ガールズ&パンツァー 恋愛戦車道   作:肉球小隊

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庶民の目にはやはり自家用ヘリとクルーザーはブルジョアのステータスかとw


第二十話   このブルジョアが!

「陸路じゃ時間が掛かるって言うから、私はてっきりオスプレイかスーパースタリオンを使うもんだと思ったんだが…フム、このヘリに乗せて貰うのも随分久しぶりだが、やはりウチの実家の古いバートルとは乗り心地が全然違うよなぁ……」

 

「あのねぇ…Itsukushima Oneはあくまでも社用機なのよ……?それにスーパースタリオンもあの図体だもの、ウチと学園艦の往復だけの為に飛ばすのは効率悪過ぎると思わない……?」

 

 

 長いノーズのスマートな流線形のシルエットを染める厳島の青と、機体最大の特徴であるランディングギアを格納するヒレのような短翼も相まって、その小型ヘリコプターが飛翔する姿は大海を悠然と泳ぐホホジロザメを彷彿とさせるものがあった。

 Bell 222SP(ベルトリプルツー)はラブが生まれるより前に厳島本家のプライベート機として購入され、以来今日まで家族のちょっとしたお出かけの足として使用されて来た機体だった。

 ラブの事故以降出番はめっきり減っていたが、それでも城専属の整備員の手により維持管理は怠りなく続けられ、急なフライトにも拘わらず横須賀の空にローター音を轟かせていた。

 

 

「効率云々より自家用ヘリがある事自体が一般的じゃないだろこのブルジョアめ…そりゃ私だってラブんちならプライベートヘリの一機や二機は持ってるだろうとは思ったけどさ……」

 

 

 復活を果たしたLove Gunを見たいという二人の要望を聞き入れたまでは良かったが、陸路ラブの実家である小原台の城からベース内に入り、専用桟橋に繋留中の笠女学園艦に乗艦していてはあまりにも手間と時間が掛かるので、ラブはそれらの問題を解消する手段として自家用のヘリコプターを使うプランを選択していた。

 

 

「だ、誰がブルジョアよ!今日みたいに急な事態やちょっとしたお出かけ…少し遠い所に行く時に必要なんだから仕方ないでしょ……」

 

「急ぎはともかくちょっとしたお出かけって何だよ……?」

 

 

 元々は要人輸送用のBell 222エグゼクティブの物と思われる内装を、フルオーダーでカスタマイズしたらしい機内をぐるりと見回していたアンチョビに、ブルジョアと言われ半ギレ気味なラブがやや強い口調で反論する。

 だがすっかり据わった目でジロリと睨み返したアンチョビは、ラブが僅かに言い淀んだのを聞き逃さずそこを的確について彼女を袋小路に追い込んで行く。

 

 

「そ、それは……」

 

「それは……?」

 

 

 目を逸らし如何にしてはぐらかそうかと思案するラブの横顔をジッと見るアンチョビは、そんな考えなどお見通しだとばかりに追及の手を緩める事はなく、感情がモロに顔に出ているラブは暫く口をモゴモゴさせてから漸くボソボソと自供を始めたのだった。

 

 

「…伊豆や箱根の別荘の温泉入りに行くとか色々よ……」

 

「チッ!やっぱり別荘もあるじゃないかこのブルジョアめ!」

 

「……」

 

 

 その桁外れな財力から考えれば厳島の一族の暮らしぶりは恐ろしく質素なものだったが、それはあくまで世界規模のお金持ちという極限られた枠の中の事であり、自称庶民で慢性的な資金難に喘ぐアンツィオ出身のアンチョビにすれば嫌味の一つも言いたくなる話であった。

 一方でラブもアンチョビが高校での三年間でどれ程辛酸を嘗めて来たか知っているだけに、その嫌味に一言も反論する事出来なかった。

 とはいえ彼女もまだ精神的に完全な大人になっている訳ではないので、面白くなさそうな顔で頬を膨らませてフグ提灯みたいになっていたのだった。

 そして彼女達が下らない話に時間を費やすうちに、城のヘリポートを飛び立ったBell 222SPは短いフライトを終え笠女学園艦のヘリデッキへと降下を始めていた。

 

 

 

 

 

『…あの観戦用のグランドスタンドといい格納庫といい、どうにもサーキットの施設っぽく見えるのは、やっぱり亜梨亜おば様の趣味が反映してるからなんだろうなぁ……』

 

 

