ガールズ&パンツァー 恋愛戦車道   作:肉球小隊

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どうもご無沙汰です……。
手術後に暑さも手伝って夏バテというかすっかり体力が落ち、執筆速度の方も一層遅くなり読者の皆様には申し訳ない限りです。

さて、久しぶりの投稿は朝っぱらからお風呂回ですw


第四十七話   AP-Dolls

『そう…これが今回の仕返しなのね……お陰で昨夜は全然寝られなかったわ……』

 

 

 AP-Girlsの勝利に地元横須賀が湧いた16号戦から一夜が明け、遮光カーテンの僅かな隙間から垣間見える空も白み始めた頃、その淡く微かな光にエリカは眠い目を細めた。

 挑戦状を叩き付けた時から昨日まで終始主導権を握っていた彼女は、寝不足でロクに回らぬ頭でぼんやりとそんな事を考えていた。

 彼女が寝不足な理由、それはお泊り会と称しラブと愛が無理矢理拉致して二人が暮らすAP-Girlsの寮に引っ張り込まれた挙句、軽空母の飛行甲板かとツッコミを入れたくなるようなサイズのベッドで三人仲良くスッポンポンで川の字を強要されたからであった。

 そして今も川の字の真ん中で疲労の滲んだ顔で赤い目を瞬かせる彼女の両隣には、マッパのラブと愛が岩ガキ宜しくガッチリと張り付いて幸せそうに寝息を立てていたのだ。

 

 

『…コイツ()のこんな顔初めて見たわね……』

 

 

 果たしてそれが彼女の地なのかまではエリカもまだ知らなかったが、基本的に不愛想で無表情な愛もさすがに就寝中まで仮面を着けっ放しとは行かず、その無防備な寝顔はとても可愛らしかった。

 しかしエリカがそんな事を考えているうちに目覚ましのアラームが鳴り始め、最初の一回だけでパカっと目を覚ましたラブは手探りでスイッチをオフにした。

 

 

「おはよエリカさん♡ん~、よく寝たわ~♪」

 

「そりゃ結構……」

 

 

 厳島サンドのせいで一睡も出来なかった彼女とは対照的に、ぐっすり寝たラブが史上最凶サイズのたわわ揺らしながらむくりと起き上がり伸びをすると、寝不足で一層目付きの悪いエリカは低い声で短く一言だけ返したのだった。

 

 

『…この人こんなに寝起き良かったっけ?けどそれより意外なのは愛がまだ寝てる事よね……』

 

 

 それ程一緒に寝起きした回数がある訳ではないが、どちらかというと寝起きの彼女はぼんやりと寝惚け気味な印象があったので、隣で乳を揺らして変なストレッチをするラブの姿がエリカにとって意外だった。

 だがそれ以上に意外だったのは日頃の無表情が嘘のような可愛い寝顔で、母猫の懐に埋もれて眠る仔猫のように自分の腕に縋り付いて寝息を立てる愛の存在だった。

 

 

「ホラ、愛起きな朝よ」

 

「んん……」

 

 

 いくら一睡もしてないとはいえ今更寝る事も出来ず取り敢えずは起きようとしたエリカは、相変わらず腕に張り付いたまま微睡む愛もついでに起こそうとした。

 しかし起こされた愛は目を覚ます処か寝惚けた様子で一層力強く彼女の腕にしがみ付き、その幼い様子にエリカは少し驚き目を丸くしたのだった。

 

 

「ナニこの可愛い小動物…取り敢えず撮っとくか、後で何かの役に立つかもしれないし……」

 

 

 ストレッチを終えたラブがマッパのままベッドから立とうと背を向けた隣で、エリカは枕元へと空いた手を伸ばしてマナーモードにしておいた携帯を取り上げる。そしてカメラを起動してレンズの設定を前面撮影に切り替えると、愛の寝顔や自分と彼女の意味あり気なツーショットを器用に次々と撮り始めた。

