ガールズ&パンツァー 恋愛戦車道   作:肉球小隊

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先日の大雨で仕事場の倉庫部分で雨漏りが発生し、
その対応で投稿どころではありませんでした……。
高価な機材やら移動させて自分で大工仕事やってでさすがに疲れました……。


第二話   Brother&Sister

その時厳島恋はその存在にムラムラしていた。

その時西住まほもその存在にムラムラしていた。

その時安斎千代美はその存在にハラハラしていた。

 

 

 

 

 

「そりゃあ千代美みたいな美少女のご両親だもの、相当な美形に間違いないとは思ってはいたけれど、これはちょっと想像以上だったわ♡」

 

 

 同じ初対面でありながらも知名度も高く世間的にその顔をよく知られている厳島親子とは違い、安斎家はあくまでも一般家庭なので、今日初めて会うまではラブも当然アンチョビの両親の顔を知らなかった。

 もう間もなく大学生になる娘とまだ高校生の娘がいるしほと常夫は、大恋愛の末学生結婚をしていたので同世代の子供がいる親達より若かったが、アンチョビの両親もまた若々しい上に目の覚めるような美男美女の夫婦であった。

 小さくて可愛いものだけではなく美しいものに目のないラブは案の定突っ走り、母である亜梨亜も当然それを諫めるがその程度で止まるラブではなかった。

 しかし亜梨亜も娘を諫める一方で、アンチョビの両親との対面で彼女の可愛さがその両親譲りである事を知り、成程そういう事かと得心が行ったようであった。

 

 

「あのな…それをお前に言われてもな……私はAP-Girlsが熊本で黒森峰とやった時、観戦エリアのスタンドで厳島家親族一同に包囲されたんだぞ?一家総出処か一族総出で美男美女しかいないとか普通有り得ないだろ……?」

 

「え~?」

 

 

 昨年行われた六連戦のトリとなった黒森峰戦の際、自ら厳島と西住の親族で占められたスタンドにランチの出前に赴いたアンチョビは、そこで初めて厳島家の人間達が洩れなく別次元の容姿を誇る事を知ったのであった。

 故に彼女はラブにそんな事を言われてもお世辞にすらならないとつっけんどんに言い放ったが、今重要なのはアンチョビの両親の美形ぶりとそれを受け継いだ彼女の可愛さであり、ウチの事は関係ないとラブは口を尖らせていた。

 

 

「子供か……」

 

 

 しかしこういう時にラブが決まって見せる子供じみた反応に慣れっこなアンチョビは、それに長々と付き合うつもりはこれっぽっちもなかった。

 

 

「何よ~?千代美って自分に係わる事を何でそんなに過小評価するワケ~?大体初めて会った時からコッチは何このすっげ~美少女は?って思ってたのに、千代美はいっつもやたら地味なカッコばっかしてたじゃない?そうしてれば目立たないだろうとか思ってたみたいだけど、こんな美少女がそんな事したって逆効果だって気付いてなかったんだから笑っちゃうわよね~」

 

「うるさいよ……それと西住、お前もそこでウンウン頷いてるんじゃない」

 

 

 自分の親族を引き合いに出された事への意趣返しか、ラブが中学時代のアンチョビがまるで効果のない変装のように地味な格好をしていた事を蒸し返すと、ムッとした様子でアンチョビはラブを睨み付け、ついでにその隣でしきりに頷くまほにも小言を言うのを忘れなかった。

 

 

「あのな…そもそも私が目立たないようにしてたのは、私のいた中学が戦力になる戦車もろくにない弱小校だったからで、そんな学校が策を巡らせて勝ち上がるには出る杭にならないよう細心の注意を払っていたからだろうが……だから私が可愛いか可愛くないかなんて関係ないんだよ」

 

「え~?そういう割にアンツィオじゃノリノリでお山の大将やってたじゃないよ~?」

 

「だから!オマエだってウチ(アンツィオ)の…もうウチ(アンツィオ)じゃねぇや……とにかく!オマエだってアンツィオのヤツ等の事はよく解ってるだろ!?アイツらはノリと勢いでやらないと付いて来ないんだから私だって仕方なくやってたんだよ!」

 

 

