ガールズ&パンツァー 恋愛戦車道   作:肉球小隊

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遂にエリカの仕掛ける奇策の一端が明らかに。

腰の状態は相変らずで投稿ペースが上がらずすみません……。


第三十一話   迷惑電話

『ズルいじゃないかエリカ』

 

「もうとっくに卒業して関係ないのに今更何言ってんですまほ姉……?」

 

『あ、いやそれは……』

 

「フン……」

 

 

 もう間もなく試合が始まろうかというタイミングで掛かって来たまほからの電話に出たエリカは、ここ数日の間何度も耳にしているズルいのフレーズに、不機嫌さを隠そうともせず眉をしかめ搭乗している()()()()G()()のコマンダーキューポラ上でフンっと一つ鼻を鳴らしていた。

 

 

「そもそもこんな時間に何やってんです?大学の方はどうしたんですか?」

 

『きょ、今日はまだこの時間は講義がないんだよ……』

 

「チッ!これだから女子大生は……」

 

『何?それはどういう意味だ……?』

 

「別に何も他意はありません、今言ったままですよ」

 

『くっ……』

 

 

 まほとアンチョビが暮らすマンションのリビングに置かれたテレビの高精細な液晶画面には、つい最近契約した衛星放送の戦車道専門チャンネルで生中継されている、笠女対黒森峰戦の試合開始直前の両校の様子が映し出されていた。

 そして今分割画面に映る仏頂面のエリカから携帯越しにリアルタイムでお小言を喰らい、まほはシドロモドロで釈明に追われていたが、吐き捨てるように女子大生と言われてはさすがにカチンと来たらしく声のトーンを落とし反撃に出たのだった。

 しかし長年彼女とその()に振り回されて来たエリカがその程度で動じるはずもなく、実に慣れた様子でまほの反撃を軽く受け流していた。

 

 

「だからやめろって言ったのに……」

 

 

 まほの黒森峰在学中には国道16号線横須賀地区のトンネル補強工事と、カーボンコーティングの再施工は結局間に合わなかったので、彼女がラブ相手に16号戦を挑むチャンスは巡って来なかった。

 故に年度末ギリギリに全ての工事が行われ、年度が替わって早々にエリカが16号戦に挑む事になったのがまほには面白くなかったのだ。

 それは単なるその場の勢いに任せた行動だったが、何か一言でも言わないと気が済まなかったまほはアンチョビが止めるのも聞かず、試合開始直前のエリカに考えなしな電凸をしていたのだった。

 しかしそんなタイミングで電凸なんかすればエリカが怒って当然なのに、自分の忠告を聞かずに彼女を怒らせたまほの軽率な行動を、一緒に中継を見ていたアンチョビはお前アホかと呆れ切った目で見ていた。

 

 

『ったく、今電話して来たって事はどうせドゥーチェと一緒に中継でも見てるんでしょ?』

 

「あ、あぁ…それはまあそうなんだが……」

 

 

 試合前の独特の張り詰めた緊張感を伝えるべく、地元ケーブル局のクルーがギリギリまでスタート地点でカメラを回しているが、そのカメラのレンズを遠く愛知で中継を見ているであろうまほを威圧するつもりで睨み付けるエリカは、卒業しても尚やらかす相変わらずなポンコツぶりを発揮する元隊長にいい加減ウンザリしていた。

 

 

『ねぇまほ姉、ちょっと携帯をスピーカーホンに切り替えて貰えます?』

 

「え?ああ解った……」

 

 

 エリカの険のある声にこれは逆らっちゃダメなヤツだと本能で察したまほは、逆らう事なく素直に彼女の指図通りに携帯をスピーカーホンに切り替える。

 

 

『あ~もしもし、お早うございますドゥーチェ、エリカです』

 

「お、おうお早う……」

 

 

 あまりにグダグダなまほの様子と、携帯から漏れ聞こえる声である程度こうなるだろうと思っていたアンチョビであったが、いざエリカの声を聴くと返事をする声が若干上ずってしまった。

 

 

「そのなんだ…試合前なのにスマンかった、私も一応止めたんだがこのバカ聞かなくてな……」

 

 