 

 

「まあまあの撮れ高ね…けどどれも下手に漏洩したら相当物議をかもしそうな絵面だわ……けどこのツーショットだけはみほに送っとこうかしら……?」

 

 

 昨夜は一睡も出来ず頭の回転は鈍かったが、写メを送り付けられたみほが果たしてどんな反応をするか興味が湧いたエリカは、口元に悪魔の笑みを浮かべ何とも酷い企みを企てていた。

 

 

「…エリカさん、それはあまりに鬼畜の所業だわ……」

 

 

 ベッドから立ち上がったラブが連続する携帯のシャッター音に振り返れば、そこにはピタリと密着する愛の寝顔とツーショット写真を撮りまくるエリカの姿があった。

 そしてエリカの悪魔の呟きに発狂するみほの姿が容易に想像出来たラブは、あまりに極悪非道なプランに眉根を寄せ形の良い唇の端を引き攣らせていた。

 

 

 

 

 

「だから!いくら広いったって何も三人でシャワー浴びる事ないでしょ!?イヤ、自分で洗えるから!ちょっと愛!アンタまで何やってんの!?」

 

 

 確かにエリカも朝練後登校前にシャワーを浴びるのが習慣であったし、演習場の更衣室に併設のシャワールームなら大人数で汗を洗い流すのは当たり前の事だった。

 しかし今エリカがシャワーを浴びているのはラブと愛が暮らす部屋のバスルームで、例え広い造りとはいっても三人が一緒にシャワーを浴びるのは確かに無理があった。

 

 

「え~?だって今日は朝練ないけどその分イベントが目白押しなのよ~?三人が別々にシャワー浴びてたらゆっくり朝ごはん食べる時間なくなっちゃうわよ~?」

 

 

 凡そ学生寮とは思えない造りの高級マンションともなると、当然バスルームの広さ設備も充実していた。

 とはいえそれは一人ないし二人程度が入浴する事を想定していたので、エリカが三人で一緒にシャワーを浴びるのを嫌がるのも当然だった。

 しかしラブは今日一日各種イベントてんこ盛りな超過密スケージュールである事を盾にして、渋るエリカをバスルームへと無理矢理引っ張り込んでいたのだ。

 

 

「時間節約大いに結構!けどいくら何でも三人一緒にシャワー浴びなくても……って、ちょっと待てえぃ!だから二人して泡だらけで迫ってくんなぁ!」

 

 

 あまりにもカオス過ぎる状況に堪り兼ねたエリカが強い口調で抗議するも、まるでその声が聞こえぬかのように泡立てたボディーソープで全身アワアワになった二人がジリジリと迫り、目付きのおかしいラブと愛が何をしようとしているのかとっくに理解していた彼女は焦りを隠せなかった。

 

 

「あ…ヤメ!こ、コラ……」

 

 

 案の定エリカの予想通りボディーソープの泡に塗れた二人は必死に抵抗する彼女に抱き着くと、艶めかしく踊るように蠢き人間ボディースポンジを始めたのだった。

 昨夜の全裸川の字に引き続いての超絶セクハラ行為に、エリカの脳は瞬く間に沸騰し快楽の底なし沼へとズブズブと沈んで行く。

 

 

「は~い♪エリちゃんキレイキレイにしてあげるからジッとしてようね~♡」

 

「だぁ!誰がエリちゃ…あ゛あ゛ぁ゛そんな押し付けちゃお゛お゛ぉ゛……♡」

 

 

 エリカを軸に二人は彼女の周りを巡る衛星のように公転し、ノンナを上回る高身長なラブと杏と大して変わらぬロリ身長の愛は高低差を活かしたにゅるんにゅるん攻撃を加える。

 ぷるんぷるんなたわわがプニプニと押し付けられるその度に、抜群の弾力と二人の体温に責められたエリカの理性は実に呆気なく崩壊した。

 

 

「ちょ!あ、ソコは…ら、らめぇ……♡」

 

