ガールズ&パンツァー 恋愛戦車道   作:肉球小隊

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今回も多分サービス回、ダー様も平常運転ですw

作中の英語は例によって適当なので雰囲気で流して下さい。
それと毎度のお約束ですが学園艦のサイズを気にしてはいけませんw


第二十二話   恋する少女 愛する少女

 朝の陽ざしに煌く浦賀水道。

 今、その浦賀水道を目指し七つの巨大な影が隊列を組み粛々と進んで行く。

 純白に輝く笠女学園艦を先頭に大島迂回航路を、敢えてゆっくりと航行して来た艦隊も今日遂に横須賀に入港するのだ。

 学園艦内の大食堂は丁度朝食の時間を迎え、今朝も各校の隊員達で賑わっている。

 

 

「私横須賀って初めてなんだ~♪」

 

「私は実家が横浜だから何度か来てるよ」

 

「私スカジャン欲しいなぁ」

 

「アレ結構高いらしいよ~?」

 

「私は三笠に行ってみたい」

 

 

 朝食を取りつつ少女達はこれから上陸する横須賀についてアレコレ話し合っている。

 

 

「あ、西住隊長にアンチョビ隊長おはようございま……す!?」

 

『ああ、おはよう』

 

 

 朝の挨拶をして来た他校の隊員にまほとアンチョビは二人揃って挨拶を返す。

 

 

『え?え!?え~!』

 

『二人仲良く手を繋いでって!?』

 

『それも指を絡めて恋人繋ぎ~!?』

 

 

 エリカとみほ、梓とオレンジペコの時以上の衝撃が朝の大食堂に訪れ、二人の進路上に居る者達はザッっと音がしそうな勢いで慌てて左右に分かれ道を譲るが、その間を進む二人はいつもと変わらぬ様子で会話し周りの驚愕の視線に気付く様子も無い。

 

 

「あらあら、随分と仲の宜しいこと、これは朝っぱらから良いものを見せて頂きましたわ♪」

 

 

 現れた二人の様子を見たダージリンは、得意の極めて人の悪い笑みを浮かべると、手の甲で口元を隠しコロコロとこれまた得意の笑い声を上げる。

 

 

「ん?ダージリン、朝っぱらから何を寝惚けた事を言っているんだ?」

 

 

 まほは隣のアンチョビの顔を見ながら『なあ?』っと同意を求める様な表情をする。

 アンチョビもアンチョビで『コイツの言う事はよく解らん』といった風に肩を竦めた。

 その二人の反応にダージリンもまさかといった表情になり、その青い瞳を二人の間で仲睦まじく絡ませている手に向けた。

 

 

「まさかとは、そんな馬鹿なとは思いますが、お二人共全く気付いていらっしゃらないのかしら?」

 

 

 まほとアンチョビはダージリンの青い瞳からその視線追って、辿り着いた先で絡み合う自分達の指を発見し、二人仲良く暫くの間ジッと見つめていた。

 

 

「あの、まさかとは思うけど、本当に気付かずにそうしてここまでいらっしゃったの?」

 

 

 ダージリンが改めてそう聞いた瞬間まほとアンチョビの顔が下から上に、温度計が急上昇する様に一気に赤くなって行く。

 恋は盲目とは言うが昨夜からの良い雰囲気のまま、二人揃って宿舎からこの大食堂までの道中を、無意識のうちに仲睦まじくお互いの指を絡め恋人繋ぎのままここまで来てしまったのだ。

 

 

「ブっ!」

 

 

 信じられない事に自分の指摘が図星である事を、二人の表情で悟ったダージリンの腹筋が崩壊しその場で盛大に吹き出した。

 

 

「あ…あり得ない!ふ、普通き、気付くでしょ!?ぶ…も、もうダメ!あひゃひゃひゃひゃ──!」

 

 

 ダージリンは床に膝を突き、右手で床をバシバシ叩きながら狂った様に笑い始めた。

 見れば涙処か鼻水まで出し笑うその顔は狂気そのものだ。

 円形に取り囲まれその中心で笑い狂うダージリンとその前で顔を真っ赤にし、俯いて恥かしそうにプルプルと震えるまほとアンチョビ、すっかり舞い上がり二人して犯した大失態をダージリンに笑われ二人で入れる穴があったら入りたい心境になる。

 

 