 笠女の生徒達がまるで自転車かスクーターのように使用する半装軌車(ハーフトラック)ケッテンクラートのエンジンルーム後方、後ろ向きの座席でまほと密着して座るアンチョビは首だけを前に向け、AP-Girlsの戦車達が寝床とするまるでサーキットのピットガレージのような造りの工廠格納庫を見ながら、独りぼんやりとそんな事を考えていた。

 エキシビションマッチ終了後に亜梨亜が乗っていたBMW M1も只事ではないが、彼女が日常の足として乗り回しているBMW2002turbo(マルニターボ)も凡そ普通でない事は、競技車両に関してほぼ素人のアンチョビにも何となく解っていた。

 また亜梨亜がM1に乗って登場した際の大洗の自動車部とケイやダージリン達の様子から、彼女が相当重症な部類のカーマニアである事も推察出来たので、アンチョビの目にはAP-Girlsが使用する戦車道の関連施設にはその趣味が反映しているように見えたのだった。

 

 

「おいラブ!」

 

「え~何よ!?」

 

 

 バタバタと賑やかなエンジン越し、そのエンジン音に負けぬようまほは声を張り上げ呼び掛けたが、それでもラブにはよく聴こえなかったらしく彼女もチラリと振り返り大声を上げていた。

 

 

「Love Gunのパーソナルマークが入っているって事は、このケッテンクラートはオマエ専用って事なんだよな!?」

 

「そ~よ!実家に持って行く機材の関係でヘリで帰ったから、戻って来た時にも使うつもりでそのままヘリポートに置きっぱにしといたのよ!まぁ今日はそれが幸いしたって感じよね!」

 

 

 戦車道などやっていれば大声を出す事など日常茶飯事なので、これじゃ聴こえなかったかとまほは一層大きな声で呼び掛けラブもそれに負けぬ大声で答えていた。

 

 

「笠女の学園艦に乗艦すると至る所で見かけるけど一体何両位あるんだ?以前聞いた話じゃ申請すればお前みたいに専有出来るって話じゃないか!もしかしたら全生徒が一両ずつ持ってるのか!?」

 

「詳しい数は私も知らないわ!けどウチはどの学科も専門課程で教材や必要な機材が多いから、通学の足としてこのケッテンクラートは最適なのよ!私なんかギターやらアンプやら運ぶ時はこれでも足りなくてリヤカー連結して使う事も多いんだから!」

 

「それでか!後ろに専用トレラーやら折り畳みのリヤカー繋いで走ってるのをよく見かけたから、ずっと何でだろうとは思っていたんだ!」

 

 

 言っている傍からラブと互いに手を振りながらすれ違ったケッテンクラートも、後部に繋いだリヤカーにトランクと土産物らしい大荷物を満載していて、その様子で遠方の帰省先から帰艦して来た生徒の一人である事が窺い知れた。

 

 

「さ、着いたわ~、私はシャッターを開けて来るから二人はここで待ってて頂戴」

 

 

 格納庫前にケッテンクラートを止めエンジンを切ったラブが、後部座席に振り返り声のボリュームを落としてそう呼びかけると、まほは格納庫のオーバーヘッドタイプのシャッターを見上げて複雑そうな顔で何やら考え込んでいた。

 

 

「どしたのまほ……?」

 

「ん?あぁいや…別に大した事じゃないんだが、この格納庫のシャッターが羨ましくてなぁ……」

 

「どゆコト……?」

 

 

 格納庫にしてもシャッターにしても何か特別な仕掛けがある訳ではないごく普通の物なので、一体何処にまほが羨ましがる要素があるのか解らないラブは不思議そうな顔で首を捻っている。

 

 

「いやな…ウチの……黒森峰の戦車の格納庫も学園艦の艦齢と変わらない位築年数が経過してるだろ?勿論キッチリ管理されてるから雨漏りとかそんな不始末とは無縁なんだが、何分古いんで小さなトラブルが起きる事は結構あるんだよ……まぁその代表があの鉄製の大扉で、たまにちょっとした加減で開かなくなったり閉じなくなったりするんだよな……」

 

「あ~解る、ウチも一緒だよ…あれって一回引っ掛かると押しても引いてもダメなんだよな……仕方ないから杭打ち用の特大ハンマーでぶっ叩いたり、小回りが利くタンケッテで押したりしたっけ……まぁタンケッテで押した時はやり過ぎて大扉が外れちまって後で大目玉喰ったけどな……」

 

