ガールズ&パンツァー 恋愛戦車道   作:肉球小隊

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話し合いというか足の引っ張り合いというかw


第百八話   対策会議

「だから何でお前は毎度毎度そういう事をするんだぁ!?」

 

 

 サプライズ演出という名の奇襲攻撃を前にアンチョビが上げた叫びは、残念ながらステージの爆音に掻き消され誰の耳にも届く事はなかった。

 

 

 

 

 

「申し訳ありませんが私は少々片付けておかねばならない事があるので、一旦オフィスの方へ戻らせて頂きます」

 

 

 ラブがライブの準備の為に立ち去った後、残された者達は暫くの間食後のコーヒーを談笑を交えながら楽しんでいた。

 しかし世界規模で展開する巨大な厳島のグループの頂点に君臨する亜梨亜には、オフと云えどもフルに時間を自分の為に使う事は出来なかった。

 

 

「それでは私は亜梨亜様とご一緒させて頂きますが宜しいですね?」

 

 

 亜梨亜が席を立つとしほもほぼ同時に立ち上がり、亜梨亜も特にそれを止めようとはしなかった。

 

 

「お母様……?」

 

「皆さんはもう少しここで寛いで頂いて構いませんよ?そのつもりでこの部屋は夕方まで貸し切りにしてありますからね」

 

 

 仕事で席を外す亜梨亜に母が何故同行するのかとまほが疑問に思っていると、亜梨亜が疲れている彼女達の為に予め配慮をしてくれていた事を知り、そこでしほも自分達に気を使ってくれている事にまほも漸く気付いたのだった。

 

 

「それでは私達はここでもう少しのんびりさせて頂きます」

 

 

 まほからすればしほの気遣いは少々意外であったが、亜梨亜の配慮は有難く、まほは二人に一礼するとその厚意に甘える事に決めたのであった。

 

 

「なら私達は良い機会なので艦内を少し見て回ろうかと──」

 

「そういう事なら私もここで千代美ちゃんとまったり──」

 

「アンタは私と一緒に来る!」

 

 

 話の流れから空気を読んだ亜美が自分達も退席しようと立ち上がりかけると、彼女とは真逆に全く空気を読まない英子がその配慮を台無しにしそうだった。

 しかし亜美も慣れたもので間髪入れずに英子の与太発言を封殺し、それ以上の事を言わせようとしなかったが、この二人の掛け合いは傍から見ていると既に名人芸の域に達していた。

 

 

『あれは狙ってやってるのかマジで壊れてるのか……?』

 

「何で私に聞くんだよ!?」

 

 

 本人を前にしてさすがに誰も言葉にはしなかったが自然と視線はアンチョビに集まり、その視線の意味する処を察したアンチョビは即座に反論していた。

 

 

「メグミお姉様、まだまだご案内したい所が一杯あるので私達も参りましょう」

 

「え…あ……そ、そうね行きましょう結依ちゃん!」

 

 

 立て続けに大人達が退席するのを受けちゃんと空気を読んだ結依に促され、英子の壊れっぷりに唖然としていたメグミも慌てて席を立った。

 

 

「何か妙に気を使われたような気がするな……」

 

 

 気が付けば仲間だけになってしまったレストランの個室の天井を見上げたアンチョビは、耳を引っ張られて亜美に連行されて行った英子の姿を思い出し、何とも形容し難い表情で嘆息していた。

 

 

「亜梨亜おば様は私達がラブに散々振り回されてるのを解ってるからだろうがなぁ……」

 

「解っているなら止めて頂きたいものですわね……」

 

「Ha!それご本人の前で直接言えばよかったじゃない」

 

「……」

 

 

 まほの呟きは如何にも身内ならではなものであったが、それを受けてダージリンが漏らした皮肉交じりな一言は実に彼女らしいもの言いであった。

 その性格が災いし幾度となくラブにオチの対象にされて来たダージリンとしては、それは偽らざる気持ちであったのは確かだったが、ケイの意地の悪いツッコミには何も切り返す事が出来ずグッと唇を噛み忌々し気な顔をする事しか出来なかった。

 

 

「…疲れるだけだからオマエ等もその辺にしとけ……」

 

 