 

 息の合った波状攻撃の合間、絶妙なタイミングでラブが追いボディソープを加えた事でより一層アワアワとにゅるんにゅるんが激しくなり、差し挟まれたラブの太腿に洗われたエリカのシークレットな谷間にはボディソープとは別のぬるぬるが生じていた。

 

 

「あらおかしいわ…ボディーソープってこんなに糸を引くモノだったかしら……?」

 

「ち、ちが…い、言わないでぇぇぇ……♡」

 

 

 危ないお姉様の顔で攻め込んだ彼女のSchloss Adler(荒鷲の要塞)を左手の中指でなぞったラブは、陥落寸前なエリカの耳元で媚薬のような囁きを洩らして止めを刺しに行く。

 しかし床のタイルの上にへたり込みそうな彼女を厳島サンドが逃すはずもなく、ガクガクと膝を震わすエリカはそのまま絶頂を迎える。

 

 

『好きよエリカさん♡』

 

「あぁぁぁぁ~♡」

 

 

 ピタリと息の合ったウィスパーボイスで止めを刺されすっかり抵抗出来なくなったエリカを、二人は愛しむように熱いシャワーで丁寧に洗い上げると揃って満足気に微笑んだのだった。

 

 

 

 

 

「…全身万遍なく洗われてしまった……ったく何だって朝っぱらからこんな目に……」

 

「それっていつも私がされてる事だけど~?」

 

「……」

 

 

 バスルームと同様に広くスペースを取り、シンクも二つあるメイクルームの隅に置かれた丸椅子にバスローブ姿で腰を下ろしたエリカは、すっかり脱力し疲れ切った表情でブツブツとぼやきを洩らしていた。

 すると愛と二人手際良く互いの髪を乾かしていたラブは、明るく過去に自分が散々セクハラを受けて来た事を嫌味たっぷりに強調した。

 

 

「よ~し準備完了~♪それじゃエリカさんもおめかししよっか?」

 

「は?イヤイヤイヤ!私は別にいいですって!」

 

 

 ラブがこれまでに受けたセクハラの数々に幾度となく加担した覚えがあるだけに、エリカはそれっきりぼやく事も何かを言い返す事も出来ずにいた。

 だが彼女がそうしているうちに身支度を整え終えたラブは、エリカの目の前に真新しいメイクボックスを掲げて楽しそうに揺らして見せたのだった。

 しかしラブが何を言っているのか最初は理解出来ず頭上に大きな疑問符を浮かべていたエリカも、彼女が目の前にぶら下げている物が自分用に用意されたメイクボックスだと気が付くと、慌てて左右に大きく頭を振ってその申し出を全力で拒否していた。

 

 

「え~?折角エリカさんに似合いの色を用意したのに~」

 

 

 だがそれを見越していたのか直ぐつまらなそうに頬を膨らませたラブは、得意の恨みがましい上目遣いでエリカの顔をジ~っと睨み付けた。

 

 

「クッ…解った、解りましたからその目は止めて下さい……」

 

 

 卑怯な手を使うと思ってもその視線に根負けしてしまったエリカは、緩慢な動作でラブから彼女が掲げるメイクボックスを受け取ろうとした。

 

 

「ダメダメ、私がやったげるからコッチいらっしゃい♪」

 

「…ハイ……」

 

 

 こういう時何を言っても無駄だとラブの性格を熟知するエリカは、よっこいしょと年寄り染みた事を言いながら丸椅子から重い腰を上げたのであった。

 

 

 

 

 

「アンタ達…昨夜はよくもやってくれたわね……」

 

「あ、エリカさんお早うございます♪」

 

 

 ラブの手でガッツリとメイクされたエリカが笠女が誇る超巨大な学食に行ってみれば、対戦校にも開放中という事あって広いホールは両校の生徒でごった返していた。

 だがその中から目敏く16号戦に参戦したチームメイトの姿を見出したエリカは、足早に彼女達が囲んだテーブルへと赴くと低くドスの利いた声で恨み言を吐き出したのだった。

 

