ガールズ&パンツァー 恋愛戦車道   作:肉球小隊

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今回はほぼ全編そっち系のお話ですが、R指定が大丈夫かかなり心配ですw
マジで今回は内容がアレだからなぁ……。


第十八話   Nightmare

「今夜は西住のしたいようにしていいよ……」

 

 

 まほの右手を取ったアンチョビの大胆な行為に、彼女の体温を掌で感じたまほは驚愕し大きく目を見開き、鼻の奥にツーンと来る特有の感覚と共に体温が一気に急上昇して行くのを感じていた。

 

 

「ど、どうしたんだ安斎……?」

 

 

 いざ事に及んで気持ちが高まればアンチョビも我を忘れてまほを求めるが、彼女の方からここまで積極的なアプローチをして来た事はこれまでに経験がなく、すっかり気が動転したまほの声は情けないまでに震えていた。

 まほにしてみれば何故アンチョビが突然こんなに積極的な事を言うのか謎だったが、その原因が昼間の自身の行動に起因しているとは気付いていなかった。

 昼間城に到着後亜梨亜に当初の目的である高校の卒業報告を済ませた二人は、ラブに城内を案内してもらう前に用意された部屋で気楽な私服に着替えていたが、その着替えの最中にアンチョビの生脚にまほが完全に欲情してしまい、ケダモノ化した彼女を抑える為にアンチョビは多大なる苦労を強いられていたのだった。

 だがこの時、夜になったらまほが満足するまで相手をしてやると言ってその場を凌いだアンチョビも、まほが自分の生脚で欲情し息を荒くしていた事に興奮を覚え、それから今までそれを悟られぬようひた隠しにしていたが、彼女は晩餐の間もずっと身体の芯の疼きに堪えていたのだ。

 

 

「…何度も言わせるなよ……」

 

「え?あ…スマン安斎……け、けど……あぁもうダメだ!」

 

 

 自分からこんな事を言うのは相当勇気が要ったであろうアンチョビが、耳まで赤くしながら俯きがちに消え入りそうな声で弱々しく抗議すれば、その恥じらう姿に催した劣情が沸点を超えたまほは空いた左手で彼女の細い腰をグッと抱き寄せていた。

 

 

「お、おい西住…気持ちは解るがせめて部屋に入るまで我慢してくれないか……?」

 

「え?あ…う゛……ご、ごめん……」

 

 

 彼女も場所を弁えず大胆な行動を取っているだけに言えた立場ではないが、いつ何処からメイドなり城に仕える者が姿を見せるか解らない状況の廊下で、いきなり理性を失い一戦おっっぱじめそうな勢いで興奮するまほを、ギリギリの処で制御したアンチョビは努めて冷静に部屋に入るよう促したのであった。

 

 

「あんざい…安斎の匂いだ……」

 

 

 アンチョビの腰に回した左手を離す事なくもどかし気に荒々しく扉を開いたまほは、部屋に入るなり今度はアンチョビを扉に押し付けるような体勢で彼女の胸に顔を埋め、愛おし気に息を吸い込み甘い匂いに恍惚の表情を浮かべていた。

 

 

「は、恥ずかしい事を言うな……」

 

「何が恥ずかしいものか…そもそもこんなに良い匂いをさせる安斎が悪いんだぞ?それに今夜は私の好きにしていいんじゃなかったのか……?」

 

「そ、それは…確かにそうは言ったが……けど、んぐ──」

 

 

 一度火の着いたまほに何を言ってもそれらは全て火に油、アンチョビの言葉は彼女にとって航空燃料より燃え易い油でしかなく、頬を染め恥じらう姿は燃焼を加速する添加剤だった。

 アンチョビの胸に顔を埋めクンカクンカしたまほに理性など欠片も残っているはずもなく、すっかりその気になった彼女は最後の抵抗を試みたアンチョビの唇を自らの唇で塞いでいた。

 

 

「ん…あ……♡」

 

「可愛いぞ安斎……」

 

 

 電撃戦でアンチョビの唇をこじ開け彼女の口内に強行突入したまほの舌が、淫靡な濡れた音を立ててアンチョビの舌に絡み、口付けを交わす度二人の唇の間には唾液が吊り橋のように糸を引く。

