ガールズ&パンツァー 恋愛戦車道   作:肉球小隊

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今回もダー様がキレてますw


第百十六話   Working Girls

「そうだ英子、西さん…知波単の件は私に任せてくれる……?決して悪いようにはしないから」

 

 

 実質彼女のプライベート機と化している観測ヘリ、ニンジャの愛称で呼ばれるOH-1の飛行前点検を終えた亜美はコックピットに乗り込む直前、不意に足を止め振り返ると英子に向かい少し反応を窺うように彼女の後輩と母校の名を口にしていた。

 

 

「亜美!」

 

 

 それを聞いた英子は何故それをと驚き、大きく目を見開き顔を強張らせる。

 

 

「私は教導教官よ?その程度の事把握出来てなかったらとてもじゃないけどこの仕事は務まらないわ…大丈夫、戦車道が係わる問題だから教官である私が口出ししても問題にならないわ……ただちょっと英子の名前も使わせて貰うかもしれないけどいいわよね……英子?」

 

 

 らしくなく固まったまま何も答えない英子に亜美も少し困惑し彼女の顔を覗き込めば、それで漸く我に返った英子も慌ててそれに応えた。

 

 

「も、勿論だ!私なんかの名でよければ幾らでも使ってくれ!しかし何処からこの話を……?」

 

「蛇の道は蛇ってやつよ、その程度の情報は黙ってても私の耳に入って来るの」

 

「…まさか別班……」

 

「おバカ!んな訳あるか!」

 

 

 虚実入り乱れて噂話ばかりが飛び交う陸自の情報機関の組織名を出しかけた英子を、亜美はさも呆れたように叱り飛ばす。

 

 

「スマンつい……」

 

「物騒な大砲ぶっ放す以上、良からぬ考えを持って戦車道を履修する子供に近付く不心得者も多いのはアンタだって知ってるでしょ?その辺も含めて監視する為の情報網はちゃんとあるわよ……とにかく今日はこのまま知波単に飛んで、馬鹿な事を仕出かさぬよう釘を刺しておくから安心なさい」

 

 

 与太話はここまでと亜美は表情を一変させ切れ者の自衛官の顔に戻ると、英子もまた顔を引き締め直立不動の姿勢を取った。

 

 

「頼む!今回のこの事態の遠因というか一端は私にある…絹代の窮状を救う為なら私の名前で何をやっても構わん、どうか将来有望な絹代を守ってやってくれ……」

 

 

 いつも亜美を怒らせてばかりいる彼女からは想像も付かぬ真摯さでそこまで一気に言った英子は、45度上体を傾ける最敬礼で亜美に向かって頭を下げていた。

 現役時代『上総の大猪』や『鬼敷島』などと恐れられ、隊長として挑んだ全国大会では敗れこそしたが黒森峰をあわやという処まで追い込んだ英子の武勇伝は、皮肉な事にその後の知波単の悪しき伝統に一層拍車を掛ける結果を招いていたのだ。

 その事で痛切に責任を感じている英子は、同時にそれが原因で辻つつじのシンパのような存在を生み出してしまった事にその胸を痛めてもいた。

 

 

「そういうのいいからとにかく私に任せて……っと、後がつっかえるからもう行くわ」

 

 

 頭を下げたまま彫像のように動かぬ英子に面倒そうに手をヒラヒラさせた亜美は、その手を軽く上げるとそのままニンジャに乗り込み管制の指示の下横須賀の空に舞い上がって行ったのだった。

 

 

『まだやってる…やっぱり英子は陸自(ウチ)に欲しかったな……』

 

 

 飛び去り際機体を軽くバンクさせ英子の様子を確認した亜美は、彼女が再び最敬礼しているのを認め、自身が自衛官を志した当時の事を思い出していた。

 警官一家の家に生まれ警官になる事が運命付けられていた彼女を、自衛隊に誘うのは不可能である事はまだ学生であった自分でも解っていた。

 実際警官となった英子は瞬く間に頭角を現し、おそらくは初の女性警視総監になるであろうというのが組織内でも有力な意見であった。

 ただ亜美は英子の性格が警察より自衛隊向きであると、戦車乗りの本能で見抜いていたようだ。

 

 

「いけないいけない…今は仕事に集中しなきゃ……」

 

