ガールズ&パンツァー 恋愛戦車道   作:肉球小隊

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シリーズ最長となる第四章も、もう間もなくゴールです……。


第百九話   Most important confidentiality

「アイツは絶対私らの反応見て楽しむ為に毎回ああいう事やってるだろ……?」

 

 

 AP-Girlsのライブ終了後、ステージ衣装もそのままにラブが直接手渡しで配って回ったのは、まだ何も情報が発信されていない彼女達のニューアルバムとなるCDであった。

 CDジャケットの裏面に記された収録曲のラインナップを見たアンチョビは、そこで初めてライブ前半でラブ達の歌った曲の全てが、このCDに収録された曲である事を知ったのだった。

 

 

「私はそういう事に全然疎いんだが、アイドルとかバンドってのは普通にライブとかでああいう事やるものなのか……?」

 

「Umm…やらないと思う……いや、絶対やらないわね……今日のライブって一般の観客を一切入れず、客は私達()()()だけだったじゃない?規模は馬鹿みたいに大きいけど、これって所謂シークレットライブなんだと思うのよ……」

 

「し~くれっとらいぶぅ……?」

 

「そう、シークレットライブよ…まぁ観客を限定したライブだと思ってくれればいいわ……でね、その関係者しかいないシークレットライブだから、ラブもあんな普通じゃやらない馬鹿みたいな大盤振る舞いをやったんだと思うんだけどね……」

 

「またムチャな事を……」

 

 

 ケイも100%そうだと断言出来ないようであったが、実際の処彼女の予想はほぼ正解であった。

 

 

「フム…もしそのシークレットライブの内容が公になったら一体どういう事になるんだろう……?」

 

 

 戦車道以外の事は極端に世間知らずなまほの疑問は、彼女以外の者達にとっても興味を引かれるものであったようだ。

 

 

「さてねぇ…まぁ芸能レポーターやら音楽情報誌なんかは必死に嗅ぎ回るだろうけど、私だってそれ以上の事は解らないわ……」

 

 

 いつの間にか自分が芸能関連の専門家扱いされている事に気が付いたケイは、軽い調子でそれだけ言うと素っ気なく肩を竦めるのだった。

 

 

 

「まぁ実際AP-Girlsのライブってセキュリティが只事じゃないからね…相当有名な海外のミュージシャンでもあそこまではやらないと思うわ……」

 

「そうなのか……?」

 

 

 増々知らない世界の話に付いて行けず、まほは至極当然のようにアンチョビに質問する。

 

 

「いや、だから何で私に聞くんだ?私だって知らんて……大体その手の事ならラブの実家の城の事知ってる西住の方が良く解ってるだろ~?」

 

 

 話を振られたアンチョビも何故私に聞くと迷惑そうに言うが、彼女の反論に今度はまほの方が困ったような顔で考え込んでいた。

 

 

「厳島の…ラブん家のセキュリティは関係ないんじゃないのか……?そもそもアイツの家はそんな大袈裟な警備はしてなかったはずだ……安斎も何か誤解してると思うぞ?」

 

『あれだけの金持ちが何もしてない訳ないでしょ?私らみたいな子供じゃ解らないような警備体制を布いてるに決まってるじゃない……』

 

 

 腕を組んで首を捻り幼い頃から何度となく遊びに行っていた厳島の城を思い出してみたが、周りが言うような大仰な警備装置を見た覚えはなかった。

 だが現実は仲間達の予想通りで、厳島の城の警備体制は国家機関のプロにすら、もし近付くヤツがいたらそいつは底なしの馬鹿だと言わしめる程厳重なものであった。

 

 

「一応番犬のジャーマンシェパードもいたけど、仔犬の頃にラブが躾けたから揃いも揃ってアイツ等は只のワンコだぞ?」

 

 

 しかし彼女自身も結構なお嬢様育ち故、首を捻ったまま呑気な事を呟いていた。

 

 

「オマエに話を振ったのが間違いだった」

 

「それはどういう意味だよ?」

 

 

 改めてまほもお嬢様育ちである事を実感させられたアンチョビであったが、彼女の一言に当のまほも面白くなさそうな顔をしていた。

 だが言うだけ無駄と判断したアンチョビは、むくれるまほを放置して話を元に戻した。

 

 

