ガールズ&パンツァー 恋愛戦車道   作:肉球小隊

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お待たせ致しました。
今回はいよいよラブとAP-Girlsが大暴れするお話です。


しほママにちょっと萌え。


第四話   歌う戦車隊

『これより、今年度新規履修校の学校紹介を行います』

 

 

 新規履修校の学校紹介は他の履修校の観閲行進とは異なり、観客席前に広がる演習展示地域に展開し持ち時間15分で自由に学校紹介を行う形式になっている。

 

 

『それでは私立三笠女子学園の入場です』

 

 

 アナウンス終了と同時に突如場内に大音響で流れる激しいロックナンバー、二面用意されている大型スクリーンにはCGで風に靡くZ旗を背景にMIKASAの文字が躍る。

 そして近付いて来る全開のエンジン音と、演習展示地域を包囲する様に五ヶ所同時に炸裂するスモーク花火、そのスモークを突き破り五輌のⅢ号J型戦車が宙を舞って会場に飛び込んで来た。

 どうやら花火を仕掛けてあった場所に擬装したジャンプ台が用意されていた様だ。

 センターのスモークから飛び出して来た、Ⅲ号のコマンダーキューポラから身を晒したラブの絶叫がスピーカーを通して会場に轟く。

 

 

「AP-Girls!Go for broke!!(当たって砕けろ!!)

 

『Yeaaaaaaaah!!』

 

 

 それに続く隊員達の声を限りの絶叫に会場全体が度肝を抜かれていた。

 隊長席に居た一同全員が目を剥き顎が落ちている。

 因みに連盟観閲席でも亜美としほが同様の顔で固まっているのだった。

 しかし着地後最初は好き勝手に走り回っていた戦車達が、曲のイントロが終わりメンバー全員で歌い始めると、それまでとは打って変わって見事な集団機動で見る者を魅了し始めた。

 互い違いに旋回しながらすれ違う際の車両間隔は接触ギリギリ、それでいて描く円は一定で寸分の狂いも無く大地に履帯の跡を刻み付けている。

 この辺りで観客席からは大歓声が上がり始めたが、身を乗り出し膝に肘を突き顎を乗せたアンチョビだけがひとり何やらブツブツ言っている。

 

 

「オイオイオイ…コイツぁまたとんでもないぞ……」

 

 

 曲のサビのフレーズのリフレイン部分では紙吹雪の特殊弾を高速連射。

 その歌う様子も車内で装填する様子も全てがモニターにも映し出されている。

 また彼女達の歌声も相当高性能の指向性マイクを使っているのか綺麗に聴こえていて、既に観客のテンションも最高潮に達していた。

 

 

「あの機動であの高速連続装填は普通あり得んだろう……」

 

「さっきからブツブツと一体何ですの?」

 

 

 ブツブツ言うアンチョビにダージリンが苦言を言うがアンチョビは止まらない。

 

 

「お前達はこれを見て何とも思わないのか?あの機動も砲撃タイミングも装填速度も只事じゃないぞ?しかも彼女ら笑顔でハイテンションに歌いながらそれを平然とやってのけてるんだぞ?」

 

「そ、それは……」

 

 

 これにはダージリンも返答する言葉が直ぐには出て来ない。

 

 

「しかしそのアレだな…何と言うか盛大に揺れているな……」

 

 

 そう言ったアンチョビの視線がダージリンの胸元を射す。

 その時二面ある大型スクリーンでは、どアップでラブのたわわに実ったソレがバルンバルンに揺れていて、男性客の視線は全てその一点に釘付けになっていた。

 何故か一同赤い顔で俯き、ケイだけは違う意味でプルプル震えている。

 そしてダージリンはアンチョビに噛み付く。

 

 

「ち、ち、ち、千代美!!!」

 

「ア・ン・チ・ョ・ビ」

 

 

 アホなやり取りをしているうちに曲はいよいよエンディングに差し掛かり、曲の終了と同時に全車ドリフトから綺麗な一列横隊になり等間隔でピタリと止まる。

 その華麗且つド派手なパフォーマンスに場内は割れんばかりの拍手と歓声で溢れていた。

 車内から出て来たメンバー達も車体に登り手を振ったり投げキスで応えている。

 そして砲塔の上に立ち上がったラブが胸に手を当て大仰に一礼し、両手を胸の前に掲げて拍手を制する様な仕草をすると潮が引く様に拍手と歓声も収まって行く。

 その様子を見てひと呼吸おき、観客に向かいラブが第一声を上げる。

 

 

「皆さんこんにちは!私達が私立三笠女子学園戦車隊です!私が戦車隊隊長、そしてボーカルユニットArmor Piercing(徹甲弾)-Girlsのグループリーダー厳島恋(いつくしまれん)です!本日開催されたこの高校戦車道観閲式が私達にとって戦車道公式行事へのデビューの舞台となりました、どうぞ宜しくお願い致します!」

