ガールズ&パンツァー 恋愛戦車道   作:肉球小隊

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作中登場するIPSの元ネタのとなったアメリカの物流企業は、
配送車両や貨物機のデザインがカッコいいんだよなぁ……。


第百二十二話   Kameraden

「まほお嬢様にお届け物です、こちらに受領のサインをお願い致します」

 

「はぁ……」

 

 

 寮暮らしの学生が仕送りなどの荷物を受け取る場合、授業や部活動で不在な場合が多い為に、寮宛に送られて来た荷物を職員が代理で受け取り、後から帰寮した本人に渡されるのが普通であった。

 まして黒森峰のような強豪で戦車道を履修していれば遠征等も多く、学園艦という特殊な環境下ではこの方法でなければ宅配等を利用する事は難しかった。

 故にまほもいつも通り寮宛に届いた荷物を職員から受け取るつもりで、エリカを伴い寮の正面玄関の受付に向かった訳だが、そこで待っていた人物の顔と服装を見るなり目を丸くして驚いていた。

 

 

「あの…今日は何故こちらに……?」

 

 

 差し出された送り状の受領印の欄にサインをしながら戸惑った表情のまほが話しかけた人物は、一見してごく普通のベテラン宅配ドライバーに見えた。

 しかし、その配送ドライバーが着用しているユニフォームは厳島のイメージカラーであるマリンブルーに染められ、左胸のポケットには厳島の物流部門の略称が刺繍されていたのだった。

 

 

「恋お嬢様からの時間指定の特別配送ですので、西住家担当の私がお届けに参りました。」

 

「そ、そうでしたか……」

 

 

 通常の宅配とは明らかに違う送り状に受領のサインしたまほがそれを返すと、入れ替わるように配送ドライバーは小さな包みをまほに手渡していた。

 

 

「…けどラブからだって……?」

 

「確かにお渡し致しました、それではこれで失礼致します」

 

「あ、はい、ありがとうございます」

 

 

 まほが包みを受け取ると深く一礼した配送ドライバーは、受付の事務所内の職員達にも一礼するとそのまま落ち着いた足取りで立ち去って行き、まほはその背中が見えなくなるまでぼんやりと見送っていた。

 

 

「まほ姉……?」

 

「え?あぁ済まない、ちょっと驚いたものでな……」

 

「今の配送の方、お知り合いですか?」

 

「ああ、お知り合いというか…エリカもこの小包を届けてくれたItukushima Parcel Serviceの事は知ってるよな……?」

 

「そりゃまぁ私も熊本の人間ですから…でもあまり一般的な個配はしてませんでしたよね……?」

 

 

 掌に載るサイズの小さな包みを目の前に掲げ、ラブのヤツ一体何を送って来たのだと首を捻るまほはエリカの質問に質問を返し、エリカもそれに知っている限りの事を答えていた。

 古くは江戸の頃より海運業を中心に財を成し成長を続けて来た厳島家は、その後様々な分野に手を広げつつも物流部門は家業の重要な屋台骨の一つであった。

 その物流部門の中で宅配業に該当するのがItukushima Parcel Serviceであったが、この会社は宅配サービスが業務のはずがエリカの指摘通り通常の宅配業務はあまり請け負っていなかった。

 Itukushima Parcel Serviceの扱う荷物は、その大半が通常の宅配業者では扱う事を躊躇するような高価な商品や貴重な品々であり、高額保険を必要とする物を配送する事に特化した会社だった。

 

 

「まあ確かにそうだな…ただウチ(西住家)の場合は亜梨亜おば様が季節の贈り物なんかを送るのにItukushima Parcel Serviceを使っててな、さっきの人は私が子供の頃から実家に専属的に出入りしてた人なんだよ……」

 

「専属ですか?」

 

「いや、当然他の業務もこなしてたはずだが、ウチに来てたのはずっとあの人だったんだよな…確か以前に聞いたお母様の話だと、学生の頃にアルバイトで入ったのがきっかけで、大学卒業後そのまま厳島の物流部門に入社したらしいんだよ……」

 

「え?大卒で配送の仕事ですか……?」

 

 

