まあ今回もラブはやりたい放題で犠牲者はゆかりんとエリカ♡
それとみぽりんとエリカがやらかします、お楽しみに。
更にもう一つ今回もバルンバルンですよ♪
Landing Craft Air Cushion、その頭文字のLCACのごろ合わせから通称エルキャックと呼ばれ、アメリカを始め日本の海上自衛隊でも採用されているホバータイプの上陸用舟艇。
最大積載量は68t程で重量約50tの90式戦車も一両であれば搬送が可能である。
が、しかし、一同の目の前に現れたLCACはサイズが違う、優花里が言う様に桁外れにデカいのである、それが今目の前に一度に六艇も揚陸してくれば興奮するなという方が無理であろう。
それにしてもデカい、とてつもなくデカ過ぎるのだ。
ざっと見ても全長で90m、全幅で50m程はあろうか、本家本元のLCACが全長26.4mで全幅が14.3mなので倍処では済まないサイズであり、ちょっと艇と呼ぶには無理があるサイズである。
「プラウダのポモルニク型エアクッション揚陸艦より大きい様であります!」
信じられないと言った様な口調で優花里が言うが周りは言葉も出ない。
どうにかコレがとんでもないシロモノだという事が理解出来るだけだ。
「確かLCAC一艇あたりの取得費用が……」
「あまり難しいコトは考えちゃダメよ~、ゆ・か・り・ん♡」
「うひゃあぁぁぁ!!!」
いつの間にか優花里の背後に回り込み屈んでそっと抱き付き、ちゃっかりゆかりんと呼びながら、意識的にその豊満過ぎる『エアクッション揚陸艇』を優花里の背中に押し付けつつラブは耳元で吐息を吹き掛けながら甘く囁く。
「ラブお姉ちゃん!!」
「あ~ん♪みほが怒った~」
そのラブのふざけきった行動にまたしてもカチューシャが切れる。
「あ、
「私コドモだから難しいコトよくわかんな~い♪」
「アンタ私にケンカ売ってんの!?」
『プっ!』
その場に居合わせた数百人が一斉にカチューシャから目を逸らすがその肩は細かく震えている。
「全員纏めて粛正してやるー!!!」
カチューシャの絶叫が今沢海岸に響き渡った処で六名の少女がこちらに近付いて来た。
全員が揃いのマリンブルーを基調としたツナギとヘルメットを装着しているが、これはどうやら海上自衛隊のLCACの乗員が使用するエアクッション艇服装に準じた物であるらしい。
「厳島隊長、お待たせ致しました。S-LCACへの積載準備が整いました」
六名のうちの一人が敬礼をしつつラブに報告をして来た。
「エスエルキャック…でありますか?」
「うん、最初はエルキャック改とかスーパーエルキャックなんて呼んでたんだけどね~、いつの間にかエスエルキャックって呼ぶ様になったのよ~」
ラブは優花里の質問に答えるとこの六名がエスエルキャックの艇長だと説明する。
すると六名が敬礼をしつつ自己紹介を始めた。
「皆さん初めまして私が1号艇艇長の──」
そう言いながらヘルメットを脱いだ彼女の顔を見て、ラブと三笠女子学園の生徒以外のその場にいた者達が一斉に驚きの声を上げ目を見開いた。
それというのも彼女の顔がまほにそっくりなのだ、髪色は水色でまほより若干長め、瞳の色は濃い目の青で背丈はまほより10㎝程低いだろうか。
しかしその顔立ちはまほ生き写しと言っても良い位に似ていたのだ。
「私がS-LCAC一号艇艇長の
名のり終えるとニコリと微笑みポカンとした顔のまほに握手を求め、我に返ったまほも慌ててその握手に応じ挨拶を返した。
「あ、あぁ、こちらこそ宜しく」
「驚かれました?私もよく周りからそっくりだと言われてるんですよ」
「そ、そうか、し、しかし…」
そこで言い淀んだまほの視線が櫻の胸元に行く。
『私より大きい……』
そんなまほの心の呟きを余所にその背後でエリカは頬を薄っすらピンクに染めている。
『や、ヤダ…!こんな西住隊長もいいかも!』
そして更にその背後にそんなエリカの変化を見逃さないラブが密かに忍び寄る。
「エ・リ・カさ~ん♪お久し振り~その美貌に更に磨きが掛かっていて私も嬉しいわ~♡ナニナニ~?こんなまほもいいかもとか思っちゃったりした~?」
そう言いながらまたも背後から抱きつき自身のS-LCACを押し付けつつ、その両手はエリカの全身の敏感な部分をサワサワと弄り始めた。
「ら、ラブ先輩!?あ…ソコは!あ…あ…だ、ダメぇ……」
スパ──ン!!!
