ガールズ&パンツァー 恋愛戦車道   作:肉球小隊

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先週末は酷い腰痛でダウンしてました……。


第七十話   ゲスを極める乙女

「成程そう来たか……」

 

 

 降り注ぐ砲弾を余裕で見切るラブの指揮の下、Love Gunは踊るような機動で飛来する砲弾を次々と回避して行く。

 そのLove Gunを何とか弾着ポイントに押し留めようと牽制を加えるまほをチラリと見やり、ラブは口元に妖艶な笑みを浮かべながら短く呟いた。

 

 

「けど残念、私自分に向けられた()()には敏感なんだ」

 

 

 立て続けに弾着し広がる爆炎を背景にまほの放った必殺の一撃すら躱したラブは、驚くまほに向けて鮮やかなカウンターを見舞っていた。

 

 

「狙いは悪くないけど私相手にはちょっと足りなかったわね」

 

 

 身を焦がす爆炎と鼻腔を突く硝煙の匂いを身に纏い、戦場に降臨した戦女神の圧倒的な存在感を前にまほはただ息を呑む事しか出来なかった。

 

 

 

 

 

「あ、マズい!」

 

「何?どうしたの!?」

 

 

 一旦報告の為にクルセイダーに戻った偵察隊3号車の車長と砲手の二人であったが、作戦発動に向け観測要因としてラブ達が休憩するサッカーコートに舞い戻っていた。

 

 

「昼休み終わりみたいよ」

 

「え?もう!?」

 

 

 彼女と行動を共にしていた3号車の砲手が驚いて立ち上がりかけたが、ギリギリの処でそれを制しながらも驚く砲手の問いに答えていた。

 

 

「ええ、全員それぞれの車両に乗り込み始めたわ」

 

「あの様子だともう少しのんびりすると思ったんだけどな……」

 

 

 植え込み越しに様子を窺っていた彼女の視線の先では、Love Gunを中心に間隔の狭い一列横隊に並び各車の砲塔上でAP-Girlsが昼食を取り寛いでいた。

 だがラブが不意に立ち上がったと思うとそれを合図にAP-Girlsも立ち上がり、軽い身のこなしで各車に搭乗を始めたのだった。

 

 

「早っ!もうエンジン始動したわ!」

 

「ちょっ!クルセイダーヤバくね!?丸見えじゃん!」

 

 

 特に擬装もせず路駐している事を思い出した3号車の車長は、ハッとした顔で慌てて砲手にクルセイダーを隠すよう指示を出した。

 

 

「私はギリギリまで見張るから、あなた先に戻ってクルセイダーを隠して!」

 

「了解!」

 

「あっ!くれぐれも派手にエンジン吹かさないよう気を付けて!」

 

 

 身を低くして駆け出した砲手は声に出して答えぬ代わりに、軽く手を挙げ了解の意思を示すとそのまま路駐状態のクルセイダーに向け走り去って行った。

 

 

 

 

 

「──了解、後5分と掛からずにそちらに行けるはずだ、無理のない範囲で監視を続けてくれ。もしそれまでに危険だと判断したら即離脱してくれて構わない、以上だ…ったく、あのヤロウ(ラブ)は一体どこまで図々しいんだ……にしてもダージリンはこんなザルな作戦が本気で上手く行くと思っているのか……?」

 

 

 偵察隊3号車からのラブ発見の報を受け、部隊を引き連れ発見地点であるサッカーコートに向け転進するまほだったが、作戦自体が付け焼刃に過ぎる為その表情は相当に渋い。

 加えて参加者全員が面白がって搭乗する車両の人員配置を好き放題弄った結果、慣れぬ戦車と作業に様々な処で細かなミスを誘発し、完全な実力を発揮できてはいなかった。

 

 

「オイ西住、どうする?部隊を分けて挟撃するか?」

 

「いや、作戦の特性上おそらくはそう何度も仕掛けられないだろう、ここで下手に戦力を割くのは得策ではないと私は思うんだがどうだろう?」

 

「まぁそうだよな」

 

 

 この作戦に限り自分達が囮と牽制役を務める形になるが、そこで迂闊な事をやって戦力減などという事態をまほとしては避けたかった。

 念の為に提案したアンチョビ自身まほがそう返答する事は想像が付いていたらしく、返って来た答えに一つ頷き後は全てまほの判断に任せる事にした。

 

 

「けどなぁ、ダージリンのヤツも何処まで本気なんだかなぁ……」

 

 

 まほに任せたとはいえ作戦そのものに対する不信感は拭い難く、アンチョビは無線で報告を受けた直後にまほが口にしたのと似たような事を呟いていた。

 