 偏見を持つ訳ではないが、いくら厳島とはいえ大卒で配送ドライバーの仕事に就くのはさすがにちょっともったいない気がするエリカは、少し驚いた顔をした。

 

 

「あぁスマン言い方が悪かった…なんでも大学の経営経済学部でマネジメントを専門的に勉強していたらしくて、そっちの方で将来性を買われて入社したとお母様が言ってたな……」

 

「成程、現場を知ってるマネージャーという事ですか」

 

 

 まほの話しぶりから凡その事を推察したエリカは、如何にも実力を重視する厳島らしいと納得したが、彼女の要約した一言に頷きながらもまほは不思議そうな顔をしていた。

 

 

「うん…まぁそうなんだけどな……それでちょっと思い出したんだが、あの人確か三年ぐらい前から、熊本というか九州地区のグループ全体の代表になってたはずなんだよなぁ……」

 

「え゛……?」

 

 

 厳島の家業の創業の地である熊本で親族以外で要職に就くという事は、厳島家から相当の信用を得ているという事に他ならず、彼の現在の立場はその優秀さの証であった。

 そんな厳島の内部では今も旧本社と呼ばれる熊本を預かる人物が現場に出て荷物を届けに来たという事実に驚いたエリカは、受け取った小包を前に首を捻って考え込むまほの顔を見ながら絶句していた。

 

 

「子供の頃はなぁ…季節毎の届け物の他にも、アチコチ飛び回るおば様が私達の喜びそうなお菓子や果物なんかを贈ってくれて、それをさっきの人がウチに届けてくれたんだよ……懐かしいな、配送車が来るとみほと走って玄関まで出迎えに出てお母様に叱られたっけ……」

 

「あぁ……」

 

 

 ドタバタと屋敷の廊下を走っては、しほに首根っこを押さえられてとっ捕まる姉妹の姿が容易に想像出来たエリカだったが、同時に亜梨亜からの贈り物と聞いて頭の中に桐箱に入ったメロンを思い浮かべたりしていたのだった。

 

 

『…ま、普通じゃないのは間違いないでしょうね……尤もこの姉妹が果たしてどれだけその価値を理解していたかは怪しいけど……』

 

 

 実の処エリカ自身もそれなりの家柄の出身者であったが、やはり西住とその背後に控える厳島が特殊過ぎて、一体どのような物が贈られていたのか考えるだけで恐ろしかった。

 

 

「まぁそれはともかく、取り敢えずそこで開けてみちゃどうです……?」

 

「あ、あぁそうだな……」

 

 

 昔を思い出しぼんやりしていたまほはエリカに促され現実に立ち返ると、寮の受付の脇にある面会用の応接セット腰を降ろし小さな包みを開封し始めていた。

 

 

「何だコレ……?」

 

 

 Itukushima Parcel Serviceの社名が印刷された小荷専用の袋から取り出した無地の白箱の中には、ほぼ立方体のゴツイ見た目のジュラルミンケースが収まっていた。

 

 

「あ~、多分それはジュエルケースですね……」

 

「ジュエル何だって……?」

 

 

 まほの手元を覗き込んでいたエリカは白箱の中から出て来たジュラルミンケースを目にすると、自分の趣味であるゴスファッションのアクセサリーのチョーカーの中に、似たようなケースに入った物がある事を思い出した。

 だがこれまでの人生戦車道漬けだったまほは彼女の言う事が直ぐに理解出来ず、開封作業をする手を止め真顔で聞き直したのだった。

 

 

「開ければ解ります」

 

「……?」

 

 

 多分それが正解だろうと踏んだエリカに再度促されたまほは、やや怪訝そうな表情で作業を再開しケースの口を閉じるロックを解除していた。

 

 

「ん?これは……」

 

「パンターの75㎜ですね…それにしても綺麗だわ……」

 

 

 開かれたケースの中、ベルベットのクッションに抱かれた白銀に輝く矢尻を見た途端、二人はその見慣れたシルエットの正体に直ぐに気付いていた。

 それはドイツが生み出した最優秀戦車パンターが搭載した、7.5 cm Kampfwagenkanone 42に使用されていた徹甲弾を精巧に模したペンダントトップであった。

 

 

「ラブのヤツ…一体何故こんな物を……?」

 

 