 いつの間にかリビングのソファーの上に正座をして、実に気まずそうに携帯を自分に向けて掲げるまほの隣で、ほとほと困り果てた顔でアンチョビも言い訳を始めた。

 エリカもアンチョビに対しては怒っていないようだが、それでも試合直前に済まなかったと一言詫びを入れ、中継に映るエリカもカメラに向かって軽く手を挙げるジェスチャーも交えて問題ない事をアピールしていた。

 しかしそれでもまほに対しては制裁を加えないと腹の虫が収まらないらしく、スピーカーホンで二人に聞こえるように判決を言い渡したのだった。

 

 

『ええ解ってます、まほ姉が在学中はそれが日常でしたから……それでですね、取り敢えず今週一週間はカレーなしでお願いします』

 

「あぁあああ────────っ!」

 

 

 エリカの下した最も効果的な制裁にポロリと携帯を取り落としたまほは、頭を抱えて世にも情けない悲鳴を上げながら隣に座るアンチョビの膝の上に倒れ込んだ。

 

 

「だぁーっ!重てぇ!いきなり何しやがるこのバカタレがぁ!」

 

「いだっ!」

 

 

 突然奇声を発しながら全力でダイブして来たまほの後頭部に、怒り心頭のアンチョビが握り締めた拳を力任せに叩き込む。

 

 

『えーい西住ぃ!たかがカレーごときで情けない声を出すなうっとおしい!つーかいいか加減重たいから早くどかんかぁ!』

 

『いやだって一週間カレーなしだぞぉオぉぉぉぉ……おぉぉ安斎のフトモモぉ────っ!』

 

『ぐあぁ!人の太腿に顔面押し付けたまま荒い鼻息立てるなこの大バカヤロウ!』

 

「何やってんですかアンタ達は…それじゃそういう事で頼みましたよドゥーチェ……」

 

 

 スピーカーホンに切り替わっているまほの携帯から中継されるアホ過ぎる大騒ぎに、本気で腹が立って来たエリカは一方的に言うだけ言って通話を終えた。

 

 

「全くまほ姉にも困ったモノね…けどどいつもこいつも何でこうも16号戦が好きなのよ……」

 

 

 かく言うエリカこそ現役選手の中ではその筆頭だったが、彼女は他を出し抜いて見事壱番槍の栄誉を勝ち取ったにも拘わらず都合よくその事実を忘れていた。

 尤も笠女VS黒森峰の16号戦が正式に決定し、その情報が黒森峰サイドの公式日程として開示されて以降、エリカの下には横須賀に上陸するまでの間にズルいの声と共にどういう事だと問い合わせが殺到していたので、彼女がまほを雑に扱うのも無理のない事だった。

 

 

「楽しそうねエリカさん、今のまほさんからの電話でしょ?」

 

「あ゛?小梅…誰が楽しそうですってぇ……?」

 

「ふふふ♪まほさんもよっぽど出たかったのねぇ……」

 

「遠い目をして何言ってんのよ……?」

 

 

 16号戦を行う際アウェイチームのスタート地点となる事の多い田浦隧道側の折り返し地点で、一列縦隊で待機する車列の先頭車に搭乗するエリカの背後から、試合開始直前とは思えない呑気さで

小梅が今のやり取りを弄って来る。

 

 

「私達の世代までは16号戦の経験者がまだそれなりにいるでしょ?エリカさんだけじゃなくて私達のとこにも結構問い合わせがあったのよ」

 

「あ~ホントにもうどいつもこいつも!」

 

 

 黒森峰の一軍で主力に居座る者となればそれなりに顔も売れているし人脈もあるので、隊長のエリカに限らず小梅や直下たちの下にも、今回の16号戦に関して探りを入れるような電話やメールなどによる問い合わせがちょこちょこと入っていたのだった。

 小梅の口からその事実を聞かされたエリカは、頭を掻きむしりたい思いで熊本を出航してから横須賀に上陸するまでの道中、なんやかんやとコンタクトを取って来た者達の事を思い出していた。

 

 

 

 

 

『オイ、ズルいじゃないかエリカ』

 

「まさかアンタ(ルクリリ)が真っ先に電話して来るとはね……」

 

 