 ダージリンに対するケイの立ち位置はどちらかというとラブに近く、澄ました彼女のおちょくり方は実によく心得ていたが、今ダージリンにキレられると厄介なのでアンチョビは渋い顔で睨み合う二人を諫めに掛かるのであった。

 

 

「なぁ安斎、お前何か言いたい事があるんじゃないのか……?」

 

 

さすがはパートナーというべきかまほはアンチョビが何か言いたそうにしている事に気付いており、言い出すタイミングを計っていたアンチョビは驚いたように大きく目を見開いた後、敵わないなとばかりに苦笑したのだった。

 

 

「既にここには()()()しかいないのだからもういいだろう?安斎だってそのつもりで私達だけになるのを待っていたんじゃないのか?」

 

 

 試合中の西住の顔を見せるまほに、さすがによく見てやがるとアンチョビの口元が微かに緩む。

 しかもメイクをしている分まほの横顔はいつも以上に美しく、アンチョビもそれが嬉しいのか微かに頬が上気していた。

 

 

「本当に()()()()()()()()()はよく見てますこと」

 

「ええ全く……」

 

「Whooo!こういう場合ごちそうさまって言えばいいのかしら?」

 

「ケッ!これで今夜はバッチリってか!?」

 

「だからノンナ!ここで私の耳を塞ぐのに何の意味があんのよ!?」

 

「あ…ついクセで……」

 

『ぶふっ!』

 

「ソコっ!うるさいぞぉ!」

 

 

 こういう時だけやたら結束するお仲間達が一斉に口の端を吊り上げ、実にゲスな笑み浮かべ好き放題言い始めれば、瞬間的に耳を赤くしたアンチョビは椅子を鳴らして立ち上がり、突き付けた指先をプルプルと震わせ怒鳴っていた。

 

 

「ったくこんな時だけ一致団結しやがって……」

 

 

 カッとなり思わず怒鳴ったアンチョビは荒々しくどっかと椅子に腰を下ろすと、彼女に怒鳴られてなお楽しそうにヒソヒソやる連中に眉間の縦皺をより深くしていた。

 

 

「安斎…私なら気にしてないから……それより……」

 

「あ…あぁ、解ってる……」

 

 

 ここぞとばかりにイジられて瞬間湯沸し器並みの速さで沸騰したアンチョビは、怒るどころか喜んでいるようにすら見えるまほに毒気を抜かれ脱力したのだった。

 だが時間が限られているのでいつまでもそうしている訳にいかず、椅子に座り直したアンチョビは一つ深呼吸をしてから話を切り出した。

 

 

「あのな…お前等気付いたか……?」

 

 

 アンチョビが話を切り出したはいいがあまりに唐突且つ言っている事が意味不明過ぎて、全員の頭の上には特大サイズのクエスチョンマークが浮かんでいた。

 しかも彼女がこの手の話し方をする時は大概その内容はロクなものではないので、また何かトラブルの種かと全員が身構えたのだった。

 

 

「やはり気付いてはいないか…あぁスマン、多分そんな深刻な話にはならないからそんなに身構えなくても大丈夫だ……」

 

「多分……?」

 

「お前ホント細かいな……」

 

 

 彼女も100%そうだとは明言出来ないので多分と言ったのだが、そこにすかさず喰らい付くダージリンにはさすがにアンチョビもイラっと来たようだ。

 

 

「それで……?」

 

「コイツ…まぁいいや……ええとだな……そう、ラブが多量の薬を服用しているのは皆も知っての通りの事だが、その薬の量が減っている事に私以外に気付いたヤツはいるか?」

 

 

 アンチョビの予想通り彼女以外この事に気付いた者は皆無であったが、その事で誰かを責めるような真似をせずアンチョビは話を続けた。

 

 

「量が減ったからといって一概にそれが良い事だと言えないが、もしラブの中で何かが改善されての事なら喜ばしい事なのだがな……」

 

 

 アンチョビの観察力の高さは仲間内でも定評があったが、ラブが服用している薬の量まで把握しているとなると、さすがに全員絶句して驚異の目で彼女の事を見るのだった。

 

 

『まさかラブが服用している薬の種類まで把握しているんじゃないでしょうね……?』

 

 

