ガールズ&パンツァー 恋愛戦車道   作:肉球小隊

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西住姉妹はなんやかんやで一生エリカに世話焼かれそうな気がするw


第百六話   無駄に元気

「しかしアイツ等は何であんなに元気なんだ……」

 

 

 朝食を取る多くの生徒で溢れる笠女の学食の一角、ラブと共に朝食のテーブルに着いたアンチョビは、特大サイズのたわわを維持する為かあまり燃費の良くないAP-Girlsと大差ない食欲を発揮する新設校の一年生達に、疲れの色濃く残った顔でただ呆れ半分感心半分の目を向けていた。

 昨日のエキシビションマッチでは守勢に回ってしまった自分達に比べ、終始攻勢に出ていた新設校の運動量は遥かに多かったはずで、当然蓄積した疲労の度合いも彼女達新設校連合の方がずっと上なはずであった。

 しかし現実にヘロヘロなのは三年生連合の参加選手達の方で、その辺がアンチョビにとって今ひとつ納得が行かない処だった。

 振り回す側と振り回される側ではどちらがよりハードであるかは少し考えれば解る事だが、疲れの抜けていない今のアンチョビの頭はそこまで考えが回っていないようだ。

 そして昨夜煩悩の赴くまま考えなしに意地汚く盛ったケダモノ達の疲労度は、事前に釘を刺しまほにおあずけを食わせ睡眠を確保したアンチョビの比ではなかった。

 

 

「Yawn……それに比べてアッチはなっさっけないわよね~」

 

「ケイ、行儀が悪いぞ?箸で人を指すな……」

 

 

 ケイが箸で指し示した先には、今回のエキシビションマッチの為に参加校の戦車の空輸に尽力した、メグミを始めとするサンダース大の戦車道チームの選手達がいた。

 そしてメグミ以外の選手達の周りには笠女生徒会執行部の生徒達が張り付き、甲斐甲斐しく世話を焼くように『はい♪あ~ん♡』を繰り返しては朝食を口に運んでいたのだった。

 

 

「出涸らしじゃね~か……」

 

 

 生徒会長である結依が占有するメグミにしてもそれ以外の者達にしても、果たして彼女達の身に何が起こったのかは不明だが、すっかり油っ気が抜けパサパサになっていた。

 

 

「…にしても結依達も確かに元気過ぎよね~、なんか変なエナジードリンクとか飲んでんじゃないの……?ラブんトコ(厳島)の系列でその手のドリンク剤ぐらい出してそうだし」

 

「失礼ね、ウチはそんなモン扱ってないわよ……大体その手のエグイ飲み物はサンダースの方が得意でしょ?言っておくけど笠女学園艦の中じゃサンダースみたいにルートビアとかドクターペッパー売ってる販売機は置いてないからね」

 

「なんで?」

 

「私と亜梨亜ママが嫌いだからよ!」

 

 

 アメリカと関わりが深い厳島家ではあるが、向こうのジャンク過ぎる飲食物が大の苦手であるラブと亜梨亜は、笠女学園艦の就航に当たり艦内にその手のシロモノを置かない事を決めていた。

 これは強過ぎるエナジードリンクの類や明らかに身体に悪いジャンクフードを、未成年が摂取し過ぎる事を懸念した亜梨亜の配慮の一環でもあった。

 

 

「そんな事よりあんた達さっきから全然箸が進んでないわね?ちゃんと食べないと一日持たないわよ?今日はこれからライブまでの間に、色々やる事いっぱいあるんだから」

 

「コイツは昔っから無駄に元気だよ……」

 

 

 話す合間も食事の手を止めないラブとAP-Girlsや新設校連合、更には笠女生徒会の執行部の顔をぐるりと見回したアンチョビは、疲れた顔で投げやり気味に吐き捨てた。

 

 

「…失礼ね……」

 

 

 不満げに短く言い返したラブはそれでも朝食を摂る手は止めず、たわわを維持する為のカロリー摂取に精を出すのだった。

 

 

 

 

 

「あらまほ姉、こんなトコで何たそがれてんです……?」

 

「あ゛?あぁ…何だエリカか……」

 

 

 朝食後一息吐く間もなく笠女学園艦巡りに連れ出されたまほ達は、ラブの案内で文字通り艦内中を怒涛の勢いで引っ張り回されていた。

 

 

「何だってそりゃコッチのセリフですよ…ま~揃いも揃って何て顔してんです……?私はてっきり人生に疲れたゾンビの群れかと思いましたよ?」

 

