ガールズ&パンツァー 恋愛戦車道   作:肉球小隊

246 / 309
卒業目前で皆忙しい中、知らぬは本人ばかりなりなラブはやりたい放題ですw


第百十話   立つ鳥達の旅支度

 

「ちょっとまほぉ…アンタ一体どんだけ溜まってんのよ……?折角昨日磨いてあげたのにさ、千代美ったらすっかり干からびて干し芋みたくなってるじゃない……」

 

「…誰が干し芋だ……」

 

 

 まだ早朝と言って差支えのない時間帯にも拘らず、笠女の学食は朝練上がりの体育会系の部に属する生徒達が朝食を取る為に詰めかけていた。

 そして旺盛な食欲を見せる笠女の生徒達でごった返す学食の一角には、帰還作業で忙しくなる前に朝食を済ませてしまおうとテーブルを囲むアンチョビ達の姿がった。

 だがそこには当然のような顔で彼女達と共に朝食をパクつくラブの姿があり、疲れた様子など毛ほども感じさせぬ彼女は運動部の生徒達に負けず劣らずな食欲を発揮していた。

 更に彼女は朝食を取りつつもまほを揶揄う事に余念がなく、今もまた目の下に隈の浮くアンチョビをネタにして煙たがられていたのだった。

 

 

「た、溜まってるって人を盛りの付いた犬か猫みたいに言うなぁ!」

 

「違うの?あ…キスマーク……」

 

 

 いきり立って言い返すまほを軽くあしらったラブは、如何にも今気付いたといった感じで隣りに座るアンチョビの首元を覗き込むと、呆れたようにぼそりと呟いた。

 すると瞬間的に顔を赤くしたアンチョビはポロリと手にしていた箸を取り落とし、慌てて覗き込まれた首元を隠した。

 まほもお替りするつもりで持ち上げかけていたメラミン製の丼ぶりサイズの茶碗を、何度かお手玉してから落っことしカランコロンと盛大に騒音を発生させたのだった。

 

 

「ウソよ♪」

 

『ぶふっ!』

 

 

 二人の見事なまでの狼狽ぶりに満足したのか、ラブがあっさりと自分が嘘を吐いた事を自供すると、それまでラブに絡まれぬようカロリー摂取に努めていた者達が一斉に咽込んでいた。

 

 

「お、オマエなぁ!」

 

「★@Ё㎡βΩÅ!」

 

 

 まんまとラブの誘導に乗ってしまい真っ赤な顔でアンチョビは怒鳴り、怒り過ぎて過呼吸気味なまほはラブに突き付けた指を小刻みに震わせながら口をパクパクさせ、まるで言葉になっていない獣の唸り声を上げている。

 

 

「何よ図星~?」

 

「くっ…コイツ……」

 

 

 してやられた悔しさに耳まで赤くして唇を噛み締めるアンチョビであったが、この手の事はラブの方が一枚上手な上頭に血が上っている状態では言い返す事もままならず、只恨めし気に睨み付けるのが精一杯だった。

 

 

「いやぁ()()()()()のジョークは相変らず容赦がないねぇ」

 

「That's right!その通り、昔っからああなのよね~」

 

「何よアンジー、それどういう意味よ~?」

 

 

 朝っぱらからバカップル全開で朝食を共にするケイと杏だったが、何か含みがある時のちゃん付けにラブもわざとらしく頬を膨らませる。

 

 

「キシシ♪別に深い意味はないって」

 

 

 そもそものきっかけはみほの大洗転校とその後の一連の騒動にあるが、友人関係が戦車道ズブズブなラブにとって杏のような存在は新鮮らしく、彼女との普通の友人関係をラブは結構楽しんでいた。

 

 

「ねぇ!あの二人いつからあんな感じなの?やたら仲がいいように見えるんだけど?」

 

「さあ?大洗戦以降じゃないのかしら?」

 

 

 ラブと杏が友人関係を築いた細かな経緯を知らぬカチューシャは、二人の10年来の友人のような掛け合いに怪訝な顔をするが、彼女と同程度の事しか知らぬダージリンの答えはにべもない。

 

 

「その辺りの事はナオミの方が詳しいのではなくて?」

 

「そうですね、今ここにいる中で一番事情を知っていそうなのはナオミでしょう」

 

