ガールズ&パンツァー 恋愛戦車道   作:肉球小隊

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週中でどうにか一本お届けです。

やっと本格的な戦闘が始まりますが今回も書き直しが多かったです。
でもこの次の分が更に大変で出した戦車の多さを後悔してます…。


第十七話   緊張と緩和

「オ~ホッホッホッ!さあみなさん!()()()()()()()のおっ紅茶が冷めてしまう前に市街地に突入致しますわよ!」

 

『ローズヒップさんそれだけは止めて下さい…本当に…… 』

 

 

 無線から響くローズヒップの声に心底嫌そうなオレンジペコの声が重なる。

 展開する部隊の各車の中でも笑っちゃ可哀想的雰囲気で皆複雑な表情をしていた。

 みほも競う様に先行しようとするぺパロニとローズヒップに手を焼きつつ、困った顔でコマンダーキューポラ上で周囲を警戒しながら市街地区画に近付きつつあった。

 

 

「全車停止して下さい」

 

 

 みほの指示で市街地に向かう別働隊はその手前の稜線を超える前に全車停止する。

 

 

「優花里さんどう思います?」

 

「そうですねぇ、あのタイムロスで市街地を先に抑えられた可能性は高いと思われます」

 

「うん、私もそう思う…」

 

「ここはやはり私が偵察に行ってまいります」

 

「お願い出来る?」

 

「ハイ!お任せ下さい!」

 

 

 優花里はそう言うや機敏な動作であんこうから躍り出ると、周囲を警戒しつつ慎重に稜線を昇って行きその姿は生い茂る雑草に紛れ見えなくなった。

 

 

「一体どうしたんですの?なぜ直ぐに市街地に突入しないんですの?」

 

「今偵察を出していますから少し待って下さいローズヒップさん」

 

 

 早くも焦れて来たローズヒップを諌める様みほは無線で応えるが、内心では既に市街地は抑えられているであろう事は決定事項であった。

 しかしそれでも市街地を抑えれば敵の背後を突けるので突入せざるをえないのも事実であり、問題は如何にして市街地に入るかで、その為にも優花里の持ち帰るであろう情報がその方針を決める重要なカギになるのだ。

 みほは自分が市街地に入る事を前提にまほが動くであろう事は解っており、ラブもまたまほと行動を共にするだろうと予測している。

 AP-Girlsの少女達もまたそれを見越して自分に付き従っている事から、必然的にまほと対峙するのは自分である事は明らかだ。

 そうなった時戦局を大きく左右する存在がぺパロニとローズヒップであり、それが吉と出るか凶と出るかはまだみほにも予想は出来なかった。

 更にもう一点、封鎖作戦対策で同行している小梅とアリサの混成部隊も、現状では動き様が無い事も問題だった。

 

 

「ただいま戻りました西住殿!」

 

「お帰りなさい優花里さん、それでどうでしたか?」

 

「はい、直接見える範囲には敵影は無く、ハルダウン出来る様なポジションも見受けられません。ダグインしようにも穴を掘る程の時間も無かったでしょうし、そう考えると既に市街地入りしていると見るのが正解かと思います。それと気になるのが市街地に出入り出来るポイントは全部で三か所、もしこれを我々の突入後封鎖されたら目も当てられません。ただこれもあまり深入り出来ませんでしたのであくまで私の推測なのでありますが……」

 

「私も優花里さんの推測が正しいと思う…」

 

 

 みほと優花里がどうしたものかと思考している処にブラックハーツ車長の鈴鹿から通信が入る。

 

 

「あ、はい、了解。ねえみぽりん、ブラックハーツの鈴鹿さんがAP-Girlsを先行して突入させろって言って来てるけどどうする?」

 

「鈴鹿さんが?」

 

「うん、AP-Girlsがまず突入してラブ姉を引っ張り出して混戦状態を作るから、そのタイミングで後から時間差で突入しろって」

 

 

 通信内容を伝えた沙織はどう返事をしたものかと首を傾げる。

 出遅れた分を考えてもこれ以上長々と考え込んでいる時間は無い、既に本隊と奇襲部隊も行動を開始しておりこれ以上の時間のロスは許されず、ここで腹を括ったみほは鈴鹿の提案に乗る事にした。

 沙織から通信を引き継ぐとみほは鈴鹿と直接打ち合わせに入る。

 

「鈴鹿さんお話は聞きましたけどそれでいいんですか?恐らく黒森峰中心の重戦車も展開していると思われますけど」

 