 するとそれだけで媚薬でも飲まされたようにアンチョビの瞳は蕩け、全身の力が徐々に抜けまほに抱き締められたままディープな口付けの感触に溺れていた。

 そして吐息と共に漏れる刹那気な声はより一層まほの征服欲を高め、アンチョビの腰に回された手は彼女のキュロットスカートのホックとファスナーを瞬く間に攻略して行く。

 そして衣擦れの音ともにアンチョビの足下にキュロットスカートが急降下すれば、昼間まほの目を釘付けにした彼女の生脚が一切覆い隠すものを失い露になっていたのだった。

 

 

「お願い…西住……もう、立っていられない……」

 

 

 繰り返し打ち寄せる快感の波に揉まれ、アンチョビの脚は痙攣でも起こしたように小刻みに震え今にもその場に崩れ落ちそうだ。

 そんな彼女の息も絶え絶えな懇願に、更に興奮したまほはより貪欲にアンチョビの唇を求め、激しく舌を絡ませるのであった。

 だがその過剰なまでの濃厚な口付けにアンチョビも抵抗する素振りはなく、それ処か一層まほを焚き付けるようなセリフを口にしていた。

 

 

「西住…まほ……もっと私を愛して……」

 

 

 するとその一言で理性のリミッターが完全に吹き飛びビクリと身を震わせたまほは、軽々とアンチョビを抱え上げそのままベッドに倒れ込むと、肉食獣が獲物を捕食するするように彼女の若く張りのある肉体をむさぼり始めたのだった。

 

 

「もっと…もっとして……♡」

 

 

 唇から首筋、胸の先の小さな蕾を経由して程良く引き締まったウエストラインから内股を抜け、最も敏感な峡谷へと続く官能の侵攻ルート。

 これまでに幾度か肌を重ね、既に把握済みなアンチョビの敏感な重要拠点をまほの舌が攻める。

 その度にアンチョビの濡れた唇からは、まほの心の中に潜む被虐心を刺激する甘美なカンツォーネが洩れる。

 快楽に溺れる声がする度にまほも征服欲を満たされ、コンキスタドール(征服者)の笑みを浮かべながら攻め落とした砦に、その証としてキスマークを残すのだった。

 ベッドの上で本能の赴くままに交わる二人の美少女に最早理性など欠片も残っているはずもなく、そこにいるのはただの野生の獣でしかなかった。

 だがまほという野獣に我が身を思うままに犯す事を許したアンチョビは、心の片隅で最強の女が他の誰でもなく自分に夢中であるという事を、自分だけの特権として優越感に浸っていたのだ。

 

 

『まほは私だけのもの…私はまほだけのもの……』

 

 

 そんなトランス状態の脳が生み出した思考に浸るアンチョビは、今はただ快楽の波に身を任せ愛欲の水底へと深く沈んで行くのだった。

 照明の落とされた室内に聞こえるのは荒い吐息と快感の波にあえぐ声、そして暖炉で赤々と燃える薪が時折爆ぜる音のみ。

 薄闇の中重なり合い蠢く二つの影は決して離れる事なく互いを求め続け、僅かに開いたカーテンの隙間から一定の間隔で差し込む観音崎灯台の光がその行為を照らしていた。

 

 

 

 

 

『ラブ……』

 

『いいわまほ…何をすればいいか解ってるわね……?』

 

『あぁ……』

 

 

 厳島の城の最深部、その城としての構造から考えれば謁見の間として使われるはずの広間は、身内以外は城主の許しを得た者しか立ち入る事の出来ぬ云わば聖域であった。

 

 

「オイ…二人共そんな所で何をやっている?それにそのふざけた格好は何の冗談だ?そしてこの広間は一体いつの間にこんな事になった……?」

 

 

 この城に住まう厳島本家の者達にとってそこは心安らぐ憩いの空間であり、昨夜このリビング代わりの広間でラブのピアノの音色に酔いしれたアンチョビも、常に様々な重圧に晒される厳島の母娘にとってここが唯一素顔に戻れる場所である事を理解していた。

 ところがこれは一体どういう事なのか、一夜明けてアンチョビが足を踏み入れた広間はまるで魔法を掛けられたか解かれたかのように状況が一変し、これが本来の姿であろう謁見の間に様変わりしていたのであった。

 そして狐につままれたような顔をするアンチョビの視線の先、ラブのピアノがあったはずの壇上には玉座が据えられ、そこに深紅の髪と同色のドレスと女帝の威厳を身に纏ったラブが気だるげな表情で辺りを睥睨しながら君臨していたのだった。

 更に彼女の足下にはドイツ伝統のトーテンコップをあしらったバズビー帽を被り、肋骨飾りが特徴的なドルマンを左肩に羽織ったプロイセンの黒驃騎兵の軍服を着こなしたまほの姿があり、その姿はプロイセンの親衛驃騎兵連隊の第2連隊の名誉連隊長、ヴィクトリア・ルイーゼ・フォン・プロイセン王女を彷彿とさせるものがあった。