「それはさすがにな…けど私も試合の前に開かなくなった時があって、あの時は焦ってたからティーガーの主砲でぶっ飛ばしてやろうかと思ったんだよな……ただ私の時はやる前に監督教員から限りなく歴史的建造物に近いんだから絶対に撃つなって釘を刺されたよ……」

 

「アンタ達何やってんのよ……」

 

 

 最新の設備に囲まれたラブには縁のない苦労だったが、あまりに無茶苦茶な話に開いた口が塞がらず二人の顔をマジマジと見ていた。

 

 

「ま~アレだ、就航したばっかの最新鋭艦に乗ってるオマエにゃ解らん苦労だよ」

 

「確かにな、黒森峰の学園艦もそれなりの艦齢だから、常にどこかしらで修理してるよ」

 

「なんだ黒森峰でもそうなのか?それじゃ問題がないのは艦の設計自体が新しいケイの所ぐらいか…カチューシャの方は原型になった艦が難ありだったから、しょ~もないトラブルが多いってノンナが言ってたよなぁ……」

 

「言ってたな…だがやはり一番大変そうなのはみほのいる大洗かもな……」

 

「まぁそれが原因で文科省のメガネにも目を付けられた訳だしな……」

 

 

 悪く言えば開き直りだったが、アンチョビとまほが老艦ならではな苦労話を懐かしそうに振り返りその流れで話が大洗に及ぶと、後から聞かされた戦車発掘の経緯など普通有り得ない話のオンパレードな大洗の惨状を思い出し、二人は虚ろな笑みで乾いた笑いを洩らしていた。

 

 

「わ、私だって艦の初期トラブルで酷い目に遭ってるもん……」

 

 

 それは富士で再会するよりずっと以前、まだ学校を上げて隠密行動を強いられていた頃の事。

 超弩級上陸用舟艇S-LCACが収容されているウェルドックに出入りする為のリフトを使用中に、突然のエラーにより停止したリフトに数時間缶詰めにされた事があり、ラブはそれを引き合いに出して二人の高校時代の苦労話に対抗しようとしていた。

 しかしそれはあくまでも前倒しで未完成なまま就航したが為のトラブルであり、その程度の事では二人が経験して来た苦労には遠く及ばず彼女は悔しそうに唇を噛んでいた。

 

 

「あのなぁ…オマエは一体何を張り合おうとしてんだよ?別に私らだって好き好んでこんなアホな苦労して来た訳じゃないんだぞ……?」

 

「だって……」

 

 

 共通の話題に乗れない事が余程悔しいのか恨みがましい目で自分達を見るラブに、さすがのアンチョビもこればかりは同情する気になれず、めんどくさそうな顔でとりあおうとはしなかった。

 

 

「ホラ、訳の解らん事を言ってないでいい加減格納庫を開けてくれ…時間がもったいないと言ってヘリ迄出したのはお前だろう……?」

 

「解ってるわよ……」

 

 

 そしてまほもこんな下らない事で悔しそうにするラブの心情が理解出来ず、自分の時計を指差しながら本来の目的を忘れるなと催促をしていた。

 するとラブはそれまで以上に面白くなさそうな顔をしながらも、自らのパーソナルマークがでかでかと描かれたシャッターの脇にあるドアに手を伸ばし、タッチパネルに指を当て指紋認証で鍵を解除して照明も点いていない格納庫の中に姿を消した。

 

 

「う~ん…ああいう所も新しいよな……」

 

「まぁな……」

 

 

 格納庫の通用口にすらレベルの高いセキュリティ対策が施されている事にまほは唸り、アンチョビは曖昧に相槌を打つ。

 

 

「どうした?あんなモノまで羨ましいのか……?」

 

「いやそういう事じゃない、アンツィオの格納庫もちょっとやそっとじゃ開かないからな~」

 

「何だそれは?」

 

 

 ラブが滑り込んだ後は再びロックが掛かったのか、赤いランプが燈ったドアを眺めながらアンチョビが意味不明な事を口走りまほは怪訝な顔をする。

 

 

「アンツィオの格納庫の通用口に掛けられてる錠前がまた古くてなぁ、しょっちゅう開かなくなって難儀したのを思い出しただけだ」

 

「それぐらいは換えろよ……」

 

 

 アンツィオが慢性的な資金難と、黒森峰同様な古い設備に苦労している事は承知している。

 しかしさすがにそこまでは同意出来ず、話があまりに貧乏臭くまほも少し嫌そうな顔をしていた。

 

 

「お、開くようだぞ~」

 

 

