タイトルは字が違いますが意味は合ってますww
そこは一見すると規模の大きな屋内型プールのように見えたが、実際にはプールではなく俄かには信じ難い程規模の大きな入浴施設であった。
それが証拠に施設を使用する少女達は全員揃って一糸まとわず健康的な肉体を晒し、思い思いに湯に浸かりその日一日の疲れを癒していたのだった。
この巨大な入浴施設は私立三笠女子学園の生徒達の為に作られたものであったが、学園を運営する厳島家の桁外れな財力と当主である厳島亜梨亜の生徒には最良の環境をという理念は、入浴施設に限らず全てに於いて他の追随を許さぬバケモノスペックの学園艦を誕生させたのであった。
『全くこのケダモノ共と来たら最後の最後まで好き放題やりやがって……』
熱暴走したケダモノ達に全身くまなくちゅ~ちゅ~ペロペロされたラブは、そのケダモノ達に付けられ少しヒリヒリするキスマークを湯に浸かりながらそっと撫でていた。
辺りに漂う気まずい沈黙の中、やる事をしっかりとやっておきながらラブの機嫌を窺うケダモノ達は、ジロリと睨まれる度に慌てて視線を逸らしとぼけるのに必死だった。
だがこの重苦しい空気の原因はラブ一人によるものではなく、彼女の周りに集結したAP-Girlsのメンバー達も洩れなく全身キスマークだらけでやつれた顔をして押し黙っているのも影響していた。
今回は三年生連合のケダモノだけではなく、新設校連合の経験が浅い分好奇心の旺盛な若いケダモノも多数いたので、いつも以上に激しく責められ消耗しきっていたのだ。
尤もその新設校連合の若いケダモノ達も経験豊富な三年生達に目を付けられ、あの手この手で弄ばれすっかりメス堕ちした顔でドヤ顔の三年生の腕に抱かれる姿がそこかしこに見受けられた。
「ったくこのバカモノ共が…最後の最後で無駄に体力使わせやがって……」
その一方、むっつりと押し黙り周囲に睨みを利かせるラブとは対照的に、助けを求めた彼女を面倒だと突き放した報いで巻き添えにされたアンチョビは、煩悩に正直なポンコツ共に対する怒りの感情を隠そうともせず、図らずもラブが抱いていた不満を仏頂面で代弁していた。
「Ahh……アンチョビもいい加減しつこいわね~、毎度の事なんだしもういいじゃない」
「やかましいわこの日本語英語ヤンキーめ!オマエが一番盛り過ぎなんだよ!…オイ角谷、オマエもちっとは自嘲しろ……いつまでその蕩けたメス顔晒してる気だ!?」
騒ぎのドサクサに紛れかなり激しくちゅ~ちゅ~され、赤みを帯びてヒリヒリする先っちょを気にするアンチョビはだらしなく弛緩した顔で絡むケイに罵声を浴びせたが、今の彼女には何を言っても馬の耳に念仏で何の効果も得られなかった。
「いやぁ、チョビ子も意外とお堅いんだねぇ」
「だからチョビ子言うな!ってケイ!オマエいつまで角谷の尻を撫でてる気だぁ!」
デレデレした態度でアンチョビを揶揄う杏の態度とケイの手の動きがおかしい事から、二人が何をやっているか察したアンチョビがキレるが二人は何ら恥じる様子が見られなかった。
「ホント下品なんですから…角谷さんもこんな方だったなんて幻滅しましたわ……」
「オマエが言うな、この出涸らしの蘊蓄タレめ……」
「何ですってぇ!?」
酷い言われようにいきり立つダージリンにウザそうにひらひらと手を振るアンチョビは、ぞんざいな扱いに剥れるダージリンを無視して、エキシビションマッチの途中から頭の中に引っ掛かっていた疑問をラブにぶつけるのだった。
「おいラブ……」
「…何よ千代美……?」
だがラブの方は巻き添えにした事で何か文句でも言われると思ったのか、少し険しい警戒した表情でアンチョビの顔色を窺いながら身構えていた。
「別に何か小言を言う訳じゃないからそう身構えるな」
ラブが何を思ったか粗方察しが付いていたアンチョビは、巻き添えにした事で小言を言うつもりはなく、彼女の警戒心が杞憂であると前置きした。
しかしそれでも他愛のない雑談という訳ではない事を理解させる為に、アンチョビは真面目な顔を繕うとひと呼吸分の間を置いてその口を開いた。
「なぁラブ、オマエ今日のエキシビションマッチ…最初から私達だけは自分で倒すと決めて試合に臨んでいただろう……?」
慎重に言葉を選んではいるようだが質問というには断定的な口調のアンチョビは、ラブの反応を見逃さぬようジッと彼女の顔を見つめ視線を逸らそうとはしなかった。