 仲間同士お揃いで作ったドッグタグ以外アクセサリーと呼べる物と無縁なまほは、ラブがいきなりこんな物を送り付けて来た意味が理解出来ず一人戸惑いの表情を浮かべていた。

 

 

「あら?何か刻印が入っているみたいですよ?」

 

「何だって?刻印?…本当だ……」

 

 

 ケースの中からペンダントトップを取り上げたまほは、その重みを掌で感じながら薬莢部分に刻み込まれている文字に目を凝らした。

 

 

「K…Kameraden(カメラーデン)……」

 

 

 刻み込まれていたのが黒森峰の生徒なら誰もが知っている言葉、ドイツ語で戦友を意味する単語である事を知った二人は思わず顔を見合わせる。

 

 

「Kameraden…戦友か、成程ね……」

 

「どうしたんだエリカ、何か解ったのか?」

 

 

 卒業式の当日の朝、日時指定で届けられたペンダントトップを窓から差し込む朝の陽射しにかざしていたまほは、エリカの意味深な呟きに怪訝そうに振り返った。

 

 

「別にそんな警戒するような事じゃないですよ」

 

「それはどういう意味だ……?」

 

 

 ラブの突飛な行動にはこれまで散々迷惑を被って来たまほは、つい先日もクマのヌイグルミ扱いされたばかりで条件反射的に身構えてしまうが、凡その事態を察したエリカは努めて穏やかな口調と表情でそれが何であるかの説明を始めていた。

 

 

「これは単純にラブ姉からの卒業祝いです」

 

「卒業祝い……?」

 

 

 エリカの言った事の意味が直ぐに吞み込めなかったまほは思わずオウム返しに問い返すが、多分そう反応するであろうと見越していたエリカは穏やかな表情を崩す事なく一つ頷いて見せると、まほにも解るよう説明を続けたのだった。

 

 

「ええそうです、卒業祝いです…一見シンプルに見えて実は結構凝った造りですからおそらくはフルオーダーの銀細工でしょう……多分大分前から準備していたんだと思いますよ?」

 

「卒業祝い…ラブからの卒業祝いだって……?」

 

 

 少しづつ状況が見えて来たまほは呟くように卒業祝いという言葉を反芻しながら、手の中で輝く白銀の徹甲弾を見つめていた。

 

 

「はいそうです、ですからアレコレ余計な事を勘繰らずに受け取ればいいんです」

 

「卒業祝い…そうか……けどエリカ、さっきこのペンダントをフルオーダーって言ったよな?」

 

 

 漸くその意味が理解出来たまほであったが、今度はエリカの説明の中でもう一つどうしても気になっていた点について質問したのだった。

 

 

「はい確かに…私はよくネットで戦車道関連のアクセサリーの類もチェックしていますが、ここまで精巧に徹甲弾を模したシルバーアクセは見た事がありません……それにホラ、トップに付いているバチ環……チェーンを通す部分をよく見て下さい、まほ姉達が贈ったLove Gunのパーソナルマークのシルエットになってるじゃありませんか」

 

「あ、ホントだ…全然気が付かなかった……」

 

 

 エリカに言われて初めてその事に気が付いたまほは、こんな細かい所まで見ているエリカの観察眼の鋭さに舌を巻きながらチェーンに指を掛けると、そのままペンダントトップを吊し上げ窓から差し込む朝日にかざしていた。

 するとチェーンに吊るされた徹甲弾のペンダントトップは、自らの重みでダウンジングのペンデュラム(振り子)のように弧を描きながらゆっくりと揺れ、朝日の中キラキラと美しい輝きを放っていたのだった。

 

 

「とっても綺麗だわ……」

 

「そうだな……」

 

 

 その場の空気を静謐なものに変えてしまうような白銀の輝きに、エリカはうっとりと夢見るように溜息を吐いた。

 

 

「…どうしました……?」

 

 

 だが彼女が溜息と共に洩らした呟きに同意したまほの様子を不審に思ったエリカは、曖昧な表情を浮かべるまほの顔をチラリと見て一言短い問いを発していた。

 しかしまほも当然そう聞かれると解っていたのか、少しだけ考える素振りを見せてからその口を開いたのだった。

 

 