「話しが著しく逸れてるな…ええと何だっけ……そう、ラブのヤツもいくら芸能科とはいえ普通の授業だって勿論ある訳だろ?それに戦車道だって相当時間を割いてるはずなのに、よくあれだけ曲作ったりするヒマがあるもんだな……」

 

 

 ラブ達の忙しさを考えると凡そ曲作りやレコーディング、新曲に合わせたダンスを始め諸々の準備をする余裕があるとはとても思えなかった。

 

 

「成程…そういう事ですか……」

 

「何だダージリン、何か心当たりがあるのか?」

 

 

 宿舎へと戻る道すがら不意に足を止め呟いたダージリンの声に振り返ったアンチョビは、そのまま立ち止まって考え込む彼女の顔を怪訝そうに覗き込む。

 

 

「…あなた達もウチのペコが笠女に短期留学したのは覚えていらっしゃるわよね……?」

 

「ん……?あぁ…そういえばそうだったな……だがそれが何か?」

 

 

 この時全員が短期留学後にオレンジペコがダージリンを軽く上回るたわわと化した事を思い出したが、それを言うと彼女がキレて話が先に進まなくなるので目配せを交わしその事スルーしていた。

 

 

「これはペコが帰艦後に言っていた事なのですが…笠女の授業内容は凡そ高一で学ぶレベルを遥かに超えているそうですわ……そして授業の進行速度なのですが……」

 

 

 ここまで話した処でダージリンが言葉に詰まり一旦口を噤むと、立ち止まって話に聞き入っていた者達の視線が彼女の口元に集中する。

 

 

「で、進行速度がどうしたって……?」

 

「…我が校の授業の進行速度がチャーチルだとしたら、笠女はリミッターを外したクルセイダー並みだと言っていましたわ……」

 

「何だってぇ……?」

 

「言ったままですわ…そういう事ですからラブ達にとって、その辺はあまり問題にならないのかもしれませんわね……」

 

「マジか……」

 

「こんな事で偽情報を流す必要なんてありませんわ……」

 

 

 何処か面白くなさそうなダージリンに比べアッサムは表情一つ変えずに涼しい顔をしているが、彼女が言う事は事実であると無言で小さく頷いて見せた。

 

 

「う~んラブのやる事…というかそれが亜梨亜様の……学校の方針なのか……」

 

「笠女の偏差値はどの程度なのでしょう……?」

 

「新設校とはいえ極端に情報が少ないですね……」

 

「Hmmm…過大評価……って訳でもなさそうよねぇ……」

 

「ちょっと待ちなさいよ!ラブの頭の良さが普通じゃないのは知ってるけど、AP-Girlsまで同じだって言うの!?」

 

 

 人並外れた頭脳の持ち主がラブだけではないと知るや様々な憶測が飛び交い、カチューシャなどはその顔色がすっかり変わって青ざめていた。

 

 

「フム…その辺に厳島流の指導方法が関わっているのかなぁ……?」

 

「何だって?西住、お前も何か思い当たる節があるのか?」

 

 

 あまり深入りし過ぎるのはよくない話題とは思いつつも、あれこれと憶測を口にしてしまい自重せねばと思い始めていたアンチョビだが、独り考え込んでいたまほの何処か曖昧な呟きに反応し、つい詮索するような事を言ってしまうのだった。

 

 

「あぁ、いやスマン…これは自分でも正直ちょっと確証がない事でな……だから暫く様子を見るというか調べてみないと私も何とも言えないんだ……なので少し時間を貰えないか……?」

 

「西住がそこまで言うなら構わんが、何かヤバい橋渡るとかそういう話じゃないだろうな……?」

 

 

 まほの様子から何やら危ない事に首を突っ込むのではと不安そうなアンチョビに、まほはやや苦笑気味にそれを否定していた。

 

 

「大丈夫、そういう類の話しではないから安心してくれ…これはどちらかというと家同士……この場合は流派同士か……まぁ身内の話みたいな感じの事になると思うんだ」

 

「そうか、それではもし何か分かったら教えてくれ」

 

「了解だ」

 

 

 アンチョビが皆の気持ちを代弁するように話を纏めると、全員がそれでいいといった感じにアイコンタクトをしながら頷き合っていた。

 

 

「あ~あ…どうにもアイツのやる事は何でも話が大袈裟になりやがるな……」

 