 執拗に絡まれてイライラし始めたアンチョビはラブが何か言う度に尽く反論していたが、彼女が仕方なくやっていたと言った途端ラブにジトッとした目を向けられ言葉に詰まっていた。

 

 

「な、何だよ……?」

 

「仕方なくねぇ…どう考えてもあれが地じゃん……ねぇ?」

 

 

 ジト目のラブが視線はそらさずにアンチョビの目を見ながらまほに話を振れば、アンチョビが可愛いという一点しか頭にない彼女は再び無言で何度も頷いていた。

 

 

「だから西住、お前はいつまでそうしてウンウン頷いているつもりだ……?」

 

 

 ウザ絡みするラブと首振り人形なまほを相手に頭の痛いアンチョビは、とても口に出しては言えないが心の中でオマエ等早く帰れと毒づいていた。

 だがアンチョビにとって頭の痛い問題はこれだけではなく、それについてラブが言及すると狙ってやってるのかと渋い顔が一層渋いものへと変わって行ったのだった。

 

 

「それよりさ~、千代美には弟がいるって聞いてたのに何で今日はいないのよ?私千代美の弟君に会えるの楽しみにしてたんだけどな~?」

 

「う゛……」

 

 

 全く会わせないつもりではなかったが、難しい話が終わるまでは帰って来るなと弟に小遣いを握らせて家から追い出していたアンチョビは、流れるように弟の不在について追及され再び言葉に詰まり思わず短く呻きを洩らした。

 そしてお約束というか彼女が呻きを洩らすのとほぼ同時に玄関のチャイムが鳴り、与えられた小遣いを使い果たしたらしい弟が帰宅し、その間の悪さにアンチョビは頭を抱えたのだった。

 

 

 

 

 

「ねぇ千代美…私千代美からは弟がいるって聞いてたんだけど……?」

 

「わ、私もだ……」

 

「弟だよ!」

 

 

 ただいまの声と共に帰宅したアンチョビの弟がリビングに姿を見せると、ワクテカで待ち構えていたラブとまほは彼の容姿に目を大きく見開き、顎の関節が外れたかと思う程あんぐりと大きく口を開けたまま固まっていた。

 それから呼吸十回分位の間そうしていたスカタン()()は、互いのほっぺをムニっと引っ張り合いながらアホな事を呟きアンチョビを怒らせたのだった。

 二人の間の抜けた戯言にアンチョビは怒ったが、このポンコツコンビがここまでアホな反応を見せるにはそれなりの理由があったのだ。

 どちらかと言えば華奢な部類に入るであろう体格だが決して不健康な印象はなく、国内トップリーグに属する地元サッカーチームの、エースストライカーのレプリカユニフォーム着たアンチョビの弟の第一印象は快活なサッカー少年であった。

 だが二人がここまで揃って寝言をほざくのは彼の印象が原因ではなく、やはりその顔立ちに因る処が大きかったのだ。

 アンチョビが両親のいいトコ取りな美少女である以上それは予想して然るべき事であったが、彼女の弟もまた両親のいいトコ取りな美少年で、その顔立ちは当然のように姉であるアンチョビによく似ていたのだ。

 

 

「…私、自分にはショタの属性はないと思ってたんだけどちょっと目覚めそう……」

 

「オ゛イ゛!」

 

「わ、私もだ…これが私の弟か……」

 

「コラぁ!西住オマエもかぁ!?」

 

 

 アンチョビにそっくりな美少年の登場に、脳内に堆積した煩悩ダダ洩れでムラムラするラブとまほを相手にろくでもない予感しかしないアンチョビは、独り頭を抱えハラハラするのだった。

 

 

「だからイヤだったんだよ、このケダモノ姉妹に弟を会わせるのは……」

 

 

 やはり自宅に招かずこちらから熊本に赴くべきであったと後悔するアンチョビであったが、それは最早完全に手遅れで絵に描いたような後悔先に立たずであった。

 

 

 

 

 

「そっか~、イタリアの一部リーグ目指してるのか、目標は大きい方がいいよね~♪」

 

「フム、地元プロチームのジュニアユースで最年少のレギュラーとは大したものだ…それだけの実力があるのなら、その夢もあながち不可能な事ではないんじゃないのか……?」

 