「あのな……」

 

「冗談ですよ…で、実際こんなトコ何やってんですか……?ラブ姉の案内で艦内巡りやってたんじゃないんですか?」

 

「何故エリカがそれを知ってるんだ……?」

 

「愛から聞きました、私も艦内巡りするのに色々愛から教えて貰いましたから……このカフェも眺めが良くて一息吐くのに最適だと教わったので早速来たんですよ」

 

「愛君が……?」

 

 

 ノンストップでラブに艦内中を引き摺り回されたまほ達は、ツアー開始から三時間程経過した頃、遂に全員が音を上げ何処か落ち着ける場所で休憩する事を要求していたのだった。

 艦首近くの公園の外れにあるカフェは海に面した側が全面ガラス張りで、エリカの言う通り目の前には遮る物もなく絶景が広がっていた。

 

 

『何だろう…前から気になっていたんだが、愛君がエリカにだけ妙に懐いているように思えるんだが気のせいだろうか……?』

 

 

 改めてその光景に視線を移したまほは、眼下の浦賀水道を行き来する多数の船舶を眺めながらぼんやりとそんな事を考えていた。

 昨年の黒森峰戦とラブの短期留学以降エリカは愛にすっかり信頼されていたが、まほはその辺の裏事情をあまり知らなかったので、それが少し不思議でならなかったようだ。

 

 

「まほ姉……?」

 

「あ、いやスマン…寝不足の処に朝っぱらからラブに引っ張り回されてさすがに疲れてな……今からこんな調子じゃ夜のライブまで身が持たんから休憩してたんだよ……」

 

 

 まほの話に耳を傾けつつエリカが周りを見回せば、それぞれのテーブル上に並ぶ飲み物にはろくに手を付けずに、全員がぐったりとソファの背もたれに身を預けたりテーブルに突っ伏したりしていた。

 

 

「それで肝心のラブ姉は今何処に?」

 

 

 もう一度ぐるりと周囲をエリカが見回すが、彼女の目の届く範囲にラブの姿は見えない。

 

 

「何だかを予約して来るとか言って席を外してるよ」

 

「何だかって何です?」

 

「さぁ…サプライズか何かのつもりか知らんが、アイツ何も教えてくれないんだ……」

 

 

 椅子の背もたれにだらしなく身を預けていたまほは、よっと声を出してその身を起こし少し冷め始めたカップを手に取ると、いつもはブラックコーヒーを好んで飲む彼女にしては珍しく、相当甘そうなキャラメルマキアートと思しき液体を口にしていた。

 

 

「あれ?お姉ちゃん……」

 

「あぁみほ……ん?今日は二人だけなのか?」

 

「ふぇ!?う…うんそうだよ……」

 

 

 トレイに二人分の飲み物のカップを乗せて現れたみほは、ぐったりする連中を不思議そうに見回しながらも、エリカと二人きりで行動していた事をまほに指摘されしどろもどろになっていた。

 

 

ウチ(黒森峰)と大洗のおしゃべりスズメ共に気を使われたんですよ」

 

 

 直ぐにテンパるみほと違いエリカは何でもなさそうに一つ鼻を鳴らすと、それだけ言ってそれ以上の事は何も言おうとはしなかった。

 

 

「そ、そうか……」

 

 

 そしてそれを聞いたまほもここでこれ以上何か追及しても、またエリカに女子力云々でお説教されそうな気がしたのでこれに関してはそこで口を噤むのだった。

 

 

「しかしなぁ…一年生達が元気なのも呆れるがラブまであんなに元気なのはどういう訳だ……?今日も朝からハイテンションで引っ張り回されて全員この有り様だし、全く何が何だかなぁ……」

 

 

 手にしていたカップをテーブルに戻したまほは疲れた顔でガラス張りの天井を見上げた後、そんな事をぼやきつつ左手で右の肩を揉みながら右腕をゆっくりグルグルさせ始めた。

 

 

「何がってまほ姉…同じ高校生同士でいられるのは、これが最後だからじゃないんですか……?」

 

 

 ラブに振り回されるのは毎度の事だったが、疲れの溜まっている今回はさすがに勘弁して欲しいとでも言いたげな口調で愚痴を零すまほは、そんな事も解らないのかとやや呆れた顔をしたエリカの指摘に驚きを隠せずにいた。