 

「お早うじゃないわよ、お陰で夕べ私がどんな目に遭ったと思ってんのよ……?」

 

「わぁ♡ラブ姉にやって貰ったんですか?とても綺麗ですよエリカさん♡」

 

「小梅アンタ人の話聞いてる?」

 

 

 寝不足な処に加えて朝っぱらから絶頂させられ激しく体力を消耗していたエリカは、小梅を始めとするチームメイト達が昨夜の裏切り行為に欠片も罪悪感を抱いていない事に苛立ちを隠せていない。

 

 

「あ~みんなオハヨ~♪昨日はお疲れ~、今日もイベント一杯で忙しいけど期待は裏切らないから最後まで楽しんでってね~♪」

 

 

 しかし残念ながら彼女のそんな負の感情などお構いなしに、後からやって来たラブは小梅達を相手に上機嫌でダブルピースを決めながら今日一日楽しみにするようアピールしていた。

 

 

「この諸悪の根源め……」

 

 

 自分を無視するように小梅達相手にヘラヘラとご機嫌なラブの背中をエリカは睨み付けたが、そんな程度で目の前のおっぱいが堪えるはずもない事は彼女が一番よく解っていた。

 

 

「さ、エリカさん私達もゴハン食べよ♪今日もタフな一日になるからね~、ここでガッツリ食べとかないと途中でバテちゃうわよ~」

 

 

 実際何の変化もないラブは一頻り朝の挨拶を済ませ笑顔で振り返ると、空のトレイを手に取りセルフサービスの列に並ぶ生徒達の最後尾を指差していた。

 

 

「バテる?乳が萎むの間違いじゃないの……?」

 

「なんか言った~?」

 

「別に何も……」

 

 

 果たして本当に聞こえていたのかいないのか、ニコニコ顔で彼女の顔を覗き込むラブから目を逸らしたエリカは、未使用の食器が並ぶ台からトレーを取り上げるとそのまま列の最後尾へと並んだのだった。

 

 

 

 

 

「う゛!こ、コレは……!?」

 

「ナニナニ?エリカさんは一体何が当たったんですか?」

 

 

 朝食を取り終えるとライブを始めとする各種イベントの準備に入るラブ達と別れたエリカは、そのままチームメイト達と合流して一般開放の始まった艦内を巡っていた。

 そして今はこの日最初のAP-Girls主催イベント、ハズレなしのビンゴゲーム大会でゲットしたばかりのグッズを休憩に入ったカフェのテーブルの上に広げて検分中だった。

 

 

「…私が当てたのだけ中身がシークレットだったのはそういう事だったのね……♡」

 

 

 派手なラッピングを解きその中身を検めたエリカは、取り出したボックスの中にズラリと並んだ()()()の姿に言葉を失っていた。

 

 

「わぁ可愛い♡」

 

「えぇ?何コレ!マジ!?」

 

「これってまだ未発表のアイテムじゃないの!?」

 

「ヤバい!コレは全部欲しくなるわ!」

 

 

 エリカと小梅のリアクションに何事かと集まったチームメイト達も、入れ替わり立ち代わりボックスの中を覗き込むと中に並んだ彼女達の可愛さに俄かに色めき立った。

 

 

「ねぇエリカさん、もしかして今日一番の超大当たりを引き当てたのエリカさんじゃないですか……?」

 

「え?そう…なのかしら……」

 

 

 興奮を隠せない小梅の指摘に自分でも凄いものを引き当てた自覚はあるが、まだイマイチ実感の湧かないエリカは半信半疑な様子で短く答えた。

 エリカのチームメイト達が騒ぐ原因となった一抱えもあるボックスの中身、それはリーダーであるラブを筆頭に一期生全員が二頭身にデフォルメされたアクションフィギアのフルセットであったのだ。