 熊本を出航した当日の夜、寮に戻り落ち着いた頃を見計らったように掛かって来た電話に、携帯の液晶画面に表示された発信者の名を目にしたエリカは、開口一番そう言い放ったルクリリに歯に衣着せぬセリフをつっけんどんな口調で言い放った。

 但し彼女もAP-Girls相手に16号戦を行う事を公表した以上、16号戦の経験者から何がしか理由を付けて接触して来るであろう事はある程度予測はしていた。

 とは言え最初にとっちらかって大騒ぎで電話をして来るのはみほだろうと予想していたので、ルクリリが一番に喰い付いて来たのはエリカとしては少々意外だったのだ。

 

 

『また随分とご挨拶な言い草だな……』

 

「電話に出るなりズルいとか言うヤツに言われたくないわね」

 

 

 もし第三者がエリカと聖グロの新隊長ルクリリの剣呑なやり取りを耳にすれば、この二人は仲が悪いのかと勘違いするかもしれないが、実際にはそんな事はなく、中学時代からラブと親交のある彼女達の関係はむしろ良好なものであった。

 

 

『…まぁいいや……それよりエリカ、お前さん一体何処で16号のトンネル工事が終わった情報掴んだんだ?笠女の公式ページにも一切そんな記載はなかったし、ウチの情報処理学部第6課(GI6)だって全く何も掴んでいなくて寝耳に水状態だったんだぞ?』

 

 

 既に卒業したアッサムも籍を置いた、試合前の情報戦の舞台で定評のある聖グロの情報部、他校から一目も二目も置かれるGI6を引き合いに出し、今回の情報戦で後れを取った事に疑問を呈していた。

 

 

「何だそんな事?何処もも何も情報源はルクリリ、アンタのお膝元横浜よ?」

 

『お膝元だぁ?おいエリカよ、それはどういう意味だ?う~む、黒森峰の情報部も侮れんな……』

 

 

 ルクリリとて黒森峰の情報部を侮るつもりは毛頭ないが、それでもGI6が出し抜かれた事が未だに信じられず電話の向こうで唸っている。

 

 

「あ~それなんだけど今回情報部は何も関係ないから」

 

『ナニっ!?何だとぉ!?』

 

「…煩いわねぇ、何をそんなに驚いてんのよ……?」

 

『いや、だってオマエ…そ、それで私のお膝元ってのはどういう意味なんだ……?』

 

 

 GI6ですら掴めずにいたネタをエリカが情報部を動かす事なく得ていたと聞くや、驚きのあまりルクリリは思わず大声を出してしまいエリカに鬱陶しがられる。

 

 

「どういう意味も何もそういう意味よ、私大分前から…そうね、年末辺りからずっと国交省の横浜国道事務所のホームページを定期的にチェックしてたのよ……」

 

『こ、コッコウショウ?横浜国道事務所ぉ……?』

 

「そ、国土交通省関東地方整備局の横浜国道事務所よ…三ツ沢だったかしら?確か割と近くにトップリーグのサッカーチームがホームにしているスタジアムがあったはずだわ……」

 

 

 エリカの口から飛び出した思いもよらぬ国の出先機関の名に、ルクリリが呆けたようにあまり性能の良くない自動音声じみた口調でその名を復唱する。

 しかしその声を聞いても尚、エリカは如何にもうろ覚えの記憶を手繰るようにとぼけた事を言っていたが、呆然とするルクリリの耳にその声は殆ど届いてはいなかった。

 

 

「…ねぇ聞いてる……?」

 

『え…あ、いや済まない……け、けど国交省の横浜国道事務所だって?エリカは何だってそんなトコのホームページをチェックしてたんだ……?って言うかだな、その横浜国道事務所が16号戦と一体何の関係があるのか説明して貰えないだろうか……?』

 

 

 彼女としてはもうネタばらしを終えたつもりだったが、変な声を出したきり黙り込んでしまったルクリリに苛立ったエリカが少し声のトーンを落とすと、その声で我に返ったルクリリは堰を切ったように話し始めた。

 

 

「呆れた…まだ解らないの?ちょっと考えれば解るでしょうに……いい?16号戦に使う国道16号線、()()を管理している組織は一体何処かしら?まさかそれすら解らないとは言わないわよね?」

 