「西住隊長、多分我々が突入してもラブ姉しか出て来ないと思いますよ。西住隊長が出て来ない以上、アチラさんも手の内晒したくないでしょうし。これまでの演習でもラブ姉対AP-Girlsで戦ってここまでまだ一度も勝てていないですから。だからこそラブ姉しか出て来ないと思うんですよ、まあ我々も何の勝算も無しに飛び込む訳じゃありません。なので我々に任せて貰えませんか?」

 

「解りました、それでは宜しくお願いします。それでこちらの突入タイミングはどうしますか?」

 

「コチラが会敵したら近接戦闘の前にスモークを使用します、AP-Girlsのステージ用の派手な色のを使うので直ぐに解ります。それが拡散し始める当りがベストだと思います」

 

「了解、でもくれぐれも無理はしないように」

 

「はい、ありがとうございます。それでは我々は三分後に突入を開始します」

 

 

 鈴鹿との交信をみほが終えると今度は小梅とアリサの混成部隊に、姿は見えないが確実に居るであろう封鎖部隊への対応を伝える。

 

 

「小梅さん、アリサさん敵の封鎖部隊は恐らく市街地内に潜伏していると思われます。なので我々の突入後、姿を現したら外側から牽制して注意を引き付けてもらえますか?」

 

「この状況だとそうするしかないでしょうね」

 

「解った、ウチのシャーマンから観測員を出して状況に備えるわ」

 

「お願いします」

 

 

沙織が各車に改めて指示を飛ばし作戦に備える。みほもまたあんこうメンバーに声を掛け始めた。

 

 

「麻子さん起きて」

 

「今日は寝てないぞ西住さん…」

 

「はぅ!?」

 

「避けたはずなのに当てられた…アレで完全に目が覚めたぞ。しかしあんな事が普通の人間に出来るものなのか?七両もの戦車に同時に当てるなんて人間業ではないだろう、あれ程撃たれた時に恐怖感を感じた事は今までになかった…弾だってペイント弾だというのにな」

 

 

 麻子にこれ程のプレッシャーを与えるラブの超長距離同時弾着攻撃、この攻撃の真の恐ろしさは実被害以上に実はここにあるのであった。

 やられた側に対する精神的揺さぶりの大きさ、まるで自分達がラブの掌の中で踊らされている様な感覚に陥り正常な判断が出来なくなる。

 みほはラブの恐ろしさを改めて痛感させられのであった。

 

 

『いけない!みんな思った以上に動揺が大きい!』

 

 

 みほはこの状況の打開策に思考を巡らせようとした瞬間に無情にも作戦開始時間がやって来た。

 

 

「それでは西住隊長、作戦開始します。愛!指揮を頼む!」

 

「了解…AP-Girls…Tanks move forward」

 

 

 愛の号令と共に四両のⅢ号J型が一列縦隊で進発する。

 みほは慌ててコマンダーキューポラから顔を出すとその後ろ姿を見送るのだった。

 

 

「みんな気を付けて…」

 

 

 完全に相手に主導権を握られた状態でAP-Girlsを市街地に送り込まなければならない、しかもあんこうメンバーまでもがラブの攻撃により精神的動揺が大きいとなると、みほとしても今後の展開に大いに不安が増すばかりだった。

 そしてみほがAP-Girlsを不安な気持ちで見送ったその頃、両軍の主力部隊は市街地区画と並行する形で広がる緩やかな起伏があり、所々に大きな岩が突き出た草原エリアでお互いが目視出来る距離まで接近し睨み合いを始めていた。

 

 

「どういうことよ!敵の大将車がいない!?」

 

『見える範囲内にウサギは確認出来ません!』

 

 

 カチューシャが無線で斥候に出た車両とやり取りをしている。

 オレンジペコもその可能性を考えなかった訳ではないが、実際梓の姿が確認出来ない事に若干の焦りを感じずにはいられない。

 既に現段階で自身が搭乗するチャーチルを含め主だった車両が、ラブの超長距離攻撃でハンデを背負っている事を考えればそれも無理の無い事で、ウサギの発見は急務なのだ。

 

 

「やっぱり奇襲攻撃で直接狙って来るのですね…各車全方位警戒!奇襲攻撃に備えて下さい!」

 

 