「ハイハイ、ダージリン様皆様のご迷惑になりますのでそれ位にして下さいまし」

 

 

 そう言いながら人垣を割って現れたオレンジペコは、慣れた手付きでダージリンの両の足首を掴むと『大変失礼致しました』と言い残し、リヤカーを曳く要領でまだ狂った様に笑い続けるダージリンを、おパンツ丸出しでズルズルと引き摺りながら大食堂から退出して行った。

 その後は周りの者も少々気まずそうに朝食を取るべく大食堂に散り、まほとアンチョビも漸く顔を上げる事が出来たのだった。

 

 

「に、にしずみ…朝ごはん食べよ……」

 

「あ、あぁ…そうだな……」

 

 

 この騒動を少し後から来て物陰から見守っていたラブは、エリカとみほの時同様『私ぐっじょぶ』と言いながらガッツポーズを取りうれし泣きの表情をしている。

 しかしそのラブに影の様に傍に居た愛が不意にひと声言葉を掛ける。

 

 

「これで良かったの…?」

 

「え?え?何が?」

 

「恋は千代美さんの事が好きだったんでしょ…?」

 

「!」

 

「違うの?」

 

「え?だってまほは鈍いし…あの二人昔からじれったいし…だから……」

 

 

 ラブの頬をひと筋の涙が零れ落ちる。

 

 

「あ、あれ…?」

 

「こっちに来て」

 

 

 愛はそう言うとラブの手を引き近くの鉄扉の裏にある、普段は使わない非常用階段の踊り場に半ば強引にラブを連れ込む。

 

 

「アナタはそうやっていつも人の事ばかりに一生懸命になるのね」

 

「だって…!想い合う者同士が結ばれなかったらそれは幸せじゃないじゃない!」

 

 

 珍しくラブがキッとした表情で愛を睨むが、愛はいつもと変わらぬ無表情でそれを受け流す。

 

 

「あの時千代美が必死に頑張ってくれなかったら、私はこうしてここには居ないわ!その千代美が幸せじゃないなんて私は絶対にイヤ!」

 

「そこに恋の気持ちはあるのかしら?」

 

「私の気持ちなんて関係ないじゃない!」

 

「本当に?」

 

「何で愛はそんなに意地悪ばっか言うのよ!あの時千代美が助けてくれなかったら、私は愛にだって会う事が出来なかったのよ!?」

 

「そうやってこれからもずっと自分の本当の気持ちに蓋をして行くつもりなの?人の事ばかりじゃなく少しは自分の気持ちを大事にしたら?」

 

 

 愛の言葉にラブの顔に朱が奔る。

 

 

「そうよ!私…私は千代美が好きよ!だけど…だけどそれはもう昔の事よ…今はもう助けてくれた事への感謝の気持ちしかないもの!千代美のお蔭でこうして生きているのよ!その千代美の幸せを願って何が悪いのよ!?何よ!愛だって私の本当の気持ちなんて知ってるクセに!私が本当に愛の事を好きなのを知ってるクセにぃ!愛のバカぁ!意地悪!もう知らないぃぃ!!」

 

 

 そう捲し立てた後ラブはとうとう幼子の様にその場に座り込み大泣きを始めた。

 愛は泣きじゃくるラブの背後に周りその肩をそっと抱きしめそっと囁く。

 

 

「馬鹿はあなたよ……私なんかじゃあなたに釣り合わないのに…」

 

「私馬鹿じゃないもん!釣り合わなくないもん!愛が一番だもんっ!」

 

「やっぱり馬鹿よ…でも…ありがとう……」

 

 

 愛は小声でそう言った後ラブの顔を自分の方に向かせそっとその唇を重ねる。

 

 

「あ、愛…ん……」

 

 

 いつもは影の如くラブの傍らに居る愛にリードされ、ラブは全てを愛に委ねる様に体の力を抜く。

 暫く時が止まった様に口づけを交していた二人だが、やがて愛が躊躇いがちにラブの艶めかしく美しい唇から自身の唇を離す。

 

 

「………」

 

 

 座り込んだまま俯いたラブの唇から呟きの様に聞き取れない言葉が漏れる。

 

 

「…何?」

 

 

 たった今取った自分の行動に戸惑った様な表情の愛が、口づけを交したばかりの唇を指先で押えながらラブの言葉に問い返す。

 

 