「それはあの派手好きがやる事ですもの、当然でしょ?」

 

「そりゃそうだがなぁ……」

 

 

 特に何か含みがあっての事ではないがダージリン評価は身も蓋もなく、さすがのアンチョビも返答のしようがない。

 

 

「ねぇ!あのステージのLove Gunのレプリカだけどさ、アレってもしかしたら本物のパンター使ってんじゃないの!?」

 

「何だ急に?カチューシャの言いたい事は解らないでもないが、あれも以前のⅢ号と同様にハリボテだとラブのヤツが言ってたじゃないか」

 

「けどあの新しいLove Gunのレプリカは前のⅢ号と違って、砲塔だけじゃなくて履帯まで回って火花まで散らしてたじゃない!」

 

『相変らず騙され易いなぁ……』

 

 

 小さな拳を握り締めたカチューシャはステージ上のLove Gunが実は只の作り物ではなく、本物のパンターを使用しているのではないかとの疑惑を力説するが、周囲には彼女のそんな姿が魔法少女やマスクヒーローを信じる幼い子供のように見えるらしく何とも生温い視線で見守っていたのだった。

 しかし彼女のこんな反応こそ主催者側が求めるものであり、もしラブがカチューシャの今の様子を見たら間違いなく歓喜する事だろう。

 

 

「まぁ確かに良く出来ちゃいるが、あの赤外線暗視装置からは赤外線の代わりに赤色レーザーを飛ばしまくっていたじゃないか…それに何より本物では重過ぎてとてもじゃないがステージが持たないと言ってたのを忘れたのか……?」

 

「それは……」

 

 

 これだけ言っても尚納得しない様子のカチューシャが可愛らしく、込み上げる笑いを堪えるのに苦労しながらも、まほは噛んで含めるように説明を加え納得させようとしていた。

 

 

「Huh!全くカチューシャも相変わらずよね~」

 

「それは一体どういう意味よ!?」

 

「別に大した意味はないから気にする事ないわよ~?」

 

「おいケイ…もうその辺にしとけ……」

 

 

 まほがどうにかカチューシャを丸め込み掛けた処で、如何にも我慢出来ませんでしたといった風にケイが茶々を入れ、またこんな下らない事でカチューシャにキレられては面倒だと渋面のアンチョビが彼女に釘を刺すが、それでもケイはおちゃらけた態度を崩す事なく口を動かし続けた。

 

 

「そんな事よりさ~、ラブ達の新曲に合わせたすっごい豪華なあの衣装!なんかやたら大量に宝石使ってたじゃない?アレってまさか……」

 

「まさかってどういう意味ですの?」

 

「だからそういう意味に決まってんじゃない」

 

「いやですから!」

 

「意外にこの茶坊主鈍いんだよな~」

 

「誰が茶坊主よ!?」

 

「おいおいケイ、いくら何でもさすがにそれはお前の思い過ごしじゃないのかぁ?」

 

 

 今日のライブの前半パート、ニューアルバムの発表に合わせラブ達が着用していた衣装は、厳島のイメージカラーであるマリンブルーを基調に仕立てられた軍服ドレスであった。

 その衣装は随所に色とりどりの宝石があしらわれ美しい輝きを放っていたが、ケイはそれらの石が全て本物なのではないかと言い出したのだ。

 

 

「けどさぁ、どれだけ出来が良くたってさ、とてもあそこまで綺麗に光り輝くとは思えないんだけど?大体相手はあの厳島よ?娘の為に学校作ったりS-LCACなんてバケモノ爆誕させる厳島!それに比べりゃラブ達の衣装に本物のダイヤやルビー使う位どうって事ないんじゃないかしら?」

 

「オマエな…けどそんな……いや、これ以上考えるのはよそう……」

 

 

 やたらゲスの勘繰りめいた事を言うケイにアンチョビも呆れるが、彼女の発想を否定し掛けたものの今日の豪華な衣装を思い出しみるみる歯切れが悪くなって行った。

 確かにケイの指摘する通り厳島家が行動を起こす時は一切妥協がなく、それで度々度肝を抜かれて来たアンチョビはこの件に関してそれ以上詮索するのが怖くなったのだった。

 だがこの時アンチョビは内心で薄々ケイの指摘通り、ラブ達の衣装にあしらわれた宝石が本物であろうと気付いていたようだ。

 