『あ…けどなぁ……何でまたそんなトコのホームページに、国道16号線の工事情報が出てるなんて気が付いたんだ?それにさっきエリカは大分前から定期的にチェックしてたと言ってたが、それは何故だ?何故確たる根拠もなしにそんなホームページに張り付いていたんだ……?』

 

「だから今説明したじゃない……国道を維持管理するのは国土交通省でしょ?で、国道16号線の横須賀地区の管轄が何処か考えれば答えは直ぐに解るはずよ?」

 

『それ、本当に直ぐ解るか……?』

 

 

 理屈だけなら確かにその通りなのかもしれないが、聖グロのGI6ですらそんな役所のホームページなどノーマークだった事を考えると、その発想が果たして極普通なものなのかは戦車道にどっぷりなルクリリにはイマイチよく解らなかった。

 何しろ彼女の在籍する聖グロが戦車道に力を入れる学校の中でも、相当にコアな部類に属する事は自覚していたので、ルクリリも自分の判断基準にあまり自信がなかったのだ。

 とはいえエリカの取った手段も彼女が言う程普通ではない気がしたので、ルクリリもつい詮索するように余計な事を言ってしまうのだった。

 

 

『…なぁエリカ、まさかとは思うがその情報はハッキングとか何か良からぬ手段で掴んだシロモノじゃあるまいな……?』

 

「また随分と失礼ね……アンタんトコのスパイ組織じゃあるまいしそんな事しないわよ」

 

『スパイ組織じゃね~し……』

 

「似たようなもんでしょ?とにかく、私は何もやましい事なんかしてないわ……普通に横浜国道事務所のホームページをチェックして情報仕入れただけだから」

 

 

 勘繰るルクリリに言い返すエリカも何気に結構聖グロをディスっているが、言われるだけの実績が多数あるだけにルクリリもあまり強く言い返す事は出来ずいた。

 

 

『…それが普通かどうかはともかくとしてだ、エリカが横浜国道事務所のホームページをマークしていた事は解ったよ……けどな、何だって忙しい時期にそんな事を始めたんだ……?』

 

「まだ解ってないか…そうね、年度末……これが最大のヒントよ?このヒントで解らなければ、さすがに私もちょっとどうかと思うわ~」

 

『何だそりゃ……?』

 

 

 年度末が最大のヒントでこれで解らなければ問題だと言われても、ルクリリには何の事かサッパリ解らず携帯を耳に当てたまま難しい顔で考え込む。

 しかし幾ら考えてもルクリリにはエリカが何を言っているのか理解出来ず、諦めた彼女は早々に白旗を揚げて降参していた。

 

 

『年度末がヒントって言われてもそれだけじゃ何の事か解らないって…なぁ、いい加減に何故エリカがそんな所に目を付けたのか種明かしをして欲しいんだがな……』

 

「他力本願なヤツめ…まぁいいわ……ねぇルクリリ、年末から年度末にかけて陸に上がると、あっちこっちで道路工事してて渋滞やらで閉口した覚えあるんじゃない?」

 

『ん?ああ…言われてみれば確かに……そういえば以前それが原因で試合予定地が変更になった事があって、ダージリン様の機嫌が悪くなって難儀したんだよなぁ……』

 

 

 突然何の話だと困惑するルクリリだが、エリカの言う通りそれが原因で酷い目に遭った事を思い出し、同時にダージリンの渋面を思い出してしまった彼女は思わずウェっと顔をしかめていた。

 

 

「…アンタも面倒な先輩に相当苦労したクチよね……でも今はその話置いといて、本題の年度末の道路工事の話に戻るわよ?予算の使い切りだとかそれは違うとか言うけど、実際問題年末から年度末に道路工事が多いのは事実ね……で、自分なりにアレコレ調べていて気が付いたんだけど、役所でも何かの工事予定やら終わった工事の報告や何かがホームページに上がってるのよね」

 

『それじゃあもしかして……』

 

「ええ、やっと解ったみたいね……」

 

 

 さすがにここ迄話せばルクリリもエリカが何をやったか理解したようで、その目の付け所に驚くやら呆れるやらでそれ以上は何も言えなかった。

 

 

「市道なら市の道路維持課で県道なら県土木、そして国道は国土交通省って訳…で、国交省に的を絞って調べたら国道16号線の横須賀地区を管轄しているのが──」

 