 情報収集に関しては仲間内で自分が最も長けていると自負もあるアッサムであったが、ここまで細かい処まで見ているアンチョビの観察眼に内心舌を巻いていた。

 だが同時に彼女は笠女に短期留学させられたオレンジペコが、帰艦後の報告でラブの薬に関して言っていた事を思い出していたのだった。

 

 

『ペコはラブが薬の服用に難色を示す事があったと言っていましたわね…恐らくは強い副作用を嫌がっての事だと思うのですが……けれど彼女の言う事が本当ならば、少しは状況が改善されたと考えてもいいのかしら……?』

 

 

 例えラブの服用する薬の種類が解ったとして、それが果たして何の為の薬なのか詮索するのは、最大の禁忌を犯す事になるような気がしてアッサムもやる気にはならなかった。

 

 

『いずれにしても彼女の言う通りなら確かに喜ばしい──』

 

「おいダージリン何だその顔は?」

 

 

 だがアッサムも安易に楽観出来ないまでも明るい材料である事には間違いないと考えかけたその時、不意にそれまでとは違う口調と低いアンチョビの声が彼女思考を停止させた。

 オレンジペコの一件を思い出したアッサムはそれを一切面に出す事なく表向き平静を装っていたが、どうやら彼女と同様にその事を思い出したダージリンは思い切り顔に出たらしく、それに気付いたアンチョビ追及を受ける事になったのだった。

 

 

「ダージリン…お前何か隠してるだろ……?」

 

「……」

 

 

 勘の鋭さを発揮しダージリンの微かな表情の変化から何かを読み取ったアンチョビは、微妙に視線を逸らした彼女を黒と断定しその口調も尋問するものに変わっていた。

 

 

「……吐け」

 

『吐けって取り調べかよ……?』

 

 

 テーブルに両肘を突き組み合わせた両手に顎を乗せたアンチョビが、上目遣いにジッとダージリンを睨みながら低く抑えた声でたった一言それだけ言うと、周りで事の成り行きを見守っていた者達は自分達が洒落たレストランの個室ではなく、警察の取調室にいるような錯覚を覚えていた。

 だが周囲がどう思っているかなどお構いなしに、ダージリンが間違いなく何か情報を秘匿していると確信したアンチョビは、見据えた視線を逸らす事なく自白するのを待ち続けた。

 そして迂闊であったとダージリンは顎の先っちょを梅干しにして歯嚙みしたが、その程度でアンチョビの追及を躱す事など出来るはずもなく、件の一件を白状させられたのだった。

 アンチョビが涙を流した件でウザ絡みした後だけに、仕返しのつもりかなどと合間にブツブツ言うダージリンであったが、既に他の者達も彼女に非難の目を向けながら追及の姿勢を取っていたので、最早言い逃れが出来る状況ではなくなっていた。

 結局その後ダージリンが洗い浚い白状すれば、当然アッサムもその件を知っていた事がバレてしまい、アンチョビに深い溜息を吐かせる事になったのであった。

 

 

「お前も同罪だぞアッサム…揃いも揃って肝心な事黙ってやがって……」

 

『とんだとばっちりですわね……』

 

「お前今とばっちりとか思ってるだろ……?」

 

「……」

 

 

 仏頂面のダージリンと違い表情一つ変えず涼しい顔していたアッサムであったが、アンチョビはそんな彼女の考えもお見通しであったようだ。

 

 

『本当に嫌になる位よく見てますわね……』

 

「…まあいいや……それよりホント頼むぞ?何かあった時は直ぐに我々にも教えてくれ、もし知らずに下手を打ったら取り返しが付かない問題になる可能性だってあるんだからな……」

 

 

 この件に関するアンチョビの指摘は尤もであり、非常にナーバスな問題故に慎重になり過ぎた結果として、情報の共有が遅くなった事はダージリンとアッサムも自覚していた。

 なので二人も彼女のお小言は真摯に受け止め、揃って仲間達に素直に頭を下げたのだった。

 

 

「フム…そんな事があったか……処でだな、少々言い難い事ではあるがペコにはこの件で──」

 

「それでしたら心配には及びません、ペコにはきつく他言無用を言い渡してありますので……ですがそれ以前にあの子は元々この手の重要な問題程口が堅いですから」

 