 チームメイトの一人が言った通り発売はおろかまだ何も発表されていないアイテムだったので、彼女達が驚いて大騒ぎするのも当然な反応といえただろう。

 

 

「…またなんちゅ~大盤振る舞いを……けどこれで引き渡す時に夏妃が意味あり気にニヤニヤと笑っていたのも合点が行ったわ……」

 

「う~ん…私達もかなりレアなアイテムをゲットしてると思ったけど、コレはマジで今日イチの大当たりで間違いないでしょ……けどまだ公式でも何も言ってないし、一体いつ頃発売されるのかしら……?」

 

 

 直下が言うように彼女達も中々手に入らないAP-Girlsのグッズをそれぞれがゲットしていたので、それに関して文句など出るはずもなかった。

 しかしエリカが引き当てたデフォルメフィギアのコンプリートボックスは、まだ未発表の新製品という事もあって注目度が桁違いに高かった。

 

 

「む、もしかして…ちょっと触らせて貰うわね、このボックスってこう展開するとぉ……ホラやっぱりそうよ、これAP-Girls専用アリーナのステージのひな壇になってるじゃない」

 

『おぉ!』

 

 

 腕組みしたまま興味津々で身を乗り出して検分していた直下が、何に気が付いたのかエリカにひと言ことわりを入れてからフィギアの並ぶボックスを展開させた。

 するとそれまでボックスの中に並んで寝ていたAP-Girlsのフィギア達が一斉に立ち上がると、その足下は階段状に変形してアリーナのステージのひな壇を再現していたのだ。

 

 

「は~、これはまた凝ってるわね~」

 

「イヤ、もう凝ってるなんてレベルじゃないでしょ……」

 

「う~ん…このボックスだけでいくらするんだか……」

 

「しかし直下、アンタもよくこの仕掛けに気が付いたわね~」

 

「それなんだけどさ、このボックスのギミックはこれだけじゃないようなのよね……」

 

『はぁ!?』

 

 

 直下が展開させステージに変形したボックスに盛り上がるチームメイト達だったが、彼女はまだ更なるサプライズがあるとステージの背面をあれこれと弄り始めた。

 

 

「え~っと、成程これね…うん、やっぱそうだわ……ねえエリカさん、ここを開けて見せてくれる?」

 

「え?ここ……?」

 

 

 仕組みに気が付いた直下はボックスの背面を持ち主であるエリカに向けると、隠しボタンを指差してそれを押してみるよう促したのだった。

 

 

「これを押すのね?あ、ホント開いたわ…うわ!スゴイ……これってラブ姉がステージで使ってるエレキのミニチュアじゃない!うぅん、ラブ姉のエレキだけじゃない、AP-Girlsのメンバー全員分のエレキのミニチュアが全部この中に揃ってるわ……」

 

 

 直下に言われるままボックスの背面の隠しボタンをエリカが押すと、一見そうは見えない部分がゆっくりと開き中から収納ボックスが現れ、そこに並べられたミニチュアサイズのエレキギターに驚いた彼女はラブが愛用するレスポールを手に取り大きく見開いた目を丸くしていた。

 

 

「わぁスゴイ!ホントに彼女達がステージで使ってるエレキのミニチュアが全部揃ってますね♪って事はそうか、このフィギアはアクションフィギアだからこうしてホラ!こうしてエレキ持たせる事が出来ますよ!」

 

「えぇ?マジ……♡」

 

 

 その可愛らしさにほっぺを赤くした小梅までが身を乗り出すと、慎重な手付きでラブのフィギアに彼女の左利き用のレスポールをそっと持たせてやった。

 するとさすがに興奮を隠し切れなくなったエリカも両手で口元を抑えて、エレキを抱えてポーズを決めたラブのフィギアの可愛さにキュンキュンしていた。

 

 

「…となると残るは当然……」

 

「ま、まだ何かあるの……?」

 

 