 

「う~ん…牽制してるこっちの頭の上に弾が飛んで来るとかゴメンだぞぉ……」

 

 

 後半は愚痴っぽく呟いたアンチョビは、眉間に縦皺の入った渋い顔で思わず天を仰ぐのだった。

 

 

 

 

 

「さて、それじゃ行こっか、ここからは私達も積極的に仕かけるからね~♪」

 

 

 ラブの気の抜けた合図と共に動き出したLove Gunの後ろに4両のⅢ号J型が付き従い、一列縦隊を形成するとそのままサッカーコートの出入り口に向かって走り出す。

 

 

「ヤバいヤバいヤバいこっち来る!って、クルセイダーはドコ!?」

 

 

 コート脇の植え込みの陰から様子を窺っていた偵察隊3号車の車長はさすがにこれ以上は危険と判断し現場を離れ駆け出したが、先に戻らせた砲手の指揮で既にクルセイダーは身を隠しており直ぐにその姿を見付ける事が出来ずにいた。

 

 

「えっと何処に隠れた……いた!」

 

 

 クルセイダーの姿が見えず彼女もちょっと慌てたが、直ぐに少し離れたチェーンの紳士服店とファミレスの駐車場の入り口で、先に戻らせた砲手がコッチコッチと手招きしているのに気が付いた。

 

 

「ふぅ……ちょっと焦ったわ!」

 

「それでどんな様子?」

 

「えぇ、もう出て来るわ!もう一度連絡しなきゃ!」

 

 

 クルセイダーに戻ると一足飛びに砲塔に駆け上った車長は車内から自分の通信装備一式を引っ張り出し、マイクに向かって既にAP-Girlsは動き出し一刻の猶予もない事を告げた。

 

 

「どうする?やっぱり私らだけで時間稼ぎする?」

 

「そんなのどう考えても無理ゲーでしょ……」

 

 

 気持ちは分からないでもないが、AP-Girlsはクルセイダー1両のみでどうにか出来る相手ではなく、瞬殺されるイメージしか湧かない車長は気乗りしない顔でそれを否定した。

 Ⅲ号とはライバル関係にあるクルセイダーであるが、状況は多勢に無勢、更にLove GunがパンターG型に代替わりした事でAP-Girlsの戦力はそれまでと比較にならぬ程アップしていた。

 そんな相手にクルセイダー1両で挑むなど愚の骨頂であり、いくら元クルセイダー隊とはいえ彼女もそこまで無謀な特攻をする気にはなれなかった。

 

 

『こちらダージリン、偵察隊3号車聴こえますか?これより作戦を開始します、至急攻撃地点のポイントを指定して頂けます?』

 

「え?ダージリン何を言っていますの!?」

 

 

 動き出したAP-Girlsにどうしたものかと思案しかけた処に、無線の向こうでダージリンが当初決めた手順をいくつか端折って作戦を開始しようとしていた。

 

 

『待て待て!ちょっと待てダージリン!それでは決めていた手筈と違うだろう!我々ももう直ぐ予定ポイントに到着するからもうちょっと待て!』

 

 

 まほ達の到着前にAP-Girlsが動き出した事でダージリンが先走ったような指示を出し、驚いたまほが思わず無線に割り込み思い止まるよう叫んでいた。

 

 

『ですがこのままでは何もしないうちに逃げられてしまいますわ!』

 

『お前一体何を焦ってるんだ!?』

 

『焦ってなどいません!』

 

『焦ってるだろう!?さっきからカリカリしてどうした?お前らしくもない』

 

 

 突然無線越しに始まったまほとダージリンの言い合いに、偵察隊3号車の車内では三人の搭乗員が思わず顔を見合わせる。

 

 

「どういう状況だコレ?」

 

「全くダージリンと来たら……」

 

「アッサムは何やってんのよ?」

 

 

 移動中カチューシャとやり合い、虫の居所が悪く些細な事でキレ易い状態にあったダージリンは、自分の立案した作戦が思い通りに進まぬ事で一層機嫌が悪くなっていた。

 そしてそれをまほに指摘された事で彼女の中で首の皮一枚の状態で保たれていた理性が途切れ、一番肝心な場面で感情を暴発させてしまったのであった。

 もしこの場にオレンジペコがいたならば上手くあしらってこんな馬鹿げた事態には至らなかったかもしれないが、残念ながらこの試合には三年生しか参加出来ずストッパー役が不在だったのだ。