「…ドイ……ヒドイよ愛…私から言おうと思ったのに…愛が私に勝った時に、もっと素敵な場所で私から愛に告白しようと思ったのにぃ!こんな場所で愛からなんてヒドイよ!」

 

 

 真っ赤な顔で頬を膨らませたラブは愛に抗議する様に言った。

 愛は少し俯いて顔を背けているがどうやらその口元は笑っている様だ。

 

 

「私が勝ったらなんて、それじゃあ何時になるか解らないじゃない……」

 

「そんな事ないもん!」

 

「さあ立って、今日は忙しいのよ?早く朝食を済まさないと遅れるわ」

 

「あ!待って!ズルいよ愛!」

 

 

 愛を追って立ち上がったラブが鉄扉を抜けガチャリと締まる鈍い音が響いたその時──。

 

 

『ハアァァァ…』

 

 

 深く盛大に複数の溜息が階段の踊り場に一斉に響いた。

 ラブと愛が居た階の一段上の踊り場からつづら折りに続く階段に、ラブと愛以外のAP-Girlsのメンバー全員が雛段飾り宜しくギッシリと座りここまでの二人のやり取りを聴いていたのだ。

 二人の様子を見て速攻で上の階から回り込みこうして座って息を殺していたらしい。

 

 

「ほんっとあの二人ってメンドクサイ……」

 

 

 膝の上に肘を突き両の手のひらに顎を乗せた凜々子が、あまり宜しくない、目付きの座った表情でこれまた心底めんどくさそうな声でそう吐き出した。

 

 

「何を今更……」

 

 

 そう言う鈴鹿もまた同じ様な表情を隠そうともしない。

 

 

「私嫌よ、これから先あの拗れバカップルに振り回されるのは」

 

 

 再び吐き捨てる様に言った凜々子の言葉に一同まためんどくさそうな顔になる。

 

 

『ハアァァァ…』

 

 

 そしてまた一斉に深い溜め息を漏らすのだった。

 

 

 

 

 

 横須賀港沖合に居並ぶ七隻の学園艦、その中でもサイズは最小ながら輝く純白の笠女学園艦の容姿は海の女王と言っても良い美しさを誇っていた。

 付き従う六隻の学園艦もまた、まるで美姫に傅く屈強な騎士の様に見える。

 今、学園艦として初の公式航海から母港横須賀に帰港した笠女学園艦は、地元の消防艇から歓迎の一斉放水を受けその美しさに華を添えていた。

 それが止むと笠女学園艦の艦尾のウェルドックのハッチが開き、相変わらずの凄まじい轟音と共に六艇のS-LCACが滑り出て来る。

 それぞれのS-LCACには各校の隊員と戦車が乗っており、そのままベース内の笠女の敷地に揚陸して戦車はそれぞれの学園艦に収容し、隊員達はその間横須賀の街に遊びに繰り出す事となる。

 

 

「しかし改めてこのS-LCACというのはとんでもないシロモノだな…」

 

 

 艇内のキャビンの座席に座り周囲を見回しつつイヤーマフ内蔵のインカムで、轟音に負けぬ様にまほはラブに話し掛けた。

 

 

「え?ええ、まあね…これだけのスペックだから市とも連携して災害時には支援活動に従事するよう契約を結んでるのよ。対外試合の時は訪問先で地元の方を乗せて遊覧航行も予定してるし」

 

 

 一瞬心ここに在らずな雰囲気のラブであったが、まほの言葉にS-LCACの用途を説明した。

 

 

「そうなのか…でもいいのかな?我々だけさっさと遊びに行ってしまって」

 

「いいのよ、これが甲板員始め作業に従事する生徒の単位になるんだから。彼女達にも経験値を上げる良い機会だと思って任せてあげてよ」

 

「そういう事か、解ったよ」

 

 

 短い会話をするうちにS-LCACは笠女陸上施設にあっと言う間に揚陸してしまう。

 次々とS-LCACから降りて来る隊員達はそれまでと違いパンツァージャケットではなく、それぞれの学校の制服を着用している。

 これから市街地に出るにあたって、さすがにパンツァージャケットでは問題があるし、無用のトラブルを避ける為にも、それぞれの制服着用と各校指導者から通達があったのだ。

 

 

「やっぱりアンツィオの制服って可愛いよね~♡」

 

「私は大洗のセーラー着てみたいって大学選抜戦見て思ったわ」

 