「だよね~♪」

 

 

 帰宅したアンチョビの弟は大ファンであるラブとの対面に頬を染め、綺麗な年上のお姉さんの色気に中てられて恥ずかし気にモジモジしていた。

 しかしアンチョビによく似た美少年という新ジャンルの餌を前に、ラブのみならずまほまでもが頬を上気させ興奮を隠そうともしなかった。

 

 

「オイオイ、そんな甘い世界じゃない事位はオマエ達だって解るだろうが……」

 

「あら?大きな目標はとても大事よ?千代美の方こそそれ位解ってるでしょ?」

 

「そりゃ私だってそれ位の事は解ってるさ……って、だからオマエ等は二人して子供相手にそういう事をするんじゃない!」

 

 

 アンチョビにしてみれば生意気だがはまだまだ小さな弟という感覚なので、彼を両側から挟むようにピッタリと張り付きちやほやする変態姉妹に気が休まらないのだった。

 

 

「な~に?さっきから何を一人で騒いでるのよ~?」

 

「ウム、姉が弟と仲良くして何が悪いのだ……?」

 

「だから誰が誰の弟だ!?」

 

 

 ラブのふざけた言動はいつもの事として、真剣にボケるまほは何を言っても話が全く通じないのである意味ラブ以上に質が悪く、アンチョビはこの頭の悪い状況に只々頭が痛かった。

 

 

「けどホント二人共よく似てるわね~♪まほとみほも揃えば姉妹っていうのが解るけど、姉弟でこれだけ似てるってやっぱり凄いわ」

 

「何なんだ急に…だがそれをお前が言うか……?私は亜梨亜おば様に初めてお会いした時はあまりにそっくりで驚いて腰を抜かしかけたんだぞ……?」

 

「ぐっ…それは……」

 

 

 アンチョビと亜梨亜が初対面した当時の事は再会後に彼女からも直接聞かされていたし、そもそも今回の安斎家訪問の発端の理由が理由だけに、ここが攻守逆転のターニングポイントと畳み込まれさすがのラブもそこで言葉に詰まった。

 

 

「似てる似てないで言ったら、お前と亜梨亜おば様位よく似た親子もそうはいないだろうが……」

 

「そういえば実家にラブと亜梨亜おば様に麻梨亜おば様の三人で撮った写真があったな……」

 

 

 呆れ気味なアンチョビのぼやきでそういえばそんな写真があったと思い出したまほが、騒ぐ娘達を困り顔で見守りながら談笑している親達の方へと目を向けると、目があったしほもそういえばといった感じでそれを肯定するように一つ頷いて見せ、亜梨亜も何か思い出したらしく懐かしそうに微笑んでいるのが見て取れた。

 

 

「何と…てぇ事は……?」

 

「あぁその通りだ、当然同じ顔が三つ並んで写ってるぞ」

 

「三つってまほアンタね……」

 

「それ凄く見たい!」

 

「あぁ、明日マンションの荷物整理したら一旦実家に帰るから、その時に持って来てやるよ」

 

「おぉ♪ぜひ頼む」

 

「勝手に決めるな!」

 

 

 おそらくはあの写真だろうとラブも心当たりがあったが、まほとアンチョビが人の家族写真の事で勝手に盛り上がるのを彼女も黙って聞いてはいなかった。

 

 

「あのさぁ、亜梨亜ママと麻梨亜ママは双子の姉妹なんだから似てて当然じゃない…けど双子じゃなくたってよく似た兄弟姉妹なんてそれこそ一杯いるわ……そう、千代美と弟君みたいにね」

 

「だからそれを止めろ!」

 

 

 自分達の事を棚に上げるなと言い返したラブはまるで挑発でもするように、話の最後に引き合いに出したアンチョビの弟をギュッと抱き寄せると、アンチョビもそれに乗ってはいけないと解っているがつい声を荒げてしまうのだった。

 

 

「過保護ね~、千代美ってもしかしてブラコン?」

 

「誰がブラコンだ!?つ~か私の何処がブラコンだ!?」

 

「私ひとりっ子だからわかんないも~ん」

 