 

 三浦半島にある横須賀から飛び立った亜美は軽く頭を振り雑念を追い出すと、対岸に当たる房総半島に停泊中の知波単学園の学園艦に向け舵を切ったのだった。

 この日笠女からそのまま知波単に乗り込んだ亜美は、辻更迭後戦車道の履修を放棄した三年生を一堂に集め、彼女にしてはやや高圧的な態度で強烈な一撃を見舞っていた。

 彼女自身もそれがあまり褒められたやり方ではない事を自覚していたが、今は非常事態であると割り切り知波単の生徒にとって一番効果的なやり方で彼女達を封じ込めたのだ。

 縦割り社会の縮図ともいえる知波単学園の生徒にとって先輩というのは絶対な存在だが、亜美はそれを逆手に取り辻のシンパ達に対し彼女達が最も返答に窮する問いを突き付けた。

 当初亜美に対しても開き直った強硬な態度を見せていた彼女達も、『諸先輩方の顔を潰すつもりか?』という縦割りを当然と受け止め上の言う事が絶対である人種に最も効果的な一撃を見舞い、目を白黒させているちに一気に畳み込んだのだ。

 この時彼女は全国大会の舞台で敗れたとはいえ、黒森峰をあわやという処まで追い込んだ英子の名を諸先輩の下りの部分で殊更強調し、その苛烈な突撃で勇名を馳せる英子を半ば神格化していた者達はすっかり意気消沈し、知波単学園最大の危機はギリギリの処で回避されたのであった。

 

 

 

 

 

「さて…ボチボチ行くとするか……」

 

「行くって何処へ?今度は何を企んでいますの……?」

 

「人聞き悪いわね…何でアンタは直ぐそうやって人を悪者に仕立て上げようとするワケ……?」

 

 

 しほ達の乗るバートルと亜美が自ら操縦桿を握るニンジャが笠女学園艦のヘリデッキから飛び去り暫く経った頃、ラブはスーパーギャラクシーとスーパースタリオンが離発着を繰り返すのをぼんやりと眺めていた。

 時折見せる気だるげなその表情は非常に近寄りがたい印象を与え、こういう時彼女に声を掛ける事が出来る者は中々おらず、大概は距離を置いて様子を窺う程度の事しか出来なかった。

 それからまた少し時間が経過し展望デッキ併設のカフェがランチタイムに向けその準備を始めた頃、不意に目覚め感情がもどったように表情を変えたラブは、グッと重装甲なたわわを突き出すように伸びをすると、時計を確認しながらやや唐突な呟きを洩らしたのだった。

 だがその唐突な呟きを耳にしたダージリンは禅僧のように閉じていた目を開き、言葉の端々に棘のある口調で詰問を始め、彼女のあまりの被害妄想の強さにラブも呆れていた。

 

 

「この女狐が……」

 

「何か言った……?」

 

「別に何も……」

 

「…まぁいいわ……それよりダージリンはあの光景を見て何とも思わないの?私はこれからあそこで汗水流して駆けずり回る働き者達を労いに行くの、今ならケイもメグミさんも戻って来てるから丁度いいわ……なんならアンタ達も一緒に行く?どうせ輸送車来るまでヒマなんでしょ?」

 

「クッ……」

 

 

 図星を突くラブの事を忌々しく思いながらも、事故渋滞に巻き込まれいつ到着するとも知れぬ輸送部隊を待つダージリン達が暇を持て余しているのは事実だった。

 故に他にやる事のないダージリンは如何にも渋々といった態度で席を立つと、機嫌の悪さを隠そうともせずラブの後を追い展望デッキを後にしていた。

 

 

 

 

 

「ちょっとお待ちなさい!あなた達一体何処に行くつもりですの!?」

 

「何処って働き者達を労いに行くってたった今言ったばかりじゃない……」

 

 

 ラブの後を追い展望デッキから空港施設内を移動し始めたダージリン達であったが、ラブも彼女に付き従うAP-Girlsもスーパーギャラクシーが駐機している駐機スポットではなく、まるっきり逆方向へと進んでいる事にダージリンは気が付いていた。

 ところが彼女がその事について言及すると更に呆れたように言いながら、もしかしてもうボケたのかしらと憐みの視線を向けたのだった。

 

 