 だが顔をしかめるまほの呟きを掻き消すように注意喚起を促すブザーが鳴り響き、同時に格納庫のシャッターの脇に設置された黄色の回転灯が回り始めると、アンチョビの意識はそちらを向いてしまいまほの呟きは彼女に届かなかった。

 しかしまほもLove Gunの事が気になっているので自然と彼女の目もシャッターに向けられ、二人が注視する中遂にシャッターが上がり始めたのだった。

 そして一旦前方に跳ね上げられたシャッターはそのまま滑るように後方へと引き込まれ、まだ照明の燈っていない格納庫内にLove Gunのシルエットが浮かび上がる。

 

 

「全く…シルエットだけで何て存在感出してやがる……ん、何だ……?」

 

 

 例え細部まで見えなくともLove Gunと解る圧倒的な存在感に息を呑むアンチョビであったが、シャッターを可動させる為のモーターのくぐもった音が止まらない事に違和感を覚えた彼女は、その音が目の前ではなく隣に並ぶシャッターから聞こえて来る事に気が付き眉を寄せていた。

 

 

「あれ?どういう事だ、隣のシャッターも開き始めたぞ……?」

 

 

 どうやらアンチョビだけではなくまほもその駆動音には気が付いていたらしく、アンチョビが音のする方へ目を向けるより先にそちらを指差していた。

 

 

「ちょっと待て、開き始めたのは隣だけじゃないぞ……」

 

 

 何が始まったと二人が顔を見合わせるうちに、隣だけではなくその隣そのまた隣と次々シャッターが開き始め、気が付けばLove Gunのパーソナルマーク以外の四色のハートマークが描かれたシャッターも解放されていたのだった。

 

 

「おい…まさか……」

 

 

 さすがにここまで来ると二人も何が起ころうとしているのか薄々感付いていたが、それでもまだ俄かには信じられないようで格納庫内のLove Gunから目を離せなくなっていた。

 

 

『Hey girls!Shout of starting the engine!』

 

 

 そして二人の視線が集中するのを待っていたかのようなタイミングで、Love Gunに搭載されたパフォーマンス用のスピーカーからラブの叫び声が響き、直後には格納庫内に目を覚ました五基のエンジンが上げた咆哮が響いていた。

 

 

『Tanks move forward!』

 

 

 やはりそういう事かと思いながらも言葉を失い立ち尽くす二人。

 そんな二人の心情などお構いなしにラブが前進の命を下し、五両のパンターは履帯を軋ませながら一糸乱れぬ動きで格納庫の外へと姿を現した。

 

 

「遂に全車揃ったか……」

 

 

 横一線に並んで停車した五両のパンターの姿に、来るべき時が来たかとアンチョビは息を呑む。

 

 

「しかし君達…一体いつの間に……?」

 

 

 彼女より一足先に我に返ったまほの戸惑いの声に、アンチョビが五両のパンターの砲塔上を見上げると、そこには城に残っていたはずのAP-Girlsのメンバー達が勢揃いしていた。

 服装こそ城にいた時と同じ私服のままだったが、各車の砲塔上のAP-Girlsのメンバー達は特にバタバタした様子もなく、極自然な態度で思い思いにポーズを決め二人を見下ろしている。

 朝食後出かける準備の為に一旦部屋に引き上げた時、確かに彼女達はまだEsszimmerにいたはずだとまほは戸惑い、アンチョビもどういう事だとLove Gunのコマンダーキューポラ上にモデル立ちで艶然と微笑むラブを睨み付けた。

 

 

「それなら簡単よ、私達が出掛ける支度をしているうちに、走水の港に繋いであるウチのクルーザーで一足先に来てたのよ」

 

「やっぱクルーザーも持ってるんじゃねぇかこのブルジョアめ……」

 

「……」

 

 

 種を明かせば簡単な事であったが、またしても自分達を驚かせる為だけにAP-Girlsを動員したりお金の掛かる事を平気でやるラブにカチンと来たのか、アンチョビはジトッとした目を向けながら彼女が一番嫌がるワードを投げ付け、案の定ラブは眉間に面白くなさそうに皺を入れていた。

 

 

 

 

 

「そのスピーカー以外外観はそんなに変わってないよな……?」

 

「えぇそうね…事故で主にダメージを受けたのは砲塔内部だから、外側に関しては見た目何も変わらないわね……あぁ、砲身はさすがに交換してるけど、それ以外は大半が当時の物をそのまま使ってると思って貰って問題ないわ、ケーブル類は換えたけどボッシュライトなんかもそのまんまよ」