「も~んってオマエな……」

 

 

 如何にもウザそうなアンチョビを尻目に、ラブは彼女の弟相手に用意していたCDやAP-Girlsのグッズにサインをしながらファンサービスに勤しんでいたが、自分でも言った通りひとりっ子の彼女は兄弟姉妹のいるまほやアンチョビの事が単純に羨ましかったのだ。

 コンプレックスという程ではないにしろ、自分で思っている以上にそれを羨む気持ちは強かったらしく、どうやら無意識のうちにそれが表に出て彼女はウザ絡みを続けていたようだ。

 

 

「落ち着け安斎、お前もコイツが子供っぽいのは今に始まった事じゃないのは知ってるだろう?なのにそうも簡単に釣られてどうする?」

 

「お前にそれを言われたくない……」

 

 

 煽るラブについ乗せられたアンチョビはまほに諫められると、少し面白くなさそうな顔で可愛い唇を尖らせていた。

 

 

「あぁそうだ、姉弟で思い出した…二人はエリカにお姉さんがいるって話を知っているか……?」

 

「一応……」

 

「話だけは……」

 

 

 親兄弟や姉妹で似てる似てないの話の流れからか、まほがエリカの姉について唐突に話し始めると、ラブとアンチョビは戸惑い気味に顔を見合わせる。

 

 

「なんか最後までお茶を濁して詳しい事は話そうとしなかったんだが、どうもエリカのお姉さんというのは、姉は姉でも双子の姉らしいんだよな……」

 

「何それ!?私聞いてない!」

 

「いや、だから私も詳しい事は何も知らないんだって……」

 

 

 目の色が変わるとはこういう事かと思わずにはいられない勢いで豹変したラブは、アンチョビの弟を間に挟んだままもっと詳しく話せと掴み掛らん勢いでまほに詰め寄った。

 

 

「えぇいやめんか!」

 

 

 ラブとまほの乳の狭間で翻弄される弟の姿を見ていられなくなったアンチョビは、実力行使で肉まんに埋もれる弟を引っ張り出したのだった。

 

 

「双子…エリカさんが双子……エリカさんがこの世に二人も!?」

 

「ラブ…おいラブ……」

 

 

 エリカに双子の姉がいる。

 まほがもたらした衝撃の新事実を前にラブの脳内は多量の興奮物質が分泌され、次から次へと湧き出す妄想に彼女の目と意識は何処か違う世界に逝ってしまい、様子がおかしい事に気が付いたまほが何度か呼び掛けたが何も反応がなかった。

 

 

「制服を着たエリカさんが二人…パンツァージャケットを着たエリカさんが二人……いっそウチ(厳島)のブランドでゴス系の衣装をペアで作らせるとか……いやいやいや!まずは笠女の制服と私とお揃いでAP-Girls隊長仕様のパンツァージャケットを……」

 

 

 膨らむ彼女の妄想は留まる処を知らず、ブツブツと怪しげな事を呟いては口元を緩めるラブの放つ禍々しい瘴気に、声を掛けたまほは寒気を覚えゴクリと音を立てて息を呑んだ。

 

 

「西住……」

 

「…安斎……私は何か取り返しの付かない失敗をしでかしたような気がする……」

 

 

 一番お気に入りの後輩のエリカが双子の姉妹であると知るや、妄想機関車と化し突っ走り始めたラブの唇からダダ洩れする彼女の欲に塗れた妄想に、まほは自分がうっかり特大の地雷を踏み抜いたのではないかと顔色を変えていた。

 実際まほが口を滑らせた事でエリカは多大な迷惑を被る事となり、後日彼女はエリカに盛大に絞められる事になるのであった。

 

 

『しかしコイツは何でこうもエリカの事が好きなんだ……?』

 

 

 まほの後任として黒森峰の隊長を任されるだけあり、確かにエリカは後輩の中でも特に優秀な人材であった。

 その事を理解しているアンチョビも彼女の事は非常に高く買っていたが、他校の後輩である彼女に何故ラブがそこまで執着するのかは正直あまり理解出来なかった。

 

 

 

 

 

「千代美、少し早いですがそろそろ……」

 

「あ、ハイお母さん」

 