 因みにこの時アッサムがどうしていたかといえば、まるでそこにいないかの如く能面のような無表情で照準器を覗き込み我関せずを決め込んでいた。

 ダージリンと付き合いの長い彼女はこういう時に何か言っても無駄だしとばっちりでロクな事にならぬと身に染みて分かっていたのだ。

 

 

「あ~もうこんな時に…二人共……貧乏くじ引かせて悪いけど付き合ってくれる?」

 

 

 心底めんどくさそうに深い溜息を吐いた3号車の車長は砲手と操縦手に向け申し訳なさそうな顔をしたが、二人も彼女にそれ以上の事は言わせなかった。

 

 

「この三人でクルセイダーに乗るのは一年の時以来だけど、アンタが何考えてるかぐらいは今でも直ぐに解るわよ」

 

「あれだな、帰ったらダージリンが笠女から貰って隠匿してる祁門(キームン)の極品の茶葉を全部没収って辺りが相場って事で」

 

「プラス一週間は蘊蓄禁止で」

 

『それだ!』

 

 

 切羽詰まった状況下に飛び出した与太話にひとしきり笑った三人は、その後直ぐに表情を引き締めると目の前の問題に対処すべく行動を起こすのだった。

 

 

「こちら偵察隊3号車!西住隊長聴こえますか?これより我々がAP-Girlsに対して牽制を開始、そのままそちらまで誘導しますので対処願いますわ!ダージリンもそのまま我々からの支援要請があるまでは攻撃態勢を維持しつつ待機を続行して下さい!」

 

『何だって!?』

 

『ちょ!何を言い出しますの!?』

 

「時間がありません!」

 

『……!』

 

 

 無線で言い合いを続ける二人の会話が途切れた一瞬の隙を突き、交信に割り込んだ3号車の車長はそこまで一気にまくし立てた。

 そして驚いた二人が口々に反論しかけるが、それすらも彼女は声高な一言で封殺する。

 

 

「それでは行きますわよ?」

 

 

 無線で言い合いをしていた二人が沈黙したのを確認した彼女は、操縦手と砲手に用意はいいかとばかりに問うような視線を向けた。

 

 

「AP-Girlsにスピード勝負で対抗出来るのはクルセイダー隊だけですわ」

 

「観戦しているローズヒップ達に、クルセイダーの本当の使い方を見せてやりましょう」

 

 

 向けられた視線に勇ましいセリフを口にしたが、その声に気負った様子は感じられなかった。

 

 

 

 

 

「仕掛けるのはいいけど一体誰相手に何をしようってのよ?」

 

 

 サッカーコートを出て早々凛々子がラブに突き付けた疑問は、AP-Girlsのメンバー全員が共通して抱いているものであった。

 何故なら活動を再開するに当たり彼女は特に明確な方針を示してはおらず、凛々子にこれは例によって行き当たりばったりで何も考えていないと思われても仕方がない状況だった。

 だが振り向いたラブの口から出たのは、彼女の予想と大幅に違う内容であった。

 

 

「ん?誰相手に何をするってまほ弄る以外他にやる事ある?」

 

『弄るて……』

 

 

 最初こそどうせ何も考えていないだろうと高を括っていた凛々子だったが、『何当たり前の事聞いてんの?』といった顔でラブはその疑問に即答していた。

 そして全員がその返答に言葉を失ったがラブは何処までも本気であり、妹扱いしているまほの事が好き過ぎて完全に拗らせた彼女の瞳はピュアにヤバい光を放っていた。

 

 

「ダメだコイツ…マジだ……」

 

「い、いつもの事じゃない……」

 

 

 みほの事は完全にペットかおもちゃのような扱いをするが、まほ相手となると途端に些かというか相当に歪んだ愛情表現をし始めるラブに夏妃と凛々子の声は若干上ずっている。

 

 

「さて、まほのヤツ晶ちゃん相手に相当苦戦したみたいだけど現役引退して鈍ったかね……?」

 

 

 だがラブは背後で交わされるそんな会話など耳に入らぬのか、気にした様子もなく鼻歌交じりで隊列を率いて前進を続けていた。

 

 

「取り敢えずまほ達が交戦してた花の国は港側だからそっちに行ってみるか……って、ん?」

 

 

 サッカーコートから表の通りに出る交差点に進入すると、彼女の進もうとする方向にあるチェーンの紳士服店の駐車場から軽快なエンジン音と共に一両の戦車が飛び出して来た。

 

 

「あら?クルセイダーじゃない…けど単騎駆けね……」

 

 