「ちょっと待て!何で私なんだよ!?」

 

 

 杏とバカップルの盛りなケイと付き合いは長いが、たったそれだけで話を振るアッサムとノンナにナオミは面倒そうに顔を顰める。

 しかしその二人も特に何か答えを期待している訳ではないらしく、互いに視線を交わし薄い笑みを浮かべるだけでそれ以上は何も言わなかった。

 

 

「ったくどいつもこいつも……」

 

 

 二人の態度に思わず悪態を吐くナオミだったが、彼女も内心では二人の好奇心の矛先が自分とアリサの関係に向かなかった事に胸を撫で下ろしていた。

 そしてケイが杏を連れ回すのと同じように、アリサを彼女達の前に引っ張り出さなかった自分の判断は正しかったと確信していたのだった。

 

 

『そういやケイのヤツも昨日は朝飯の後、角谷がイジられる前に巧い事逃がしてやがったな……』

 

 

 もし杏が昨日一日行動を共にしていたとすれば、彼女がラブのオモチャにされていたのは確実だとナオミは今になって気付いたが、ケイは昨日の段階でそれは予想済みであったらしく、朝食後暫くして彼女はそうと知れる前に杏を大洗勢の下へと逃がしていたのだ。

 

 

「コイツもサンダースで隊長を張るだけあって抜け目ねぇよな…って、アレ…メグミか……?オイオイ、何だよあのざまは……?」

 

 

 胸の中の呟きが途中から声に出ていたナオミの視線の先には、朝から極めてご機嫌な結依に手を引かれるメグミの姿があった。

 

 

「メグミ……?Ah…昨日ガッツリ磨き上げられたのにもうヨレヨレじゃないのよ、あんなんで本当に今日は飛べるのかしら……?」

 

 

 メグミの名に反応したケイがナオミの視線を追えば、そこには結依に手を引かれるままにフラフラと歩くメグミの姿があった。

 

 

「Heyラブ!メグミと結依の関係って何処まで進展してんのよ?もういい加減行くトコまで行ってやる事やってんでしょ?」

 

「ホント下品なんだから…結依ちゃんはその辺とてもガードが硬い子よ?私だってそんな事知らないわ……ケイ達こそメグミさんから何も聞かされてないの……?」

 

 

 ケイの捻りもへったくれもないストレート過ぎるもの言いに顔を顰め呆れるが、ケイの方は下卑た笑みでゲスの勘繰りを止める気配がなかった。

 

 

「それがさ~、メグミのヤツも結依との事に関しては頑として口を割ろうとはしないのよね、そのうち尾行でもして現場押さえてやろうかしら?」

 

『鬼畜か……』

 

 

 隣にパートナーがいるにも拘わず、平気でゲスい事を言うケイをダージリンなどはあからさまに蔑みの目で見るが、長崎のAP-Girls戦の際の恨みからかメグミ相手となると一切容赦のない彼女は、そんな視線などものともせずニヤニヤと笑い続けていた。

 

 

「あのねぇ…結依ちゃんは正真正銘超の付くお嬢様なの!馬鹿な事考えて下手にちょっかい出すとマジで痛い目見る事になるわよ……?」

 

「それってどういう意味よ?」

 

「言った通りよ」

 

「だから──」

 

「Curiosity killed the cat…好奇心は猫を殺すって言うでしょ?……これ以上は個人情報よ」

 

 

 更に食い下がろうとするケイであったが、スッと真顔になったラブは真っ直ぐに彼女の目を見ながら低く抑えた声で警告した。

 

 

「イギリスの諺…ダージリンか……?」

 

「ダージリンですね」

 

「今の喋り方もダージリンっぽいわ!」

 

「もう!今言おうと思いましたのに!」

 

「あ、ゴメ~ン♪」

 

『ぶふっ!』

 

 

 だがラブにお株を奪われた挙句周りの言いたい放題にダージリンがキレると、それまでの硬い表情を一変させたラブはヘラっと笑いながらダージリンに向かってペロッと舌を出していた。

 しかし彼女のそんな態度は火に油を注ぐだけで、ダージリンは一層機嫌を損ねるだけであった。

 

 