「お、おい安斎…何を急に言い出すかと思えばいくらラブでもさすがにそれはないだろう……」
「そうですわ!確かに私達は全員ラブに敗れはしましたがそれはあくまでも結果論であって、例え狙ったとしてもそう簡単に出来る事でありませんよ?」
少し驚いた表情のまほに比べ気色ばんだ様子のダージリンは、その顔に彼女特有のラブに対する対抗意識と高いプライドに由来する感情が現れていた。
そして他の者達も大同小異似たような感情の変化がその顔に出ていたが、やはり全員がそんな馬鹿なという思いが強いように見えた。
こうなると自然に全ての視線はラブへと集まる訳だが、当の彼女は目を丸くしてさも驚いたかのように振舞っていた。
「ん~……」
ニッコリ、右手の人差し指を頬に添え考え込む風を装いクルリと目を一回転、その勿体ぶったラブの仕草に釣られ全員が思わず身を乗り出すと、彼女はそのリアクションで充分に魚が針を飲み込んだ手応えを得たのか、自分の顔に集中する視線に向けて屈託なく笑って見せた。
「やっぱりか…この怪獣め……」
自分の予想が間違っていなかった事を確認したアンチョビは、真面目な顔から一転して渋面を浮かべるが、ラブの方は貼り付けた笑顔の仮面を外す事はなかった。
ラブの笑顔の仮面とアンチョビの吐き捨てるような呟きに、唖然としていた一同もやっとそれが彼女一流のハッタリなどではない事に頭が追い付いた。
そして彼女の人を喰ったような笑顔のその裏側に、試合開始前からラブがそれを意図して試合の流れを操っていたのだと気付かされたのだった。
尚、この時ラブ以外の新設校の参加選手達は遠巻きにそのやり取り見守っていたのだが、彼女達の表情が揃って何処か面白がっている風であった事に、ラブの笑顔に含まれた彼女の真意に驚く者達は誰一人として気付いてはいなかった。
だがどうやら彼女達の様子からするとこの件は事前にラブから打診があり、新設校連合の全員が了承していたであろう事が朧気ながらも見て取れた。
つまり全ては試合前から決められていた事であり、新設校連合はそれに従い作戦行動を行っていたというのが真相のようであった。
「ラブ…あ、あなたは……」
今回のエキシビションマッチに於いて失策続きな上に自身も何もいい所がなかったダージリンは、苦虫顔で何かを言い掛けたが自分でも心情を上手く言葉に出来ないらしく、酸欠金魚のように口をパクパクさせるのみでそれ以上何も言えずにいた。
「やめとけダージリン、何をどう言おうが我々の負け…いや、ラブの独り勝ちという事実は変わらないんだからな……」
「ぐ……」
アンチョビにダメを押すように言い切られたダージリンは短く呻いた後はもう何も言えず、八つ当たりのように据わった目でアンチョビを睨みながら押し黙った。
「何で私を睨むんだよ……?」
「フン!知りません!」
鬱陶しそうにアンチョビがジト目でぼやきを洩らせば、自分でも理不尽な感情をアンチョビに向けた自覚があるらしいダージリンは、謝る代わりに大きく鼻を鳴らしそっぽを向いていた。
『何やってんだか…相変わらずキレるポイントが変なヤツ……ま、ダージリンらしいっちゃダージリンらしいけど迷惑よね……』
既にニッコリは鳴りを潜めていたがそれでも澄まし顔で無言を貫いているラブは、眉一つ動かす事なく理不尽に切れるダージリンに呆れていた。
『これ以上こうしていてもまた面倒な事になりそうだし潮時かな……?もうちょっとゆっくり温まりたかったけど、エリカさん達も待たせてるしそろそろ上がらないとね』
無駄にキレるダージリンをそうと気付かれぬようにチラリと一瞥したラブは、オタオタするみほの尻を叩きながらリーダーシップを発揮して、各校の隊員達纏めて食事会の会場となっているAP-Girls専用アリーナに向かっているはずのエリカ姿を思い浮かべ、愛に軽く目配せして浴槽から立ち上がろうとしていた。
「さ、それじゃ行きましょう、これ以上応援に来てくれたみんなを待たせちゃ悪いわ」
ここまでの一連の騒ぎなどまるっきりなかった事のように振舞うラブは、漂う微妙な空気に気付かぬふりをして促すような言葉と共に立ち上がった。
離水の瞬間浮かんでいた彼女のたわわな機雷は浴槽一杯の湯の抵抗を受け、水滴を滴らせながらぷるんと大きく揺れ思わず見上げていたケダモノ達の目を釘付けにする。