 思いがけぬ所で思いがけぬ戦車の登場に、さすがのラブも思わず目を丸くする。

 そんな彼女の目の前で飛び出して来たクルセイダーはつんのめるように急停止すると、姿勢が安定するのも待たずLove Gunに向けて発砲していた。

 しかし揺れた状態での砲撃は、照準もロクに定めていない事も相まって狙いは大きく外れていた。

 だが自分達にラブの注意を引き付けるにはそれで充分効果があり、クルセイダーがそのまま逃げだすとラブは楽しそうに口角の端をキュっと吊り上げてその後を追い始めた。

 

 

「っと、コッチ来たぁ!なんでこんな簡単に釣れるのよ!?」

 

「あの笑顔絶対解っててやってるでしょ!?」

 

あの子達(AP-Girls)も何で止めないのよ!?」

 

 

 こちらに向け全力で進軍するまほ達の下へとAP-Girlsを誘導すべく逃走を開始したクルセイダーであったが、一切躊躇せずにラブが追跡を開始した事で三人はガチで全力の逃走をする羽目に陥ってしまったのだった。

 そしてラブの表情から彼女が全てを察した上で追撃している事に気付いた三人は、罠と分かっていながら平気で飛び込むラブの神経の図太さに頭を抱えていた。

 明らかに当てるつもりのない散発的な砲撃は、まるで早くまほの処に自分を案内しろと催促をしているようだった。

 

 

「うわっとっとぉ!」

 

 

 例えラブに当てる気がないとしても、ティーガーの主砲を上回る高い装甲貫徹力を誇るパンターの70口径75mmで狙われれば生きた心地がしないし、現実問題としてもし直撃を喰らえばクルセイダーではひとたまりもなかった。

 更に後に続くクルセイダーとはライバル関係にあるⅢ号J型の50㎜ですら脅威であり、今や3号車は演技ではなく本気で逃げに掛かっていた。

 

 

「このまんまじゃ作戦どうこう言う前にこっちが白旗揚げてお陀仏よ!」

 

 

 右に左に激しく舵を切りながら、額に汗して操縦手は必死に回避機動を取り続ける。

 このままでは本当に喰われると彼女が音を上げたその時、待ちに待った存在が姿を現し無線からも実に頼もしい声が聴こえて来た。

 

 

『済まない待たせた!後は我々に任せてくれ!』

 

 

 まほのビットマンを先頭にやって来た前衛部隊は3号車に退避指示を出すと、即座に援護の射撃を開始してラブの足止めに努めていた。

 

 

「助かったぁ!後は宜しくですわ!」

 

 

 3号車の車長は無線に向かって叫ぶと同時に脇目も振らず全力でその場を逃げ出すのだった。

 

 

 

 

 

「うふ♪探す手間が省けたわ、まほもやっとお姉さんの事が解って来たみたいね~」

 

『こんな姉いらねぇぇぇ……』

 

 

 お目当てのまほが自分からやって来た事でラブは嬉々とした様子で声を弾ませるが、AP-Girlsは一斉に何ともいえないウザそうな顔をしていた。

 

 

「それじゃやるよ~、黒森峰戦の時とは違う事を思い知らせてやるんだからね~♪」

 

 

 ミラーコートのスポーツゴーグルを掛けているので見る事は出来ないが、今の彼女は間違いなく危ない光をその瞳に浮かべているはずだった。

 

 

「うぇ~、ラブのヤツまた何か変な電波出してやがる……オイ西住気を付けろよ~!」

 

 

 AP-Girlsの姿を認めるなりアンチョビは先頭のLove Gun上のラブが、何やらロクでもない毒電波を大量に放出しているのに気付いていた。

 

 

「大丈夫だ!あのヤロウ調子に乗ってるからな!ここらで痛い目に遭わせてやるさ!」

 

「だからあまり熱くなるな!ダージリンのヤツも当てにならん!下手すりゃ巻き添え喰らいかねんのだからマジで気を付けろと言ってるんだ!」

 

 

 アンチョビが警戒を発する間にAP-Girlsが本格的に加速し、彼我の距離はみるみる詰まる。

 近付くにつれラブの表情も読み取れるようになると、彼女の口元に人を食ったような笑みが浮かんでいるのにアンチョビも気が付いた。

 

 

「あ…あれはダメな顔だ……」

 

 

 中学時代仲間内で最も多くラブとドタバタを演じて来たアンチョビは、その笑みを見た途端ツインテを束ねるリボンがクタっと力く萎れ心底面倒そうな顔になった。

 だが時既に遅く彼女達は完全にラブの間合いに足を踏み入れていたので、ここで引くという選択肢は選べなくなっていた。

 