「安斎さん、どうかあまりお気遣いなく……」

 

 

 妄想の海に潜航したきり浮上しないラブをサルベージするのにアンチョビとまほが苦労するうちに、春の日は傾き安斎家のリビングも夕暮れ時を迎えつつあった。

 それは訪問時間を指定され安斎家を訪れた段階で漂う匂いからある程度想像出来た事であったが、いざ母に促されたアンチョビがエプロンを身に着け宴の準備の為にキッチンに立つと、亜梨亜は礼儀を欠かないよう気を付けながら牽制を入れたのだった。

 

 

「我が家ではいつもの事なので気になさらないで下さい……あなた、飲み物の用意をお願いします」

 

「ああ解った、あまり大した物はありませんがワインで宜しいですか?」

 

 

 母娘が夕食の準備を進め父が飲み物を用意する傍らで、弟が極自然にテーブルに食器を並べ始め、その手慣れた様子から確かに日常的に人をもてなしているだろう事が窺われた。

 

 

「安斎のエプロン姿…なんと尊い……♡」

 

「私も今日はハァハァが止まらないわ……♡」

 

「アホかオマエらは……」

 

 

 事前に下ごしらえや仕込みを終えていた料理を手際良く仕上げる母と娘だったが、初めてアンチョビがエプロンを身に着けて料理をする姿を間近に見るという思いがけぬご褒美に、最前列被り付きのおバカ姉妹は起きたまま寝言をほざきアンチョビに深い溜息を吐かせたのだった。

 しかし呆れながらも彼女が母と共に用意した料理の数々はどれも素晴らしく、安斎母娘の腕前は訪問者全員の胃袋を確実に掴んでいた。

 

 

「私も亜梨亜ママから色々教わって一応一通りの事は出来るつもりだけどさ、やっぱり千代美は包丁さばきからして違うのよ……これは千代美のママの仕込みが素晴らしかったって事よね~」

 

「…大学行ったら私は基礎から教わらないとな……」

 

「まほの場合戦車道ひと筋だったから仕方ないっちゃ仕方ないけど、しほママが料理上手な事考えるとねぇ…そういやみほも大洗で学食以外はコンビニ弁当とたまに沙織さんの手料理で食いつないでるらしいじゃない……確かにアンタ達はちょっとそっちも頑張んないとダメかもね……」

 

「耳が痛いわ……」

 

 

 ラブの指摘が彼女も西住家の事情は全てよく解った上での発言である事はしほも重々承知してはいたが、現実問題として娘二人が料理に関しては壊滅的であったので、今の話はしほにとって何とも耳の痛い話である事に変わりはなかった。

 

 

「あ~しほママごめ~ん、でもまほは基本的に呑み込みが早いから千代美に任せれば大丈夫よ…みほも……アレはちょっと難ありかな……今度私から沙織さんにそれとなく頼んどくわ……」

 

「お願い出来る……?」

 

 

 寮住まいであった黒森峰と違いアパートで独り暮らしとなったみほの食生活は、しほの家元ではなく母親の立場からすれば相当に頭の痛い問題であったようだ。

 

 

「フム、沙織か…確かに彼女なら適任だろう、何しろ料理の腕に関しちゃアンツィオ(ウチ)の連中も一目置いて……あ、もうウチじゃなかったな……」

 

 

 ついこれまでの習慣でアンツィオの名を出したアンチョビは、既に自分が卒業している事を思い出し苦笑したが、同時に三年の月日を過ごした母校に郷愁を覚えていたのだった。

 

 

「う~ん…しかしドンドン戦車道と関係ない事になっとるな……まぁかくいう私もアンツィオでの思い出はフライパン振るってた記憶が一番多いけどな……」

 

「あはは……」

 

 

 腕を組んで大きく首を捻ったアンチョビは更に苦笑し、どう反応してよいか迷ったラブも眉尻をさげて笑う事しか出来なかった。

 

 

 




エリカの双子ネタは自分としても書いてみたい題材です。
私の予想ではエリカの双子のお姉さんは絶対性格が軽い♪
多分エリカが何かと厳しいのはその反動だと思いますw

それとアンチョビにそっくりな弟っていうのも結構な地雷かもww

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