「だからそういう事では──」

 

「あここよ、着いたわ」

 

 

 ダージリンの言う事などまるっきり耳に入らぬかのように振舞うラブは、立ち止まった目の前にあるドアを指差すと四回ノックしてからその部屋に入って行った。

 

 

『ああいう処はやはりアメリカ育ちですわね……』

 

 

 それは普段であれば気にも留めないような小さな事かもしれないが、ダージリンはラブが四回ドアをノックしたのを見て、彼女の日常的な立ち居振る舞いが日本人のそれではなく、欧米人のものである事に気が付いていた。

 何故今そんな事に目が行くかといえば、それは彼女がラブにやられっぱなしなのが悔しくて、何か反撃の糸口がないかと無意識のうちに観察していたからだった。

 

 

「何やってんのよ、アンタ達も早く入りなさいってば」

 

「…全く勝手なんだから……って、ちょっと!何をいきなり服を脱いでいるんですの!?」

 

 

 ブツクサと文句を言うダージリンがラブとAP-Girlsに続いて入室すると、そこは更衣室なのか櫛型に細いスチール製のロッカーがずらりと並んでいた。

 そしてダージリンが入室するなり目にしたのは、ロッカーとロッカーの間に置かれた長椅子に腰を下ろし、愛に制服のブレザーを脱がせて貰うラブの姿であった。

 

 

「何って仕事着に着替えるからに決まってるでしょ?」

 

「仕事着……?」

 

 

 話に全く付いて行けないダージリンが少々間の抜けた顔でぼんやりしていると、愛に手際良く制服を脱がされ上半身はブラ一枚のみになったラブが軽く手を打ち、ボケ面で立ち尽くすダージリンにハッパを掛けるように急かして来た。

 

 

「ホラ!何呑気に構えてんのよ!?時間ないんだからサッサと着替える!」

 

「着替え……?」

 

「そう!着替え!ロッカーに用意してあるから急ぎなさい!」

 

 

 この時既にミニスカートも脱いでいたラブがビシッと指差したロッカーを見れば、そのドアにはダージリンと記されたプレートが貼られていた。

 

 

「いつの間にこんな物を……」

 

 

 更によく見れば他のロッカーのドアにもアッサムを始めとするティーネームの入ったプレートが貼ってあり、それらを見て呆然としたダージリンが振り返ると、彼女の視界は直ぐ目の前に立つラブのたわわを包む大人ブラに塞がれていた。

 

 

「近っ!って、ラブ!あなた高校生のクセに何てデザインのブラ着けてんのよ!?」

 

 

 そのあまりに桁外れなサイズと、自分では着ける事すら躊躇われるようなアダルト且つ際どいデザインのラブのブラにカチンと来たダージリンは、何の躊躇もなく目の前で揺れるたわわな障害物を両手で鷲掴みにしていたのだった。

 

 

「ちょっ!何すんのよ!?私の下着が何だって!?どんな下着着ようと私の私の自由でしょ!?それともナニ?私にイチゴ柄のブラとパンツでも着けろって言うの!?」

 

「そ、それは……」

 

 

 思わずロリなデザインのイチゴ柄に包まれた超乳を想像してしまったダージリンは、危うく鼻血を噴きそうになるのを寸での処で堪えいたが、そんな彼女の脳内の事などお見通しのようにラブは軽蔑の視線をダージリンに向けていた。

 

 

「何故メイドドレス……」

 

 

 愛に促されラブは着替えを再開したが、仕事着に着替えると言っていた彼女が愛の介助で身に着けた衣装が何であるか理解した途端、ダージリンはいよいよ訳が解らなくなっていたのだった。

 

 

「これ…中々着心地が良いですわ……♡」

 

「え?あ…アッサムあなた何しれっと着替えてやがりますの!?」

 

「うふふ♡アッサムにはやっぱりこういうの似合うわね~♪」

 

 

 ダージリンが状況に付いて行けず呆けているうちに、アッサムは自分に宛がわれたロッカーに用意されていたメイドドレスに着替えを済ませており、彼女が我に返った時にはその着心地の良さに満足気に微笑みを浮かべ、踊るようにその場でクルリと一回転して見せラブを喜ばせていた。

 

 