 オレンジペコは主力部隊に指示を飛ばし、自身も濃く青い瞳に警戒の色を強めるのだった。

 ここで再び舞台は市街地区画に戻りその中の中央付近にある噴水広場には、ラブの乗機であるLove Gunがその身を晒し堂々と居座っていた。

 

 

「しっかしほんっとラブ姉って目立ちたがりよね~」

 

 

 Love Gunの車内、操縦手席では抱えた膝に顎を乗せ操縦手の香子がぼやいている。

 1対4の乱戦になればいつも一番苦労させられるのが香子なのでそれも無理も無かった。

 

 

「それ今更言ってもしょうがないじゃん」

 

「だよね~」

 

 

 香子のぼやきに黒髪を肩口で切り揃え藍色の瞳をした通信手の大湊花楓(おおみなとかえで)と、淡い紫髪をハーフアップで纏め、それより濃い紫の瞳をした装填手の千早美衣子(ちはやみいこ)がなげやりにまぜっ返す。

 

 

「そりゃアンタ達はいいわよ、私なんかいっつも休む間もないんだから」

 

「よく言うよ、あんなタコ踊り状態で連続装填する身にもなれ」

 

「私なんか通信手だから1対4だとほんっとやる事無いんだからね!」

 

「もうその辺でやめなさいよ」

 

 

 かしましさに耐えかねてサイドハッチから顔を出していた砲手の瑠伽がストップをかける、そして言われ放題のとうの本人はどうしているかといえば、コマンダーキューポラに背をもたれ聞こえないふりで空をボケッと眺めていた。

 

 

『ラブ、聞こえるか?客が来たぞ』

 

 

 みほ達に先んじて市街地を抑える事が出来た為、当初の作戦に若干アレンジを加え、市街地内部に潜伏しているまほのティーガーⅠから無線通信が入った。

 

 

「思ったより遅かったわね」

 

「ああ、だが突入して来たのはAP-GirlsのⅢ号だけだ。あんこうとそれ以外の車両の姿は見えない、大方市街地手前の稜線の向こう辺りにいるだろうがどうするか…」

 

「少しは考えて来たようね~。いいわ、そのままもう少し隠れてて、あの子らの相手は予定通り私がするから。場合によっては打って出てやり合ってくれても構わないわ、この場合あくまでも足止めする事が肝心だからね~」

 

「了解だ」

 

 

 交信を終えるとラブは車内のメンバーに指示を出し始める。

 

 

「は~い、お待ちかねの愛達が来たわよ~♪」

 

「も~待ちくたびれた~」

 

「あいつらどっかでお弁当食べてたんじゃないの?」

 

 

 てんでに勝手な事を言いつつも手を動かし戦闘態勢を整えるメンバー達。

 ラブも改めて周囲を見渡し近付くエンジン音に耳をそばだてる。

 すると間もなく正面から一列縦隊でAP-Girlsが真っ直ぐ突進して来るのが見えて来た。

 ラブはいつもの拡声器を手にするとその方に向かいフルボリュームで挑発を始める。

 

 

「おら~、小娘ども~!纏めて相手してやるから掛かって来い~!」

 

「うるさいって…」

 

 

 砲手の瑠伽が煩そうに顔をしかめるがお構い無しにラブは続ける。

 

 

「どうしたサッサとって、うっは~あの子らスモーク焚きやがった~!それもステージ用のどピンクのヤツ~!香子!全速後退!そいでもってランダム機動開始~!」

 

「だから車内に拡声器で怒鳴るなっ!」

 

 

 そう怒鳴り返しつつも香子は素早く後退を始めると、踊る様にLove Gunを振り回し始める。

 辺りにLove Gunの履帯が上げる騒音が鳴り響き、その間に接近して来たAP-Girlsが噴水広場に侵入すると、二両ずつ左右に分かれ円形の広場の外周に合わせ旋回し、撒き散らすどピンクのスモークで視界が一気に悪くなって行く。

 

 

「動きました!」

 

 

 再びあんこうから離れ稜線ギリギリで偵察に当っていた優花里が叫びながら戻ってくる。

 それを聞くと同時にみほは無線でぺパロニとローズヒップに指示を飛ばす。

 

 

「先行突入したAP-Girlsが戦闘を開始しました!これより我々も市街地に突入します!」

 

「私もうまっちくたびれましたわ!」

 

「存分に暴れてやるッスよ!」

 

 

 両名共にやる気十分な様でその声を聴いたみほも、優花里があんこうに飛び乗りハッチから車内に滑り込むと同時に突入の指示を出す。

 