「その…こんな事を言うとまた怒られるかもしれないが、エリカが言うようにこの銀細工がオーダーメイドで作った物だとしたら相当高価な物じゃないのか……?もしそうなら、果たしてそのような物をまだ学生である私が受け取ってもいいものなのだろうか……?」

 

 

 贈り物に対してそのような生な話を口にするのは失礼な事であると気に掛ける辺りは、如何にも生真面目なまほらしい事であったが、自身も相当なお嬢様である彼女が年相応の金銭感覚を持ち合わせている事を、エリカはとても好ましく思うのだった。

 

 

「成程そういう事でしたか…それでしたらこの事に限ってはそこまで気にされなくてもいいと思います……敢えて直球で言わせて貰うならば、高校生ながらラブ姉は既に相当稼いでいるからまほ姉が心配しなくても大丈夫という事なんですよ」

 

「稼いでるってエリカ……」

 

「それにここだけの話ですけどね…ラブ姉中学時代にモデルのバイトやってたでしょ……?」

 

「あ、あぁ…やってたな……」

 

 

 中学生にして大人向けのファッション誌でトップモデルと肩を並べモデルの仕事もしていたラブは、そのダイナマイトなボディに比例してギャラの方もダイナマイトだと噂されていた。

 

 

「あの当時のバイトだけでも相当荒稼ぎしてたらしいですから無問題だと思います」

 

「あのな……」

 

「冗談ですよ…まあそれはともかくとして、ラブ姉達はAP-Girlsの活動で莫大な収益を上げてますからね、大変な分その対価もしっかりと保証されてるらしいですよ……?」

 

 

 エリカが言った通りラブ達AP-Girlsは既にトップアイドルとして稼ぎに稼いでいたので、メンバー達には相応の報酬が与えられていた。

 

 

「…つくづく笠女というのは変わった学校だと思わされるな……」

 

「気持ちは解ります…けどこれはラブ姉達に限った事じゃなくて、笠女の全生徒に適用されている事らしいですから……」

 

「なぁエリカ、お前やたら笠女の内情に詳しいように見えるが私の気のせいか……?」

 

「愛から聞きました」

 

「は……?」

 

 

 思いもよらぬ情報源の名にまほは半口開けた状態でエリカの顔をマジマジと見ていたが、エリカの方はそんな事などどうでもいいといった感じで話を進めた。

 

 

「いいですか?今一番大事なのはそんな事じゃないんですよ…ラブ姉が自分で稼いだお金はどう使おうとそれこそラブ姉の自由なんですから……そりゃ余程とんでもない無駄遣いなら問題ですけど今回はそうじゃないですから……とにかくそういう訳なので、まほ姉が今考えなければいけないのはラブ姉の気持ちだって解ってますか?」

 

「ラブの気持ち……?」

 

「そうです、ラブ姉の気持ちです」

 

 

 突然ラブの気持ちを考えろと言われても頭が付いて行かないまほは、目を白黒させながら朝日の中で揺れるペンダントトップとエリカの顔を交互に見比べ途方に暮れた。

 

 

「ラブの気持ち……」

 

「ホント戦車道以外はとことん不器用な人なんだから…ホラ、だからそこでそんな顔しないで下さい……これはそんなに難しく考える事じゃないんですよ?」

 

「そんな事言われてもだな……」

 

 

 ラブ相手となるとアレコレ深読みするのがすっかり癖になっているまほを見るエリカの目は、どこか手の掛かる弟か妹でも見るような目になっていた。

 

 

「ラブ姉だってこれまでの事を考えれば色々思う処があるでしょう…でもこうして先に卒業して行くまほ姉達を祝福しているんですから、その気持ちは酌んであげるべきだと思いますよ……?」

 

「……」

 

 

 エリカにそう言われた事でまほも漸く贈られて来たペンダントの意味が理解出来たが、今度は残されるラブの事を想うと何と応えればいいのか解らなくなっていたのだった。

 

 

「だから難しく考えなくていいんですってば…そうやって考え過ぎて余計な事を言って、またクマのヌイグルミにされても私は知りませんよ……?」

 

「う゛……」

 

 

 つい先日それで酷い目に遭った記憶も新しいだけに、しっかりと釘を刺しに来たエリカの一言にまほは返す言葉もなく呻く事しか出来なかった。

 