 そしてエリカの指摘に反応したのはまほだけではなく、周りでぐったりと脱力していた連中もピクリとその身を震わせていたのだった。

 

 

「ねぇエリカさん…一体何の話……?」

 

「別に大した話じゃないわ…それでは私達はこれで……ホラみほ行くわよ?このままここにいてもお邪魔になるだけだからさっさと来なさい」

 

「え?ちょ、エリカさん?」

 

 

 話を途中からしか聞いていないみほはエリカが何を言っているのか理解出来ず、エリカと姉の顔を交互に見ながら独りキョドっていた。

 

 

「そんな所でボケたアホ面晒してると、ラブ姉が戻って来た時確実にオモチャにされるわよ?」

 

「ふぇ!?ま、まってエリカさん!」

 

「そうそう、皆さんその制服とても良くお似合いですよ」

 

『……』

 

 

 昨日に続きエキシビション参戦記念の制服の着用をラブに強要されたまほ達に、エリカはしっかりと止めを刺す事を忘れていない。

 そして言うだけ言ったエリカがスタスタと先を行けば、みほはトレイに乗せた飲み物のカップを落とさぬよう気を付けながらよたよたと後を追った。

 

 

「…西住……」

 

「うん……」

 

 

 テーブルに突っ伏したまま顔すら上げないアンチョビがぼそりと呟くように呼び掛ければ、彼女もまた今にも消え入りそうな声で力なく答えた。

 卒業も秒読み、艦がそれぞれの母港に帰港すれば後は卒業式と退艦式を待つのみで、その後(おか)に上がってしまえば彼女達が学園艦で航海に出る事は二度とない。

 その一方で最初の一年を文科省の怠慢により棒に振ったとはいえ、ラブの本当の高校生活はまだ始まったばかりで丸々二年ある。

 エリカの言ったこれが最後という一言の重さは、お祭り騒ぎの熱に浮かされていたまほ達の頭に冷水を浴びせ、祭りも終わりの時が来た事を実感させたのだった。

 今夜のライブが終わってしまえば例えもうひと晩笠女学園艦で厄介になるとしても、明日は帰艦の為に朝から忙しくなるのは目に見えている。

 そうなるとラブが自分達と同じ高校生として過ごせるのは実質今日が最後で、次に彼女と会う時はその関係が大学生と高校生に変わっている事に漸く気付いたのだった。

 

 

 

 

 

「おっ待たせ~♪」

 

「お、おう…戻ったか……」

 

 

 余程この後の予定を知られたくないのか、カフェの外で何処かに電話していたラブが戻って来た頃には全員がどうにか普通に椅子に座り、すっかり冷めてしまった飲み物の消費に勤しんでいる最中であった。

 

 

「アンタ達なんて顔してんのよ……?」

 

 

 置き土産のようにエリカが突き付けた現実にまほ達の頭はフリーズし、戻って来たラブを前にどんな顔をすればいいか解らなくなっていた。

 それを朝から引っ張り回された事に対する彼女達の不満の意思表示かと勘ぐったラブは、眉を寄せ険しい顔をする。

 

 

「まぁいいわ、そんなアンタ達の為に取って置きのプラン用意したから行くわよ」

 

「あぁ解った…で、今度は一体何処に行くんだ……?」

 

 

 ついさっきまで少し休ませろだのペースを落とせだのと不平不満を口にしていたのに、一転して素直な事を言い始めたまほを今度はラブが警戒したような目で見ている。

 

 

「な、何よ…馬鹿に素直に言う事聞くわね……?」

 

「…これ以上どうしろと言うのだ……」

 

 

 ラブが何かやる度に反発するまほの素直な反応は、却って彼女を不気味がらせる。

 だがカフェの店内の時計に目を走らせたラブはこんな事をしている場合ではないと気を取り直し、ソファに根を張っている連中を急き立てるのだった。

 

 

「とにかく!こんなトコで油売ってる暇はないわよ?ランチは少し遅くなるけど、その前に疲れた顔してるアンタ達を良いトコに連れてってあげるから早く立って!」

 

「何なんだ全く……」

 

 

 多少愚痴を零しながらもまほ達は急かすラブに逆らう事はなく、ノロノロとソファから立ち上がると重い足取りで彼女の後を追うのだった。

 

 

 

 

 

「ちょっと待て…コレは一体なんだ……?」

 

「何って迎えの車に決まってるじゃない」

 

 