 

「あぁもうめんどくせぇ!偵察隊3号車聴こえるか?こちらアンチョビだ!ラブのヤツが西住で遊ぶ気満々だ!どうせグダグダになるに決まってるんだからサッサと作戦を開始してくれ!」

 

『りょ…了解……』

 

 

 半ばやけくそなもの言いでアンチョビは3号車を呼び出すと、隊長であるまほを飛び越し勝手に作戦開始の指示を出すのだった。

 そして今度は左手で咽頭マイクを押さえたまま、右手の人差し指を前方にいるまほの背中に突き付けながら大声で怒鳴っていた。

 

 

「おいそこの瞬間湯沸し器!(まほ)オマエも独り勝手に突出するんじゃない!」

 

「しゅ、瞬間湯沸し器ぃ!?」

 

 

 ラブの姿を目にした途端その気になってしまったまほに対しキレたアンチョビが実に的確な形容詞を叩き付け、思いがけぬパートナーからの罵倒の言葉にさすがのまほも驚いて振り向き目を白黒させている。

 

 

「瞬間湯沸し器で悪けりゃ阿蘇山だこのバカタレが!ラブ相手になると簡単に釣られて直ぐ噴火しやがって!只でさえ付け焼刃な作戦なのに隊長のお前が突っ走ったら増々成功率が下がるだろうが!」

 

 

 何か反論しようとするまほであったがラブ相手に熱くなって失敗した実績が山程ある彼女は、言い返す言葉が見付からず口をパクパクさせるのみだった。

 

 

「足並みを揃えろ!無暗に前に出ると巻き添え喰らって白旗揚げる羽目になるぞ!?」

 

「…済まない……」

 

 

 アンチョビにやり込められたまほは途端にしおしおに萎れ、大人しく隊列の維持に努め始めた。

 

 

「あら?何か千代美がキレてる…あ、まほが大人しくなっちゃった……つまんないの……」

 

 

 自分がちょっと挑発的な態度を取れば簡単にまほが釣れると思っていたラブは、期待通りの展開になりかけた処でアンチョビがそれを封じた事に不満そうに口を尖らせた。

 

 

『つまんないって子供かよ!』

 

 

 大人っぽいという表現では生易しいエロい外見とは裏腹に、その内面が恐ろしく子供っぽい事を嫌という程身に染みて解っているAP-Girlsのメンバー達が冷ややかな視線と共に()()のツッコミを一斉に入れる。

 一方のラブもそれに気付いているはずなのにそんな素振りは毛程も見せず、勝手な妄想混じりの独白を続けるのだった。

 

 

「なんかまほって完全に千代美の尻に敷かれてるわよね~、二人っきりの時もあんな感じなのかしら……?う~ん、どう考えてもまほって夜も重戦車なはずだけどどうなのかしら?意外とあの子夜は軽戦車だったりして…ダメだわ、千代美に鳴かされるまほなんて想像付かない……」

 

『下品だ…下品過ぎる……』

 

 

 妄想機関車と化したラブの脳内駄々洩れな発言にAP-Girlsのメンバー達はガックリと項垂れるが、つい最近夜の電撃戦に於いてアンチョビ要塞の前に西住製重戦車まほ型が敗北を喫し、新境地に目覚めた事などラブにしても彼女達にしても知る由もなかった。

 

 

「ま、その辺は後で尋問すればいっか~、とにかく今はガツンと一発──」

 

 

 その美貌に似合わぬ最低な笑みを浮かべラブがそこまで言い掛けたその時、突如として接近しつつある両軍の中間地点に複数の砲弾が弾着し、激しい爆炎と破裂音が双方に襲いかかった。

 

 

「成程そう来たか……」

 

 

 吹き抜けた爆風に深紅の髪を躍らせるラブはそれまでの緩んだ表情を一変させ口角を吊り上げた好戦的な笑みを見せると、的確に砲弾が飛来した方向の空を見上げ短く一言そう呟いていた。

 爆炎が映り込み燃えるように輝くスポーツゴーグルの下、彼女のエメラルドの瞳は全てを見透かしたかのように妖しい光を放っていた。

 

 

 




ラブのまほ愛はさすがに拗らせ過ぎですねw
この後の戦闘も変態プレイになるのが見え見えかww

やっと座れるようになりましたがまだ結構腰が痛いです。
ただ、今は状況的にあまり病院には行きたくないので、
何とかシップと腰痛ベルトで凌いでます。
こういう時はやっぱ年を感じますねぇ……。
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