「おいラブ、後々面倒だからお前もあまりダージリンで遊ぶんじゃない」

 

「ま、まほさん!?」

 

 

 さも困ったヤツだと言いたげな顔のまほがラブを窘めるのかと思いきや、いつも通りの真面目くさった口調で彼女にディスられたダージリンは、唖然として酸欠金魚のように口をパクつかせる。

 

 

「いやいや、冗談はともかくさ──」

 

「角谷会長あなたまで!?」

 

「わたしゃもう会長じゃないよ……」

 

 

 それまで流れるような足の引っ張り合いをもの珍し気にキョロキョロと見ていた杏が口を挿むと、彼女にまで冗談扱いされた事でダージリンはすっかり打ちのめされてしまうのだった。

 

 

「え~っと話を戻そっか…家柄がどうとかは知らないけどね、木幡ちゃんの頭の良さ……この場合頭の回転の速さかな?とにかく彼女の頭の切れの良さは只事じゃないからねぇ……相手にそうと気付かれぬうちに、ドツボにはめて完全に詰ませるくらいの事は造作もないんじゃないかな~?」

 

 

 ラブがケイに与えた警告の意味が解らぬ杏ではないが、それでも彼女は自分なりの分析結果を公表する事を止めようとはしなかった。

 

 

「Wait a sec!ちょい待ちアンジー!結依ってそんなに頭いいの?」

 

「あれは単に頭がいいとかそんな単純な話じゃないんだよねぇ…少なくとも私なんかじゃとてもとても太刀打ち出来る相手じゃないよ……」

 

 

 実際杏の推測通り結依の成績はずば抜けて高く、トータルの評価ではラブを上回っていた。

 理数系及び外国語や芸術などの分野に於いては異次元レベルの才能を発揮するラブであったが、仲間内でも脳味噌アメリカ人と揶揄される彼女は国語力にやや難があり、そちら方面の成績がかなり残念なものであったのだ。

 だがそれこそ個人情報であり、結依の事も含め、ラブはそれに関しこの場で言及するような真似はしなかった。

 

 

「Really!?それマジで言ってんの!?」

 

 

 彼女の頭の良さを知っているだけに、杏の結依に対する評価があまりに高い事にケイは驚きを隠せず、他の者達も顔を見合わせては杏の話を何処まで信じていいかと首を捻っている。

 この時唯一表情を変えなかったのはラブだけであったが、その事に気付いたのは他でもない皆を驚かせた杏だけであった。

 

 

「ウ~ム…そういえば我が校(黒森峰)の生徒会長も木幡君の事を只者ではないと評してはいたが、まさかそこまでとはな……」

 

 

 俄かには信じ難い話ながらも杏の結依に対する人物評を補足するようにまほが呟きを漏らすと、さすがにこれは杏の話を信じるしかないと顔を見合わせていた者達も考え始めた。

 

 

「話は終わった~?なんか黙って聞いてればウチの結依ちゃんの事好き勝手言ってたけどさ~」

 

「あ、ゴメン……勿論木幡ちゃんがそんなことする子じゃないのは解ってるよ」

 

 

 つい謎多き笠女の美少女生徒会長の事でアレコレ語ってしまった杏は、若干据わった目と呆れの混じった声でラブが割って入ると、へにょっと眉を下げた杏は慌ててペコリと頭を下げたのだった。

 

 

「アンタ達も程々にしなさいよね~、じゃないとマジ猫の立場になるわよ?~」

 

 

 気だるげな声のラブに軽くひと睨みされると、嵐が過ぎ去るのを待つように全員が首を酌める。

 

 

「さて、それじゃ私は行くわ…今夜のステージの事でちょっと打ち合わせがあるのよ……1便目で帰るのはカチューシャとノンナだったわね?フライト前には終わるから空港で会いましょ……あぁそれからケイ、あんまメグミさん虐めちゃダメよ?あんな素敵な先輩中々いないわよ~?」

 

「解ってるわよ……」

 

 

 前夜の仲間内のみに公開したシークレットライブに続き、一般向けに新設校リーグ戦優勝記念ライブを行うラブ達AP-Girlsは、笠女学園艦に滞在する者達の相手をする間もステージの準備に追われていたのだった。