ラブのお尻にみほの一回転からのミドルキックが炸裂し小気味良い音を立てた。
「み、みほ!?ナイスな蹴りよ!今日一番感じちゃったわ!」
『このド変態が!』
その場に居る者全てが心の中でラブをそう罵倒する。
一方みほはというと真っ赤な顔でラブの腕の中からエリカを奪い取るとボコの様に抱きしめ、ついうっかり、そうついうっかりと声の限り叫んでしまったのだ。
「ラブお姉ちゃん!エリカさんは私のですっ!!!」
『おぉ──────────っ!!!!!』
そのみほの叫びに今沢海岸は感動の嵐に包まれ、お姉ちゃんなどは諦めていた娘の結婚が決まった父親の様に感涙し、小梅に背中をポンポンして貰っていたりした。
「みほ!みほ──!」
「エリカさん!!」
キュンキュンな表情でエリカがみほに抱き付き、ユリユリな空気で千本浜がピンク色に染まった処で二人は周囲の期待のこもった熱い視線に気が付き慌てて飛び退いて赤い顔で俯く。
「チッ!」
そんな様子を只独り、少し離れた場所で見ながら速記の様なスピードで何やらメモ帳に書き連ねていたアンチョビが小さく舌を打つ、どうやら今も恋愛小説を書き続けているらしい。
ここで二人目のS-LCACの艇長が何事も無かった様に自己紹介を始めた。
肝が据わっているのかラブが引き起こすトラブルに慣れているのか全く動じていない様子だ。
「S-LCAC二号艇ノ艇長、マリッタ・
北欧系の血が入っていると思われるダークブロンドのセミロングの髪を編み込んだ深い黒い瞳の少女は、ちょっと不思議なイントネーションの日本語で自己紹介した。
その隣で自己紹介する少女がまた違った意味でインパクトがある、楚々とした雰囲気のこれぞ大和撫子といった感じの艶ややかな長い黒髪の美少女で凡そ荒っぽい事などする様に見えない。
しかしそんなイメージは口を開いた瞬間に綺麗に吹き飛んだ。
「アタイが三号艇を仕切ってる
残りの三人は言うまでもなく素性が丸解りだった、何しろ同じ顔が三つ並ぶのだから。
「まあ見ての通り三つ子です、私が四号艇の艇長の
「で、私が五号艇の
「最後が私、六号艇の
『どうぞ宜しく』
最後は三人シンクロして挨拶をする。
三つ子だから同じ顔なのは当然だが緑の瞳とショートの金髪に同様のレインボーメッシュを入れているのでは見分けが付かない。
唯一見た目で解るのは雪華が赤で月海が青、花音が緑のピアスの石の色ぐらいだ。
そして改めて整列する六名の共通点はやっぱりおっぱいが大きい事。
『この学校みんなこうなのか!?』
居合わせた一同そう思わずにはいられない程大きかったのだ。
「さあ、それでは積載を開始しましょう、学園艦の方で朝食の用意もしていますので」
ここでそんな一同の胸中などお構い無しに一号艇艇長の宮乃杜が声を上げる。
「どう積み込む~?ウチらAP-Girlsは一番最後にするとして?」
「まず一番数の多い黒森峰から行きましょう、戦車と支援車輛双方とも多分一号艇だけで全て積めると思いますよ…うん、大丈夫全て行けます」
「ちょっと待って!一体一艇にどれ位積載出来るの!?」
エリカの上げた疑問の声に宮乃杜は事も無げに平然と答える。
「逸見副隊長のティーガーⅡクラスで一度に25両積載可能ですよ」
「ウソ!?なんだかんだで70t超えるのよ!」
「ええ、問題ありません。それで二号艇にはサンダース…これも二号艇のみで大丈夫、後の聖グロリアーナとプラウダも三号艇と四号艇で行けますね。アンツィオとウチは少ないから五号艇に相乗りして六号艇に大洗と残りの支援車輛で…うん、一回で全て収容出来ますね」
「またとんでもないバケモノを造ったもんだな……」
そう呟くまほの顔も若干青ざめているが気にせず宮乃杜は背後の搭乗員に指示を出す。
「それじゃあ積載を始めるよ!総員配置に付け!」
『Yes, ma'am!』
指示に答え一斉に散って行く搭乗員達、それを見届け宮乃杜は微笑みつつ一同に言う。