 

「小梅さん、アリサさん後詰宜しく!それでは我々も突入しますパンツァー・フォー!」

 

 

 あんこうとクルセイダ―とカルロベローチェが、排気管から黒煙を吹き上げ緩斜面を力強く登り始め、下りに入ると一気に加速し坂を駆け下り市街地に突入して行く。 

 さして広くも無い市街地区画故にスモークはあっと言う間に辺りをどピンクに染めて行く。

 市街地突入直前にみほは改めで無線で従う二両に注意喚起を行った。

 

 

「スモークでかなり視界が悪くなっています、くれぐれもフレンドリーファイアには気を付けて!」

 

 

 その無線交信を合図に三両も遂に市街地への突入に成功するが、みほの耳には散発的ながら砲撃音が聴こえて来ており、どうやらラブ対AP-Girlsの砲撃戦に入っている事が窺えた。

 

 

「なんだ?このピンクのスモークは!?」

 

 

 一方で潜伏中だったまほ達も、周囲をAP-Girlsが撒き散らしたどピンクのスモークに覆われ始め、急速にその視界を奪われていった。

 しかしまほの耳にも砲撃音は届いており、ラブが交戦状態に入った事、同時にみほが突入して来るであろう事は想像に難く無く素早く部隊に戦闘態勢の指示を出している。

 

 

「各車封鎖作戦を開始せよ、但し突入口のみ開けておく、フレンドリーファイアには注意せよ!」

 

『了解!』

 

 

 各車からの応答を確認するとまほは頷き更に続ける。

 

 

「出入り口Aは直下お前が指揮を執れ、出入り口Bはレオポンのナカジマさんにお願いする」

 

「了解!」

 

「はいは~い、任されました~」

 

「ヨシ!行くぞ、Ⅲ号二両は私に付いて来い!」

 

『jawohl!』

 

 

 まほの指揮の元にⅢ号二両を従えたティーガーⅠが進軍を始めた頃、遂に主戦場たる草原エリアでも砲撃戦が始まりつつあった。

 まずは両軍の長距離砲撃のエース対決とばかりに、ノンナのIS-2とナオミのファイアフライがそれぞれ砲門を開き、双方とも前衛に展開していた車両に初弾を命中させている。

 その後はそれを合図に梓大隊は高火力を、オレンジペコ大隊は機動力を生かし一進一退の攻防が始まり、両軍の総数の大半がいるだけに砲撃音だけでも凄まじい事になっていた。

 

 

「始まりましたね…」

 

「well…もう少しペコが前進してくれると側面を突くのに丁度いいんだけどな~」

 

 

 主戦場を挟んで市街地の反対側に位置する森の中、簡易的な擬装を施し潜伏する梓とケイの率いる奇襲部隊は、両軍一進一退の戦況を茂みに隠れ見守っていた。

 

 

「最初からもう膠着してる様に見えるんですけど」

 

「そりゃ両軍共腹黒いのが揃ってるからね~」

 

 

 ケイの表現に対して梓は返答のしようが無かったが、この時はまだ二人共同じ森に潜み自分達を監視する目に気付いてはいなかった。

 

 

「フフン、何も奇襲部隊が本隊を狙うとは限らんのだよ、主戦場に意識が行ってこちらに全く気が付かないとはケイも焼きが回ったか」

 

 

 完全に背後を取った事で余裕のアンチョビは、不敵に笑うと双眼鏡で奇襲部隊の数を確認し無線で本隊と連絡を取り始める。

 

 

「こちらアンチョビ、敵奇襲部隊を発見、ウサギもこちらに居る」

 

 

 連絡を送るとアンチョビは改めて双眼鏡で状況を確認し即応出来るよう態勢を整えた。

 

 

「M3に三突にシャーマン2両とマチルダ2両、数の上ではこちらと対等か、しかしこちらは大洗を連れているからな、梓には悪いが地獄を見て貰おう」

 

「お~いチョビ子~、この後どう動くつもり~?」

 

「チョビ子って呼ぶな!まあれだ、ケイと梓が本隊に急襲を掛けようと動き出す直前がベストだな」

 

「りょうか~い」

 

 

 背後から奇襲を掛けるタイミングを見計らうアンチョビだが、彼女もまた気が付いていない。

 更にその背後から自分達を狙う視線がある事に。

 

 