「そうか…ならいいんだ……」

 

 

 アンチョビに限らずここにいる全員が、ラブの抱える問題の中でも最重要機密に位置付けられるであろう案件が、自分達以外に漏洩する事を何よりも危惧していた。

 しかしオレンジペコが機密事項を第三者に漏らす事はないと言い切ったのを信じ、この件でそれ以上二人を追及しようとはしなかった。

 

 

「まぁラブも相当彼女の事は気に入っているようだし問題ないんじゃないのか?」

 

 

 大学選抜戦での共闘を始め、オレンジペコともそれなりに面識のあるまほも彼女なら問題なかろうとダージリンの見解を肯定し、アンチョビもまたその意見に賛同し一つ頷いて見せた。

 

 

「ただな、今というかこれから一番問題になりそうなのはやはり私達の卒業なんだよな…けどこればかりはどうにも出来んし、その後の事も今のうちに何か策を講じておかんとマズいよなぁ……」

 

 

 オレンジペコの事は問題なかろうと結論付けたアンチョビであったが、その彼女が新たな問題を提起すると全員の表情が俄かに険しいものになった。

 

 

「全くあなたという人は…と言いたい処ですが、その件に関しては私達も気になっていましたわ……何しろ卒業してしまえばあなたとまほさんは愛知、ケイとナオミは長崎でカチューシャとノンナに至っては北海道……大学に行けば再び新米に逆戻りする私達は、距離的な問題以前にこれまでのような好き勝手は出来ないでしょう……(おか)で暮らす私達の近くに笠女学園艦が来たとしても、肝心の私達が遠征で他所に行っていれば結局はすれ違いになってしまう……」

 

 

 イタリア料理の後に紅茶を要求する程無粋ではないダージリンは、話しの合間にエスプレッソで喉を湿すと優雅な所作でカップをテーブルに戻す。

 

 

「これは私達も状況は全く一緒な訳ですが、幸い私とアッサムの進学先は横浜ですので、ラブが帰港して私達も地元にいる時は極力様子を見に来るつもりですし、当然その時の様子は必ず報告します……ただしこれも気休め程度にしかならない可能性もある事だけはご理解頂きたいのですが……」

 

「因みに私達の進学先に関してはラブと再会して直ぐ、観閲式後笠女でお世話になった時に伝えてありますわ……その時もし何かあったら、遠慮せず私達の下に来るよう言い含めてありますので」

 

 

 ダージリンが一通り自分なりに考えた策を披露するとアッサムも補足するように説明を添え、神妙に話に耳を傾ける者達に頷いて見せる。

 

 

「いや、そうして貰うだけでも大違いだ…けど決して無理だけはしないで欲しい……ラブの事を優先するあまり二人の学業に支障をきたしては元も子もないんだからな?」

 

 

 如何にもこの二人らしい配慮にラブと血縁にあるまほは感謝を述べ、次いで二人がその事で自分達の学生としての本分に差しさわりが出ぬよう言葉を添えた。

 

 

「ええ…先程も言った通り、私達も大学に行けば使いっぱしりの一年生……申し訳ないけれど出来る範囲で精一杯になると思いますわ……」

 

「ありがとう、それで充分だ」

 

 

 だが二人もその辺は弁えておりまほを安心させるようにそれに応えたので、彼女はダージリンとアッサムそれぞれに最敬礼していた。

 

 

「Hum……今はとにかく出来そうな事探しておくしかないか~」

 

「そうは言っても現実問題遠いんだよ…毎度毎度ギャラクシーって訳にも行かないしな……」

 

「けどさ、いざとなったら基地繋がりの佐世保経由って手があるわ!」

 

「馬鹿言ってんじゃねぇ、どんだけ手間が掛かると思ってんだ……」

 

 

 ケイとナオミもアレコレ考えてはいるようだが長崎と横須賀ではあまりに距離があり、それを埋める為に何やら良からぬ事まで考えているようであった。

 

 

「うぉ~い、そっちもあんま無理すんじゃね~ぞ~?入学早々大っぴらにやって目ぇ付けられても知らんからな~?」

 

「No problemよ!基本ウチはエスカレーターだしメグミもいるから何とでもなるわ!」

 