 

 

『あれってプロイセンの軽騎兵の軍服だったか…え~っと確かプロイセンには実際あの軍服を着た王女様がいたよなぁ……』

 

 

 突然目の前に展開する寸劇のような光景に何が何やらさっぱり訳が解らないアンチョビは、以前趣味で執筆を続ける小説の題材探しをしていた時に見た覚えのある、黒驃騎兵の軍服姿も勇ましいプロイセンの王女の存在を思い出していた。

 そして元々細いウエストをコルセットで更に絞り、一層破壊的なサイズの胸が強調されたドレス姿で、結い上げた深紅の髪に宝石を散りばめたティアラを冠したラブの姿は、彼女が本物の女帝であると言われれば信じてしまいたくなる程美しく、その現実離れした美しさにアンチョビの混乱は一層拍車が掛かっていたのであった。

 

 

「…にしてもコイツら何で突然こんな酔狂な真似を……え……?」

 

 

 だがその意味不明な展開に付いて行けないアンチョビが目を瞬かせたその直後、彼女の目の前の状況が一変し何が起こったのか理解出来ず思わず目をゴシゴシしていた。

 赤と黒の構図こそそのままだがラブとまほはドレスも軍服も身に付けてはおらず、代わりにエナメル素材が妖しい光沢を放つ極めて特殊な衣装に早変わりしていたのだ。

 それは一部の特殊な性癖を持つ者達が好んで着用する類の衣装であったが、二人が身に着ける衣装はどちらも胸や秘部を覆い隠す生地は存在せず、寧ろそれを誇り強調し露出するようデザインされているのであった。

 

 

「ちょ…ちょちょちょちょっと待てオマエらぁ!い、一体何ちゅうモンを着てるんだぁ……!?」

 

 

 既にまほとそういう関係にあり、彼女の手首を縛り上げ事に及んだ経験もあるアンチョビも決して初心な訳ではないので、二人が身に着けた衣装がどういう目的で作られた物であるかを知らない訳ではなかった。

 とはいえそのようなシロモノをラブとまほが身に着けて、昼日中どころか朝っぱらから妖しい雰囲気を醸しながら視線を絡めるなどという事態は理解不能であった。

 

 

『さぁまほ…それじゃあ始めなさい……』

 

『仰せのままに……』

 

「は?え…今度は何を始める気だ……?っておいぃぃぃ西住ぃ!オマエ何やってんだぁ!?」

 

 

 アンチョビの問いかけなど聞こえていないかのようにラブは足下に跪くまほに向かい何やら命令を下し、それを受けたまほも極自然にその場にひれ伏すとラブのヒールの爪先に接吻していた。

 その信じ難い光景に仰天したアンチョビが思わず絶叫するが、それすらも無視した二人の行為はなおもエスカレートして行くのだった。

 真紅の輝きを放つヒールの爪先に服従の接吻をしたのに続き、脹脛から内腿へとまほは丹念に舌を這わせ、その感触にラブは恍惚の表情を浮かべ熱い吐息を洩らしている。

 

 

『上手よまほ…でももっと出来るわよね……?』

 

『はい、ご満足頂ける迄幾らでもご奉仕させて頂きます……』

 

「ご、ご奉仕ってオマエ!?西住!それにラブも!ホントどうしちゃったんだよぉ!?」

 

 

 頬を上気させたラブがキュっと細めた目でまほを見下しながら先を促すように求めれば、まほも女帝に盲目的に隷属する騎士のように奉仕活動に熱を入れる。

 

 

『あぁ♡そう…そうよまほ……さすがよく解ってるわね……』

 

『有難うございます…お褒めに与り光栄です……』

 

「お褒めに与りって西住ぃ!ラブも頼むから正気に戻ってくれぇ!」

 

 

 遠縁とはいえ血縁関係にある二人が行為に耽るのを止めに入ろうとするが、まるで金縛りにでも遭ったかのように身動きが取れないアンチョビは、声を限り叫んでそれ以上に行為がエスカレートせぬよう必死だった。

 

 

『あん♡最高よまほ…そこ、そこがいいの……もっと、もっとよ……』

 

 

 だが残念ながら彼女の悲痛なまでの叫びは二人の耳に全く届いていないらしく、遂にまほはラブの秘部に顔を埋め淫靡な音を立てながら奉仕を続け、その全身を貫く快感に酔いしれるラブは更なる未知の領域に足を踏み入れるべく、まほの後頭部に両手を添え自らの秘部に押し当てていた。