「それでは先程の割り振りで各艇の搭乗員の指示に従い積載を開始して下さい。艦に戻ったら朝食を用意しておりますので心置きなく召し上がって下さいね。期待していいですよ、ウチの艦の食事はかなり行けますから」
そう言うと自身も艇に戻り作業に入って行った。
事の成り行きを呆然と見ていた一同もそれぞれの搭乗車に戻り積載に備える。
積載を始めてからも指示は極めて的確で迅速に作業は進んで行き、搭乗員のスキルの高さをうかがい知ることが出来た、そして一時間と掛からず全ての車両の積載は完了したのだった。
浜に溢れていた車両も全て居なくなり固定作業を待つ間、再度浜に降り立った一同は改めてS-LCACの威容を見上げ呆気に取られている。
「ウチにもコレ欲しいわ……」
「カチューシャ様、一艇の価格を考えるのも恐ろしいです」
ポルモニク型エアクッション揚陸艦を運用するプラウダでもそれを六艇も導入など夢のまた夢、二人は改めて三笠女子学園の、その背後にいる厳島家の財力に戦慄した。
「それでは全作業終了致しましたので各艇のキャビンの方に搭乗を開始して下さい。座席に着いたらシートベルトを忘れずに。それと申し訳ないのですがこのS-LCACはかなり煩いので、座席備え付けの防音イヤーマフの装着をお勧めします。さあそれではどうぞ、朝ごはんが待ってますよ♪」
最後に宮乃杜が可愛くウィンクするとそれを合図に搭乗が始まり、全員搭乗を確認した後にいよいよS-LCACのエンジンが息を吹き返したが実際とんでもない轟音であった。
エアクッションが膨らみ轟音が更に高まると六艇が一斉に離岸を開始、しばしそのまま後退した後そのまま180度方向転換すると横並びのまま沖合の白い学園艦目指し加速を開始した。
そして辿り着いた先でウェルドックへの進入がまた圧巻だった。
まず三艇が横並びのままウェルドックに進入し、固定を解かれた車両に再び乗り込んだ各校の隊員が車両を前進させると、乗り込んだデッキはそのまま一艇毎のリフトとなっており、上昇したその先には広大な格納庫が待っていた。
最初に作業を終えた三艇が一度離艦し残りの三艇が同様の作業を行うと、離艦していた三艇が帰艦し即座にウェルドックのハッチを閉鎖し驚く程の速さで全作業が終了した。
かなりの部分で自動化がなされておりそれがこのスピードを実現させている様だった。
それから暫くして処は変わり艦内の大食堂は、収容された全校が一堂に会しても尚余裕の広さがあり、そこに全隊員が集まり只々呆然と座っている。
「みんな~!三笠女子学園にようこそ~♪遠慮しないでいっぱい食べてね~!食事が済んだらゲスト用の宿舎が用意してあるからそこで仮眠を取ってね、ただ一つだけ申し訳ないんだけどこの学園艦まだ未完成な部分があって大浴場が使えないの。だから宿舎の部屋毎のシャワールームを使って貰える?アメニティーはちゃんと用意してあるけどゴメンね、後必要な物はゲストパスを見せれば全部無料で支給出来るからこれも遠慮しないで使ってね~♪」
ラブはそこまで言うとパチンと手を合わせ宣言する様に言った。
「さ、それじゃ食べよ食べよ!頂きま~す♪」
それを合図に皆それぞれセルフサービスで用意された朝食を取りにカウンターに散って行く。
「お、オイ、ラブ!ここまで大盤振る舞いして平気なのか!?」
まほもさすがに怖気付いた様にラブに声を掛ける。
「ん~?平気平気~、今アメリカに行ってる亜梨亜ママの許可は取ってあるから~」
「え?亜梨亜おば様は今この艦に居ないのか?」
「うん、ホラ、この学園艦年単位で前倒しして開校したからさぁ、色々やる事が多くて亜梨亜ママも忙しくてアッチコッチ飛び回ってる状態なのよ~」
「そ、そうか……」
「でも帰ってきたら一番に熊本にご挨拶に行くから許してよ~」
「あ、ああ、解ってるよ」
その後一同は宮乃杜が自慢した通り素晴らしく美味しい朝食を食べた後、それぞれ用意された宿舎というにはいささかか豪華過ぎる部屋に入り疲れ切った身体をベットに沈めたのだった。
我ながら無茶なシロモノ生み出しましたね。
登場人物も一気に増えて色々大変になって来ました。