「あ、ソレ私も思った~♪」

 

 

 隊員達はお互いの制服談義に花を咲かせているが、視線は自然と笠女の生徒達の制服に集まる。

 既に全員がスタイルが良いのは解っているが、やはりラブは注目の的だった。

 パンツァージャケット同様桜色のブレザーにシルクのブラウスと濃紺のリボンタイ、マリンブルーを基調としたチェック柄のミニに焦げ茶のローファー。

 そしてラブの場合は傷を隠したいのもあり黒のオーバーニーソックスを着用していた。

 更に止めとして戦車に乗る時と違い、深紅の髪を大きめの白いリボンでポニーに結っている。

 改めて制服姿で現れたラブを頭のてっぺんからつま先までまじまじと見た一同は、思わず赤面して生唾を飲み込んでしまう。

 その良過ぎるスタイルでこの制服はエロ過ぎて皆一様に目が釘付けになってしまうのだ。

 

 

「な、なによう…みんなしてジロジロと……」

 

 

 自分に集中する視線にラブは恥ずかしげに両腕で、隠しても隠しきれない胸のたわわをその視線から隠そうとするがその仕草がまた視線を集中させてしまう。

 

 

「い、いやな、その制服が良く似合っているとは思うのだが……」

 

「な、なあ?い、いいのかコレ?」

 

「街中に出すのは危険過ぎる気が…」

 

「オーバーニーがヤバいかも……」

 

「歩く目の毒ね…」

 

 

 散々な言われ様にラブは涙目で内股になり片手はミニの裾を掴んで隠す様な仕草をする。

 しかしそれもまたラブの様な美人がやると刺激的で、遂には周りに居る者全員が耐え切れず鼻血を噴出してしまい文字通り辺り一面血の海と化すのであった。

 

 

「危うく制服を鼻血で汚すところでしたわ……」

 

 

 ダージリンが鼻の穴にティッシュを詰めつつブツクサと言う。

 周りを見ても四桁の人数の少女達が全員鼻の穴にティッシュを詰めている。

 

 

「みんなしてヒドイ……」

 

 

 ラブは涙目で恥じらう仕草を見せるが、それがまた周りの者を視覚的に刺激する。

 

 

「た、頼むからこれ以上は勘弁してくれ……」

 

 

 アンチョビは後頭部をトントンしつつ閉口しきった顔付きでそう言う。

 傍に居るカチューシャは貧血になったらしくノンナに支えられ、そのノンナもまた鼻の穴に詰めたティッシュが赤く血に染まっていた。

 

 

「ホントみんなヒドイ…私まだ高校()()()なのに……」

 

 

 皆のエロい視線に晒され耐え切れなくなったラブはすっかりいじけてしまっている。

 

 

『こんなバルンバルンなおっぱいは高校三年処か大学でもいないだろ……』

 

 

 声に出して突っ込みたいがそのいじけぶりに、誰もそれは出来ずにいた。

 大学選抜戦出場メンバーはバミューダトライアングルのアズミが頭に浮かんだが、脳内で比較してもやはりラブの圧勝だ。

 どうやってラブの機嫌を直すか考えあぐねる一同の前に、US NAVYのナンバーを付けたピックアップトラックが一台滑り込んで来る。

 その車を見た瞬間ラブの顔がパッと輝き駆け寄って行く。

 

 

Lieutenant Abbie!I'm home♪(アビー中尉ただいま)

 

Hi,Ren!Welcome home♪Did you have fun?(お帰り恋、楽しかった?)

 

Yes,Yes,Yes!(もちろん!)

 

 

 停車したピックアップ、トヨタのタコマから颯爽と降り立った軍服の女性は、駆け寄って来た自分より上背のあるラブを軽々と抱き止めるとそのまま持ち上げヒールでクルリと一回転、そしてラブを着地させた後はオーバーアクション気味に改めてハグすると今度は頬にキスをする。

 その映画の様な光景に一同思わずぽ~っと見とれてしまう。

 

 

I saw it on television.You did a great job!(テレビで見てたわ、大活躍だったじゃない!)

 

Heh-heh♪We parenthesis was good?(うふふ 私達カッコ良かった?)

 

Of course!I'ts so berry cool!(勿論!超クールだったわ!)