 

 

「そ、それ以上はダメだ!頼むから止めて…もうこれ以上は……」

 

 

 愛するまほがラブの命ずるままに淫らな奉仕に励む美しくも衝撃的な光景を前に、目を逸らす事すら出来ぬアンチョビは悲鳴交じりの懇願を続ける。

 しかしその努力も空しく今までに見た事もない歓喜の表情で身悶えるラブは、うわ言のようにもっともっとと繰り返しながらいよいよ絶頂を迎え、痙攣したように全身を震わせながら玉座から腰を浮かび上がらせたのだった。

 

 

『凄いわまほ♡私…私飛んじゃいそうよぉ……!』

 

「ダメだ…ダメだ……ダメだダメだダメだぁ!」

 

 

 脳の回線が全て焼き切れるような快感に震えるラブのハスキーボイスを掻き消すように、淫ら過ぎる悪夢のような光景から逃れようとアンチョビも叫ぶ。

 

 

「ダメだダメだダメ…あ゛……?」

 

 

 金縛りが不意に解けたかのように跳ね起きたアンチョビが、何処か焦点の定まらぬ目で周囲を見まわすと、そこはあまり見覚えのない部屋の中の大きなベッドの上であった。

 コンタクトも眼鏡も掛けていない上に寝惚けているのではっきりとものが見えてはいないが、それでも視線を彷徨わせるうちに状況が飲み込めて来たアンチョビは、昨夜まほの求めに応じ彼女の望むままに我が身を好きにさせた結果、二人揃って最後の一滴迄燃料を使い果たし力尽きるように眠りに落ちた事を思い出したのであった。

 

 

「…そうか……昨夜はあのまま……」

 

 

 まだぼんやりとしか回らぬ頭で昨夜の事を思い出しながら室内を見回していたアンチョビは、部屋の扉に首を巡らせた辺りでその動きを止めていた。

 彼女の目に留まったのは昨夜まほがアンチョビの唇を奪いながら脱がせたキュロットスカートで、更にそこからベッドまで間には二人の服や下着が点々と脱ぎ捨てられ、それらが昨夜二人が如何に乱れ愛欲に耽っていたかを証明しているようであった。

 

 

「えぇと、髪留めは…あぁ、ここにあったか……」

 

 

 人間というのは不思議なものでまだ半分寝惚けているにも拘わらず、アンチョビは昨日ラブから貰ったばかりの七宝の髪留めを何処にやったかとキョロキョロしたが、脱ぎ捨てた衣服と違い髪留めだけはベッドの脇のサイドボードの上にちゃんと置かれていた事に安堵していた。

 

 

「まさか一緒に気絶するまで盛るとは我ながら…あ……それじゃさっきのは夢……夢?」

 

 

 ここに至ってやっと頭の回転がマシになって来たアンチョビは、漸く自分が色々と有り得ないエッチな夢を見てうなされていた事に気付いたのだった。

 

 

「何だ夢か…え?夢……?」

 

 

 果たしてそれが自分の内に秘めた願望なのか、ラブとまほが倒錯したプレイスーツを身に着けて愛し合うなどいう淫らな夢を見た事に衝撃を受けたアンチョビは、そこで完全に目が覚めたのか驚きのあまり大きく目を見開き愕然としていた。

 

 

「わ、わた…わた……わわわ、わたわたわた……私はなんて夢を見てしまったんだぁ!?」

 

 

 そしてたった今見たエッチな夢の内容を脳内で反芻してしまったアンチョビは、ボンっと音を立てて瞬間的に赤く染まった顔を両手で覆うと、あまりの恥ずかしさに身悶えるように髪を振り乱して頭を激しく振ったのだった。

 アンチョビも恋愛小説を書くのを趣味にしているだけに、話を作る時などに多少エッチな妄想をする事はあったが、さすがにここまで過激な妄想を抱いた事などこれまで一度もなかった。

 

 

「ん……」

 

「に、西住……!?」

 

 

 自分がとんでもなく淫らな夢を見てしまった事に狼狽えてアンチョビが上げた叫び声で、アヒル座りをする彼女の隣で未だ深い眠りに就いていたまほが目を覚ましかけ寝返りを打つ。