 

「ちょっと!私の事を無視して話を進めるのは止めて頂けます!?」

 

「めんどくせぇヤツ……」

 

「なっ!?」

 

「…疲れてんだからさっさと宿舎に戻るとしよう……」

 

「ちょ、ちょっと!?お待ちなさい!」

 

 

 放置され面白くないダージリンの声はトーンが1オクターブ跳ね上がったが、隠す事なくぼやいたアンチョビは言葉通り相手にするのが面倒になり、あまりの事に目を白黒させる彼女を置き去りにして再び宿舎に向けて歩き始めたのであった。

 

 

 

 

 

 一人ヒステリックに騒ぐダージリンを無視するように宿舎に辿り着いた一行は、翌日の帰艦準備に備え早々にそれぞれの部屋に散って行く。

 何しろ母艦が母港入りし陸路で帰艦する聖グロを除き、各校サンダースが投入した2機のスーパーギャラクシーで帰投せねばならず、さすがに今夜は早く床に就きたかったようだ。

 しかし昨夜に続き疲れ切っていたアンチョビには、残念ながらその夜ベッドに倒れ込み深い眠りに就く事は許されなかった。

 何故なら前夜彼女からおあずけを喰らい辛抱堪らん状態にあったまほが苛烈な突撃を敢行し、その圧倒的な火力を前にアンチョビは成す術もなく蹂躙されてしまったのだ。

 

 

「ちょ────っ!おま────っ!にしずみ────────っ!」

 

「お、オマエが悪いんだぞぉ!可愛いのにそんなエッチな化粧しやがってぇ!」

 

「このどアホ──────っ!むぎゅ!」

 

 

 部屋に戻るなりがぶり寄りで一気にベッドまで押し切られ、勢いそのまま押し倒されたアンチョビが鼻息荒く圧し掛かるまほに激しく抵抗する。

 しかしその程度の事で理性のリミッターが吹き飛んだ西住製重戦車まほ型が止められるはずもなく、パステル系のピンクにグロスを重ね艶めかしく輝く唇を荒々しく塞がれていた。

 

 

「ハァハァ…可愛い……本当に可愛いぞ安斎……♡」

 

「に、にしずみ…そ、そこは……あ♡」

 

 

 エキシビションマッチ参戦記念の笠女の制服姿のアンチョビはまほの目に新鮮に映り、そんな彼女の組み敷かれ身悶える姿が一層まほの征服欲を刺激する。

 その一方でアンチョビもまた激しく抵抗するが、まほと同様にメイクを施され笠女の制服を身に着けた彼女の姿に、下腹の奥が熱くなって行く事を自覚していた。

 

 

「なんて…なんて柔らかい唇なんだ……これは私だけのものだ……」

 

「あ…ん……にしずみ……♡」

 

 

 再度唇が重なり舌が絡み合うと、湿り気を帯びた淫靡な音色が室内に響く。

 

 

「誰にも渡さない…全て私のもの……」

 

「や…ダメ……そんな……♡」

 

 

 唇を重ねたまま、まほの手は次々とアンチョビの身に着けた制服を剥ぎ取って行き、露になった肌に一層欲情した彼女はその肌に舌を這わせて行く。

 

 

「安斎…あんざい……千代美……♡」

 

「西住…にしずみ……まほ……♡」

 

 

 一旦火が付いた若い情欲を止める術などなく、二人はそのまま深く深く溺れて行く。

 結果その夜アンチョビは空が白み始める頃までまほの仕掛けた電撃戦に翻弄され、彼女の欲望の赴くままに全身くまなく攻め立てられ、それこそ腰が抜ける程何回も連続で白旗を揚げ続ける事になったのだった。

 

 

『…今日は朝から忙しいってのに結局こうなってしまった……ま、私も本気で抵抗したかと言われると返答に困るがな……』

 

 

 徐々に空が明るくなり始め隣で寝息を立てるまほの表情も充分見て取れるようになった頃、疲れ切っているにも拘わらず寝付く事が出来なかったアンチョビは、呑気なまほの寝顔を見ながらぼんやりと考え事をしていた。

 

 

