自動車部を手招きしながら呼んでいた。

 

 

「すまんナカジマちょっといいか!?」

 

「何だいドゥーチェ?」

 

 

 何だいなどと言いつつもアンチョビ達の下へとやって来るナカジマのその手には、工具箱が下げられている処を見ると彼女も粗方の事情は察しているようだった。

 

 

「なるほどね……うん、これぐらいなら大して時間も手間もかからないよ。お~いホシノ~、スズキ~!ちょっと手を貸してよ~!」

 

 

 やって来るなりビットマンの足回りの点検をしていたナカジマは、あっという間に破損個所の確認を終えるとホシノとスズキを呼び寄せ修理を開始していた。

 そして作業が始まるとまほ達前衛部隊の参加者は、所謂神業と称される部類の自動車部による修理技術を目にする事になった。

 

 

「え?ちょっと待ってくれ……」

 

「そんな簡単に?」

 

「どういう事?」

 

「何がどうなってるの?」

 

「はいはい、いい子でちゅね~、もう終わるからね~♪」

 

『え…もう?てかいい子でちゅね~って……?』

 

 

 日頃からその手の訓練も受け相当に鍛えられているまほを始めとする黒森峰の隊員達ですらも、俄かには信じられんといった顔で驚愕する作業スピードでビットマンの修理を終えた自動車部は、彼女達が我に返った時には既に作業を終え工具を片付け始めていた。

 

 

「どうだ?頼りになるだろう」

 

「だから何で安斎が得意そうにするんだよ……?」

 

 

 最初はまだ信じられんといった顔をしていたまほだったが、得意げに腕を組み指揮用の鞭をピコピコと振って見せるアンチョビに不満げに口を尖らせた。

 

 

「またそういう顔をする…西住、オマエはもう少し周りを頼れ……何の為のチームメイトだ?いくら隊長といったってだな、一人で何でもかんでも背負い込んでたら直ぐパンクするぞ?」

 

「う…解ってるよ……」

 

 

 痛い所を突かれたまほは口籠るが、これに関してもアンチョビは深く追求するつもりはないらしく、まほの態度を気にするでもなくナカジマ達と他の車両の事で何やら話し込んでいた。

 

 

 

 

 

「Ah……またものの見事に鳴かず飛ばずだったわね~」

 

「所謂ヤキトリってヤツだねぇ」

 

「ヤキトリ?アンジー、何でここで焼き鳥なのよ?」

 

「麻雀用語だな……」

 

「麻雀ですか……?」

 

 

 隊列中団は前後で戦端が開かれた事と道路状況等も相まり、お盆休みの高速道路で渋滞にはまった帰省客宜しく身動きも取れず無為に時間を過ごしていた。

 更にアーニャの奇襲によりクルセイダーの履帯切りを喰らった事で事態はより悪化し、ケイの言うようにいいトコなしに終わっていたのだった。

 そしてケイの溜息交じりの呟きに、彼女の無印M4の隣に止めた車高の低いヘッツァーから顔を出し精一杯伸びをしながら周囲を見回した杏が一言付け足した。

 しかしそのヤキトリの意味が解らずケイが首を捻れば、杏同様に周囲を見回していたナオミが解説を付け加え、それを聞いたノンナが更に訳が解らなそうに首を捻るのだった。

 

 

「緊張感の欠片もないわね~」

 

「まあ三年生だけの寄り合い所帯だしね~」

 

「屈辱ですわ……」

 

「そうそう……って、え?」

 

「な、何よ急に……?」

 

 

 一応はケイを中心に後衛との合流がてら部隊を纏めている最中だが、如何せん大所帯過ぎるので非常に賑やかだった。

 そんな大集団の只中で身動き取れぬ状態で履帯切りの憂き目に遭った偵察部隊2号車、クルセイダーの車長のリゼは黒森峰とプラウダから同車に乗り込んでいた二人と共に切られた履帯の修理中だったが、作業の片手間の会話中に突然脈絡のない呟きを漏らした。

 

 

「高速機動で不覚を取るならともかくあのような状況でやられるとは…おのれフサリアのチョロ助め……このカタは必ずキッチリ付けさせて頂きますわ」

 

「オイオイ……」

 

「チョロ助て……」

 

 

 大渋滞にはまり身動きも取れぬ状況で履帯を切られ、リタイアこそ免れたがそれが原因で部隊全体が機能不全に陥る原因となった事は、彼女にとって屈辱以外の何ものでもなかったようだ。

 

 

「いや、あの状況じゃ仕方ないだろ?」

 

「そうよ、あんなの避けられないって」

 

「いいえ……暴走の果てにエンジンブローでもするならまだしも、あのような無様な失態をクルセイダー乗りとして認める訳には行きませんの!」

 

『あぁそう……』

 