「ねぇダージリン、聖グロでまだ着替えていないのはあなただけよ?早くしないとケイやメグミさん達を待たせる事になるんだけど……?」

 

「はい……?あっ!あなた達いつの間に!?」

 

 

 メイドドレスに着替え終えたラブは愛の手で髪を手早く結い上げられ、仕上げのホワイトブリムを装着して貰いながら、ダージリン以外の聖グロの隊員達がほぼ着替え終えている事を指摘する。

 

 

「どいつもこいつもすっかり順応しやがって……」

 

 

 ブツクサと文句を言いながらロッカーを開いたダージリンも緩慢な動作で漸く着替え始めたが、ラブを着替えさせる為に自分の身支度を後回しにしていた愛が着替えを始めると、そのスピードのあまりの速さに驚愕し目を剥くのだった。

 

 

「ウチの子らはステージの合間の衣装チェンジで慣れてるから速いわよ?さ、ダージリンも急ぎなさいマジで時間ないわよ?」

 

「解ってますわ!…サイズぴったり……」

 

 

 急かすラブに噛み付き返しながらメイドドレスに袖を通したダージリンは、スリーサイズを教えていないのにも拘らず、用意されたメイドドレスが誂えたようにジャストサイズな事に釈然としない様子で文句を言い続けている。

 

 

「油断も隙もあったもんじゃない…個人情報の管理はどうなってますの……さあ着替え終わりましたわ!これで文句ないでしょう!?」

 

 

 ラブが着けた物とデザインの違うホワイトブリムを装着し、壁に掛けられた姿見でおかしな所がないか確認したダージリンが一歩進み出ると、一瞬嬉しそうな顔をしたラブは次の瞬間面白くなさそうな顔で舌打ちをしていた。

 

 

「チッ!…やっぱこの茶坊主が一番似合ってやがるわね……」

 

「誰が茶坊主よ!?大体ね、折角着てやったのにその態度は何ですの!?」

 

 

 あまりに理不尽な言われようにダージリンも堪り兼ねたようにキレるが、ラブの方も彼女の極自然に似合うメイド姿に何処か納得行かないようだった。

 二人の間に漂う微妙な空気に緊張感が高まるが、お約束の人物がお約束のように空気を読まずに騒ぎ出し、そんな空気はあっという間に雲散霧消してしまう。

 

 

「ねぇアッサム様!このメイドドレスはスカートが長くて動き難いですわ!私はこれより学園祭で着たミニスカのメイドドレスの方がいいですわ!」

 

「…ダージリン……あんたロージーに一体ナニやらせてんのよ……?」

 

「……」

 

 

 今にも長いスカートの裾を尻っ端折りしそうな勢いで騒ぐローズヒップの暴露ともいえる発言に、ラブの目はスッと細まりダージリンはこの馬鹿めと言いたげな顔で頭を抱えるのだった。

 聖グロが母港で開催する学園祭に於いて、戦車隊の目玉イベントは紅茶の園の一般開放であったが、より効果的な集客を狙ったダージリンはローズヒップとオレンジペコにミニスカのメイドコスプレで客引きをさせ、目論見通り過去最高の売り上げを達成していたのだ。

 その辺の事情を知らぬラブは当然疑惑の視線をダージリンに向けるが、直ぐに彼女は頭を切り替えAP-Girlsのリーダーの顔で檄を飛ばしていた。

 

 

「まぁその辺の話は後日じ~っくりと聞かせて貰うとして、今はお仕事に集中するよ!」

 

 

 メイド姿も勇ましくラブが先陣を切って更衣室を後にすれば当然のようにAP-Girlsがそれに続き、顔を見合わせていた聖グロの隊員達もゾロゾロとその後を追ったのだった。

 

 

 

 

 

「あれ?そのメイド服は城にいる雪緒さん達が着てるのと同じ物じゃないのか……?」

 

「あら?さすがまほはよく覚えてるわね♪」

 

 

 戻って来た2機のスーパーギャラクシーに効率良く戦車を積み込む為、駐機スポットに隣接した貨物上屋(かもつうわや)の床面にチョークで即席の配置図を描き積み込む順番を検討していたまほは、メイド軍団を従えたラブを見るなり目を丸くしていた。

 

 

「雪緒さん…って誰です……?」

 

 