 ラブの後を追ってカフェを出ると彼女達の目の前、カフェの車寄せに一台の豪華な観光バスが停車していた。

 厳島のイメージカラーであるマリンブルーに染められたそのバスの内装は、一見落ち着いたデザインながらも相当に豪華なシロモノで、外からのパッと見でも只事でないのは直ぐに解った。

 

 

「これはサロンバスってやつか……?」

 

「そ~よ、次の目的地はちょっと離れたトコにあるから、さっき送迎の車を回してくれるように頼んでおいたのよ」

 

 

 目の前の超豪華バスを見上げ呆然とする一同であったが、ラブはそんな事などお構いなしに乗降口のステップに足を掛けていた。

 

 

「さぁ急いで、一応予約してあるけど遅れるのは良くないからね」

 

 

 有無を言わせぬラブに促され全員が乗り込み席に着くと、サロンバスは滑るように走り出し公園の駐車場から一般道へ入って行った。

 

 

「…走る貴賓室ですわね……」

 

「そお?これ単に今から行くトコの送迎バスなんだけど?」

 

「チッ、これだからブルジョアは……」

 

 

 走り出したバスの車内で凝った内装を検分していたダージリンの呟きに、ラブは何でもない事のように素っ気なく答え、彼女のその態度はダージリンの不興を買っていた。

 

 

「別にそんなんじゃないわよ?あくまでこれから行く所の利用客の送迎用で、私達が贅沢する為の物じゃないんだってば」

 

「おい、マジで何処行く気なんだよ?こんな金の掛かったバスをお客の送迎だけに使うなんて普通じゃないぞ?」

 

 

 座り心地の良いシートは疲れた体に優しく思わず眠ってしまいそうだったが、頭を振ってツインテを揺らしたアンチョビは、聞くだけ無駄と解ってはいてもラブを問い詰めずにはいられなかった。

 

 

「だから行けば解るってば……これから行く所は今の千代美達にはうってつけの場所よ?とっても気持ち良いんだから楽しみにしてればい~の!」

 

「い~のってオマエ…気持ち良い……?何だそりゃ?まさかいかがわしい店じゃないだろうなぁ?」

 

 

 ラブの気持ち良いという表現に何やら怪しいニュアンスを感じ取ったアンチョビは、胡散臭そうにジト目でラブの事を睨んでいた。

 

 

「何考えてんのよ千代美……?ウチの艦にそんな店ある訳ないでしょ!」

 

「やかましい!お前の存在が一番いかがわしいわ!」

 

「何ですってぇ!?ってホラ着いたわよ!こことっても人気なんだから感謝しなさいよね!」

 

 

 アンチョビがラブ相手にアホな言い争いをしているうちに、サロンバスは一見お洒落な結婚式場を思わせる建物の正面エントランスへと続くゲートを潜っていた。

 

 

「何だここは……?」

 

 

 バスから降ろされた一同が、ガラス張りの明るいエントランスの前でポカンと吹き抜けの内部を見上げていると、全員の気持ちを代弁するようにアンチョビが呟きを洩らした。

 

 

「お待ちしておりました恋お嬢様」

 

 

 センスの良さを感じると同時に恐ろしく金の掛かっていそうな建物に気を取られているうちに、いつの間にか彼女達の目の前には如何にも出来るマネージャーといった感じの女性が立っていた。

 厳島の関係者のご多分に漏れずスタイル抜群なその女性がラブに向けて深々と一礼すると、呆然とする一同を率いていたラブもまたにこやかにそれに応じるのだった。

 

 

「急な話で御免なさいね」

 

「いえ恋お嬢様、何も問題は御座いません。全て準備は整っておりますのでどうぞこちらへ」

 

 

 マネージャーと思われる女性に続きラブが店内に足を踏み入れかけると、いよいよ訳が解らないアンチョビが彼女の背中にストップを掛けた。

 

 

「ちょっと待て!いい加減ちゃんと説明しろ!ここは一体何なんだ!?」

 

「何って見て解らない?」

 

「解らないから聞いてるんだ!」

 

 

 踏み出し掛けた足を止めて振り向いたラブは、腰の両側に手を当て如何にも呆れましたと云わんばかりな態度を取って見せた。

 だが強い口調で言い返したアンチョビがその後直ぐに溜息を吐いたのを見て、さすがにやり過ぎたと思ったのか漸く彼女達に種明かしを始めたのだった。

 

 