 

 さすがローズヒップの先輩だけあり言動の端々におかしさが見られるリゼだったが、彼女もまた間違いなく英国面溢れる聖グロの隊員であった。

 そしてそんな彼女に対し二人もそれ以上は何も言えず、ただ胸の内でエラい車両に乗り込んでしまったと思うのみだった。

 

 

「何やってんのあの子達……Heyダージリンそっちの様子はどう?」

 

 

 自分達の事を棚に上げ履帯の修理をしながら騒ぐリゼ達を奇異な目で見るケイは、無線でダージリンを呼び出し状況の確認を始めていた。

 

 

『どうもこうもありませんわ…まほさん達にトラップが発動するのとほぼ同じタイミングでAP-Girlsと武田菱の混成部隊もそれこそあっという間に姿を消しましたもの……』

 

「そう……それで損害の方はどうかしら?」

 

『幸い全車特に大きなダメージを被った車両はいませんわ、但し私のブラックプリンスもカチューシャのKV-2も果たして何発被弾したかもう解りませんの……』

 

 

 その声音の様子からダージリンの憮然とした表情が容易に想像出来たケイは、開き直ったかのような態度で素っ気なく肩を竦めて見せたのだった。

 

 

「ま、初手はラブの独り勝ちってトコかしら……?ったく最初から解ってたのにさぁ、いきなり私らの悪いクセが出たわね~」

 

「悪いクセ?私達の……何それ?」

 

 

 ケイとダージリンの無線越しのやり取りをそれとなく聞いていた杏だったが、彼女の言う自分達の悪いクセの意味が解らず不思議そうに首を捻っていた。

 

 

「あぁホラ、私らラブとの付き合いが長いでしょ?昔から散々やり合ってるからその分ラブに対してみんな疑り深くなってんのよ……何しろあの子何やるか解らないじゃない?で、結果的に慎重になり過ぎてやる事なす事後手後手になる訳」

 

「あ、そういう意味ね……」

 

 

 初対面でいきなり強烈な体験をさせられているだけに杏にもケイ達がラブに振り回される様が容易に想像が付き、彼女は困ったように笑いながらへにょっと眉尻を下げるのだった。

 

 

「いずれにしてもこのままじゃダメって事…ラブ相手に集団で固まってちゃ話にならない……一旦は再集結するけど、そこから先は柔軟に対応しなければあの不埒なおっぱいには勝てないわ」

 

「怒りの根源はソコか……」

 

 

 最後の最後で拳を握り締め怒りを露にするケイに、今度こそ本当に困った顔をする杏だった。

 

 

 

 

 

「もういないわよね……?」

 

 

 今も後進する形で移動を続けるカチューシャは、煤塗れの険しい表情で周囲を警戒していた。

 ラブのトラップ発動と共に仕事は済んだとばかりに速攻で姿を消したAP-Girlsと風林火山であったが、その行動の速さと狡猾さにカチューシャは未だに安心出来ずにいた。

 

 

「さすがに引いたんじゃないかしら?AP-Girlsの引き際はラブ仕込みですからね……」

 

 

 優雅な仕草でティーカップを傾けるダージリンであったが、カチューシャと同様にその顔は煤塗れであり目付きも相当に剣呑で彼女もまた警戒を解いていないのがまる解りだった。

 

 

「風林火山って言ったわよね?あのAP-Girlsと一緒に高速機動戦闘仕掛けて来るなんてとんでもない連中だわ!全く新設校の一年生は一体どうなってんのよ!?」

 

「私に聞かれても知りませんわ」

 

 

 吠えるだけ吠えて喉の渇きを覚え、ソビエト時代コーラに対抗すべく作られた清涼飲料であるバイカルのボトルを呷るカチューシャに、ダージリンが返した言葉は極めて素っ気ない。

 だがカチューシャも特に返事など期待していなかったようでダージリンに噛み付く事はなく、煤塗れの口元をタンクジャケットの袖でグイっと拭うと炭酸が原因のゲップを吐き出していた。

 

 

「…本当に下品なんだから……それよりいつまでもこの大所帯のままでは埒があきませんわね、ここから先はもっとフレキシブルに動かねばあの邪悪なおっぱいに勝つ事は出来ませんわ」

 

「アンタね…どっちが下品よ……」

 

 

 ダージリンもまたケイと同じ認識であったが、彼女の僻み交じりの悪態にカチューシャも眉を顰めながら呆れて溜息を吐くのだった。

 

 

 

 

 

「いや参ったわ…まさかレオポンがあんなバケモノになってるとは……こりゃ敵に塩送っちゃったかねぇ……いやホント参ったわ~」

 

 