 

I'm happy to hear that♪(そう言って貰えて嬉しいわ)

 

 

 二人の周りに集まって来たAP-Girlsのメンバー達も、皆とても嬉しそうにしている。

 

 

「早口過ぎて何言ってるか聞き取れない……」

 

 

 涙目で呟くケイに困った顔で笑いながらアンチョビがラブに声を掛けた。

 

 

 

「あ~ラブ、そちらの方は?」

 

「あ、みんなゴメンね、こちらはベースと笠女の間で色々と関係を取り持ってくれてる、連絡将校のアビゲイル・ガーネット中尉よ、とっても素敵な私達のお姉さんなの~♪」

 

 

 紹介された明るいブロンドの髪をダージリン風に編み込んだ、青い瞳に女性士官の制服も良く似合うガーネット中尉もアラいけないという顔になって日本語で自己紹介を始めた。

 

 

「ゴメンなさいね、ついいつものクセで喋っちゃったわ。皆さん初めまして、アビゲイル・ガーネットです。ようこそ横須賀へ、ベースを代表して歓迎させて頂きますわ」

 

 

 そう言うとガーネット中尉は鮮やかな敬礼と共にチャーミングにウィンクもして見せる。

 

 

「それにしても凄い人数ね~、しかもみんなとっても可愛いし。これは今晩ウチのバンドの連中も相当張り切ると思うわぁ♪」

 

「今晩?ウチのバンド?ラブ一体どういう事だ?」 

 

 

 疑問符だらけの顔でアンチョビはラブに何の事かと聞いて来る。

 

 

「ん?今夜はねぇ、U.S. Navy 7th Fleet Band、つまりは第七艦隊音楽隊と私達AP-Girls合同でみんなのウェルカムパーティーをやるのよ~♪」

 

「はぁ!?第七艦隊音楽隊って昔呼ばれて横須賀のお祭り来た時、お前が七艦バンドって呼んでた無茶苦茶レベル高い演奏してたあの音楽隊か!?」

 

「そだよ~♪」

 

 

 事も無げに答えるラブに皆驚愕の目を向けるが全く動じず得意げに宣言する様に言う。

 

 

「今夜はね~、楽しくなるわよ~♪」

 

『マジか……』

 

 

 皆改めてラブの規格外の度胸の良さに愕然とするのだった。

 

 

「ねえ、処で恋。さっきからあなたのお友達はあなたの事をラブって呼んでるけど、それがあなたのニックネームなのかしら?」

 

「あ、しまった!」

 

 

 仕方なくニックネームの意味を説明すると、案の定ガーネット中尉はラブを抱き締めグリグリと頬擦りをしながら嬉しそうに声を上げる。

 

 

「そうか~!漢字の恋の意味はLoveだったわね~♪」

 

「きゃ~♡」

 

 

 ラブもまたわざとらしく嬉しそうに黄色い悲鳴を上げる。

 

 

「っと、こんな事ばかりしていると街に出て遊ぶ時間が無くなってしまうわね、後の準備は私達に任せてあなた達は夜まで楽しんでらっしゃい」

 

「ありがとうアビー中尉♪」

 

 

 ラブは礼を言うと周りに向かって大声で指示を出す。

 

 

「みんな~!それじゃあ街に出るよ~!でもその前に校門のゲートで笠女のゲストIDのネックストラップを受け取ってね~!これが無いとベースから出入り出来ないから絶対無くさないでね~!それとこれがあれば大概のお店で割引サービスとか受けられるから遠慮しないで使うんだよ~!」

 

 

「ラブ、それはいくらなんでもやり過ぎじゃないか…?」

 

 

 この再びの大盤振る舞いにさすがにまほも心配になって来た。

 

 

「いいのよ、これも亜梨亜ママが決めた事なんだから♪」

 

「こ、これが厳島か……」

 

 

 改めて横須賀において厳島の名がどれ程のものか痛感するまほだった。

 

 

「みんな~!行くよ~!ぱんつぁ~ふぉ~♪」

 

 

 ラブの号令で一斉に、ベース内を大量の女子高生がゾロゾロと進軍して行くのだった。

 

 

 

 




七艦バンドこと第七艦隊音楽隊は、実際横須賀で一番集客力があります。
出ると出ないではイベントの客の入りが大幅に違うんですよ。

実際ベースにゲストで出入りするにはパスポートが必要というか便利です。
そうでないと役所と警察で住民票と免許の証明取らなきゃいけなくて非常に面倒です。

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