 

『ふぅ…本当に手間の掛かる人なんだから……それにしても本当に綺麗なペンダントトップだわ、さすがラブ姉はこういうセンス抜群ね……』

 

 

 またあんな目に遭わされるのはご免だと顔色を変えるまほの顔を面白そうに見ていたエリカだったが、その発端となった徹甲弾を模した銀細工のペンダントトップの事はちょっと羨ましく思っていたようだ。

 

 

「さてと…それじゃまほ姉、着けてあげますからそっち向いて下さい……」

 

「え?あ…そうか……?」

 

 

 ラブ相手に迂闊な事を言わぬよう気を付けねばと考えていたので、エリカの申し出に一瞬何の事かと戸惑ったが、直ぐにその意味に気付いてペンダントをエリカに手渡していた。

 

 

『これは見れば見る程欲しくなる素敵な逸品ね…今度何処で作ったか教えて貰おうかしら……?』

 

 

 受け取ったペンダントを改めてじっくりと見たエリカは、その精巧な細工のレベルの高さに見惚れついそんな事を考えていたが、まほがブラウスの胸元のボタンを外したのを見てチェーンの留め具である引き輪を外し始めた。

 

 

「それじゃいいですか?」

 

「ああ頼む」

 

 

 ショートとはいえ人にチェーンを付けて貰うには邪魔になるので、エリカが引き輪を留める間まほは束ねた髪を片手で抑え僅かに俯き、傍から見ればその二人の姿はどこか倒錯的で色っぽかった。

 

 

「さ、もういいですよ……」

 

「ありがとうエリカ……」

 

 

 髪を元に戻したまほはエリカに一言礼を言うと、やはりそこは女の子なので見た目が気になるらしく、玄関で身だしなみを確認する為に据え付けられている姿見の前に移動していた。

 

 

「とても良く似合っていますよ…正直凄く羨ましいです……」

 

「そ、そうか……?」

 

 

 姿見の前でドッグタグと重ね掛けする形で着けて貰ったペンダントを揺らしていたまほは、背後からその様子を見ていたエリカの感想に微かに頬を赤らめた。

 

 

「あ、そうそう、一つ大事な事を言い忘れてました」

 

「こ、今度は何だ……?」

 

 

 色々あり過ぎてすっかりビビりになっているまほはまだ何かあるのかと身構えるが、そんな彼女のリアクションにエリカは笑いながらヒラヒラと手を振って見せた。

 

 

「あぁそんなんじゃないですよ…シルバーは手入れを怠ると直ぐに真っ黒になりますからね、これから気を付けてマメに磨いてあげて下さいね……後で私の手持ちの銀製品専用のクロスなんかを分けてあげますから暫くはそれを使うと良いでしょう、けどそこから先はご自分で……あ、その辺はドゥーチェが一緒にいるから心配しなくても大丈夫か……」

 

「何で安斎が一緒なら大丈夫なんだろう……?」

 

 

 中学時代貧弱な戦力で勝ち上がる為に、出る杭にならぬよう敢えて地味にしていたアンチョビであったが、まほの傍でずっと観察していたエリカは彼女が実は相当お洒落であろうと予想していた。

 そして高校に進学後に彼女と再会したエリカは、やはりその予想が間違っていなかった事を確信していたのだった。

 

 

「っとアレ…安斎からだ……」

 

 

 不思議がるまほを他所に話の流れでふとそんな事を思い出していたエリカであったが、それを中断させるようにまほの携帯の着信音が鳴り響くと我に返ったのだった。

 

 

「ドゥーチェですか……?」

 

「あぁ…こんな時間にどうしたんだろう……」

 

 

 まほはこんなに朝早くから電話を貰う心当たりも特になく、液晶に表示される安斎千代美の名に不思議そうに首を捻りながら着信ボタンを押したのであった。

 

 

 




実際シルバーアクセはマメに磨いていないと直ぐに黒くなります。
特にこれからの季節は汗でやられて磨くのに苦労するんですよねぇ~。

シリーズ最長の第四章もいよいよ最後を迎えます。
ま、卒業してもまほもチョビ子も頻繁に顔を出すんですけどねw
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