『横浜国道事務所だったって事か……』

 

「その通り、待ちに待ってた正解よ…ホームページをくまなく調べてみたら思った通り、管轄内の工事に関する報告が簡単なものはお知らせの一覧だったり、込み入ったものはPDFで報告書がアップされてたのよ……それでこれだと思った私は横浜国道事務所にヤマを貼って、定期的にホームページをチェックし続けて来たってワケよ」

 

『マジか……』

 

 

 全国クラスの強豪校であれば程度の差こそあれ情報部的な組織が存在するが、その調査対象はやはり対戦相手や試合が行われる会場などが中心であり、役所で情報収集など聞いた事がなく盲点過ぎてルクリリは開いた口が塞がらないようだった。

 

 

「マジよ…でも結果は大当たりだったんだからその辺は評価して欲しいものねぇ……」

 

『う~む…これは何という灯台下暗し……しかしこの事がもしダージリン様に知れたら何を言われるやら解ったもんじゃないなぁ……』

 

 

 まさか自分が在籍する聖グロの母港、横浜にあるお役所にそんな情報が転がっていたなどと夢にも思わなかったルクリリは、卒業してもなお口喧しい厄介な存在であるダージリンの事を考えると胃と頭が痛くなる思いで唸り続けていた。

 しかし隊長であったダージリンとGI6に籍を置いていたアッサムも、在学中に横浜国道事務所の存在など完全にノーマークだったので、後々ルクリリがこの件で責められる事はなく彼女の心配は完全に杞憂であった。

 

 

「あ~もう、ど~してあのOG連中は卒業したクセにどうしてこう首突っ込みたがるんだか…ナニ?大学ってのはそんなに暇なトコなの……?」

 

『まぁそのなんだ…試合当日は直接観戦に行かせて貰うよ……何しろAP-Girlsと黒森峰の16号戦だ、観戦するだけでも得る処が大きいからな』

 

「好きにすれば…もう切るわよ?消灯までにまだやらなきゃいけない事もあるんだから……」

 

『ああ、夜分に済まなかったな…それじゃ試合楽しみにしてるよ……』

 

 

 先を越された悔しさから何か一言言ってやろうと電話したルクリリも、手元の時計を見てつい長話をしてしまった事に気付き、短く謝罪するとそのまま通話を終えた。

 だがルクリリを皮切りに寮に戻った頃になるとエリカの下には探りを入れる電話が相次ぎ、横須賀に着くまで彼女のプライベートな時間は大幅に削られてしまうのだった。

 当たりこそ柔らかいが微妙にズルいなぁなどと毒を吐くカルパッチョや、留学生故に事情が解らず16号戦とは何かと説明を求め一から十まで解説させたクラーラに、16号戦未経験にもかかわらず電話して来た絹代に至っては、『当日を楽しみにしている、必ず()()に伺いますぞ』などと能天気な事を言ってエリカを脱力させていた。

 そして一番最後に電話して来たみほに至っては開口一番『ズルいよエリカさん』と言った直後、我慢の限界を超えたエリカの棘のある「ハァ!?」の一言にあえなく沈み、『ふえぇ』と情けない声を上げる羽目になったのであった。

 

 

「…ま、ラブ姉のあれだけ驚いた顔を見られたんだからその代償としちゃ安いもんか……」

 

 

 試合開始直前、考えなしなまほからの電話をパンターG型のコマンダーキューポラ上で受けたエリカは、迷惑電話を掛けて来た連中の顔を順に思い浮かべるうちに、黒森峰側の出場選手と使用車両のオーダーを知った時のラブの驚いた顔を思い出すと、自然と口元に浮かんだ笑みを隠すように天を仰ぎ、横須賀特有の地形が生み出す狭い空にフッと小さく吐息を洩らしていた。

 

 

 




卒業しても平気で顔を出すOG達にも困ったモノですねw

高機動戦闘を得意とするラブに対抗すべくエリカが取った手段。
パンターG型のコマンダーキューポラにエリカが収まってるのは、
個人的に新鮮で良い気がするけど如何でしょう?

戦車道専門チャンネルって響き、私は意外と違和感がない気がしますww
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