 作戦の終了後、新設校連合は再び踏切を超えその近くにある新明神社の裏手、神明公園の多目的グラウンドに再集結していた。

 嘗て海のニッコーと謳われた光学機器メーカーの横須賀製作所を背に、何処か無責任な口調のラブはへにょりと眉尻を下げヘラヘラと笑っているが、その態度とは裏腹に身なりの方は煤と埃に塗れいつもは美しく波打つ深紅の髪も相当に乱れていた。

 

 

「何無責任に笑ってやがる、考えなしに物資の横流しで他所の戦車強化しやがってマジざけんな!」

 

「ちょっ!人聞きの悪い事言わないでよ夏妃!整備の裏技や改良のノウハウを伝授してくれたお礼に余り物やら残り物で問題ない物を持って行ってもらっただけじゃない!こっちだって色々恩恵受けてるんだからいいでしょ!?」

 

 

 ラブと大差ないぐらいに煤塗れな夏妃に悪態を吐かれたラブは即座に言い返したが、つい今しがたあわやという事態に遭遇した夏妃としてははいそうですかで引き下がれるものではないようだ。

 ラブの挑発行動に合わせる形で一撃離脱攻撃に出た夏妃達であったが、後衛部隊を足止めする為にはいつまでもその手だけ押し通す訳にも行かず、最終的にはその身を晒し戦わざるを得なかった。

 特に夏妃はその機動の激しさで目立つ分狙われる確率も高い為、作戦の終盤はブラックプリンスとKV-2から集中砲火を受けていたのだ。

 

 

「お人好しにも程があるつってんだこのボケぇ!」

 

「ひっどぉ!ちょ、愛も何とか言ってよ!」

 

「…壊れないポルシェティーガーなんて笑えないわ……」

 

「あ、愛……?」

 

 

 後衛の襲撃部隊に加わった愛もまた他の者達同様煤塗れであり、返って来た返事はにべもなく、ショックを受けたラブは瞳をウルウルさせるがAP-Girlsは誰一人同情などしていなかった。

 

 

「……と、とにかく!これでまほ達もその気になったでしょ?ここからが本番だからね!」

 

 

 愛に同情してもらえず瞳ウルウルも通用しないと知ったラブは、言うまでもなく全員が認識している今更な事を叫び話を纏めようと必死だった。

 

 

「で、どうするって?まさかまだチマチマと挑発を続けるつもりじゃないでしょうね?」

 

 

 腰に手を当てた偉そう態度と上から目線で鼻を鳴らした凛々子は、高飛車なもの言いでラブの叫びを無視してこの先どうするかを問い質していた。

 

 

「そ、それ位は私だって考えてるわよ!連中だってさすがに分散して来るからここからは個の力が問われる場面が増えて来るわ、でもだからといって相手に合わせて分散し過ぎるのは論外、各校得意のスタイルで存分に暴れて貰うからね」

 

 

 ここまでの処は各校が独自の判断で行動に出たとはいえ、それはあくまでもチーム全体の作戦行動における枠の中での話であった。

 だがあれだけ挑発すればまほもさすがに目が覚めたはずだと考えるラブは、三年生を新設校のいい練習台にするべく学校単位の作戦行動を認めたのだった。

 

 

「それなんだけどラブ姉、あっちの中団にいたサンダースとプラウダの戦力が手付かずだよね~♪アレ、私らにサクッと削らせてくんないかな~?」

 

 

 ふわふわと緩い口調でなんとも物騒な事を進言したのは、カレン率いるパーペチュアルの仕掛けた要塞砲に参加していたクワイエットレボリューションの隊長のメイプルであった。

 

 

「メイプル……?」

 

「ねぇ♪いいよね~?」

 

 

 一見虫も殺さぬような柔らかな雰囲気の美少女のメイプルだったが、性格の方はその可愛らしい容姿とは裏腹に好戦的且つしたたかで彼女と対戦した際はラブも相当苦労したのだった。

 そんなメイプルの進言がケイ達の葬送曲に聞こえた気がしたラブは、許可を出しはしたがその口元が僅かながら引き攣っているようだった。

 

 

「い、いいけど程々にね…最終的に発電所跡地で派手にやる予定だからさ……」

 

「うん、解ってる解ってる~♪」

 

 

 軽い足取りで隊長車であるグリズリー巡航戦車の下へと戻って行くメイプルの背を見送ったラブは、彼女のお尻に悪魔の尻尾を見たような気がした。

 

 

「ホントに解ってるのかしら……」

 

 

 溜息交じりのラブの呟きが聞こえたのか聞こえないのか、メイプルはグリズリーに駆け上るなり早々に進発命令を下し神明公園を後にするのだった。

 

 

「それにしても結局追って来ないって事は多少被害が出たのかしら?」

 

「う~ん、多分被害が出たとしても履帯切れた程度かな~?きっと今頃自動車部さん達が凄い勢いで修理してるんじゃないかしら……?」

 