『コイツのノープロブレムが一番信用出来ないんだよな…あ、このヤロウあのメグミって人に面倒な事全部押し付ける気でいやがるな……?』

 

 

 ケイとナオミのお陰で大ファンであるラブとお近付きになれたメグミは、その代償として二人に対し大きな借りを作る事になっていたのだった。

 その辺の事情からケイがメグミを自分達の弾避けに使うつもりでいる事を見抜いたアンチョビは、したたかなのか考えなしなのか解らないケイを呆れた目で見ていた。

 

 

「私達はアレね!大学の馬鹿みたいに広い演習場で定期的に合同演習でもやれば問題ないわ!」

 

 

 カチューシャとノンナの進学する北海道の大学は、キャンパスを始め戦車道の演習場等全ての所有施設が国内最大の規模を誇っていたので、カチューシャはそれを口実にすれば定期的にラブの様子を見る事が出来ると考えていたようだ。

 

 

「あのなカチューシャ…いくらなんだって新入生がそう簡単にそんな無茶出来んだろ……?」

 

「あら!?あのラブとAP-Girlsに会えるなら先輩達だって否はないはずよ!」

 

「カチューシャ様の論理は完璧です」

 

「ダメだコイツ等……」

 

 

 本来抑え役なはずのノンナまでカチューシャに同調し、何処まで本気なのか解らない真面目くさった表情で頷くのを見てアンチョビは頭痛を覚えた。

 

 

「お前達頼むからあまり無茶やって波風立てるんじゃないぞ…ってオイ!のんびりし過ぎた!ボチボチ私達も行かないと開演時間に間に合わなくなるからこれ以上は後にしよう!」

 

 

 話に熱中するあまりすっかり時間が経っていた事に気付かずにいた一同は、時計を目にすると慌てた様子で席を立ち居心地の良いイタリアンレストランを後にしたのだった。

 

 

 

 

 

「お稚児さんだべか……?」

 

「誰が七五三ですってぇ!?」

 

『誰もそこまで言ってない……』

 

 

 どうにか時間に余裕を持って一行がAP-Girls専用アリーナに辿り着くと、そこには既に各校の参加選手や後輩達が集まりロビーで開場するのを待つ姿があった。

 しかし彼女達が姿を現すとAP-Girlsばりにガッツリとメイクされその顔に大きなどよめきが起こり、その反響の大きさに全員がその場で固まって動けなくなっていた。

 だがプラウダ勢だけはお化粧されたカチューシャに容赦なくお約束な反応を示し、例によってカチューシャがこれもお約束なキレ芸を披露し、全員が彼女に背を向け肩を細かく震わせるのであった。

 

 

「まほ姉も良くお似合いですよ?」

 

「ぐっ……」

 

 

 だが全員いつまでも笑っている事は出来ず早速集まって来た後輩達に捕まり、あれやこれや言われてその対応に追われる事になったのだった。

 特にまほなどは卒業を控え女子力向上の為にエリカにしごかれている最中であったので、彼女の含みのある笑みが何より怖かったようだ。

 

 

「帰ったらメイクの方ももうちょっと頑張らないといけませんね…あ、ラブ姉に頼んで今使ってる化粧品一式送ってもらいます……?」

 

「い、いや…そこまでしなくていい……」

 

 

 嬉しそうなエリカに何とかそれだけ言ったまほは助けを求めるようにアンチョビに目を向けたが、彼女も後輩達に囲まれそんな余裕はなさそうでとても助けては貰えなさそうであった。

 しかし幸いにして開場アナウンスが流れホールへの大扉が次々開放されたので、彼女達もどうにか難を逃れる事が出来たのだった。

 そして始まった高校生活最後のAP-Girlsのライブは、これまで聴いた事のない曲のイントロに続き完全新作の派手な衣装に身を包んだラブの登場と共に幕を開けた。

 何の予告もなくいきなりライブの一曲目にラブがぶっ込んで来た新曲による不意打ちは、彼女の思惑通りライブの高揚感からすっかり油断していた仲間達を驚かせる事に成功し、驚いて引っ繰り返り掛けたアンチョビに叫び声を上げさせたのであった。

 

 

 




実際アメリカ人のノープロブレムは当てにならないw
これは私の経験則ですww
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