 不満タラタラでラブの後を追って来たダージリンは、驚いた顔ながらも何処か懐かしそうなまほの口から出た聞き覚えのない名前に戸惑いながら身に着けたメイドドレスを見下ろしている。

 

 

「ああ、ダージリン達が知らないのも無理はない、雪緒さんというのはラブの実家の城を取り仕切る厳島家のメイド長なんだよ…懐かしいな……なぁラブ、雪緒さんは元気なのか?」

 

「ええ元気よ、今回艦の方には来てたけどまほ達は会えなかったわね」

 

「そうだったのか…それは残念だ……」

 

「お城…メイド……?」

 

 

 雪緒の名が出た事でラブとまほはつい身内の話で盛り上がってしまうが、たまたまそこにやって来たメグミは航空燃料の臭い漂う場所には凡そ似合わぬキーワードに、不思議そうな顔をしながら首を傾げていた。

 

 

「メグミ、アンタもう忘れたの?浦賀水道の入り口、観音崎灯台の背後にそびえ立つ城がラブの実家だって教わったでしょ?」

 

「あ、そっか……」

 

 

 後から来たケイに指摘され以前そう教わった事を思い出したメグミだが、城だのメイドだの言われても一般庶民な自分には今ひとつピンと来ない話だった。

 

 

「けどさぁ、やっぱラブの家ってメイドがいたんだ…そりゃあお城なんだからメイドくらいいるわよね……って事はさぁ、執事とか近衛騎士団とかもいるワケぇ?」

 

「アンタね……」

 

「アホかオマエは?下らねぇ事言ってないでサッサと仕事しやがれ」

 

 

 上から目線で偉そうな事を言っておきながら、その傍から子供じみた妄想をそのまま駄々洩れにするケイにメグミは呆れ、フライトプランの書類を束にしたクリップボードを抱えたナオミも容赦なくバッサリと切り捨てる。

 

 

『う~ん…これは全く口を挿む余地がないわねぇ……』

 

 

 自分の家の事であれこれ好き勝手に言われ普通なら即座に何かしら反論する場面だが、サンダースの三人組の息の合った掛け合いに介入する隙がなくラブは一人苦笑していた。

 

 

「オイオイお前ら忙しいんだからもうそれ位にしておけ…それよりキリがいいから今のうちに何か食べておこう、そうしないとこの後休んでる暇はなくなるからな……」

 

 

 作業全体を統括しているまほは頭の中でタイムスケージュールが全て把握出来ているらしく、時計に目を落として騒ぐ三人にストップをかけていた。

 

 

「そうそうそれよ!」

 

「ん?何だ急に…それ以前にお前そんなカッコで一体何しに来たんだ……?」

 

 

 話が大幅に逸れていたが、ラブ達が厳島家に仕えるメイド達の仕事着であるメイドドレスで現れた事を疑問に思っていたまほは、今になってやっとその事を問う事が出来た。

 

 

「ねぇまほ、アンタ達お昼ごはんどうするつもりだったの?」

 

「は?お昼ごはんって…あぁお昼ごはんね……まぁさすがにこの有り様だからな、レーションか何かで済ませて作業を再開するつもりだが、それが何か?」

 

「そんな事だと思ったわ……でもダメよそんなの、ちゃんと食べなきゃばてちゃうわよ」

 

「いや、そうは言ってもだなぁ……」

 

 

 まほ達の昼食とラブがメイドの衣装で現れた事の関連性が掴めずまほは困惑するが、そんな事などお構いなしにラブは踵を返し歩き始めていた。

 

 

「さ、みんな付いて来て……腹が減っては戦は出来ぬよ」

 

 

 ラブに続いてAP-Girlsが動き出すと、まほは彼女と一緒にやって来たダージリンに説明を求めるような視線を向けた。

 

 

「私にだって解りませんわ!」

 

 

 まほは何も言っていないのにダージリンはキッとした目付きで睨み返すと、不機嫌さを隠そうともしない態度で短くそう吐き捨てたのだった。

 

 

 




連休なのにカレンダー通りには休めません……。
ま、自営なのでそれもいつもの事です……。
とはいえコロナ禍の緊急事態宣言下とあっては、
昨年同様あまり出歩くのも憚られますよね。
そんな時本作が少しは暇つぶしに役立てばよいのですが……。
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