 だがその忙しさなど微塵も感じさせぬラブは言うだけ言うとトレイを手に立ち上がり、そのまま振り返る事なく立ち去って行った。

 

 

「行ったか……」

 

「あぁ…しかし二夜連続でライブだって?アイツ等本当に大丈夫なのか……?」

 

 

 立ち去るラブの背中を見送り彼女の姿が見えなくなると、用心深い仕草でそっと周囲を見回したアンチョビが短く呟きを洩らした。

 そしてそれに応えるように呟いたまほもまた、警戒するように周囲に気を配っていた。

 

 

「その様子ですとまた何か厄介な話があるようですわね?」

 

 

 二人が小声で呟き合うより少し前、ダージリンはアンチョビがラブを目で追い始めていた辺りから注意深くその様子を観察していたようであった。

 

 

「コイツもこういう所だけはよく見てやがるな…元々ラブがいなけりゃ朝食を取りながら話すつもりだったんだよ……まぁ確かに厄介事なのは確かだが、それはどちらかと言うと私らじゃなくて後輩達にとっての話になるな」

 

「後輩達…どういう事ですの……?」

 

 

 何となく察しは付く、だがそれでも問わずにはいられないダージリンは、やや険しい表情でアンチョビの方に向き直ると鋭い目付きで彼女の事を見据えていた。

 

 

「お察しの通りラブの事で間違いはない…けどそんな深刻な話ではないよ……ただこれに関しちゃ後輩達に頼る事になるから、それがどうにも不甲斐なく思えるってだけの事なんだ……」

 

「……?」

 

 

 話の見えないダージリンは怪訝な顔をするが、それは他の者達も同様だった。

 

 

「とにかく関係者が全員揃ってる今が一番都合がいい、詳しい事は後で説明するから私がピックアップした連中を集めよう……人数は多くないが帰艦してしまうとまた集まるのは大変だからな」

 

「やはり黒森峰が一番人数が多いな…この時間なら多分全員一緒にいるだろう……」

 

「もしもし?えぇおはようルクリリ…ちょっとお待ちになって……それで何処に集合させればいいんですの?」

 

「ったくこういう時は本当に話が早い……そうだな、昨日の眺めの良いカフェに1時間後にしよう」

 

 

 アンチョビがまほと話を進めるうちに携帯でルクリリを呼び出していたダージリンは、彼女が出てからその後の算段を訪ねていた。

 

 

「解りました……もしもし?あぁ御免なさいね──」

 

 

 周囲の声を拾わぬようマイク部分を手で覆ったダージリンがルクリリ相手の通話を再開すると、まだ全く話の見えていないカチューシャの機嫌がみるみる悪くなり始めた。

 

 

「ちょっと!私にも解るように説明──」

 

「そういう事ですか…ですがこの件に関しては残念ながら、我がプラウダとサンダースは蚊帳の外になりますね……」

 

「ノンナ!?どういう事よ!?」

 

 

 訳が解らずクワッと牙を剥くカチューシャに、ノンナは慈愛の笑みを浮かべつつも時間優先と前置きして全てはラブの為と彼女に騒がぬよう言い置いた。

 

 

「ウチも蚊帳の外…ってあ~、そういう事かぁ……」

 

「そういう事…あぁ成程な……」

 

 

 漸く話が見えたらしいケイとナオミも、ノンナの蚊帳の外という言葉の意味を理解すると、その表情が悔しさの混じった苦いものになった。

 

 

「おいおい、気持ちは解るがお前達にも同席して貰わんと話にならんからな?」

 

「解ってるわよ…それよりあのカフェ結構遠いから早く移動しないとマズくない……?」

 

「それでしたら大丈夫、循環バスの路線と時刻表は調べておきました」

 

「アッサム…いつの間に……」

 

 

 いつの間に用意していたのかアッサムは愛用のノートパソコンで、笠女学園艦内を縦横に走り回る循環バスのサイトにアクセスし自分達がどのバスに乗ればよいかを調べ上げており、その手際の良さにアンチョビも舌を巻いていた。

 

 

「フム…私はエリカとみほに連絡しておけば大丈夫だろう……」

 

「あ、それならみほに言って彼女も連れて来てくれるように頼んでくれ」

 