 

 

 遂にAP-Girlsの使用する戦車が全車Ⅲ号J型からパンターG型に入れ替わった衝撃からひと息、アンチョビとまほはLove Gunの周囲を巡りながら、記憶を頼りに以前と変わった所はないかと熱心に観察を続けていた。

 

 

「え?それじゃあ砲塔自体は昔のままなのか……?」

 

「そうよ…あの欠陥榴弾には殺傷能力はあっても、砲塔を完全に破壊する程の威力はなかったのよ……まぁだからこその欠陥榴弾だった訳なんだけど、車内がカーボンコーティングされてるから砲塔が使い物にならなくなるような致命傷を負わずに済んだみたいよ……」

 

 

 あくまでも淡々とした口調でレストア前の状況をラブは語り、工科校に送り出す前のLove Gunの車内が如何に凄惨な状態にあったか明言する事を避けているように見えた。

 もしその事について今この場で言及すれば、それは結果的にLove Gunを守ったカーボンコーティングが生きながらにして全身を切り刻まれる地獄を彼女に見せた事に話が及び、その事で二人に不快な思いをさせたりせぬよう配慮していたのだ。

 とはいえ全くその話題に触れる事なく話を進めるのも不可能なので、淡々と語る事で彼女もそれ以上話がそちらに向かわぬようにしていたのだった。

 

 

「そうか…砲塔の載せ替えとなるとLove Gunのオリジナリティが失われたかもしれんから、その点では幸運だったのかもしれんな……」

 

 

 ラブの口調から彼女の想いを汲み取ったのかアンチョビもそれ以上は何も言わず、ダメージが最小であった事を幸運であったと言うに留めていた。

 

 

「しかしアレだな…彼女達は本当にサッサと行ってしまったな……」

 

「…いつもこんなもんよ……」

 

 

 自分達のパンターのお披露目が終わると早々にLove Gun以外のパンターは格納庫に戻ってしまい、AP-Girlsのメンバー達もラブを残しその場を立ち去っていた。

 

 

「で、アイツら何処へ行くって……?」

 

「折角クルーザー出して貰ったから、そのまま鳥浜のアウトレットへ買い物に行ったわ……」

 

「鳥浜のアウトレット?」

 

 

 AP-Girlsの行動が早い事にはまほも大分慣れていたが、それでもパンターを格納庫に戻すなり速攻で姿を消した事に戸惑いを隠せずにいた。

 そしてアンチョビもAP-Girlsが立ち去り際何処かに遊びに行く算段をしていたのが気になり、彼女達の行き先をラブに訪ねたのだった。

 

 

「聖グロ戦の時観戦エリアに使ったあそこよ……」

 

「あぁ、あそこか……」

 

 

 置いて行かれて拗ねているのか渋い表情を隠そうともしないラブの説明に、ラブとAP-Girlsにとって初陣となった聖グロとの一戦を思い出したアンチョビも成程と頷く。

 

 

「さぁ、もうそんな話はいいから乗りなさいよ……」

 

「え?いいのか……?」

 

 

 顔こそ不機嫌そうなままだが、砲塔上で二人を見下ろすラブが顎でLove Gunに乗るよう促すと、まほは少し驚いたようにラブの表情を窺っていた。

 

 

「良いも悪いもそんだけ顔にデカデカと乗りたいって書いてありゃね……」

 

 

 遊びに行くつもりのラブに無理を言っただけに、見られるだけでも御の字ぐらいに思っていたまほは、Love Gunに乗れると知った途端顔を輝かせ、アンチョビと共に嬉々とした様子でLove Gunの車体によじ登り始めていた。

 

 

「…なんかもうこれで今日の予定は全部パアって気がするわ……」

 

 

 まるでジャングルジムによじ登る子供のようなまほの笑顔を砲塔上に佇み眺めていたラブは、この日一番の溜息と共にそんな事をぼやいていた。

 

 

 




Bell 222と聞いてエアーウルフを思い出した方は私と世代が近い方かとw
エアーウルフの公開当時撮影で使用した機体はそのまんまの姿で、
航空ショーなどでデモフライトを行っていたそうですね。
しかしそこはアメリカ人、結構多くの人が本気で音速出せると思ってたとかww

仕事が立て込んで来て、どうも年内の投稿はこれが最後になってしまいそうです。
来年は他の同業者にもう少し仕事を振り分けないといい加減私も限界です……。

新年には番外編を用意していますが、果たして今度は誰が酷い目に遭うのかwww
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