 

 

 ここでラブとメンバー達が鮮やかな敬礼をすると再び大きな拍手と歓声が巻き起こる。

 それが収まるのを待ちラブは続ける。

 

 

「私立三笠女子学園は私達の所属する芸能科を中心とした専門教育に特化した私立校です。中でも私達歌唱部一期生総勢25名は全員戦車道を履修し、横須賀を母港とした学園艦と共に、これから全国を回りながら戦車道の試合とAP-Girlsのステージパフォーマンスを展開して行きます。どちらも私達にとっては授業成果を発表する大事な場となりますので是非とも応援をお願い致します!」

 

 

 ここでラブはワザとらしくひとつ咳払いをしてから更に続ける。

 

 

「尚、ここで更にひとつ大事なお願いがあります!今月末には私達AP-Girlsのデビューシングルとデビューアルバムが同時発売されますので是非買って聴いてみて下さい!これを買って頂けないと私達は新しい戦車が買えません!なので是非ともご協力をお願い致します!」

 

 

 ラブがそう言うや全員で深々と頭を下げ、そして胸の前で手を組みお願いポーズを取った。

 これには会場中から爆笑と大きな拍手が巻き起こりそれを合図に学校紹介も終了した。

 操縦士のみが車内に戻り、他のメンバーは車内から取り出した籠から色とりどりの花びら撒き散らしつつ、綺麗な一列縦隊で登場時とは一変して可愛らしいラブソングを歌いながら、演習展示地域を一周するとそのまま退場して行くのだった。

 因みにこのAP-Girlsのド派手なパフォーマンスのお蔭で、この後に登場する新規履修校の戦車隊にはには少々気の毒な学校紹介の場となってしまったのであった。

 

 

「ええと亜美さん……」

 

「はい何でしょう家元……?」

 

「今日は何の日でしたっけ…?」

 

「高校戦車道観閲式の開催日だったかと…」

 

「良かった…日取りを勘違いしていたかと思いました」

 

「はあ…」

 

「…それにしても……」

 

「はい…」

 

「また随分と立派に成長して……」

 

「……」

 

 

 

 

 

『負けた!!』

 

 

 

 

 

 

 何の勝負だか解らないが困惑しきりの二人の元に今度は全員が訪れて来た。

 しかし亜美としほも含め全員がまだ信じられない物でも見た様な、まるで幻の陸上戦艦ラーテにでも遭遇したような顔で暫し呆けていた。

 

 

「ああ、ええとそう、あれは確かに恋でした。ですが私達にも解らない事が多過ぎます」

 

「ええ、でも今は調べる様な時間はありませんね、皆さんももう直ぐ観閲行進が始まるでしょ?」

 

 

 確かに二人の言う通り新設校紹介が終われば後段の観閲行進が直ぐにも始まる。

 一同ももうそれぞれの待機場所に戻らねばならない時間が迫っていた。

 何ともいえない微妙な表情で顔を見合わせた後仕方ないから行くかという雰囲気になった時、その中からまほが少し思い詰めた様な表情で声を上げた。

 

 

「あの!教官とお母様にお願いがあります!私達の観閲行進の後の隊長車による一斉砲撃の最前列、出来れば私とみほの間にラブを入れて頂きたいんです!最前列が全国大会出場校が並ぶのが決まりなのは解っています。でも、本来なら間違い無くラブはそこに居たはずなんです!先程の学校紹介でラブが公式行事はこれが初参加という言葉を聞いて気が付きました。みほにはまだ来年一年ありますが、私達の世代は公式行事で同じ舞台に立つ機会はもう無いんです!ですからどうかお願いします、ラブを私達の並ぶ最前列に加えて下さい!」

 

 

 一気にそう言い切ってギュッと瞑ったまほの目じりには涙が浮かんでいた。

 そしてそのまほの言葉にハッとした一同も後に続く。

 

 

「Oh!まほ、ナイスアイディアよ!」

 

「私からも是非お願い致しますわ」

 

「この機会を逃したら私は自分を粛正するわ!」

 

「お母さんお願い!」

 

 

 一斉に上がる声に閉口した様にしほも大きくひとつ溜め息を吐くと首を振りつつ答える。

 

 

「解りました…ですからこれ以上ここで騒ぐのはおよしなさい。連盟には私から話を通しておきます、連盟には()()()貸しもありますから否は無いでしょう。それに…私としても恋の復帰に花のひとつも添えてやりたい気持ちもありますから」

 

「あ、有難う御座いますお母様!」

 

「お母さん!」

 

「だからこんな場所でおよしなさい!それより早く恋にこの事を伝えて自分達も行進に備えなさい」

 

 

 喜んで飛び付く二人にしほは厳しく言うが、その顔は怒ってはいない。

 その後はこの事をラブに伝えるべく一同は走ってパドックに向かい走り去って行った。

 

 

「はぁ……」

 

「お疲れ様でした」

 