「ウフフ、どれだけあなたと行動を共にして来たと思ってるんですか?ドゥーチェ」

 

 

 カルパッチョは双眼鏡でP40のコマンダーキューポラ上で腕組みするアンチョビの姿を捉えつつ、自分の予想通りにアンチョビが動いた事に嬉しそうな顔をし無線交信を始めた。

 

 

「こちらカルパッチョ。梓さん、ケイさん、そのまま何も気付かないフリをして聞いて下さい。今そちらの背後でドゥーチェが奇襲を掛けるタイミングを計っています。恐らくそちらが動き始めた瞬間を狙うつもりだと思いますので、そのままの態勢を維持して下さい。」

 

「Shit!本隊じゃなくてこっちを狙って来た!?読まれてたわね!」

 

「ええ、なので私も更にドゥーチェを狙ってみたら当たりました」

 

「OK、それじゃあそっちはお任せしていい?タイミングはそうね…この次にペコが攻勢に出たら合図するからそのタイミングでいい?」

 

「了解です」

 

 

 主戦場と森の中で探り合いが続く頃、市街地エリアでは壮絶な砲撃戦が展開されていた。

 Love Gun対AP-Girlsの戦いは、ブラックとイエローにブルーの三両がLove Gunを牽制しつつ愛のピンクがメインでペイント弾を撃ち込むが尽くかわされている。

 操縦レベルではほぼ互角に見えるが、車長であるラブの指揮能力がまだ何枚も他の四両の車長を上回っており、反対にイエローとブルーがそれぞれ一発ずつ被弾していた。

 既にスモークも晴れつつあり一層その機動は激しさを増し、交錯した際には軽く接触しているのか時折火花が散るのも見える。

 そしてその一方でまほとみほも遂に会敵し全国大会の再現の様な激しい砲撃戦を展開していた。

 またまほに付き従った黒森峰のⅢ号二両も、ぺパロニとローズヒップを介入させまいと奮戦し、こちらでも激しい鍔迫り合いを繰り広げていた。

 市街地出入り口のうち二ヵ所を封鎖していたレオポンと直下の部隊にも、それぞれレオポンにはアリサの部隊が、直下には小梅の部隊が微妙な距離から牽制を始め目下一番戦闘が激しいのはこの市街地エリアとなっていた。

 だがこの市街地での四つの戦闘が同時に瞬間的な静止状態で睨み合いになったその時、突如無線の共用回線から間のぬけたチャイムが流れ、続いてコントロールタワーより事務的な声で参加車両全てに対しアナウンスが流れ始めた。

 

 

「これよりコントロールタワーは60分間のお昼休みに入ります。即時戦闘行為を中断し、各員配布されたお弁当で昼食を摂る事。これは本校職員室よりの通達です、身体によくないのでキチンと昼食を摂り休憩しましょう」

 

 

 そのアナウンスと共に判定用のドローンもコントロールの方へ飛び去って行き、皆それを呆気に取られた顔で見送っている。

 

 

「もう何なのよ!緊張感が無いわね!」

 

 

 まるでカチューシャの叫びが聞こえたかの様に再び無線機からアナウンスが入る。

 

 

「私らも早く学食行かないと食べそびれちゃうからよろしくね~♪」

 

「まあウチもこれに関しちゃよそ様の事言えんなぁ…何よりお弁当をダメにしては作って頂いた方に申し訳ないし…しかたない、お昼休みにするかぁ」

 

 

 アンチョビは頭を掻きつつ車内に引っ込むと共用回線で昼休みに入る事を通達する。

 即ぺパロニとカルパッチョも応答し昼休みに入り、主戦場でも両軍それぞれ車外に出てお弁当を広げ始め、市街地に居る者達も同様になし崩しのお昼休みに突入しお弁当を食べ始めた。

 近接戦闘をしていたラブ達に至っては車内からそれぞれピクニックシートを出し、噴水広場に集まって仲良くお昼休みを楽しんでいて、通り一本隔てた場所で睨み合っていたまほとみほ達も毒気を抜かれた顔でメンバー達と並んでお弁当の蓋を開けていた。

 

 

「こんな経験ってあります?」

 

「ある様に見える?」

 

「ですよね…」

 

 

 梓とケイも困惑しつつ顔を見合わせると奇襲部隊もお弁当を手にするのだった。

 

 

 




どんなに強い戦車も職員室の先生には勝てない。
そしてやはり食に関してアンツィオの行動は早かったw
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