 この手の物に疎いエリカにとってエレキやマイクスタンドなどの付属品だけでも充分驚きだったが、それだけでは終わらなそうな気配に彼女もビビり気味にごくりと息を呑んだ。

 

 

「うんうん、お約束だよね……はいエリカさんどぞ~♪」

 

「どぞ~って今度は何が……う゛ぉ!?」

 

 

 どうやら直下はもう一段上がある事が解っていたらしく、横からそっと手を出して上段のスイッチを軽くプッシュすると下段の時と同様にボックスがゆっくりと迫り出して来たのだった。

 そして直下が新たなボックスの蓋を開いて見せると、その軽い調子に呆れながらもエリカ釣られて中を覗き妙な呻き声を洩らしながらフリーズしていた。

 

 

「フムフム、表情は全部で3パターン…それにエレキやマイクスタンドなんかのオプションに加えて交換用のお手々が2セットね……今後も追加で色々と出るんだろうけど現段階のオプションフル装備で、一期生メンバー全員揃ったコンプリートボックスか……ねぇエリカさんこれはマジで今日イチの大当たり、正真正銘の大当たりをゲットしたのは間違いなしですよ♪」

 

「そ、そう…けどこのお顔だけズラッと並んでるのはちょっとホラーよね……」

 

「フフっ♪まぁ気持ちは解りますけどね…でもこれはホント羨ましいな~、もし全部買ったとしたら間違いなく結構な金額行くと思うし……」

 

「ねぇ、それって一体どれ位するものなの……?」

 

 

 羨ましがる直下の少々生な話にやや表情が緊張に硬くなったエリカであったが、それでも自らが引き当てた幸運にどれ程の価値があるのか好奇心が隠せなかった。

 

 

「え~っと…何処のメーカーで造ったのか解らないけど……」

 

 

 エリカの好奇心を満たすべく日常的に持ち歩いているタブレットを手にした小梅は、直下と二人してあーでもないこーでもないと心当たりを検索し始める。

 

 

「う~ん…この出来栄えだと人気メーカーの限定モデル辺りだと思うけど……ねぇ?」

 

「ですよねぇ…おそらくこの辺の価格帯が妥当なんじゃないですか……?」

 

 

 二人の様子からして只事ではない気がして来たエリカは、一軍昇格試験の結果待ちの二軍選手のように緊張した面持ちで再び大きく息を呑む。

 

 

「ね、ねぇ…どうなのよ……?」

 

「これはあくまで参考価格なんですけど大体こんな感じかと……」

 

 

 僅かながら待たされ少々焦れた様子のエリカに見え易いよう小梅がタブレットをかざすと、そこにはとあるフィギア製造メーカーのホームページが開かれていた。

 そしてそこに映されていた人気キャラのデフォルメフィギアの値段に、エリカの顔は驚きのあまり今度こそ本気で硬直し口元はヒクヒクと痙攣していたのだった。

 

 

「ちょ…これマジ……?」

 

「マジです…でもこれはさっきも言ったようにあくまで参考価格ですから、そのままこの値段が当てはまる訳ではないと考えて下さいね……」

 

「……」

 

 

 たかがオモチャされどオモチャ、これだけギミック満載で惜しみなく大盤振る舞いすれば安かろうはずもない事はエリカにも解ったが、フィギア1体の価格×25+オプションパーツ代に加えて凝りに凝ったボックスの事まで考慮して絶句した彼女の手は小刻みに震えていた。

 

 

「ま~ラブ姉の家のやる事だからさ~、きっと私らですら目を疑うような安さで販売するかもだけどね~」

 

 

 基本的に厳島のグループ方針として、購買世代が未成年者中心となる商材は価格設定を大幅に下げて販売する事はよく知られていたので、因縁浅からぬ夏妃フィギアを掌に載せそのほっぺを指先でツンツンしていた直下は、売りに出れば自分達でも気軽に手が出せるようになる事に期待を寄せていた。

 

 