「一体何がどうなっているやら…」

 

「驚く事ばかりでした」

 

「ええ、いずれにしても落ち着いたら亜梨亜様に改めて接触を図ってみましょう」

 

 

 そんな会話の後二人が頷き合っていた頃、一同も三笠女子学園のパドックへ辿り着いていた。

 既にパドックにはAP-Girlsも戻っており、見事大成功を納めた学校紹介の結果にハイタッチしたり抱き合ったりしてハイテンションで騒いでいる処であった。

 ちょうどそこに駆け込んで来た一行に気が付くとラブはまほを捕まえて熱烈にハグをした。

 その後も全員にハグを繰り返し満足したのかハイテンションなまま聞いて来る。

 

 

「どう!?どうだった!?見てくれたんでしょ?私達AP-Girlsの初舞台!カッコ良かったでしょ!?カッコ良かったよね!あぁもう最高!完璧過ぎて私どうにかなっちゃいそうよ~♪」

 

「あ、ああ凄かったぞ、みんなで度肝を抜かれたよ」

 

「でしょ!?でしょ~!まほ!私達って凄過ぎでしょ~!!」

 

「分かったよ、分かったから落ち着けってラブ」

 

「そんなの無理よ!きゃ~!最高過ぎ~!」

 

「コラっ!」

 

 

 ハイテンションで騒ぎ一向に話が出来る状態にならないラブに見かねたアンチョビが、腰にしていた指揮用の鞭でラブのお尻をピシャリと叩いた。

 

 

「いった~い!何すんのよ千代美~!感じちゃうじゃな~い♪」

 

「アホ!アンチョビだ!それより人の話を聞け!我々も時間が無いんだから!」

 

「も~、何よ~?」

 

 

 お尻をさすりつつラブもようやく人の話を聞く姿勢を見せる。

 それを見てアンチョビに礼を言いつつまほが説明を始めた。

 

 

「いいかラブ、我々の観閲行進の後に隊長車による一斉砲撃があるのは知ってるよな?」

 

「知ってるわよ~、私も参加するんだし~」

 

「ああ、それでなラブ、お前も私達と一緒に最前列に並べ」

 

「え~?私らぺーぺーは最後列って決まってるわよ~?」

 

「いや、だからな落ち着いて最後まで聞いてくれ。みほは来年があるが、私達三年はこれが最後の高校戦車道の公式行事だ。つまり今日を最後にお前とは高校では二度と公式の同じ舞台に立てない。だからこそせめて私達は、この一斉砲撃位は一緒に並んで撃ちたいんだ」

 

「え?そんな…だって無理よ…」

 

「大丈夫!さっきお母様にお願いして来たから絶対だ!」

 

「え…?しほママに?」

 

「そうさ、だからラブは何も遠慮する事無く私達と一緒に最前列でぶっ放すんだ!」

 

「いいの?本当にいいの…?」

 

「本当だとも、他の隊の隊長達にも私から話を回しておくから安心しろ。な~に、ほとんどみんな同期だ、お前の事を覚えてるヤツも見知った顔も多い。誰も文句を言わないさ、もしそんなヤツが居たら私が容赦無く88㎜をぶち込んでやるさ!」

 

「まほったらも~、でも…でも…ホントに…?」

 

「いいんだよ、何度もそう言ってるじゃないか」

 

 

 ラブの瞳から大粒の涙が一粒零れ落ちる。

 

 

「おいおい、泣くヤツがあるか、折角のメイクが台無しになるぞ」

 

「まほ大好き!!」

 

「おぶぅっ!!!」

 

 

 この日最強のラブのハグが炸裂しまほの顔がラブの胸に埋もれる。

 

 

「大好き!大好き!大好き~!!!」

 

「ぐっ!はっ!う゛ぅ゛!」

 

「あ゛……」

 

「ぶはっ!ち、窒息させる気か!!」

 

「ご、ごめん……でも本当にありがとう…」

 

「…まったくしょうがないヤツだ、とにかくそういう事だ仕度しておけよ」

 

「うん♪」

 

 

 ここでそれまで事の成り行きを見守っていたAP-Girlsの面々からまほに声が掛かった。

 

 

『西住隊長、ラブ(ねえ)の事ヨロシクね~♪』

 

「ああ!任せておけ!」

 

 

 まほも右腕を上げガッツポーズでそれに応える。

 それに対しAP-Girlsも全員で答礼を決めて見せた。

 

 

「さあ!それじゃあ我々も行こう!ラブ、今度は私達の出番だしっかり見ていてくれよな!」

 

「うん!千代美解ってるよ♪」

 

「アンチョビだ!」

 

「あはは♪」

 

 

 アンチョビの宣言を合図に皆が手を振り立ち去って行く。

 この日見る二度目の嘗ての仲間達の背中。

 

 

「まぶしいな……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ワタシヲヒトリニシナイデ

 

 

 




マタヤッテシマッタ…。
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