 

 メイプルを見送ったラブの下へやって来た晶の疑問に、少し考えて答えたラブの予想は当たらずとも遠からずというよりほぼ正解であった。

 

 

 

 

 

「あれだけ喰らって履帯と転輪で済んだのは御の字と見るべきかしらね……?」

 

 

 ラブ達が再び動き出す少し前、漸く現場に着いた中継用ドローンからの映像が届きエリカが目にしたのはビットマンの修理に取り掛かる自動車部の姿であった。

 

 

「他も煤けちゃいるが無事みたいだな……」

 

「あれティーガーじゃなかったらやられていたかもしれませんね」

 

「多分ラブお姉ちゃんもまだ本気じゃなかったはずだから……」

 

 

 自動車部による修理作業を横目に状況の分析に余念がない一同であったが、やがて自動車部の技術の高さに目を奪われ食い入るように修理ショーに見入っていた。

 

 

「あの超加速といい修理スキルの高さといい、大洗の自動車部は本当にとんでもないわね……」

 

「みほさん、大洗の戦車って発見当時酷い状態だったんでしょう?」

 

「うん、カルパッチョさんの言う通りよ…でもそれをあそこまで戦えるようにしてくれたのは自動車部なんだ……自動車部がいなかったら大洗は生き残れなかったと思う……」

 

「う~む、あの人数であれだけの事をやってのけるとは……」

 

 

 縁の下の力持ちなどという表現もあるが、大洗の自動車部こそ学校の存亡を賭けた戦いに於ける一番の立役者であると言っても過言ではないだろう。

 何故なら例えみほがいたとしても彼女達の存在なくして大洗の戦車はまともに戦う事すら出来ず、下手をすれば全国大会の早い段階で姿を消していた可能性もあったのだから。

 

 

「けどあそこまで国籍のバラバラな戦車をあの少人数で面倒見るなんて私なら御免被るわ」

 

「確かに……」

 

 

 その学校の出自や教育理念にもよるが、真っ当な戦車道履修校であれば通常は使用する戦車の国籍を揃えるのが常識であった。

 何故なら国が違えば部品の規格や専用工具なども含め何から何まで違って来る為、運用コストや掛かる手間の観点から国籍の違う戦車を複数導入するのは得策ではないからだ。

 何故大洗があそこまで多国籍軍状態になったかは謎だが、国籍を統一した戦車を運用する学校に属する者からすればそれは避けたい状況でしかないだろう。

 現にエリカの意見に賛同したルクリリも渋い顔をしており、この場でそれを不思議に思わないのは戦車道を始めて日の浅い梓達ぐらいかもしれなかった。

 

 

「習うより慣れろとは言うけど、確かに私もあれはちょっとイヤかなぁ…あ……みほさん、今言った事はたかちゃんには絶対ナイショにしておいて下さいね?」

 

「う、うん解ってます……」

 

 

 ニッコリと笑いながら手を合わせチョロっと舌を出すカルパッチョだったが、その目が全く笑っていない事に恐怖を覚えたみほはどうにかそれだけ言うとコクコクと頷く事しか出来なかった。

 

 

 

 

 

「凄いな…全く違和感を感じない……」

 

「だから言ったろう?」

 

「さっきから何で安斎が偉そうに言うんだよ……?」

 

「ふふん♪まぁいいじゃないか……なぁ?」

 

「ま~ね~♪」

 

 

 修理を終え試しにビットマンを軽く前後させたまほは、被弾前と全く変わらず動く事に驚きを禁じ得ず、目を丸くしながら素直に感じたままの事を口にしていた。

 しかしその結果に得意そうにするアンチョビに彼女がツッコミを入れれば、アンチョビはそれを軽く受け流しナカジマに話を振っていた。

 そしてナカジマもナカジマでいつも通りの軽い調子でそれに応え、右手でOKサインを返していた。

 

 

「あのな…もういいや……でもこれで問題なくやれるのは解った、ラブのヤツ見てろよ……」

 

 

 何かを言いかけたまほであったが、アンチョビとナカジマの緩いやり取りに毒気を抜かれたらしくそこで話を中断すると、気持ちを切り替えるようにラブに対する怒りを再燃させるのだった。

 第一ラウンドの軍配は、明らかにラブ率いる新設校連合に上がっている。

 だが当然このまままほ達が黙っているはずもなく、戦いはより一層激しくなる事は明らかだ。

 戦いはまだ開戦の狼煙が上がったに過ぎない事は、当の本人達が一番理解しているだろう。

 

 

 




アンチョビとレオポンチームの仲の良さも謎ですが、
クワイエットのメイプルも不気味だと思いませんか?
次回はその辺も徐々に明らかになって来ますのでお楽しみに。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。