メリハリなどという表現では物足りない凹凸の激しいボディーラインを伝い落ちる水滴は、一粒一粒が真珠のように輝き彼女の肌の張りの良さを強調し、その美しくも艶めかしい肢体にケダモノ達も思わずゴクリと生唾を飲み込んでいた。
だがラブはそんな視線もスルーして湯から上がろうと一歩踏み出し掛けたが、その背中に向けてやっぱり懲りてない朴念仁が余計な事を呟いたのだった。
「ラブ…オマエってホントえっちな体してるなぁ……」
「エッ!?きゃっ!」
あだ名を呼ばれ振り向きかけた彼女の耳に続けて飛び込んで来たアホな一言に、足を滑らせバランスを崩したラブはそのままドボンと湯の中に倒れ込んでしまった。
「うわっぷ!」
「ぶふっ!」
「ちょ!?」
「なんなのよ!?」
「ラブっ!?」
飛び込むようなハードランディングで着水したラブのたわわな二式大艇は穏やかに循環していた浴槽の湯面に大波を生み、鼻の下を伸ばし切ったアホ面を晒して彼女の裸体に見入っていたケダモノ達を纏めて飲み込んでいた。
「ゲッホゲッホ!ま、まほ!アンタ……!」
一旦沈没してから緊急浮上したラブは、折角纏め直した髪も再び解れ激しく咳き込んでいた。
そして他のケダモノ達と一緒に大波に飲まれ転覆していたまほも浮上すると、鬼の形相のラブに詰め寄られ狼狽えながら言い訳しようとした。
「だ、だってそう思ったからつい……」
「黙れ何がついだ!」
「けど……」
「けどじゃない!あんな事しみじみ言うなぁ!」
「…はい……」
濡れた身体に纏わり付く髪を煩わしそうに束ねながら、ラブはグズグズと言い訳をしようとするまほを最後はひと睨みして黙らせた。
「ったくこのバカタレが…ホラ!みんな待たせてんだからサッサと着替えて食事行くよ!」
自力では纏め切れぬ髪に苛立ちを募らせたラブは八つ当たり気味に怒鳴り、後ろを振り返る事なくズカズカと湯から上がり立ち去ると、まほのせいでとばっちりを喰らったケダモノ達も無言でその後を追い浴場を後にした。
『ホント面白い人達だなぁ……』
彼女達の退出後、後に残された新設校連合の選手達は全員揃って同様の感想を抱きつつ、一斉に一つ肩を竦め湯から上がるのだった。
「あれ……?」
「ちょっと……」
「ない……」
「どういう事!?」
脱衣所に戻ったラブは無言のまま愛の介助を受けバスタオルで身体を拭い髪を乾かすと、ダージリン曰く中華鍋サイズのブラをこれも愛に手伝って貰いながら身に着けていた。
浴場から持ち越した気まずい沈黙の中その光景を盗み見ていたケダモノ達は、自分達も身支度を整える途中でその異変に気付いたのであった。
「私の制服は何処に行った……?」
脱衣所のロッカーに用意しておいたはずの制服がない事に気付いたまほは、パンイチの状態で不思議そうな顔をして首を捻っていたが、代わりにハンガー掛けられていた制服に気付くとそれを手に取り更に不思議そうな顔をしていた。
「こ、これは……」
彼女がロッカーから取り出したハンガーには桜色のブレザーとマリンブルーを基調としたチェック柄のミニが掛けられ、棚の方にはシルクのブラウスと濃紺のリボンタイに黒のオーバーニーソックス、更に足元の靴入れには焦げ茶のローファーが用意されていた。
それは誰の目から見ても見間違えようのないラブ達が日常身に着けている笠女の制服であり、その色遣いとデザインの可愛さは如何にもお金持ち女子高的な物で、もっと言うならグループアイドルな要素も強く身に着けるには結構勇気が必要だった。
「おいラブよ…まさかとは思うが我々にこれを着ろと言うんじゃあるまいな……?」
まほの隣でロッカーから同じ笠女の制服を取り出したアンチョビはしげしげとそれを眺めながら、眉を寄せた不興気な顔と抑揚に欠ける平坦な声で問うような視線をラブに向ける。
「何よ千代美、何が不満なのよ?言っとくけど制服の事でアンツィオの千代美からの意見だったら、私聞く耳持たないからね……?」
「コノヤロ……」
その可愛さでダントツの人気を誇るアンツィオの制服を引き合いに出されたアンチョビは、少しムッとした表情で何かを言い返そうとしたが、ラブはそんな彼女に背を向け愛に着付けを手伝って貰いながら独り勝手に説明を続けた。
「そうよその通り、アンタ達にはこの後の食事会にはその制服で出席して貰うわ……あなた達の制服はちゃんと宿舎のそれぞれの部屋に届けておいたから安心なさい」