「ここはウチ(厳島)の美容部門が運営する所謂トータルビューティーサロンよ、この店舗は去年の暮れにオープンしたばかりなの…知ってるでしょ?アンタ達にモニターして貰ってるシャンプーとコンディショナーもこの会社で作ってるって……で、アンタ達には今からここでエステの体験コースにチャレンジして貰おうと思ってるのよ」

 

「えすてぇ……?」

 

 

 裏返った声で呟いたアンチョビが見上げた視線の先、ラブの背後ガラス扉には彼女も聞き覚えのあるサロンの名が冠されていた。

 

 

「そうよエステよ、だってアンタ達そんな疲れた顔でヘロヘロになってるんだもの、だから今からエステでしゃっきり生まれ変わらせてあげようってのよ~」

 

「ちょっとお待ちなさい!このサロンは私達みたいな子供が、そうそう気軽に出入り出来る所ではないはずですわ!」

 

 

 何処までも気楽な調子のラブが入店しようとすると、その背中に今度はダージリンがやや血相を変え真剣な様子で待ったを掛けた。

 彼女は系列の店が地元横浜でも大人向けなエリアに出店しているのを知っていたし、凡そ高校生が利用出来るレベルの店ではない事もよく解っていた。

 

 

「今度は何よ~?あ……もしかして料金の事心配してるの?だったらその心配は無用よ?亜梨亜ママに聞いたら話を通しておくから是非そうしなさいって言ってたし、何より私達AP-Girlsは日頃からここでお肌のメンテして貰っているから何も気にしなくていいわ。ホラ、私達日常のメイクに加えてステージでも派手なメイクするでしょ?だから高校生とはいえお肌の負担考えてプロに面倒見て貰っているの、だから皆も気にしないでいいからね~」

 

 

 エリカの指摘にラブのやりたいようにさせてやろうと考えていた一同も、さすがにこれはお金が掛かるのではと気後れしていたが、ラブは一向に気にした様子もなくどう反応したらいいか解らない彼女達は互いに顔を見合わせる事しか出来なかった。

 

 

「さ、それじゃ行くわよ?のんびりしてるとお昼まで遅くなっちゃうから早く来なさいよ~」

 

 

 それだけ言うとラブは一足先に入店し、もう後ろを振り返ろうとはしなかった。

 

 

「どうする……?」

 

「どうするって行くしかないだろ……」

 

「これを御覧なさい…高校生のお小遣いでどうこう出来る料金プランではありませんわ……」

 

「Stop it!ちょっと止めなさいよ!余計入り辛くなるじゃない!」

 

 

 素早くタブレットで店舗情報を検索していたアッサムがサロンのホームページの料金プランを提示すると、顔をしかめたケイはヒラヒラと手を振りながら液晶画面から目を逸らした。

 

 

「ダージリン、確かあなた達(聖グロ)の母港にも……?」

 

「ええ…よくご存じねノンナ……確かに何店舗か出店していますわ……」

 

「わ、私達の母港には──」

 

「カチューシャ様、空しくなるので妙な対抗意識を燃やさないで下さい…大湊は勿論青森でもこんな普通じゃ有り得ない規模の大きいお店はありませんよ……?」

 

「の、ノンナ……?」

 

「誰でもいいから早く入れや……」

 

「ならナオミが一番最初にお入りなさい」

 

 

 珍しくノンナにバッサリとやられたカチューシャが目を白黒させる周りでは、誰が最初に入るかでああでもないこうでもないと愚にも付かない譲り合いが続く。

 

 

「も~!そんなトコで何やってんのよ~?迷惑だから早く入りなさいよね~!」

 

 

 いつまで経っても入店して来る気配がない事に業を煮やしたラブが振り返り催促すると、自分達が入り口を塞ぐようにたむろして騒いでいた事に気付いた一同が慌てて店内に転がり込んで来た。

 

 

「ホント何やってんだか……」

 

 

 今にも転びそうな勢いでドタバタと入店して来た一同に、ラブはただ呆れて肩を竦める。

 凡そ高校生には縁のない世界に全員が緊張し顔を強張らせていたが、それとは対照的にラブはすっかりリラックスした様子で一人先を行くのだった。

 

 

 




エナジードリンクの類は私も苦手ですね。
昔忙しくて限界な時に栄養ドリンクを試しに飲んだら、
気持ち悪くて余計に具合が悪くなりました……。

厳島流には多分そういう時の回復術とかもあるのかもしれませんw
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