「彼女…あぁそうか……でもそれなら安斎の所のカルパッチョ君に頼んだ方が確実じゃないのか?」

 

「…言われてみれば確かにそうだな……」

 

 

 互いに頷き合ったアンチョビとまほは、それぞれ懐から携帯を取り出し電話をかけ始める。

 

 

「う~ん…こりゃあ一体何の騒ぎだい……?」

 

 

 ラブが姿を消すと俄かに自分には解らぬ話が急展開し、付いて行けない杏は独り眉尻を下げたまま頬をポリポリやっている。

 

 

「Sorryアンジー、けどこれだけは帰る前…ううん、卒業前にやっておかなければいけない事なの……私達これから行く所があるんだけどアンジーは──」

 

「や~解ってるって、()()()()()の為っしょ?私はこの後河島と小山と一緒にお土産買いに行くつもりだから気にしなくていいよ」

 

「アンジー……」

 

 

 ケイに後ろめたさを抱かせぬよう敢えていつもの軽い口調でそう言った杏は、ケイに向かってお道化た仕草で右手をパタパタと振って見せた。

 

 

「よっと……それじゃ私行くからまた後で~」

 

 

 杏も今のやり取りである程度の察しは付いているらしく、自分が出る幕ではない事を充分に理解しているようであった。

 そして有言実行とはこの事とばかり杏は勢いよく椅子から立ち上がると、自分とケイの分のトレイを器用に両手で持ち、軽い足取りで返却コーナー目指して立ち去って行った。

 

 

「角谷には気を遣わせてしまったな…これは後で何か埋め合わせを考えないといかんなぁ……」

 

「大丈夫よまほ、アンジーも事情は大方察しが付いてるみたいだし、何よりこの程度の事でわだかまりを持つような事はないから……それより私達もマジ急ぎましょ、hurry up!ね」

 

 

 最後の方は惚気だろと思いつつもケイに急かされ席を立った一同は、アッサムが調べておいた最寄りのバス停から循環バスに乗り込みカフェを目指したのだった。

 

 

 

 

 

「いや、だからひなちゃん!さっきの電話はドゥーチェからの呼び出しでしょ?何で私まで一緒に行かなきゃいけないのさ!?」

 

「あら、カルパッチョでしょ?それとも私もたかちゃんって呼んだ方がいいのかしら?」

 

「そういう事じゃなくて!」

 

 

 ラブの配慮という名の大きなお世話で笠女滞在中は部屋を共にしたたかひなコンビは、朝食を取る為学食に向かう途中アンチョビから召集を受け、予定を変更しそのままカフェへと向かっていた。

 しかしアンチョビからカエサルも連れて来いと言われた事に合点が行かず、かなり強引に手を引くカルパッチョにカエサルは抵抗を続けていたのであった。

 

 

「あぁ来たわね……」

 

「おはよう…まだ二人だけ……?」

 

 

 カルパッチョとカエサルがカフェに辿り着くと、そこには既にエリカとみほの姿があった。

 

 

「いや、小梅と直下なら一緒に来てあそこで飲み物買ってるわ」

 

 

 エリカが指差したカウンターにカルパッチョが目を向けると確かにそこには二人の姿が見え、何やらオーダー中である事が遠目にも確認出来た。

 

 

「それじゃまだ来てないのはルクリリだけ……?」

 

「あぁ、言ってる傍から来たみたいよ……」

 

 

 言われたカルパッチョがたった今自分達が入って来た店の入り口へと目を向ければ、そこには駆け足気味に入店して来るルクリリの姿があり、彼女もまた迷う事なく一直線にエリカ達に下へとやって来たのだった。

 

 

「スマン遅くなった…出際にまたローズヒップのヤツがバカやりやがってな、説教してたら一本バスに乗り遅れてしまったんだ……」

 

「問題ないわ、私達も来たばかりだし先輩達はまだ来てないから……」

 

「そうか、なら良かった……」

 

『うぅ…何このメンツ……イヤな予感しかしないんだけど……』

 

 

 それは古い馴染み同士のいつもの会話だった。

 だがこの場で只一人自分が異物であると自覚するカエサルは、何とも形容し難い居心地の悪さのようなものを感じていた。

 

 

 




ここに来てカエサルには災難以外の何ものでもない展開がw
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。