 彼女の唇から漏れた微かな声で我に返ったアンチョビが慌てて口元を抑えて隣を見れば、そこには眠っていても美しく整ったまほの寝顔があった。

 その寝顔の美しさにドキッとしたアンチョビは、昨夜あれだけ何度も激しく絶頂したにも拘らず、再び自分の下腹部が熱く熱を帯びそれを求めている事に気が付いていた。

 

 

「私ってこんなにエッチだったのか……きゃあっ!?」

 

 

 自分でも信じられないといった面持ちで、アンチョビが無意識のうちに疼く下腹部に指を這わせかけたその時、そのタイミングを狙ったかのようなタイミングでコロコロと古風なベルの音が響き、それに驚いた彼女は勢い余ってベッドの上に引っ繰り返ってしまったのだった。

 

 

「う~ん…お早う安斎……どうしたんだ変な体勢で仰け反って……ストレッチか何かか……?」

 

「な、何でもない!」

 

 

 自分が引っ繰り返った反動で起こしてしまったのか、或いは突然鳴り響いたベルの音で目が覚めたのかは不明だが、緩慢な動きで身を起こしたまほは伸びをしながら寝惚けた質問を発し、自分が何をしようとしていたかなど口が裂けても言えないアンチョビは慌てて背を向け誤魔化そうとしていた。

 

 

「おかしなヤツだ…なんだ、内線電話のベルの音か……これを使うのはラブぐらいだよな……」

 

 

 アヒル座りのまま引っ繰り返ったおかしなポーズのまま、器用に背を向けたアンチョビに肩を竦めながら一糸纏わぬ姿でベッドから抜け出たまほは、コロコロとベルを鳴らし続けるアンティークな電話機から受話器を取り上げた。

 

 

「もしもし…ああお早う、やはりお前か……いや、今内線電話のベルの音で起きたばかりだよ……うん、それは大丈夫だが大分寝汗を掻いたからな、出来ればシャワーぐらい浴びる時間が欲しいのだが…そうだ、思いの外暖炉が暖かくてな、おかげで寒い思いもせず眠れたがその分汗も掻いた感じだ……ああ、そうして貰えると助かる、それじゃあまた後でな……」

 

 

 まほの予想通り電話の相手はラブであり、どうやら朝食の時間が近いので気を利かせてモーニングコールを掛けて来たようであった。

 

 

「やはりラブからだったよ…朝食の用意が出来てるから一緒に食べようだってさ……けどさすがにこのままって訳には行かんからシャワーを浴びるまで待つよう頼んでおいたよ」

 

「……」

 

 

 恥ずかしさからベッドの上に引っ繰り返ったまま顔を背けていたアンチョビは、何で西住は寝起きからこうも淀みなくハキハキ喋れるんだなどと考えていたが、そんな彼女の様子など意に介する事もなくまほは活発に動き始めていた。

 

 

「う~ん…さすがにこれはちょっとな……おい安斎、少し窓を開けて換気するけどいいよな?」

 

 

 いいよなと問いながらもまほは返事も聞かずに窓を開け放っており、朝の冷たい空気が吹き込むのと入れ替わりに室内に籠っていた二匹の牝が交わった残り香が一気に抜けて行った。

 

 

「お~い安斎、いつまでもそんな恰好で引っ繰り返ってると風邪ひくぞ?」

 

 

 自分とて彼女と同様に何も身に着けていないまほであったが、鍛え方が違うとでも言いたげに両の腰に手を当てベッドの上に転がったままのアンチョビに呆れて見せた。

 

 

「って、なぁ安斎…丸見えだからせめてその脚を閉じてくれないか……?そんなあられもない姿を見せ付けられたら、朝っぱらからまたその気になってしまうじゃないか……」

 

「うるさいっ!」

 

 

 それは完全に八つ当たりだったが、とんでもない夢を見た事とそれが原因でエッチな気分になっていた処に止めを刺されたアンチョビは、その気恥ずかしさを誤魔化す為手近にあった枕を掴むとまほ目掛けて力任せにぶん投げたのであった。

 

 

「おかしなヤツだ……」

 

 

 そんなアンチョビの行動に一層呆れた表情を浮かべたまほは、大げさに溜息を吐きながら訳が解らんと肩を竦めて見せたのだった。

 

 

 




以前からまほにはプロイセンの軽騎兵の軍服を着せたいと思っていました。
今回やっとそれが叶った訳ですが執筆に当たり資料をネットで漁っていたら、私と同じような事を考える方はいるらしく、黒驃騎兵の軍服を身に纏った凛々しいまほのイラストを発見しました。

けど今回の内容はR-15大丈夫かかなり不安ですw
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