取り澄ました声でそう言い切ったラブの説明の通りならば、彼女達がここを出るには用意された笠女の制服を着るしか方法はなく、実際試合中着用していたパンツァージャケットもクリーニングに回す為回収された後とあってはそれ以外の選択肢はなかった。
「やってくれたわね……」
大学選抜戦の際は大洗のセーラーを着用し『みんな着てみたかったんだって』と宣ったダージリンは、険しい目付きでラブの背中を睨み付けたが、既にブラウスに袖を通したラブは最後のボタンを留め終えミニに足を通そうとしていた。
「何でピッタリなのよ……?」
全てがジャストサイズという事は即ち、ひた隠しにしているスリーサイズの情報が漏洩しているという事であり、ブラウスのボタンを留めながら口を尖らせるカチューシャが漏洩源でろうノンナに向けて低い声で呟いたが、ノンナはあからさまにそっぽを向き聞こえないふりをしている。
「Shit…これじゃメグミの事笑えないじゃない……」
結依の趣味丸だしな策にハマり、大学生にもなって笠女の制服を着用したメグミの姿を思い出したケイは、ハンガーに掛かった制服を前に頭を抱える。
笠女の制服に対する反応は様々であったがケイが頭を抱えた辺りで、それまで桜色のブレザーを前に首を捻っていたまほは、それを自分が着なければいけないという事実に頭が追い付いた途端テンパった声で悲鳴を上げたのだった。
「む、無理だよ!私がこんなの着られる訳ないじゃないか!」
「無理ってどういう事よ?」
すっかり狼狽した様子のまほの悲鳴にミニのファスナーを上げカギホックを留めていたラブは、すかさず眉をへの字にしながら声のトーンを落としていた。
「だ、だって私にこんな可愛いのが似合う訳ないじゃないか…み、みほならともかく顔立ちがキツイ私がこの制服着るのは無理があるって……大体私達はもう卒業間際の三年生なんだぞ!?」
「聞き捨てならないわね…誰が可愛くないって……?私とまほは結構似てるって言われる事が多いのに……それに卒業間際だから何だって?私はまだ高一で後二年この制服着るんだけど……?」
「う゛…そ、それは……」
ラブの目がスッと細められた事でさすがのまほも自分が一番ヤバい地雷を踏み抜いた気付き、どう言い繕ったものかと目を泳がせながら必死に言い訳を考え始めた。
だがそんな事などお見通しなラブは彼女に逃げる隙など与えるはずもなく、みほが聞けば卒倒しそうな低い声と片言のような単語のみで命令するのだった。
「制服着る」
「い…いや、だからな……」
「早く」
「くっ……」
「食事遅れる」
「……」
「みんな待ってる」
「はい……」
ラブの圧力に屈したまほがブラウスを手に取ると漸くラブも中断していた自分の身支度に戻り、張り詰めた空気に息をするのも忘れていた者達は大きく息を吐き出していた。
「アンタ達も早く支度する!いつまで後輩達を待たせる気でいるの!?」
だが少し気を抜いた途端にラブが低いが鋭い声でカウンターの一撃を撃ち込み、油断していた者達はビクリと身を震わせた後、慌てて用意されていた制服を身に着け始めた。
しかし用意された制服が厳密には笠女の制服とは若干違う事に気付いた者は、この段階では誰一人としていなかった。
桜色のブレザーの胸ポケットの部分には笠女の校章であるZ旗のワッペンが付けられていたが、今回特別に用意された制服の胸ポケットのワッペンは、確かに基本はZ旗をモチーフにした校章ながらも施された刺繍の文字は校名ではなく、エキシビションマッチに参戦した事を証明する物になっていたのだ。
それは米軍などで将兵が大きな作戦に従事した際に支給される所謂タクティカルワッペンや、NASAがミッション毎に工夫を凝らすミッションパッチなどと同様の物であり、笠女側からのちょっとした粋な計らいであった。
『さて、このポンコツ共が気付くのはいつの事やら……』
椅子に腰かけオーバーニーソックスを履く仕草でケダモノ達をムラムラさせたラブは、そんな事を考えながらリボンタイを結んだ後に再び愛の手を借りて、彼女の為に用意された特別仕様のブレザーの袖に腕を通す。
『ま、それはどうでもいいか…取り敢えずコイツ等にウチの制服着せる計画は成功したしね……』
鏡の前でリボンタイが曲がっているのを直すふりをするラブは、鏡越しにドタバタやっているまほ達の姿を確認しながら口元だけ微かに微笑んで見せたのだった。
エキシビションマッチの8人抜きは、やはり最初から計画されたものでしたねw
この分だと制服以外にもまだ何か企んでいそうですねぇww