『ダージリンの所は輸送車で陸路横浜まで戻ると言ってたが、それ以外は今日もケイ達に苦労を掛ける事になるな…アイツ等ちゃんと寝た……訳ないよなぁ……』

 

 

 自分ですらこのざまな事を考えれば他の連中も素直に寝たとはとても思えず、果たして今日中に帰艦する事が出来るのかとアンチョビは急に不安を覚えたのであった。

 

 

『だがこれで帰艦すれば後はいよいよ卒業を待つのみか…いや、その前にもうちょっと装備の方を強化出来ないかなぁ……?今回のエキシビジョンマッチでペパロニが相当稼いだようだが、それで多少上乗せが出来るかな……?』

 

 

 試合後も当のペパロニが次の企画の為に笠女の給養員学科の生徒達と打ち合わせを続けていたので、アンチョビは今回の売り上げの正確な数字をまだ知らなかったのだ。

 

 

『帰ったら卒業までに発注出来るものは発注しておきたいがさてどうなる事やら…後やっておかねばならないのは……あ、寮の自分の荷物纏めておかないと引っ越し屋さんに迷惑かけるぞぉ!ヤバい!帰ったら早々に準備しなきゃ!』

 

 

 決して広い部屋ではないが三年も暮らせば私物の量もそれなりに増え、彼女の場合恋愛小説の文庫本が結構な数に達していたので、それらを早めに梱包しておかなければ退寮日にエライ事になるのが目に見えていた。

 

 

『確か引っ越し屋さんが荷物を取りに来るのは卒業式の前日だったな…必要最低限身の回りの物だけ残して、後はそれまでに梱包しておかなきゃいけないな……それ以外にやる事は……ペパロニとカルパッチョに引継ぎは大体済んだし、戦車道関連の事はほぼ大丈夫か……』

 

 

 まほの寝息を聞きながらアンチョビは指折り数えながら、卒業までにクリアせねばならない問題を一つ一つピックアップして行く。

 その度に彼女の脳裏にはこの三年間が思い出され、辛かった事楽しかった事の全ての思い出に何とも言い難い感情が胸の中を満たして行くのを感じていた。

 

 

『いや、一番厄介な問題が残ってるじゃないか……!』

 

 

 それまでは身体の奥に残る火照りと倦怠感に、何処か気だるげな表情でベッドに身を沈めていたアンチョビであったが、ある事に気付いた途端眠そうだった目を大きく見開き跳ね起きていた。

 

 

「う…ん……なんだ?どうした安斎……?」

 

 

 彼女が跳ね起きた反動でベッドが波打ち目を覚ましたまほは、寝惚けまなこですぐ目の前で身を起こし何やら考え込むアンチョビの白く美しい背中をぼんやりと見上げている。

 

 

「あぁスマン、起こしてしまったな……」

 

「…もう夜が明けたか……それより一体どうした……?」

 

 

 アンチョビが肩越しに振り向けばそこにはまだ眠たげな様子で、大きく伸びをしながら身を起こすまほの姿があった。

 

 

「一つ帰艦前に片付けておかねばならない重要な問題を思い出してな……」

 

「重要な問題……?」

 

「あぁそうだ……」

 

 

 背を向けたまま何かを真剣に考え込むアンチョビがまほの声に一つ頷くと、彼女の長い緑の髪がそれに合わせ揺れる。

 

 

「…それはもしかするとラブに関する問題か……?」

 

「さすが話が早いな…そうだ、その通りだ……幸い関係者が揃っているから帰艦前に打てる手を打っておこうと思うんだ……ただこれは後輩達に厄介事を押し付けるというか、目一杯頼る事になるから何とも心苦しいんだがな……」

 

 

 多少寝惚けてはいてもアンチョビが何を考えているか言い当てたまほに、アンチョビは振り向く事なく苦みの混じった声でそれだけ答えると、ベッドから降り身支度を整えるべくシャワールームへと向かって行った。

 

 

「安斎……」

 

 

 一糸纏わずベッドから抜け出したアンチョビの後ろ姿と差し込む朝日に輝く彼女の髪の美しさに、大きく息を呑んだまほは彼女の姿がシャワールームに消えるまで見惚れていた。

 

 

 




久しぶりのサービス回な気がしますw

まほ達が卒業すると今度はみほやエリカ達が、
本格的にラブに振り回される事になりますww
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