「でも今回は衣装がパンジャケだけでしょ……?」

 

「そうなのよね~、次は多分制服とかステージ衣装なんかでシリーズ化されたらさ、例え価格設定抑えても結構ヤバい事になるかもね……」

 

「うぅ~ん…それは大いにあり得る……」

 

「あ~、これはもう散財の予感しかしないわ~」

 

 

 この手のアイテムの常としてシリーズ化されれば次々と新しいバージョンが登場して、あれもこれも欲しくなるだろう事はエリカにも容易に想像が付く。

 しかしそうなれば例え手の出し易い価格設定でラインナップされたとしても、それらを全てコレクションしようとすれば結果的に散財しお財布の中が非常に厳しい事になるのも同様に想像出来た。

 

 

「ハァ…また罪なモノが登場したわねぇ……」

 

 

 今回のビンゴ大会、チームメイト全員が入手困難なレアなアイテムをゲットしている事はエリカも承知してはいたが、まさか自分が引き当てたフィギア達が一番のお宝だとは夢にも思ってはいなかった。

 故に彼女は改めてコンプリートボックスを一瞥した後、独り深い溜息を吐いたのであった。

 

 

「う~む…こりゃあ発売に備えて節約しないといけないわね……」

 

「しゃ~ない…バイトでもすっかぁ……」

 

「そんな時間あんの……?」

 

「言ってみただけよ……」

 

「……」

 

 

 まだいつ発売されるかいくらするのかも不明なAP-Girlsのディフォルメフィギア達を、気の早いチームメイト達はもう買う気満々で迎撃態勢に入っていた。

 だが彼女達の捕らぬ狸の何とやら的な物欲全開なやり取りに、いきなり第一弾を発売されるより先にフルコンプリートしてしまったエリカが何か意見をする資格はなかった。

 

 

「しっかしアレよね~」

 

「何よ?」

 

 

 チームメイト達と共にあれやこれやと妄想を膨らませていた直下が、掌に載せていた夏妃のフィギアを元居た場所へと戻しながらしみじみとした口調で呟くと、その声音に何やら含むモノを感じ取ったエリカはジロリと彼女を睨んでいた。

 

 

「ん~?ナニってさ~、こ~んなちっこくなっても乳のサイズはデッカイまんまなんだなって思っただけよ~」

 

「…よしなさいってば……」

 

 

 それは初見の段階でエリカも感じた事だったが、いきなりそれを言ってしまえば話題がそっちに偏りそのネタだけに終始してしまうので、彼女も寸での処で口にするのを思い止まっていたのだ。

 故に直下があっさりと彼女の努力をふいにした瞬間、何ともいえない脱力感にガックリと肩を落としたエリカは渋面で短く呟く事しか出来なかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふ、ふふふ…うふふふふふふふふふ♪……これは何という僥倖、エリカさんの手に私のフィギアが…エリカさんが私のフィギアでお人形遊び、ふ、うふふふふふふふ……♡」

 

「おい愛!ボケっとしてねえでいい加減この変態を黙らせろ!」

 

 

 




現在一番困っているのはあまり長時間パソコンの前に座っていられない事……。
手術後ここまで回復が遅れるとは思いもしなかったので正直かなりへこんでますが、それでも途中で放り出す事だけはしたくないので気長にお付き合い頂けると嬉しいです。

我が家にいるガルパンキャラのちっこいフィギア達はマジで家宝です。
特にチョビ子とティーガーⅠに乗っかったまほは御神体ですよw
自分で言うのもなんですが元々手先は器用な方で、プラモやフィギアの改造やなんならフルスクラッチもやってましたが、近年の状況じゃ中々そんな事する余裕がないですが時間があればラブだけはエッチなフィギア造りたいかも♡

実は自分で乗れるディフォルメパンターを造ろうと思って、知り合いの土建屋から引き取った故障したマイクロユンボも絶賛放置プレイ中なんだよなぁww
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